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新型コロナで客急減「いまこそ使うべき外食チェーン」の選び方

プレジデントオンライン / 2020年3月6日 15時15分

アメリカのライドシェアリング企業Uberが開始したフードデリバリー、Uber EATS(ウーバーイーツ)のリュックを背負い、自転車で配達する人は東京でも見かける - 写真=Sipa USA/時事通信フォト

■ビュッフェスタイルは避けるべき

新型コロナウイルスに対する不安が広がっています。世界的な大流行(パンデミック)になれば話は別ですが、今のような警戒態勢が続くとして、外食やテイクアウトをまったく使わない生活は現代人には無理でしょう。現実問題として3月以降、食の問題をどう乗り切るのかは難しいテーマです。

3月1日、厚生労働省は「新型コロナウイルスの集団感染を防ぐために」という文書を公表しました。そこには、小規模な患者の集団(クラスター)が次の集団を生み出すことの防止が重要だとあります。

また一人の感染者が複数人に感染させた事例として、スポーツジム、屋形船、ビュッフェスタイルの会食、雀荘などがあげられています。集団感染の共通点は「換気が悪く」「人が密に集まって過ごすような空間」「不特定多数の人が接触するおそれが高い場所」です。

厚労省は2月26日、全国的なスポーツイベント、文化イベントなどについては2週間は中止、延期または規模縮小などの対応を要請しています。しかし、「じゃあ満員電車はなぜ規制しないのか」といった疑問には答えていません。おなじ観点で、飲食店に2時間ほど滞在することの是非にも答えていません。それはそうでしょう。実際の線引きは難しく、グレーゾーンを厳しくすれば外食もコンビニもみんな危険だということになってしまいます。

現実的に新型コロナウイルスの収束まで、外食産業が厳しい経営環境に陥るのは仕方ありません。本稿ではその前提で、私の外食産業についての知識と新型コロナウイルスについて国が公表している情報をもとに、外食チェーンの現状と今後の対応を考えてみたいと思います。

■外食チェーン店の感染リスク

まず大手外食チェーンの店舗での従業員経由での感染リスクは、通勤電車や大企業のオフィスと比べて低いはずです。その理由は、仕入れから工場での加工、店舗での調理提供にいたるまでのプロセスが、「食中毒を起こさない」という観点から設計されているからです。

これは外食チェーンの欠点でもあり利点でもあるのですが、店舗運営においてはおいしさや栄養よりも安全を重視する傾向があります。たとえばサラダの部材など、調理法としては殺菌しないほうが栄養は残るしおいしいことがわかっているのですが、それでも食材を徹底的に殺菌します。

従業員も手洗いなどの教育を徹底していますし、発熱したり風邪気味だったりしたら職場に入れることはない。その意味で不特定多数が触る可能性がある小売店の棚に置かれている食材のほうがウイルスの感染リスクが消せず、相対的には感染リスクが高いといえます。

言い換えれば、食材を小売店で買って自宅で調理するよりも、外食チェーンで提供される食事をとるほうがウイルスの感染リスクは低い。これは私の外食産業に関する知識からの判断です。もし、外食チェーンの店舗で新型コロナウイルスに感染するとしたら、それはほかの顧客経由になる場合が多いでしょう。

■鍋をつついてはいけない

消費者側が外食を考えるなら、厚労省の文書にあるように、ビュッフェのような不特定多数の顧客が手にとる飲食形式は避けるべきです。ドリンクバーもおなじです。金属やプラスチックのボタンにはウイルスが付着している恐れがあります。

香港では、火鍋を囲んだ親族のうち10人が感染した例があります。ですから鍋をつつく、ないしは焼き肉を直箸でというのはやるべきではない。しゃぶしゃぶに行くのであれば鍋奉行に菜箸で分けてもらうべきだということです。そもそも4人が笑顔で会食しながら、その中のひとりが発熱して空咳をしているようであれば飛沫感染のリスクがあります。どこで何を食べるかの前に、一緒に食べる友人のために自分の健康状態を管理しておくことは絶対条件ですね。

とはいえ家族や仲のいい知り合いや友人と一緒に食事をするのは、このような時期の精神衛生上は必要なことです。なんでもかんでも自粛ではなく、メンバーが健康であるという前提でテーブルを囲むことは、リスクを回避しながら両立できることだと思います。

■感染リスクを減らすたった1つの方法

さて、このように厚労省の公表文書と照らし合わせて消去法で飲食店のリスクをみていくと、最も安全なのは「テイクアウト」という結論になります。

そもそも外食チェーンでは工場から店内までそれなりに高いレベルで防疫対策がある。ですから店内に滞在する時間が少なくマスクも外さなくてもいいテイクアウトが、おいしい料理を安全に手に入れるためには最善の方法ということになるわけです。逆にいえばテイクアウトの顧客が多い外食チェーンは経営の観点でも、意外とこの時期の苦境を乗り切りやすいのかもしれません。

ただ本当のことをいうと、いつも出かける普通のお店の味も恋しくなると思います。ファストフード系ではない飲食店でもたとえば松花堂弁当のような形で、新しいテイクアウト需要に応えていただけると消費者としてはうれしいかなと思います。

同じ観点で飲食店経営の立場でもう一つ重要になるのは、テイクアウト用のアプリやウーバーイーツなどの宅配サービスとの連携でしょう。

もともとテイクアウト用のアプリが流行したきっかけはアメリカでスタバの行列がとても長かったことです。行列に並ばなくてもあらかじめアプリで予約購入しておけば、あとはお店で受け取るだけになる。ここがウイルス対策としては重要な点で、アプリを使うことで行列に並ぶこともなくお店の滞在時間が短くすむわけです。

■外食チェーンはアプリ対応を急げ

そして実はウイルスが広がった中国でも、デリバリーは人気を集めているそうです。日本で勢力を伸ばすウーバーイーツをはじめ、お店側も消費者側もデリバリーを利用することで、自宅待機が広がる中での需要をつなぐという考え方は大切でしょう。

もちろん「従業員やデリバリーの配達員が感染していたらどうだ」という話はありますが、それをいい出したら自宅に引きこもって外界との接触を一切断つしかなくなるわけです。そこまで極端な対策をとれない人は、この記事で書いたように一定のレベルで外食チェーンを利用したほうがいいと思います。

3月の外食チェーンの利用方法はテイクアウトをメインにする。店舗側はテイクアウト用のアプリ対応やウーバーイーツなど宅配サービスとの連携を急ぐべき。これが今回の結論です。

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鈴木 貴博(すずき・たかひろ)
経営コンサルタント
1962年生まれ、愛知県出身。東京大卒。ボストン コンサルティング グループなどを経て、2003年に百年コンサルティングを創業。著書に『仕事消滅AIの時代を生き抜くために、いま私たちにできること』など。

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(経営コンサルタント 鈴木 貴博)

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