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チョコとカツ丼はOK、ケーキはNG…脳科学者が解説「集中力が上がる食材、下がる食材」

プレジデントオンライン / 2022年2月4日 18時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/y-studio

集中力や記憶力を上げるにはどうすればいいのか。脳科学者の西剛志さんは「受験や大事な仕事の前には、血糖値が急激に上がりにくい食事を心がけてほしい。『夜食にケーキ』といった食事を取ると、パフォーマンスを落とす恐れがある」という――。

※本稿は、西剛志『脳科学者が教える集中力と記憶力を上げる 低GI食 脳にいい最強の食事術』(アスコム)の一部を再編集したものです。

■実力が発揮できない原因は「脳のエネルギー不足」

テスト中や勉強中に頭がぼーっとして、実力が発揮できない。成果が上がらない。大事な時期に子どもがこのような事態に陥らないためにおすすめするのが、ズバリ「低GI食」を摂ることです。

低GIという言葉は、一時期ダイエットで注目されたためご存じの方も多いかもしれません。簡単に説明すると、食後の血糖値が急激に上がりにくい食事のことです。

これまで低GIは健康効果ばかりが注目されてきましたが、最新の研究で、低GI食を摂ることが、学習効果(継続的な集中力や記憶力)アップにつながったり、脳のパフォーマンスを上げるために効果があったりすることがわかってきました。

考えたり、記憶したり、計算したり、思い出したり。脳を働かせるにはエネルギーが必要です。脳がエネルギー不足になると、集中力が切れたり、思考能力が落ちたり、精神が不安定になったりします。

そのエネルギーは食事で糖質をとり消化吸収されることで生み出され、血管を通して脳に運ばれていきます。ですから、テストの前、「緊張して食事がノドを通らないから朝食を食べずに、試験に向かう」「食事をする時間がもったいないから食べない」というのは、当然ながら避けた方がいいでしょう。

■食後血糖値が集中力や記憶力を低下させる

ただし、エネルギーを補充しなければといって糖質たっぷりのものを食べればいいかというとそうではありません。

糖質たっぷりのものを食べると、逆にエネルギー不足を引き起こす恐れがあります。

例えばがんばっている子どもを元気づけたくて、夜食にケーキなどの甘いものを出すなどするのは、長時間、脳を働かせるのには向かないので、おすすめしません。

なぜなら、食事で糖質をたくさん摂りすぎると、血中のブドウ糖の濃度(血糖値)が異常に高まってしまうため、脳が「このままの状態では危ない」と判断し、血糖値を下げるためにインスリンを出せ! と指令を出します。

すると、過剰にインスリンが出てしまい、急上昇した血糖値が急降下してしまう「血糖値スパイク」という現象が起きてしまうのです。

血糖値が急上昇すると、パフォーマンスが急降下する!
出典=西剛志『脳科学者が教える集中力と記憶力を上げる 低GI食 脳にいい最強の食事術』(アスコム)

その結果、ブドウ糖が細胞に急速に取り込まれるため、血糖値がジェットコースターのように下がり、脳のエネルギー不足を引き起こしてしまうことが数多くのリサーチで示されています。

つまり、エネルギーを補充しても、脳のエネルギーとなるブドウ糖が一気になくなってしまい、集中力、記憶力、実行機能、認知力、セルフコントロール力など、脳がつかさどっている多くの力が衰えてしまう可能性があるのです。

電球のついたヘルメットをかぶって口を開けている3人の子供
写真=iStock.com/RichVintage
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/RichVintage

■脳のパフォーマンスを高める「低GI食」

一方、GI値が低い食品(低GI食)を摂取すると、ゆるやかに血糖値が上がり維持されるため、血糖値スパイクを防ぐことができ、安定的に脳にエネルギーを供給できるようになるので、継続的なパフォーマンスの維持ができることが、いろいろな研究によって明らかになっています。

例えば、12~14歳の子どもたちを対象とした研究では、高GI(低GIと逆で食後の血糖値が上がりやすいもの)の朝食と比べ、低GIの朝食を摂ったときのほうが、記憶力や注意力などを調べる認知機能テストの結果がよかったという報告があります。

また英国ブリストル大学の研究では、低GI食を摂ると子供たちの情報処理スピードが7~19%アップすることもわかっています。

ここ20年の脳科学、生理学、行動科学など世界のリサーチからわかってきた脳のパフォーマンスを高める1つの方法、それが、「低GI食」をうまく利用する、ということだったのです。

