山あり谷ありの人生でも、平均より幸福度が高い人が大事にしていること
プレジデントオンライン / 2021年5月25日 11時15分
※本稿は、『Study Hack! 最速で「本当に使えるビジネススキル」を手に入れる』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
■落ち込む時ほど明るい場所がいい
日中を調子よくすごしていても、夕暮れどきになり1日の終わりが近づいてくると気分が落ち込んだり、休日の終わりに憂うつになったりする人はたくさんいます。また、夕方は気温の変化が大きく、心身のバランスも崩れがちに。
人間は無意識のうちに、暗いところへ行くと不快な状態になり、明るいところへ行くと「快」の状態を呼び覚ますといわれています。そこで、落ち込みがちなときは思い切って「明るい場所」へ、つまりショッピングモールなどのにぎやかで明るい場所へ出かけることをおすすめします。
なぜ明るいところへ行くと、自己肯定感が高まるといえるのでしょうか。まず、内分泌の観点からいうと、日没に向けて精神を安定させる作用がある神経伝達物質「セロトニン」の分泌が少なくなり、これが抑うつ的な状態を引き起こすことがあります。
また、自律神経は交感神経と副交感神経のバランスがいいことで適切な状態に保たれますが、車でいうとブレーキの役割を果たす副交感神経が夕方以降に優位になることで、自律神経のバランスが乱れがちになります。そして、そこに1日の疲労が重なると、気持ちが落ち込んでしまうことがあるのです。
そんなときに、交感神経を高めてくれる明るくてにぎやかな場所へ行くと、落ち込んだり、不必要に自信を失ったりするようなことは減っていくはずです。
■私が同じTシャツを10枚以上揃える理由
このように、自己肯定感が下がりがちになる条件を前もって知っておくと、それをうまく避けることができます。夕暮れどきに落ち込むのは、なにかダメなことがあったからではなく、「副交感神経が優位になっただけ」なのです。
たしかに、気分が落ち込むきっかけはあるのかもしれませんが、それが特定の時間や条件で強まるのなら、そこにはやはり人間の特性が関係しています。そこで、落ち込んだときに「いまは副交感神経が優位になっているんだ」と思えれば、すぐに対処することができます。
ほかにも、自己肯定感を高める夜の習慣として、わたしは、「明日着る服を決めておく」習慣を守っています。なぜなら、朝から着る服を迷っていると、「自己決定感」がどんどん下がり、それに伴って自己肯定感も下がって1日が台無しになりかねないからです。
具体的には、わたしは同じTシャツをそれぞれ10枚以上揃えています。そして、仕事の場合は朝からいっさい迷いたくないので、前もってコーディネートしておき、「それを着て行く」と決めています。逆に、プライベートでは「今日はなにを着ようかな」と迷うことをあえて楽しむようにしています。
「自己決定感」とは、「自分でコントロールできる」ということ。変えられないものを変えようとするのではなく、自分で伸ばせる部分に集中することが大切なのです。
■幸福感は「自分で決めたかどうか」が重要
「自己決定感」についてもう少し説明すると、いま世界中の研究者が、「なにが人の幸福感に影響を与えているのか」を研究しています。
もちろん、幸せの感じ方は人それぞれですが、一般的な指標としては、所得や学歴、健康や人間関係などが大きな影響を与える要素として考えられます。そして、神戸大学の西村和雄氏らの調査によると、「自己決定度」が、所得や学歴よりも主観的幸福感に強い影響を与えていることがわかりました。要するに、進学や就職の結果よりも、その進路を「自分の意思で決めたかどうか」のほうが、幸福感にとって重要だということです。
すると、「自己決定」の力を高めていけば幸福感が高まり、自ずと自己肯定感も上がっていくことになります。
そこでわたしは、とくに夜の習慣として、「スリー・グッド・シングス」という方法をすすめています。やり方はとても簡単。ノートやメモ帳に「今日よかったこと」を3つ書き出すだけです。
「今日の打ち合わせはうまくいって、みんながまとまった気がする」「移動中に空を見上げたら、目を見張るような爽やかな青色だった」というように、できれば手書きでその日の「いいこと(グッド・シングス)探し」をしてみましょう。
つまり、「いいこと探し」をはじめる脳の癖をつくっていくのです。慣れてくれば、「明日は新しい案件を提案してそれが認められる」というように、未来に起こしたいことも加えるとさらにいいでしょう。
