勝間和代「お金と時間が無駄になる」"絶対やってはいけない"自己投資
プレジデントオンライン / 2021年10月5日 11時15分
※本稿は、勝間和代『勝間式生き方の知見 お金と幸せを同時に手に入れる55の方法』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
■下手したら能力は0.5割で、多くても2割
どんなに抜きんでた才能や資格、技術があっても、それを生かす場を確保できなければ有効活用もできず、収入につながりません。稼ぐには、自分の能力とそれを最大限に生かせる環境とのマッチングが必要不可欠です。
稼げるかどうかは自分の能力が1割、環境因子が9割です。下手したら能力は0.5割で、多く見積もっても2割でしょう。もし、何かの資格の取得や技術の習得をしようと思ったら、まずはそれらを生かせる環境について調べてからにしてください。そうしないと、せっかくの自己投資が、時間や労力、お金の無駄遣いになってしまいます。
■自分に「箔をつける」工夫を
自己投資は、環境とのバランスを図った上でするのが基本です。女性の場合は、女性だからというだけで割を食う業界や業種、企業は最初から避けることをお勧めします。そうした企業の体質は、何十年も前から脈々と続いているものです。就職した後で待遇改善を訴えたところで、残念ながら個人が変えることはほぼ不可能だからです。
さらに、自分を生かせる環境を手にするための努力や工夫も、手を抜いてはいけません。例えば、出身大学よりも偏差値やブランド力が高い大学院や、希望する業界で評判がいい社会人大学院に行って最終学歴に箔をつける、いわゆる「学歴ロンダリング」もその一つです。そうすることで、よりいい条件や待遇の企業に雇ってもらえる確率が上がります。
■新しい環境の候補を増やすことに時間を使う
たとえ優秀な人でも、自分の能力を最大限に生かせる環境は限られているものでしょう。それなのに、多くの人は全体の1割程度にすぎない自己投資にばかり必死になって、環境を探す努力をあまりしません。私は、環境を探すときは、候補を100~200は挙げるつもりでやったほうがいいと思っています。何事も、選択肢は多ければ多いほどいいに決まっているからです。
えてして、新卒で就職するときでも10~20の会社、転職するときは3~4の会社の中から、無理やり選ぼうとしていないでしょうか。無理やり選ぼうとする時点で、自分にベストマッチングする環境を見つけようとする姿勢とは言えません。妥協して、環境に自分を合わせようとしています。
選択肢をたくさん用意するのは手間がかかり、その中から一つを選ぶのも時間がかかります。しかし、選択肢を山のように用意すると、ピンとくる選択が必ずあるのです。あ、これだ! と直感的に察知できます。裏を返すと、ピンとくる選択肢と出合うまで、選択肢を増やすことに時間を使うべき、ということです。
■焦りや衝動、謙遜を捨てる
早く決めて安心したいという焦りや、とにかく今の会社を辞めたいという衝動、あるいは、自分は若くもないし大したスキルものないから職場を選ぶ立場にない、といった謎の謙遜もすべて捨ててください。
そして改めて、どんな仕事に興味があるのか、と自問して、それについての本を読んだり、経験者に会って話を聞いたりしましょう。資格の取得や技術の習得は、その後ですることなのです。さらに、転職先を探すのは、手にした資格や技術を元に副業を始めて、ある程度経験を積んだ後がいいと思います。
■転職は3~5年、起業は5~10年かかって当然
転職をするときは、転職先を確保してから現職を辞めるのが鉄則です。現職を続けながら転職先を探すことになりますから、3~5年かかることがあって当然です。そのぐらいかかるものだと思って進めれば、余裕を保ちやすく、選択肢をより増やそうという気持ちにもなれると思います。
起業する場合は、起業を夢見てから実現するまでに5~10年はかけるべきでしょう。5年だとちょっと早いかもしれません。そのぐらい、起業は慎重になったほうがいいと思います。
■望みを叶えている人たちを味方に
私は2007年に起業しましたが、20代と30代で会社勤めをしていた頃から、起業した人たちが周りにいて、起業するノウハウについて色々と教えてもらっていました。この、身近にどういう人たちがいるか、ということも重要な環境因子と言えるでしょう。
起業や転職のほか年収を上げたい、田舎暮らしをしたい、○歳までに結婚して子どもを産みたいなど、叶えたい望みは色々あると思います。どの望みも、スムーズに実現するコツは、実際に叶えている人たちに囲まれる環境を作ることです。彼らと接するうちに、望みを叶える思考や方法が自分の中にインストールされて、自然と叶う方向に向かうのです。
■精神論に走るから挫折する
常々、私は意志の力はアテにならない、という話をしていますが、意志を頼りにして目標を達成しようとすると、どうしても挫折しやすくなります。だから、実現している人たちのそばにいられる環境を作って、環境に後押ししてもらう形にするわけです。すると気づくと、なんとなく目標を達成できた、ということが起きえます。実際私が起業したときも、本当になんとなく起業できた、という感じでした。
身近にいる人たちから受ける影響はよくも悪くも大きくて、悪い場合は、自分がどんなに努力をしようと思っても、周りにいる人たちが怠けてばかりいたら、一人で努力をし続けるのは不可能です。強靭(きょうじん)な精神力を発揮しても、徐々に燃え尽きて、結局やらなくなってしまいます。
■人は、周りの5人の平均になる
「人は、周りの5人の平均になる」という説があります。アメリカの有名な起業家のジム・ローンが提唱したことで、彼は、人は年収や性格、嗜好など、もっとも時間を多く過ごす5人の人の平均になる、ということを言っています。
それほど、私たちは周りにいる人からは影響を受けるわけです。好むと好まざるとにかかわらず影響を受けてしまうので、より成長したいと願うなら、自分がなりたいと思う人たちと過ごせる環境を整えることが重要です。そうしないと、努力するほど疲弊してしまう、という残念な結果を招きかねません。ある意味、身近にいる人たちが、自分の成長のカギを握っているのです。
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経済評論家/株式会社監査と分析取締役/中央大学ビジネススクール客員教授
1968年東京生まれ。早稲田大学ファイナンスMBA、慶應義塾大学商学部卒業。アーサー・アンダーセン、マッキンゼー・アンド・カンパニー、JPモルガンを経て独立。少子化問題、若者の雇用問題、ワーク・ライフ・バランス、ITを活用した個人の生産性向上など、幅広い分野で発言を行う。著書に『勝間式食事ハック』(宝島社)、『勝間式超ロジカル家事』、『勝間式超コントロール思考』『ラクして おいしく、太らない! 勝間式超ロジカル料理』(以上、アチーブメント出版)などがある。
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(経済評論家/株式会社監査と分析取締役/中央大学ビジネススクール客員教授 勝間 和代)
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