1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

大人の学び直しに必要な「内なる声」を聞く力

プレジデントオンライン / 2020年1月22日 11時15分

ブランド戦略コンサルタントの水野与志朗さんは今、キャリアコンサルタントの勉強に励む。

■「学校向き」か「社会向き」か

商品のブランディングやマーケティングを行う会社を経営するブランド戦略コンサルタントの水野与志朗さん(51歳)。日常の仕事場は東京・渋谷区の事務所のほか、六本木ヒルズの高層階だ。

こう紹介すると華やかさが目立つが、地道な実務家としての顔も持つ。学習院大学時代からコンサルタントを目指し、卒業後は味の素ゼネラルフーヅに就職し、「ブレンディ」ブランドに携わった。その後、外資系企業でマーケティングやブランディングのキャリアを積み上げた。『ブランド戦略【実践】講座』などの著書もある。

「今はキャリアコンサルタントの資格を取ろうと勉強しています」と話す水野さん。その理由を「自分も50代となり、同世代がやがて役職定年や定年再雇用に直面していく、その行く末にも寄り添いたいから」と説明する。企業へのブランディングのほか、パーソナルブランディング(個人の強み形成)経験も豊富だが、改めて「体系立てて学ぼう」と考えた。

といっても、「ぼくは何かのために『やらなくちゃならない』と取り組むような勉強はダメなんです。本心から興味を持たないと身につかない。仕事に役立てようとプログラミングの勉強を始めたこともありますが、さんざんでした」と苦笑する。

■仕事で1週間のフランス出張

3年前にはフランス語を勉強した。「特に仕事で使う予定はなく、何となく勉強してみようと思い立ち、ベルリッツのフランス語コースに通い、中級レベルを取得しました」。勉強しているうちに、仕事で1週間のフランス出張に行くことになり、覚えたフランス語で仕事も現地での滞在生活もこなし、乗り切ったという。

写真は、隙間時間に利用する手書きでつくった用語メモ。

実はフランス語には、悔しい思い出があった。AGFで「ブレンディ」ブランドに携わった後、水野さんは30歳目前でマキシアム・ジャパン(当時)に転職した。「レミーマルタン」(コニャック)を中心とした洋酒の輸入会社で、本社はフランス。水野さんは、まだ日本になじみの薄いシャンパンなどのブランドマネージャーとなった。

新天地の上司にフランス人がいた。「その人が夕方になると、本社とフランス語でやりとりするのです。どうも日本人スタッフの悪口を言っているようでしたが、私には内容が理解できません。嫌な後味が残りましたね」

当時の社内共通語は英語と日本語で、フランス語は幹部以外にはさほど求められなかった。水野さんも英語を駆使して社内外のプレゼンをこなしたが、このときの体験が深層心理として残り、後にフランス語を学ぶ導線になったかもしれない。

マキシアムの社員はすべて転職組で、各人は正社員でも専門性を持ったプロ雇用者のような存在だった。専門性があるがゆえ、リスペクトの精神も身についたという。

水野さんは毎週更新するブログにも「勉強するということ」をテーマに書き、「学校向き」と「社会向き」という言葉を使った。この言葉を借りれば、卒業後の勉強再開は「社会向き」だろう。「大人の学び直しで何が必要か」という質問には、「これを学びたい、という自分の欲求と向き合うことだと思います」と答えた。

【心得】「これを学びたい」内なる声に耳を傾ける

----------

高井 尚之(たかい・なおゆき)
経済ジャーナリスト/経営コンサルタント
1962年名古屋市生まれ。日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆多数。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。

----------

(経済ジャーナリスト/経営コンサルタント 高井 尚之 撮影=永井 浩)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください