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「仰向けも、うつぶせもNG」しっかり寝ても疲れが取れない人に共通する"睡眠の大誤解" 

プレジデントオンライン / 2021年6月20日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/bee32

疲れをとるにはどうすればいいのか。『疲れないカラダ大図鑑』(アスコム)を出したトレーナーの夏嶋隆さんは「マッサージに通っても疲れの原因は改善しない。まずは寝相を見直したほうがいい」という――。

■深い眠りを実現するカギは「寝相の悪さ」

質の高い睡眠は、一日の疲れをしっかりと回復させ、翌日に疲れを持ち越さないために、とても大切なことです。

では、ぐっすり眠るために、真っ先にすべきことは、次のうちどれでしょうか?

1 ベッドを壁際に設置する
2 寝返りの回数を増やす
3 間接照明をつけて寝る

正解は2の「寝返りの回数」です。

睡眠をしっかりとったのに翌朝疲れが残っているのは、寝ているときの環境や姿勢によって、体がさらに疲れをため込んでしまうからです。

起きているときと同様に、筋肉はずっと同じ姿勢をしていると、血流が悪化し、どんどん疲労物質をため込んでしまいます。つまり、寝ているときも、できるだけ姿勢を動かした方が、体は疲れにくくなるわけです。

私は、約30年間にわたり、人間の動作を観察・記録して、運動学や解剖学、物理学などに沿った「人体構造に合った正しい動作」を検証し、スポーツの世界に還元していく動作解析という分野の専門家として選手たちをサポートしてきました。

アスリートにとって、翌朝までにしっかり体を回復させることは、とても重要です。そのために必要な「睡眠の質」を上げる方法として、私が動作解析をもとにたどり着いた結論が、寝がえりの回数を増やすこと。

寝返りは「寝相が悪い」というイメージがありますが、寝返りの回数を増やすことで、寝ている間の筋肉疲労が軽減し、朝起きたとき、ダルさや疲れを感じにくくなるでしょう。

今回は拙著『疲れないカラダ大図鑑』より、疲れない寝方についてお伝えします。

■寝返りの回数を増やす3つのコツ

寝返りの回数を増やすコツは、3つあります。

ひとつ目は、布団の中の温度を上げることです。布団の中がポカポカして暖かいと、体は冷たいエリアを探して寝返りを繰り返します。一見、寝苦しそうに思えますが、寝ているときは動いているほうが体への負担を軽減してくれるのです。

ただし、夏場に冷房をつけたまま寝ると、同じ場所にいても快適なため、寝返りの回数が減少してしまいます。ここ数年は猛暑が続いており、冷房をつけないと熱中症など別のリスクが高まるため、つけたまま寝るのは仕方がない部分もありますが、温度設定は下げすぎないように注意してください。

ふたつ目は、明るさの調整です。寝ているときの状態を動作解析してみると、ベッドを壁につけて置いている場合、多くの人が横向きで寝る際に壁側を向いて寝ます。人間には「暗い方を向いて寝る」習性があるため、一切の光源がない壁側ばかりを向いてしまい、必然的に寝返りの回数が減り、これが寝ても疲れが抜けない原因をつくっているのです。

ベッドで猫とリラックスする女性
写真=iStock.com/SetsukoN
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/SetsukoN

■明かりはできるだけ取り除く

旅先のホテルなどで寝ると、どこか疲れが抜けない、調子がよくない、という経験をしたことはありませんか? これは、普段とは明りの強さや明りの場所が異なるため、寝返りの回数が減っていることが考えられます。

最適な睡眠環境を作るには、すべての光をシャットアウトしましょう。常夜灯や間接照明をつけたまま寝ると、その光に背を向けるようになってしまい、寝返りの回数が減ります。寝室はできる限り明かりを取り除いた環境づくりをすることが、翌朝疲れを残さないためにも大切です。

3つ目は、寝具の環境です。まずはベッド。柔らかくて沈み込みやすいものは、体が安定してしまい、寝返りを打ちにくくなってしまいます。なるべく硬めのものを選ぶのが望ましいです。硬めのベッドのほうが寝返りの回数が増え、腰にかかる負担も軽減してくれます。

次に枕。寝ている間にずっと仰向けで寝ている人はほとんどいません。右や左を向いたりと、横向きに寝ている時間が必ずあります。枕の高さは、仰向けに寝たときは、腰をベッドにつけられている高さがベストです。

しかし、同じ枕で横向きに寝ると、下側の肩甲骨は前に出て巻き肩になり、肩こりの原因になります。

そこでオススメなのが、中央部は仰向けの高さに合わせ、両サイドは横向きの高さにする方法です。低めの枕を中央に置き、高めの枕を両サイドに配置すれば、仰向けでも横向きでも体に負担をかけない姿勢で眠ることができるでしょう。