■受験生のおともに高カカオチョコ

低GI食はいろいろとあるのですが、今回は低GI食の中でも、特に受験生におすすめのものを3つご紹介します。

まず、1つ目におすすめするのが「チョコ」です。とくにカカオ成分が70%以上含まれている高カカオチョコは、勉強中の間食としておすすめです。

私も仕事の合間には、高カカオチョコレートを愛用しています。チョコは甘くて血糖値が上がりそうと思われるかもしれませんが、主原料のカカオは、豊富な食物繊維が血糖値の消化吸収を緩やかにするため、実は低GI食で、テスト中や勉強中の脳のエネルギー補給に、大変向いています。

木製テーブルの上に置かれたダークチョコレート
写真=iStock.com/fcafotodigital
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/fcafotodigital

さらに、高カカオチョコレートにはテオブロミンというリラックス効果がある成分と少量のカフェインが含まれているので、脳の覚醒と緊張緩和の二つの面で、テスト時や追い込みで集中したい人を助けてくれます。テストのときの休憩時間に、小まめに食べてみてはいかがでしょう。

また、2020年に発表された世界的権威の科学雑誌『Nature』が運営する「Scientific Report」の論文では、カカオポリフェノールが豊富なココアの摂取後に、脳の酸素化反応が向上することが確認されたという報告があります。

高齢者や認知症の方は酸素化反応が鈍るといわれていて、向上すると難しい問題を処理する能力が高まるといわれていますので、テストの追い込み時期にも、非常に効果的といえるでしょう。

■ゲン担ぎは、科学的に見ても効果的

また、テスト当日の朝は、低GIの「ゲン担ぎ食」を食べるのもおすすめです。よく勝負ごとの前に「勝つ」という意味をこめて「カツ丼」を食べる人がいます。

そんなことに意味あるの? と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、2010年にケルン大学の心理学者リサン・ダミッツ助教授が行った実験によると、幸運のボールだと伝えてからボールを渡されたグループの方が、ゴルフのパットの成功率が35%も高まるそうです。

これを食べたら勝てる、成功するなどと思いながら食べる勝負飯には、結果はともかく、脳が気持ちよく活動できる環境を高める効果があるようです。

そうだとしたら、脳が喜ぶ「低GI食」でゲンを担げれば鬼に金棒です。

そこで、例えば「ツキをソバにおく」ということで「月見そば」を食べるとか「よい結果(ゲン)を結びつける」ということで、玄米おむすびを食べるというのはいかがでしょうか。

ちなみに、先述したカツ丼も、お米や卵や肉と一緒に食べることでGI値が意外と低いと言われています。

■勝負はテスト前日の朝食からはじまっている

最後におすすめするのが、かつおやマグロ、大豆製品、チーズ、肉類といった「トリプトファンたっぷりな低GI食品」です。

これらをテスト前日の朝に食べるのがポイントです。なぜなら、睡眠の質が上がり、頭がスッキリした状態でテストを迎えられる可能性があるからです。

西 剛志『脳科学者が教える集中力と記憶力を上げる 低GI食 脳にいい最強の食事術』(アスコム)
西剛志『脳科学者が教える集中力と記憶力を上げる 低GI食 脳にいい最強の食事術』(アスコム)

簡単に説明すると、朝食で食べたトリプトファンが脳に運ばれ、セロトニンというホルモンが大量分泌されます。それが14~16時間かけてメラトニンに変化します。

メラトニンは「快眠ホルモン」といわれており、分泌されると体温が下がり、眠るための準備が整えられて、ぐっすり眠れるようになります。

特に明日テストだというときは、緊張感から眠れなかったり、眠りが浅かったりする危険性があります。だからこそ、大量のメラトニンの働きで熟睡し、翌日の朝から脳が元気でいることはとても有効だといえるのではないでしょうか。

子どもが実力通りの力を発揮して、悔いのないようにテストを終えるためにも、テストや勉強の合間の「高カカオチョコ」、テストの日の低GI「ゲン担ぎ食」、テスト前日の朝食に「トリプトファンたっぷりな低GI食」この3点に気をつけてみてはいかがでしょう。

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西 剛志(にし・たけゆき)
脳科学者
脳科学者(工学博士)、分子生物学者。T&Rセルフイメージデザイン代表。LCA教育研究所顧問。東京工業大学大学院生命情報専攻修了。博士号を取得後、知的財産研究所を経て、特許庁入庁。大学院非常勤講師を兼任しながら、遺伝子や脳内物質など脳科学分野で最先端の仕事を手がける。その後、2008年に企業や個人のパフォーマンスアップを支援する会社を設立。これまで大人から子どもまで1万人以上をサポート。著作に『なぜ、あなたの思っていることはなかなか相手に伝わらないのか?』『脳科学者が教える集中力と記憶力を上げる 低GI食 脳にいい最強の食事術』(アスコム)などがある。

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(脳科学者 西 剛志)

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