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「足を組む」「背もたれを使う」は絶対にNG…首、肩、腰が「ガチガチになる人」に共通するヤバイ座り方

プレジデントオンライン / 2023年7月11日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ximushushu

どうすれば体の疲れはとれるのか。メディカルトレーナーの夏嶋隆さんは「疲れの原因は『座り方』にあるかもしれない。前傾姿勢や背もたれにもたれる姿勢は、肩や腰に負担がかかるのでやめたほうがいい」という――。

※本稿は、夏嶋隆『10秒でほぐす カラダが硬い人でもラクに柔らかくなる。きつくない、痛くない「シン柔軟法」』(アスコム)の一部を再編集したものです。

■世界で一番座っている時間が長い日本人

日本人は諸外国に比べて、座っている時間が長いことが知られています。

シドニー大学やオーストラリアの研究機関が行った「平日の総座位時間」調査によると、日本人は1日平均7時間も座っていることが分かっています。対象になった20カ国中、サウジアラビアと並んで「世界最長」という結果です。

長時間座り続けることは、健康を害する危険性があると指摘されています。血流や筋肉の代謝低下による、心筋梗塞、脳血管疾患、肥満、糖尿病、がん、認知症などのリスクが高まるためです(厚生労働省「座位行動」を参照)。

さらに座り続けることで疲れや痛みが起こる場合があります。体の負担を減らすと謳う椅子やグッズは数多く存在します。しかし根本的な原因の解決をしない限り、いくら高額な椅子を購入しても、効果は薄いと言わざるを得ません。

世界で一番座っている日本人だからこそ、より体を気づかった姿勢が求められるのです。

■痛みの原因は「座り過ぎ」ではなく「座り姿勢」

あなたは普段、椅子にどのような姿勢で座っていますか? もしこの記事を、足を組みながらお読みくださっているのであれば、私からひとつアドバイスをさせてください。

足を組んでいる人に多いのが、耳・肩・腰のラインが平行になっていない座り姿勢です。

一方の肩が上がって肩と腰のラインがずれていると、背骨が湾曲して頭の重さを支えきれず、腰痛の危険性が高まります。いますでに腰にだるさを感じていたら、じわじわと自分で筋肉にダメージを与えていっている証拠と言えます。

その態勢でパソコンやスマホを使っていたら、さらに最悪です。

画面を見入るあまりに、自分でも気づかないまま上半身が前傾し、耳の位置が肩よりも前に突き出てしまうことで、腰だけでなく肩や首にも大きな負担がかかります。

成人の頭の重さは約4~6キロだと言われています。アメリカの脊椎専門医ケネス・ハンスラージ氏の研究によると、頭が前に傾くほど首への負荷は増し、角度が15度になると12kg、30度18kg、45度22kg、60度27kgの負荷がかかるとされています。これは小学2年生の平均体重に相当する負荷が、あなたの首周りにかかっていることになります。

まず見直すべきは、座っている「時間」ではなく、座っている「姿勢」なのです。

■男性に多い「O字型」姿勢、女性に多い「ハの字型」姿勢

じつは座り方においては、男女で注意すべきポイントが異なります。

男性に多いのが、両膝を離して座り、中央に両足を置いて、母指球で支える「O字型」の座り方です。この座り方はヒザが鋭角になり、かかとが浮いて足指のつけ根が折れているので、ふくらはぎへの負担が強烈です。

手で頭を支えて椅子の背もたれに寄りかかる男性
写真=iStock.com/LeoPatrizi
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/LeoPatrizi

