1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

アマゾンが日本のハンコ文化に気を遣ったワケ

プレジデントオンライン / 2019年12月19日 11時15分

アマゾンビジネス インターナショナル部門統括責任者のトッド・ハイメス氏 - 撮影=プレジデントオンライン編集部

アマゾンの法人・個人事業主向け購買専用サイト「アマゾンビジネス」が、日本上陸から3年目を迎えた。「月末締め・翌月末払い」や「印鑑」といった日本特有の商習慣にも対応し、競合の脅威になりつつある。法人向けに注力する狙いはなにか。インターナショナル部門統括責任者のトッド・ハイメス氏に聞いた——。

■日本の商習慣に対応させたアマゾンビジネス

——アマゾンビジネスは日本独特の商習慣に対応してきました。なぜそこまでして日本市場に注力するのですか。

アマゾンビジネスは2015年にアメリカで始まり、日本で17年9月に開始した法人・個人事業主向けの購買専用サイトです。日米のほか、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、インドそして最近になってカナダが加わり、計9カ国でサービスを展開しています。

アマゾンでは、新しいサービスを開発する際には、「ワーキング・バックワーズ」(working-backwards)という考え方を採用しています。日本の商習慣に対応したのも、この考え方を徹底した結果であると言えます。

——ワーキング・バックワーズには、どのような意味が込められているのでしょうか

これは常にお客様を起点としてビジネスをするという意味です。お客様の視点に立ち、お客様が何を求めているかを理解してサービスを開発し、ビジネスを展開していくことです。

日本を含め、世界のあらゆる国のお客様の声に耳を傾けますと、多くの場合求められていることは共通しているんですよ。アマゾンでは、豊富な品揃(ぞろ)えから商品を選べること、低価格であること、そして迅速に配達をしてもらえることなんです。

国ごとのニーズというよりは、お客様それぞれのニーズに応えていくという形がアマゾンビジネスの目指すべき道だと考えています。

■ユーザーの声が新しいサービスを生む

——日本での展開当初から、アマゾンビジネスは日本特有の「月末締め・翌月末払い」に対応させました。

「月末締め・翌月末払い」の仕組みが、私が先ほど申し上げた「ワーキング・バックワーズ」の良い事例です。つまり、お客様のニーズを起点として、それを実現するための仕組みを作っていくということ。サービス開始前にお客様の声をお聞きしたところ、実に数多くの方からご要望を頂きました。

お客様のニーズを起点に、仕組みを作っていきます。われわれの行動理念として、まずサービスを展開するエリアに着目しながら、お客様の固有のニーズを踏まえ、そこから仕組みを作り、お客様のビジネスに活用してもらいたいと考えています。

——同じく日本でのサービス開始当初から、「ハンコ」に対応しました。

日本特有のもので、われわれも配慮しているのが日本のハンコ文化です。これは、日本でデジタル・トランスフォーメーションを推進するうえで対応が必要だと認識しています。

会社によってさまざまな見解があり、ハンコに対して寛容な会社もあれば、一度印刷して紙に一つひとつ押さなければならない会社もありますね。

見積書をPDFにして印刷できる機能を付けたのも日本が初めてです。商品の購入に関して、電子承認の仕組みを備えています。この仕組みを活用してもらえば「稟議(りんぎ)」のような会社の決定プロセスにも対応できます。ハンコが必要となると、なかなか難しいですね。

■日本市場への期待は

——アマゾンビジネスの大規模なビジネスカンファレンス(Amazon Business Exchange、以下「ABX」と表記)が12月5日、東京で開催されました。イギリス(ロンドン)に次いで2番目の開催です。なぜ日本が2番目となったのでしょうか。

アマゾンビジネス インターナショナル部門統括責任者のトッド・ハイメス氏(撮影=プレジデントオンライン編集部)

非常にエキサイティングな会合でした。ロンドンより参加者が多かったんですよ。ABXの開催を告知した後の反応がものすごく大きかったですね。アマゾンビジネスへの関心も非常に高まっており大変ありがたく思っています。日本企業のデジタル・トランスフォーメーションを一緒に構築していくために、これからも継続して皆様にしっかりと寄り添っていかなければと思っています。

このようなイベントの開催順は、アマゾンの米国本社が決めているイメージがあるのかもしれないですが、実はそうではありません。ABXは、まずイギリスがやろうと声を上げました。それを受けて日本のマーケティングチームが「イギリスがやるなら日本でもやりたい」と言って開催が決まりました。

——「日本が2番目」というのは、米国・シアトルの本社が決めたのではないんですね。

シアトルから「こんなイベントをやりなさい」と言われてやっているのではないんです。日本のチームが声を上げました。なぜなら、今の日本のビジネス界における調達・購買活動には、ABXのようなイベントが必要だと肌身に感じているからです。

■シアトルに届く日本の声

——アマゾンは「GAFA」の一角に数えられる巨大プラットフォーマーです。そうした企業において日本の現場の声がシアトルの本社に届いているとは意外です。

実はアマゾンは、全てにおいてボトムアップの会社です。お客様に近い社員が常にご要望を吸い上げて社内で共有しています。進行中のプロジェクトや取り組みでも常にお客様の声、ニーズを反映しようとしています。お客様の声やご要望がすべての基盤となっている会社と言っていいと思います。

撮影=プレジデントオンライン編集部
「アマゾンは常にお客様の声、ニーズを反映しようとしている」と語るトッド・ハイメス氏 - 撮影=プレジデントオンライン編集部

ABXがよい例だと思います。日本のお客様の日々の課題を理解したマーケティングチームがこういった場が欲しいと強く切望しました。それが実現し、多くの日本企業にとって課題となっているデジタル・トランスフォーメーションの解決策を、皆さんと共有できる場を提供できたんだと思っています。

----------

トッド・ハイメス アマゾンビジネス インターナショナル部門統括責任者
20年以上にわたるアマゾンでのキャリアにおいて、エレクトロニクス、自動車、産業商材などの商品カテゴリーの国際展開を推進。2016年、アマゾンビジネスのヨーロッパ部門責任者に就任。2019年10月より、日本を含む米国以外のAmazonビジネスを統括するアマゾンビジネスのインターナショナル部門総括責任者。

----------

(アマゾンビジネス インターナショナル部門統括責任者 トッド・ハイメス 構成=菅原雄太)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください