新型コロナで加速する「社会の分断」は、なぜ分断されるか
プレジデントオンライン / 2020年5月17日 11時15分
■社会の分断を推し進めるのは分断を嘆く人々
「トランプみたいな面白い人、いないのに。何でみんな楽しめないんだろう。欧州の極右政党の人たちとよく一緒にされますが、本当に悪いあの人たちとは全然違いますよ」
そう言って笑う著者は、ヒラリー・クリントン氏当選が当然視された前回2016年の米大統領選をきちんとした票読みで分析、トランプ氏当選を言い当てて注目された。今も判で押したようにトランプを攻撃する国内外の主要メディアとは異なる立場を取る。ちなみに次期大統領選は、「みんなトランプ再選だと思っているけど、今は五分五分」(20年2月21日時点)と言う。
そのトランプの出現に象徴される「社会の分断」が言われて久しいが、本書の指摘で面白いのは、分断を嘆いてみせるアカデミズムやマスメディアが、実はその分断を推し進めている、という逆説だ。
■アカデミズムの世界の当人たちが無自覚なんです
「新しい分断を発見するのがアカデミズムの仕事なんです。たとえば所得格差があって、それを人種別に……と細分化し続けていくと論文ができあがる。それがかえって実社会での分断を進めていることに、アカデミズムの世界の当人たちが無自覚なんです」
頼みもしないのに「あなたは○○系だ、××層だ」などとラベルを貼られ、知らぬ間にその気にさせられ、別のラベルの人といがみ合う。選挙にまで利用される。SNS等々の技術革新がもたらしたこの民主主義の激変を、逆手に取ってしまえと著者は言う。
「個々人のアイデンティティのあり方を細分化し、整理・展示してくれているんだから、そこから『オレはAとBとCを選ぶ』という具合に、自覚的に選べばいい。それが本当の多様性でしょう」
分断そのものは絶対悪ではなかろう。すべてが同質の世界こそ気持ちが悪い。他人に貼られたラベルに引きずられず、自ら選び取ってこそのアイデンティティなのだ。
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パシフィック・アライアンス総研所長
投資家向け米国政治の講師、IT企業創業を経てTokyo Tea Party創設。東国原英夫氏ほか自治体首長らの政策立案などに関わる。
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プレジデント編集部
1966年、神奈川県生まれ。中央大学法学部卒業。生命保険会社勤務、週刊誌・業界紙記者を経てプレジデント編集部に。
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(プレジデント編集部 西川 修一 撮影=永井 浩)
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