座っているだけなのに疲れを感じるのは、この「O字型」姿勢が一因と言えるでしょう。

一方、女性に特に多いのが、椅子に浅く腰掛ける姿勢です。この姿勢で一番よくない点が、ヒザをくっつけて足首は離している「ハの字型」の下半身です。

こちらもヒザの角度が鋭角になってしまい、足指のつけ根を折って体を支えているため、つねにふくらはぎが緊張を強いられていることになります。

最初のうちは背中を反らせて姿勢をよくしていても、足と腰が疲れていき、しだいに頭が前に出て猫背になってしまいます。

こうなると肩回りのダメージも大きく、首や肩もガチガチに硬くなってしまいます。長時間のデスクワークには、間違いなく向かない姿勢と言えるでしょう。

■いちばん重要なのは「座る前」

私の治療院を訪ねてくる方は、病院や別の治療院に一度は行き、そこでの診断結果や治療方針に満足できずに来られるケースがほとんどです。

多くの病院や治療院は、患者さんが訴える症状をベースに、痛みの原因を探っていきますが、私の場合はその訴えを聞く前にまずやっていただくことがあります。

それは何かと言うと、立つ、歩く、そして座るという日常動作です。

体のいたるところがガチガチに硬かったり、ダルさや重さを感じていたり、すでに痛みが出ている人は総じて、普段の体の使い方の癖に問題があります。

「座る」という行為ひとつをとってみても、細かく動作を分解していくと、着座するまでの動作、座っている姿勢、立ち上がっていく動作という3つに分けることができます。

私はその動作を実際にやってもらい、それを細かく観察・分析することで、理にかなっていない動かし方をしている部分はどこか見極めます。

なかでも着座するまでの動作と立ち上がっていく動作については、おそらく9割の人が人生において一度も気にかけたことがないのではないでしょうか。

そして、座っているだけで腰を痛めたり、疲労を感じたりする人に共通しているのが、この着座前後の動作に悪しき癖を抱えています。

■「ヤンキー座り」をイメージして腰を落とすといい

体に負担をかけない座り方とは、以前の記事で解説したナチュラルポジションを意識した座り方ですが、着座前後の動作においても意識すべきポイントは同じです。

その上でさらに着座するまでに気にするべきことは3つです。

ひとつ目は、椅子を目の前にした時の姿勢です。

ヒザの裏側、もしくはヒザ裏の少し下あたりを椅子に接して立ちます。これは、椅子から離れすぎて立つと、姿勢を崩さずに座るのが難しくなるからです。

この際、視線はまっすぐ前方に向け、リラックスした姿勢で、浮遊ろっ骨を閉じたナチュラルポジションで椅子の前に立ちましょう。

ふたつ目は、腰の落とし方です。

視線を正面に向けたまま、足を「回外」させた状態で腰を落としていきます。これにより、力みがなく、浮遊ろっ骨が閉じた姿勢を維持できます。

例えるなら“軽めのヤンキー座り”でしょうか。着座するまで、ヤンキー座りをする際の下半身をイメージしながら腰を落としていってください。

ちなみに、足を開いたままでいてもいいのですが、そうはいかない場合は、上半身を動かさずに「回外」の意識を保ったまま両ヒザを近づけましょう。

【図表1】ナチュラルポジション 座り方バージョン
出典=『10秒でほぐす カラダが硬い人でもラクに柔らかくなる。きつくない、痛くない「シン柔軟法」』

■背もたれにもたれてはいけない

3つ目は座る位置です。

ひとつめの姿勢をとることで、意識しなくても座る位置は自然と深くなります。お尻の位置は背もたれまで来ますが、背中は背もたれにはつけません。

多くの椅子は、背もたれが角度の差はあれど後傾しています。この背もたれ通りに背中をくっつけた場合、上半身もカーブに沿って後傾してしまい、ナチュラルポジションがあっさりと崩れてしまうので注意が必要です。

