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世界のエリートが「人生の決断」で悩まないワケ

プレジデントオンライン / 2019年12月9日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Kavuto

どのように過ごしていても、人生には必ず悩みや転機が訪れる。そのたびに悩んでいれば、人生は悩みの連続になってしまう。米スタンフォード大学で生まれた「人生デザイン講座」では、悩まずに決断を下すコツを教えている。いまや世界中のエリートが取り組むプログラムの要とは——。

■身動きがとれなくなってしまう人々には特徴がある

「なんの悩みもなさそう」
「あとは老後の心配だけだな」
「ホントに“就活強者”って感じだよね!」

なんて言われているからこそ、ほかの人には言えない大きな悩みを抱えている人は多くいます。言語化するのは難しいモヤモヤをつねに抱えている感じがする、順風満帆だったはずの人生に、急に疑問が湧いてくる……。

そういう行きづまりこそが、本当に難しい人生の局面なのです。そこで下した選択はまさに「自分次第」で「自己責任」。でも実はそんな状況に追い込まれる人々からは、ある共通した考え方の特徴を見つけられることをご存じでしょうか。

■「行きづまり思考」をみな抱えている

では、傍目には順調のように見えても身動きのとれない状態に追い込まれている、そんな人が持ちがちな考え方にはどのようなものがあるのでしょうか。初めに、3人の状況を取り上げてみましょう。

わたしは30年、同じ仕事をし続けてきた。子どもも立派に社会人になり、老後の金銭的な問題も見当たらない。けれどそんな今になって「なぜこんなことをしているんだろう?」と思う瞬間がある。その一方で避けられないのは、こんな気持ちだ。「今までしてきたことをやめるわけにはいかない」「きっと、いまからじゃ手遅れだ」
大学では、非常に興味深い数学の問いに取り組んでいた。今は飲食店のスタッフ。店長に昇進も決まった。喜ばしいことではあるが、なぜか閉塞感を感じていた。子どものころのように、非現実的な夢を追うことはできない。具体的な転職先も思いつかず、ほかの人生の選択肢もない。彼の脳裏には、こんな気持ちが浮かんだ。「世の中には、自分の足跡を残せない人間もいる」「もう手づまりだ」
学業はとても充実していた。その甲斐もあったのか、友達から「就職活動もうまくいって、よかったね!」と言われている。でも、ぜいたくな悩みだとわかっているけれど、自分を選んでくれた2つの企業から一つを選ぶことができない。どちらで働いても、思い描く姿は十分に満足がいくものだ。けれど、どちらが「正解」なのかわからないのだ。つねに、こんな言葉に追い込まれている。「最高の人生を見つけ、プランを立て、実行しなければ」……

■行きづまってしまう人のたった2つのポイント

これらの行きづまりに陥るポイントは2つ。「何をしたいのかわからない」「どうやったら解決できるのかわからない」です。これらは見た目よりずっと密接に結びついており、考え方を変えるだけ、とにかく行動するだけでは、行きづまりを解消することは到底できません。現状の問題と先の見通しを一時に行うことのできる方法を取り入れ、実践することが大切になってきます。

■大手企業も採用する「デザイン思考」

意外に思えるかもしれませんが、クリエイティブな仕事に携わる社員の養成のため、大手企業からも注目を集めている“デザイン思考”が、人生の困難の解決にも役立つことが各国でも知られてきました。しかも、実はデザイン思考発祥の地ともいえるスタンフォード大学d.schoolには、学生からの人気も厚く、卒業後も人々が訪れるという「人生デザイン講座」があるのです。

『スタンフォード式 人生デザイン講座』(ビル・バーネット、デイヴ・エヴァンス/早川書房刊)

d.schoolで始まった「デザイン・ユア・ライフ・プログラム」は、すでにハーバード、MIT、イェール大学などの一流大学でも採用され、世界100大学以上に広がっています。2020年には日本でも企業向けに公認のワークショップが展開予定です。

そして、プログラムの創設者であるビル・バーネットとデイヴ・エヴァンスによる取り組みの長年の成果は、2019年10月に刊行された『スタンフォード式 人生デザイン講座』という1冊の本にまとめられ、日本でも好評を博しています。