■脳が「いいこと」を勝手に探すようになる
人間の脳は、同じことを繰り返すと、ニューロン間のネットワークが刺激されて癖が強くなっていきます。この性質のために、「スリー・グッド・シングス」を続けていくと、脳は「いいこと」を勝手に探すようになります。すると、1日の出来事に期待感を持てるようになり、「今日はいいことがあった」「明日もいいことが起きるはずだ」と、潜在的な思考が書き換えられていくのです。同時に、感情のコントロールもしやすくなっていくことで、自己肯定感が高まっていきます。
わたしたち人間には防衛本能があるため、不安、心配、恐れといった感情をどうしても繰り返してしまいます。6万回思考をすると、そのうちの4万5000回は不安や恐れなどネガティブなことを考えるともいわれるほどです。「あそこに行けば水が飲める」と思っても、「敵が現れるかもしれない」「道がとおれないかもしれない」「水が汚れているかもしれない」と考えるのは、人間が生き延びるために必要だったからです。
しかし、現代人はそんな思考がいき過ぎないように、意識して自己肯定感を高めなければ、なかなか幸せにはなれません。もちろん、大袈裟に考える必要はなく、手帳に二重丸(今日はよくやった!)をつけるだけでもいいのです。
そんな「小さな習慣」が、あなたの人生を少しずつ変えていくはずです。
■睡眠は「長ければいい」は違う?
自己肯定感が高い状態で1日を終えるときに、最後に大切になるのは、やはり「睡眠」の質です。十分な睡眠を取ると、脳のメンテナンスができます。睡眠には、成長ホルモンを分泌して心身を修復したり、日中に経験・学習したことを脳に定着させて記憶の整理をしたりする働きがあるためです。
そして、自己肯定感は脳の状態と密接に関連しているので、脳の疲れを取る睡眠は、自己肯定感の維持に欠かすことができません。つまり、睡眠不足になると自己肯定感が低下し、ものごとをネガティブに考えることしかできなくなっていくのです。
ただし、どのくらいの睡眠を取れば自己肯定感が高まるかは、人それぞれ。そこで、わたしは「自分の適切な睡眠時間」を知ることをおすすめしています。難しく考えることはなく、朝起きたときに自分が「いちばん爽快な時間」を知っておきましょう。
わたしの場合はショートスリーパーの性質があるので、8時間も寝たら体がだるくなってしまいます。そこで、睡眠は4時間程度にし、日中に仮眠を取り入れています。このように、自分のサーカディアンリズム(約24時間を周期として繰り返される内因性のリズム)を把握しておくことが大切です。
■早寝早起きが合わない人もいる
夜型の人がいきなり朝型の生活をしようとしても、うまくいかないどころか、余計に苦痛を感じることにもなりかねません。これは実体験からの話ですが、かつてわたしが心身を病んでいた頃、あるカウンセラーに「規則正しい生活をしてたっぷり寝てください」といわれました。
それはそれで正しいのですが、わたしにはまるで合いませんでした。早寝早起きをすればするほど、全身に脱力感が広がり、気分が悪くなってしまったのです。そこで、試行錯誤の末に、「遅寝早起き+仮眠」という、自分にとってベストのリズムを見出しました。
このように、自分に合ったリズムにしたがうことで、質のいい睡眠を手に入れることができ、結果的に自己肯定感が高まっていきます。
わたしは、寝る前に甘いお菓子も食べています。これは普通に考えたら、質のいい睡眠にとっては「やってはいけないこと」でしょう。でも、寝る前に甘いものを少し口にすると、脳内で神経伝達物質であるドーパミンが分泌されて、「今日もよかったなあ」と思いながら安心して眠れるのです。ぜひ、自分にとって心地いい状態を探してみてください。
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心理カウンセラー
自己肯定感アカデミー代表、トリエ代表。自己実現のカリスマとして、自己肯定感の重要性をすべての人に伝え、自立した生き方を推奨することをミッションに活動。新しい生き方を探求する「輝塾」を開催するほか、中島流メンタル・メソッドを広く知ってもらうために主催する講座は毎回満席に。著書に『自己肯定感の教科書』『自己肯定感ノート』『1分自己肯定感』『エマソン 自分を信じ抜く100の言葉』などがある。
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(心理カウンセラー 中島 輝)
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