【図表2】間違った座り方
出典=『10秒でほぐす カラダが硬い人でもラクに柔らかくなる。きつくない、痛くない「シン柔軟法」』

この3つに気をつけながら腰を落ち着かせ、あとは立ち上がるまで、ナチュラルポジションをキープしてください。

これを自然にできるようになれば、首・肩・腰に過度な負担がかからず、体が硬い人は特に座っているだけでストレッチしたかのように全身がほぐれていくはずです。

■食べ過ぎも座り方で抑えられる

座るだけで体を痛め、疲労をためてしまっている状況を改善するためには、座る前の体の動かし方、座った時の姿勢、立ち上がるときの体の動かし方が大切です。

立ち上がるときの体の動かし方については拙著に譲りますが、すべてに共通して言えることは、ナチュラルポジションを意識することです。

そしてナチュラルポジションを意識できると、食べ過ぎを防ぐことも可能になります。

体重が増加する要因の一つに食べ過ぎがあります。それを防ぐために食事制限を試みる方もいるでしょう。ですが結局、食欲を抑えられずに失敗するケースが散見されます。

そんなとき、「自分の意思が弱いからだ」と思い、自分にがっかりされる方もいるかと思います。

ですが、そんなふうに自分を責める必要はありません。

食事のときの座り方を変えることで、食欲はコントロールできます。過食は、意志の強さで抑えるものではありません。座る姿勢で抑えるものなのです。

■食べ過ぎを防ぐ「蓮華座の姿勢」

動作解析の専門家の視点から見ると、食べ過ぎてしまうのは、浮遊ろっ骨が開いた状態で食事をとっていることが原因として挙げられます。

これを防ぐためにとるべき姿勢が「蓮華座」です。

骨盤を立てた姿勢で食事をすると、浮遊ろっ骨が閉じ、適量で満腹感が得られます。

まず右足の甲を左太ももの上にのせます。このとき、右足は体の中央に引き寄せず「回外」させます。つぎに右足を「回外」させた状態で左足を交差させます。このときに右足を「回内」させていると蓮華座が組みにくくなるので注意が必要です。これで完成です。

このとき、両足のヒザ上部分は回外しています。はじめは違和感や、股関節まわりや足首の硬さを感じると思いますが、慣れてくれば長時間同じ姿勢をしていても疲れを感じなくなるはずです。

【図表3】太らない食事の姿勢
出典=『10秒でほぐす カラダが硬い人でもラクに柔らかくなる。きつくない、痛くない「シン柔軟法」』

日々の生活は当然楽しいことばかりではありません。食事制限を決意したとはいえ、私生活や仕事でストレスを抱えることもあり、そんなときに甘いものに手を出してしまうのは自然な行為です。

人間は欲望に負ける生き物であることを自覚し、だからこそ意志ではなく姿勢でコントロールすることからはじめてみてください。

■2度の大病から学んだ「体の使い方」の大切さ

私は若かったころに二度、大きな体の不調に悩まされた経験があります。

最初は、バレーボールをしていた頃に患った腰とヒザの痛みが重症化したときです。痛みに耐えられず、いくつかの病院を訪ねましたが結局治りませんでした。その後、知人の紹介で元軍医の先生から施術を受けました。すると長年抱えていた痛みが一気に消えたのです。

二度目は30代のとき。鼠径部に良性のリンパ腫ができ、外科手術で腫瘍を取り除きました。すると、その2日後に左足の感覚がなくなり、車椅子生活を余儀なくされました。

夏嶋隆『10秒でほぐす カラダが硬い人でもラクに柔らかくなる。きつくない、痛くない「シン柔軟法」』(アスコム)
夏嶋隆『10秒でほぐす カラダが硬い人でもラクに柔らかくなる。きつくない、痛くない「シン柔軟法」』(アスコム)

原因は不明で「一生、車椅子生活になることを覚悟してください」と担当医から言われましたが、このときも元軍医の先生を訪ねて施術を受けたところ、半年間動かなかった左足の感覚が徐々に戻り、いまではなにも問題なく歩けるようになっています。

これだけ書くと「不思議な現象」のように思われるかもしれませんが、そうではありません。私は、これらの体験を通して「人体は、各部が独立して動いているのではなく、連動して機能している」ことを痛感し、認識しました。最初は魔法のように思えたことも、じつは理にかなった体を治す方法が存在していたのです。

普段の何気ないひとつひとつの体の動かし方が何十年も積み重なって、いまのあなたの体の状態があります。拙著も参考にしていただきながら、何気なくいつも通りの体の動かし方をするのではなく、長時間座っても疲れない理にかなった体の使い方を学び、目の前のことに集中できる環境を整えていってくださればと思っています。

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夏嶋 隆(なつしま・たかし)
メディカルトレーナー、動作解析専門家
1957年、大阪府出身。大学卒業後に実業団バレーボール部の指導者としてキャリアをスタートさせるが、自身の足のケガをきっかけに手技療法の道に。久光製薬バレー部元監督。大阪体育大学サッカー部、関西国際大学トレーナー。現在は、メディカルサポートやアスリートの動作解析を行っている。メディア出演も多数。

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(メディカルトレーナー、動作解析専門家 夏嶋 隆)

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