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「100点を取ったら○○を買ってあげる」は絶対NG…本当は頭がいい子をみるみるダメにするNGフレーズ

プレジデントオンライン / 2023年7月27日 7時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

子供のやる気を引き出すには、どうすればいいか。教育家の小川大介さんは「『100点取ったら○○を買ってあげる』というご褒美作戦はよくない。テストの結果よりも、努力した過程をほめるようにしてほしい」という――。(第2回)

※本稿は、小川大介『子どもの頭のよさを引き出す親の言い換え辞典』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

■安易な「ご褒美作戦」は逆効果

・思わず言ってしまいがちな言葉
100点取ったら○○を買ってあげる

・子供に届く言葉
がんばったら100点が取れて良かったね!
約束通り○○を買ってあげるね

・小川先生のひと言
結果ではなく、「がんばったこと」に注目して声をかけます。

自分から進んで勉強をはじめてくれたら――。親なら誰でも願うことですが、現実は理想とはほど遠い。そんなとき、苦肉の策として使いたくなるのが「ご褒美作戦」です。

「子どもの勉強をモノで釣ってもいいの?」と心配される親御さんもいらっしゃるでしょう。実際、私のところにも「やる気を出させるために、ご褒美を与えてもいいでしょうか?」というご相談をよくいただきます。結論から言うと、ご褒美作戦はやる気につなげる第一歩として、限定的に使うぶんには有効ですが、繰り返すとマイナス効果のほうが大きくなります。

ご褒美を得ることが目的になってしまい、自分で学びを得て成長するという勉強本来の喜びを味わえなくなってしまうからです。

長期的に見て、「成長しない子育て」になってしまう危険があります。ご褒美作戦は、なかなか勉強に気持ちが入らない子のやる気向上のとっかかりとして使うだけにして、動き出した後はがんばる気持ちをほめて育てるのがセオリーです。ご褒美をあげるときには、渡す言葉にも気をつけてください。

■テストで100点取れたときになんて声をかけるべきか

作戦が功を奏して、お子さんがテストで100点を取ってきたとしましょう。このとき、「100点だったから、約束通り○○を買ってあげるね」という言い方をしてしまいがちですが、そこにもう一声加えていただきたいのです。たとえばこんな感じです。

「今回は本当によくがんばったね。ドリルの問題も最後まであきらめずにやったもんね。約束通り○○を買ってあげるね」

両者は何か違うのかというと、「やったらできる」というメッセージを渡してあげているかどうか。ここで、「あなたはがんばれば100点だって取れる子なんだよ。この調子で次もがんばろうね」という言外のメッセージがあると、「そうか、わたしはやればできるんだ」と自信を持つことができ、モチベーションアップにつながっていきます。

この声かけを意識していれば、もし100点が取れなかった場合でも、「できなかった」と切り捨てるのではなく、「今回は惜しかったけれど、90点まで取れるようになったんだね。前回より伸びているのは確かだから、この調子でがんばろうね」と励ませます。「100点が取れなくても、お母さんはあなたががんばっているのは知ってるよ」というメッセージが伝わるので、お子さんも「がんばったから、できることが増えた」と自分の成長を実感できるようになります。

この達成感こそがやる気の源になるのです。これをくり返すとお子さんの達成感が刺激されて、「ご褒美をもらえること」より「できることが増えていくこと」に喜びを感じ、ご褒美があってもなくてもがんばれるようになります。

■「100点を取るのよ!」ではプレッシャー与えるだけ

・思わず言ってしまいがちな言葉
がんばって100点を取るのよ!

・子供に届く言葉
100点を取りたいよね。正直、何点くらいなら取れそう?

