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大予測! タワマンを高値摑みしている人たちの末路

プレジデントオンライン / 2020年5月20日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/y-studio

発売11カ月で世界200万部、そのうち4分の1が日本で売れている(2019年12月時点)『FACTFULNESS』。同書は、私たちの世界に関する「勘違い」を「10の本能」に分類している。今回、その10の本能を現代ニュースに絡めて紹介していく。第6回は「直線本能」だ――。(全10回)
▼直線本能
「世界の人口はひたすら増え続ける」という思い込み

何かが直線的に増加していることを示すグラフを見たとき、そのまま伸びていく未来を想像してしまうのではないだろうか。それがロスリングのいう「直線本能」だ。だが、多くのグラフはやがてなだらかになり、横ばいに近づく。人の成長がいい例だ。身長がひたすら伸び続けていくことはありえない。世界人口も同様、現在は直線的に増加しているがやがては横ばいになる。真っ直ぐなグラフのほうが珍しいということを認識すべきなのだ。

■「東京都心のマンション価格だけは下がらない」という価値観

新型コロナウイルス騒動以降、「マンションの価格が下がる」という見立てが一般的になってきました。未来の見通しが立たないとき、消費者は何千万円もする買い物をするマインドになりにくくなり、とりわけ新築マンションが売れなくなります。しかしこの騒ぎの前まで、メジャーだったのは「東京都心のマンション価格だけは下がらない」という価値観でした。高値摑みをした人もいるかもしれません。

振り返れば2013年、日銀の黒田東彦総裁が異次元金融緩和を始めたことでマネタリーベースが増加。その恩恵を受けた不動産市場で「局地バブル」が発生し、それ以来、東京のマンション価格は上がり続けていました。しかし、いずれ下がることは予見できていたことでした。

■価格が下がることは10年前からわかっていた

そのおもな根拠は、人口減少と供給過剰です。日本の人口は11年から減り始め、加速しています。一方で、新築住宅は毎年100万戸前後も建設されてきました。東京にかぎっていえば、25年に人口が、30年には世帯数がピークを迎え、その後減少に転じると予測されています。すると万年供給過剰の状態になり、取引価格が下がります。

実際、17年の時点で供給は過剰でした。本来なら値段が下がるべきなのに、多くの人が「値段が下がる」とは考えず、需要が落ちなかったので価格が維持されてきたのです。そして不動産価格は18年ごろに頂点を迎え、19年が踊り場になります。20年の秋を起点にジワジワ下がると私は予想してましたが、コロナ騒動で前倒しになりました。

不動産業界に不況感がなかなか訪れない理由

それでも取材時の春先の時点では、不動産業界にまだ不況感はありません。半分冗談ですが、不動産屋はほんの10日先ぐらいしか見ていないからです。10年前から人口の減少はわかっていたのに、「そんなこと言っても、まだ下がらないじゃないか」と不動産屋は考え、それに同調した消費者が物件を高値で購入してしまう。信憑性のあるデータを示されても、自分の給料が減るか、雇用がなくならない限り、ほとんどの人は不況を実感しないのです。

過去から現在の線路がまっすぐつながっていると、人間はその延長線上に未来があると思い込んでしまいます。しかしそんな直線はありません。バブルの中にいる人は、「自分だけはうまく降りることができる」と信じていますが、そのタイミングを見極めるのは極めて難しいのです。

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榊 淳司 住宅ジャーナリスト
1962年京都府生まれ。住宅購入セミナーの開催、新聞、雑誌への寄稿など幅広く活動。近著に『限界のタワーマンション』(集英社新書)など。

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(住宅ジャーナリスト 榊 淳司 構成=鈴木 工)

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