すでに「米国の超エリートが書く“人生日誌”の中身」として「何をしたいのかわからない」に対処するため方法をご紹介していますが、そこからさらに進んで、次は「どうやったら解決できるのかわからない」状態に取り組むための方法をご紹介します。

■必要なのは、人生の「プロトタイプ」

モノの試作品(プロトタイプ)であればイメージは容易だと思いますが、人生の試作品なんて不可能ではないか、と思う人もいるでしょう。しかし、デザイナーにとってはまさに「つくることは考えること」。プロトタイプなしにデザインを先に進めるなんて考えられません。考えながら行動し、プロトタイプを作り続けることが、次々と問題を見つけ出すことのできる大きな理由でもあるのです。

人生の試作品を作る目的は、普通とはちょっと違います。何かターゲットになる課題があったとき、その課題をうまく解決できるかどうかを確かめるために、プロトタイプを作るのではありません。プロトタイプを作ることで、より本質的な問題や自分を縛っていた思い込みに気づくこと、そして、立ち止まることなく次々と何かを試してみるための、勢いが生まれるのです。

実は、著者が「働きすぎな日本の『社畜』に伝えたいこと」で触れている“ライフデザイン・インタビュー”も、重要なプロトタイプづくりのプロセスの1つ。自分が迷っている選択肢を実際に選んだ人に話を聞き、能動的にイメージを膨らませることで、より具体的な未来像を描き、さらなる行動へとつなげるためのステップになるはずです。

■どうして試してみないのか?

“ライフデザイン・インタビュー”のように人から話を聞いたり観察したりするのは有効ですが、遠回りに思えても何かを「やってみる」ことによって、決断をした後の自分に近づくことには、その手間に見合った価値があります。

たとえば、人生で何度もしないような買い物を考えてみてください。自動車や住宅などを購入するときはみな、試乗してみたり、モデルルームを繰り返し訪れてみたりします。それを人生の大きな決断では全くしないのは、ちょっとおかしなことだと思いませんか?

就職の場面ではどうでしょうか。最近では多くの企業が新卒採用時のインターンシップを行っており、そういった機会を活かすことはもちろん大切です。しかし、それだけで十分でしょうか。参加の人数枠は小さいし、業界や、そこで体験できる内容も限られています。より充実したプロトタイプ体験をし、将来ふり返ってみたときに納得のいく選択をするためには、自らそれ以上のアイデアを生み出さなくてはいけません。

ここに、デザイン思考が役立つ点があります。連想式にアイデアを出していくマインドマッピングや、ブレーンストーミングなど、より多くのアイデアを出すことにおいてデザイナーのやり方にまさるものはありません。しかもd.schoolには、正真正銘の実践で研鑽(けんさん)された方法が蓄積されているのです。

人生の問題にかかわるアイデアの出し方から、決断をしたのち、いかにして前を向いて進み続けるかまで、その一連の過程を実践的に示すことによって、世界100大学で採用されるプログラムは出来あがっています。

■人生を本気でデザインしよう

最後に、人生を本気でデザインしようと試みたとき、目標になるべき「うまくデザインされた人生」とはどのようなものでしょうか? その点について、プログラムの創設者である二人は、このように書いています。

わたしたちの葬儀でだれかが立ち上がり、「彼は文章力とコミュニケーション能力が抜群だった」とか、「対立する優先事項をうまく天秤(てんびん)にかけ、すばやく行動する能力を発揮した」とか言ってくれても、ぜんぜんうれしくない。人生の価値は給料や仕事の能力だけでは測れないからだ。
だれだって、自分がだれかに影響を与えたと知りたい。世の中に貢献する仕事をしたと知りたい。目的や生きがいをもって人生を生き、人生をおおいに謳歌できたと思いたい。
でも、それはあとから振り返ってはじめてわかること。なぜなら、理想のライフデザインとは、名詞ではなく動詞だからだ。

どのように過ごしていても、人生に必ず悩みや転機は訪れます。そのたびに現実と戦い、同じように苦労する必要はありません。そのたびに満足のいく選択を行い、決断を悔やむ必要のない問題解決の方針を身につけることが、「うまくデザインされた」人生を生きるためのコツと言えそうです。

(早川書房編集部)

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