・小川先生のひと言
あとどのくらいがんばればいいのか、具体的に伝えましょう。

大事なテストが目前に控えているとき、つい励ましのつもりで「がんばって100点を取るのよ!」なんて言ってしまうことはありませんか。本人に自信があれば「よっしゃ~!」とそのひと声が効くこともありますが、残念ながら多くの場合は逆効果。

息子を叱る母
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

「そんなこと言われてもなぁ~」と困ってしまうか、「取れなかったらどうしよう……」とプレッシャーを感じてしまうでしょう。わが子への期待と「ちゃんと勉強やっているの?」という心配な気持ち、いい点数を取らせてあげたいという祈るような思い。同じ気持ちを伝えるのなら、お子さんにプレッシャーを与えることなく、本人が自らがんばれるようになる言葉を届けたいですよね。

そんなときにおすすめしたいのが次の問いかけです。

「今回は100点取りたいよね。正直、何点くらいなら取れそう?」

■「あと何点必要なのか」という声かけが重要

まず冒頭で取りたい点数を伝えます。目標とも言えますね。次に現時点では何点くらいなら取れそうか本人の気分を聞きます。たとえば「85点くらいかなぁ~」と言ってきたら、「そうか。じゃあ、あと15点だね」と達成に必要な残りの点数だけを伝えます。

「100点を取る」という大きな目標を掲げるのではなく、「あと15点だけ点数を上げればいいんだ」とがんばる対象を絞るのがここでのポイント。「あと15点分だけがんばればいいのか」とハードルがグンと下がることで、「それならできるかも」と思えるようになるからです。

では、別の答えが返ってきたら、どうすればいいでしょう。「何点くらいなら取れそう?」という質問に対し、子どもから返ってくる反応は主に3つです。

1.具体的な点数を言う
2.「100点!」と深く考えずに希望的、楽観的な点数を言う
3.「わからない」と答える

一つは先のように具体的な数字を言うパターン。二つ目は「大丈夫! 100点取れるって!」など、楽観的な答えが返ってくるパターン。根拠があればいいのですが、この場合は深く考えずに希望的観測を答えているだけの可能性もあります。

そこで、「今回はどんな問題が出そうかな?」という質問をするのです。

パソコンを使用する子供と母
写真=iStock.com/miya227
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/miya227

■「どのくらいできるか」を明確にするべき

「計算問題は何問くらい出そう? どのくらいのスピードで解けば良さそう?」と具体的にテストの内容を予想させる問いかけです。ここでスラスラ説明してくれたら、おそらく自信がある証拠。本人に任せていいでしょう。

でも、ちょっと大雑把だったり、詰めが甘いなと感じたりしたら、「じゃあもう一回、テストの範囲を確認してみようか。その方が安心だもんね」と高く見積もりすぎている部分に気づかせてあげましょう。また、「わからない」と返ってきたら、少していねいにフォローしてあげてください。

まず「前回のテストはどうだったんだっけ?」とこれまでの実績を確認します。次に「今月の勉強はどんな感じ? わからないところはある?」と今の状態を一緒に見てあげて、「これはできているから、もう大丈夫だね」「これは難しく感じるんだね」と、できているところとできていないところを仕分けします。すると、本人も「自分がどのくらいできるか」がわかり、漠然とした不安が消えます。

そして「あと何点分がんばればいいね」と具体的な目標を示すと精神的な負担が減り、取り組みがしやすくなります。

■「100点とってえらい!」にはリスクもある

・思わず言ってしまう言葉
わぁ100点すごいじゃない!

・子供に届く言葉
今回は計算を全問きっちり仕上げたね。毎朝ドリルをがんばった成果だよ!

・小川先生のひと言
結果ではなく「プロセス」をほめるのが大原則です。

子どもの成績がいいと親はうれしいものです。また、「ほめる子育てがいい」という最近の風潮から、できるだけほめて伸ばそうとしている親御さんも多いことでしょう。そこで、「100点とってえらいね!」「リレーで1位、すごいね!」と親の気持ちをストレートに伝えがちです。ただし、これはほめ方としては少し惜しいところがあります。

どんなに優秀な子でも、常に100点を取り続けるのは大変なこと。調子のいいときも悪いときもあり、いつも良い結果を出せるとは限りません。結果だけをほめると、思うような結果が出なかったときにマイナスの効果を生み出してしまう危険性があります。