おススメの枕
出所=『疲れないカラダ大図鑑』

■疲れない寝方は「胎児のポーズ」が正解

私が指導しているアスリートからよく「どんな姿勢で眠ると疲れにくいですか?」と聞かれます。寝ているときの姿勢は意識してコントロールできないため、回答に窮することがあります。

ただ、もし眠っているときの姿勢を意識的にコントロールできるとしたら、一番いい姿勢は「胎児のポーズ」と答えるでしょう。

お母さんのお腹のなかにいるときの胎児の姿勢を思い出してみてください。胎児は腰を丸めて、膝を軽く折り曲げた姿勢をしています。

私たちが眠るときも、腰を丸めて、膝を軽く折り曲げた姿勢が、もっとも体に負担をかけにくいのです。折り曲げた足はそろえる(上側の膝を下側の膝にのせる)ようにするのがポイントです。体重が全身に分散されるため、疲れにくくなります。

横向きで寝るときは、できるだけ胎児のポーズを意識しましょう。寝ているときには姿勢のコントロールができませんので、寝はじめに胎児のポーズをとる習慣を作り、体に覚えこませることが大切です。

横向きに寝るとき
出所=『疲れないカラダ大図鑑』

ちなみに、いま腰痛もちで横向きで寝ている人は、下側の足と上側の足をずらして寝ていることが非常に多いです。下側の足だけでなく、上側の足もベッドにつけている状態です。この体勢で寝ていると、骨盤がねじれます。すると全身のバランスに左右差が生まれてしまうため、疲れやすい体になってしまいます。

歩き出すとき、いつも右足(左足)から踏み出す、靴下を履くとき右(左)のほうがラク、というような人は、骨盤がねじれている証拠です。

普段の生活で意識的に左右の体をバランスよく使って、左右差を改善していくことが、腰痛の緩和や、質の高い睡眠ができるようになるために大切なのです。

■マッサージだけでは疲れはすぐに溜まる

ここでは、質の良い睡眠をとるための方法についてご紹介しましたが、拙著『疲れないカラダ大図鑑』では、睡眠の仕方以外にも、疲れない座り方や歩き方、疲れない家事の仕方など、厳選した100の疲れない方法を解説しています。

なんだか体が重い、肩や腰がだるい……。そう感じてマッサージを受けに行く方は多いと思います。マッサージを受けた直後は心地の良い体の軽さに満足していたのに、家に着いたときには元に戻っていたという話を、私の治療院に初めて訪れる方からよく聞きます。

ゆっくりと時間をかけて全身をほぐしてもらうマッサージは、血流も促進されて非常に気持ちのよいものです。

ですが、マッサージだけでは、疲れを発生させている根本原因、間違った姿勢や動きは改善しません。これまで通り、疲れを呼び込む立ち方や歩き方をして帰宅してきたら、元に戻っているのは当然の結果と言えるでしょう。

疲れにくい体を手に入れられるかどうかは、体の使い方がカギを握っていると言えます。○○が9割という言葉の使い方が流行していますが、ことこれに至っては、10割といってもいいほど体の使い方がとても重要です。

■疲れない体の使い方を身につければいい

しかも疲れない体の使い方は、どなたでも、いますぐにできます。

夏嶋隆『疲れないカラダ大図鑑』(アスコム)
夏嶋隆『疲れないカラダ大図鑑』(アスコム)

たとえば、頬杖をつくときは両手をジャンケンのグーにしアゴを支える、運転するときには定期的にハンドルを握る位置を変えるなど、ほんの少しこれまでと違う体の使い方をするだけでいいのです。それだけでこれまで感じていた体の負担は軽減するはずです。

疲れない体の使い方を身につければ、これまでやむを得ず支出していたマッサージ代も浮き、自分の好きなことにもっと使える余裕も生まれます。

仕事やプライベートで疲れを感じたときに、すぐに役に立つテクニックを100紹介した『疲れないカラダ大図鑑』を参考にしていただき、みなさんが疲れ知らずの人生をおくれるよう願っています。

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夏嶋 隆(なつしま・たかし)
メディカルトレーナー、動作解析専門家
1957年、大阪府出身。大学卒業後に実業団バレーボール部の指導者としてキャリアをスタートさせるが、自身の足のケガをきっかけに手技療法の道に。久光製薬バレー部元監督。大阪体育大学サッカー部、関西国際大学トレーナー。現在は、メディカルサポートやアスリートの動作解析を行っている。メディア出演も多数。

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(メディカルトレーナー、動作解析専門家 夏嶋 隆)

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