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1週間前に「ジムで運動」していた安倍首相の体調が深刻視されるワケ

プレジデントオンライン / 2020年8月18日 14時15分

安倍晋三首相が診察を受けている慶応大病院付近に集まった報道関係者=2020年8月17日午後、東京・信濃町 - 写真=時事通信フォト

■慶応大病院前は「年に数回あるかどうかの緊迫した場面」に

安倍晋三首相の健康問題に注目が集まっている。安倍氏は8月17日、東京・信濃町の慶応大病院に。その日のうちに「退院」したものの、夏に入ってから「吐血情報」「持病の潰瘍性大腸炎の再発」などの説が飛び交い続けている。実際のところ、どうなのか。

安倍氏が慶応病院に入ったのは8月17日午前10時半ごろ。東京・富ヶ谷の私邸を車で出発して、そのまま向かった。「首相が入院する」という話は16日から永田町を飛び交っていた。それだけにマスコミ各社は色めきだったのだ。

首相周辺は「検査だ」と説明したが、誰も納得しない。午後6時ごろ安倍氏が病院を後にするまで、数十人の報道陣が見守った。年に数回あるかどうかの緊迫した場面だった。

■盟友である麻生氏と甘利氏の「ただならぬ動き」

安倍氏の体調が悪いことをうかがわせる「傍証」は、いくらでもある。

週刊誌FLASHは「7月6日に吐血した」と報道。これには菅義偉官房長官が反応し「私は連日会っているが、淡々と職務に専念している」と否定した。しかし、これで体調不安説は消えない。むしろ周辺や与党議員から「明らかに疲れている」「吐血はしていないが、おう吐は、したらしい」等々の証言が消えない。

安倍氏は15日には麻生太郎副総理兼財務相と約1時間、私邸で話し合っている。麻生氏は、安倍氏を支える盟友であり、耳の痛い話もできる数少ない人物。「しばらく休め」と直言したのではないか、との見方も広がった。

呼応するように、同じく盟友の甘利明自民党税調会長は翌16日のテレビ番組で「ちょっと休んでもらいたい。あの人は責任感が強いから、いくら言っても聞かない。強制的に数日でも休ませないといけない」と発言。甘利氏は12日、首相官邸で安倍氏と会っている。麻生氏と「連携プレー」で安倍氏を休ませようとしているとの仮説が浮かび上がる。

■正月休み以来の「Nagomiで運動」に永田町は震撼

新聞の政治面の下に毎日出ている「首相動静」からも「異変」が表れた。首相の1日の動静を伝えるこの欄によると安倍氏は8月10日(山の日)、2時11分、東京・六本木の「ホテル・グランドハイアット東京」のジム「Nagomiスパアンドフィットネス」に出向いている。

「ジムに行ったのだから健康だろう」という単純な話ではない。政界ウオッチャーの間では、「Nagomi」に行く時、安倍氏はひそかに医師の診察を受けているという風説がある。この風説は数年前からある。それを知る関係者は正月休み以来の「Nagomi」に警戒アラートを立てた。

安倍氏はだいたい半年に一度、慶応大病院にドック入りしている。直近にドック入りしたのは今年6月13日。2カ月足らずで再びドック入りするのはあまりにも早すぎる。病院関係者は「6月の検査の追加検査」と説明。と、いうことはドックで重大な問題が見つかったということなのか。6月のドック入りに要した時間は約6時間。今回は7時間あまり病院にいた。本検査よりも追加検査が長いということは、かなり精密な検査を行ったということだろうか。疑問が広がる。

■よみがえる「13年前の悪夢」に神経をとがらせる自民党幹部

安倍氏の健康状態が注目されるのは「13年前の悪夢」があるからだ。2007年夏、第1次安倍政権で若き宰相だった安倍氏は持病の潰瘍性大腸炎が悪化。9月に政権を放り出すような形で辞任した。国会冒頭では、覇気のない表情で所信表明演説を行ったが、代表質問を受けずに辞任するという事態に追い込まれた。

この時の対応を巡っては安倍氏に対しての失望だけでなく、自民党への失望も大きかった。後に首相就任した福田康夫、麻生の両氏も、その流れを食い止めることはできず2009年の衆院選で自民党は惨敗。下野して民主党政権が誕生する。安倍氏の体調は、自民党の政権転落の引き金を引いたのだ。あの時の記憶が鮮明に残っているだけに、自民党幹部たちは安倍氏の体調に神経をとがらせる。

そういえば、16日の甘利氏のテレビ発言で気になったところがある。

■「国会で惨めな姿をさらすことは避けてあげたい」という思いか

野党が臨時国会の召集を求めていることに関連し「野党は何のために国会を開くのかというと、総理を引っ張りだしてくることだけ。そうであれば意味はない」と答えている。体調を崩した安倍氏が13年前のように、国会で惨めな姿をさらすことは避けてあげたいと考えたというのは、深読みだろうか。

もし、甘利氏ら党幹部が安倍氏に忖度して国会の出席を回避しようと考えていると仮定すると、かたくななまでに野党の国会召集要求に応じない現在の対応もうなずける。

騒ぎが広がる中、麻生氏は「147日間休まず働いたら、普通だったら体調はおかしくなる」と語り「過労説」を強調。一方、14日に安倍氏と面会している稲田朋美自民党幹事長代行は「潰瘍性大腸炎という持病を持っている。病気はやっかいな病気だが、命に別条はないし治療すればますます活躍される。しっかり検査してほしい」と、持病が悪化しているとの見方を示す。また、持病とは別の病気が原因だとの見方もある。

■これで「安倍4選」は限りなくゼロに近づいた

当分の間は、憶測は広がる一方だろうが、問題は、安倍氏が今後も政権を運営していく体力と意欲が残っているかどうかだ。

今秋には自民党役員人事、内閣改造が予定されている。来年の9月末には安倍氏の総裁任期が来る。そして衆院任期満了の10月までには必ず衆院選が行われる。来夏には東京都議選、そして東京五輪・パラリンピックも予定されている。

一連の重要日程をどう乗り切るか。そのシナリオを描くためには「首相の体調」は最重要問題であり、最大の機密でもある。ただ、ひとつだけはっきりしてきたことがある。自民党内などに根強くあった「党則を改正して安倍首相が自民党総裁の連続4選を果たす」という可能性は限りなくゼロに近づいてきたということだろう。

(永田町コンフィデンシャル)

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