たとえば、敏感なお子さんだと「こんな点数ではお母さんががっかりしてしまう」「100点が取れなかったわたしはダメな子だ……」とひどく落ち込んでしまうことも。ほめて伸ばすつもりが、かえって子どもの自信を奪ってしまっては本末転倒です。人を伸ばす「ほめポイント」は、結果ではなくプロセスが鉄則。

同じいい成績を取って、「100点とってえらい!」と結果をほめられるのと、「今回は計算を全問きっちり仕上げたね。毎朝ドリルをがんばった成果が出たね!」「字がていねいに書けたから、漢字が全問正解だったね!」などと結果につながる行動をほめるのとでは、どちらが子どもに響くでしょう。

勉強する子供たち
写真=iStock.com/taka4332
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/taka4332

■「100点取れるまでがんばれる」ことをほめるべき

前者がほめているのは「100点を取れる私」ですが、後者は「100点を取れるまでがんばれる私」をほめています。同じ100点でも、受け止め方はまったく違います。つまり、前者は90点を取った瞬間に「100点を取れる私」ではなくなってしまい、「私」という存在が消えてしまいます。

それに対して、後者はずっと「またがんばれる私」なので、「次はもっとがんばろう」と気持ちを切り替えればいい。結果だけを見て一喜一憂するのではなく、お子さんの努力の足跡やその結果を生み出す前に取り組んでいたことに目を向け、そこをたくさんほめてあげましょう。

■「いい結果」を出すためのやり方を学べる

これを日々続けていると、お子さんは自分からどんどんかしこくなっていきます。ほめられたことに対して、「丁寧な字を書けば、漢字テストで○の数が増えるんだな」「そうか、ちょっと面倒くさいけど、考え方を書き出したほうが整理しやすいんだな」などと気づくことができ、がんばれば結果につながると学べるからです。

小川大介『子どもの頭のよさを引き出す親の言い換え辞典』(青春出版社)
小川大介『子どもの頭のよさを引き出す親の言い換え辞典』(青春出版社)

また、がんばった行動を口にすることで、「お母さんはいつも忙しそうだけど、ちゃんとわたしのことを見てくれてる」と安心感を得られます。子どもにとって、この「安心感」はとても大切。「ちょっと難しそうだけど、お母さんが見てくれているから、がんばってみよう」と、「まずはやってみよう」という気持ちになるからです。これをくり返すことで、子どものやる気がアップします。

さらに、「こうすればいい結果につながる」という知恵が蓄積されるので、成績も上がってきます。さらに大切なのが、思うような結果が出なかったときの対処です。頭ごなしの全否定にならないように、結果は結果と受け止めたうえで、「何があったんだろうね。うまくいかなかった原因を一緒に考えてみようか」と声をかけてあげてください。

そうすれば、「うまくいかなかったのはやり方の問題で、あなたがダメだからじゃないよ」という言外のメッセージが伝わり、次に向けて背中を押してあげることができます。

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小川 大介(おがわ・だいすけ)
教育家・見守る子育て研究所所長
京都大学法学部を卒業後、中学受験個別塾を創設。コーチングと学習タイプ分析を融合した独自ノウハウで受験学習、幼児からの能力育成、子育て支援で実績を重ねる。執筆、講演、教育系企業への助言など幅広く活躍中。6000回の面談で培った洞察力と的確な助言が評判。著書に、『頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て』・『自分で学べる子の親がやっている「見守る」子育て』(KADOKAWA)、『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』・『子どもが笑顔で動き出す 本当に伝わる言葉がけ』(すばる舎)、『1日3分! 頭がよくなる子どもとの遊びかた』(大和書房)、『子どもの頭のよさを引き出す親の言い換え辞典』(青春出版社)など多数。 中学受験情報局「かしこい塾の使い方」

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(教育家・見守る子育て研究所所長 小川 大介)

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