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買いたいだけ買わせておけばいい…ホリエモンが中国人の日本国土の"爆買い"を「問題ない」と一蹴するワケ

プレジデントオンライン / 2023年8月11日 13時15分

堀江貴文氏 - 徳間書店提供

裕福な中国人が日本の土地を買い漁っていることを「問題だ」とする声が上がっている。実業家の堀江貴文さんは「『中国人に日本が乗っ取られる』という懸念は誤りだ。むしろどんどん中国人に買ってもらったほうがいい」という――。(第2回)

※本稿は、堀江貴文『2035 10年後のニッポン ホリエモンの未来予測大全』(徳間書店)の一部を再編集したものです。

■日本は移民をもっと受け入れるべき

アメリカは移民制度をきちんと整備し、優秀な若者にインセンティブを持たせることで、国の新陳代謝を積極的に行っている。これが経済発展の原動力にもなっている。

特にIT業界では優秀なインド系の人材が多く働いている。グーグルの現CEOのサンダー・ピチャイ氏、マイクロソフトの現CEOのサティア・ナデラ氏、こちらはともにインド出身だ。彼らがCEOに就任して以降、両社の株価は上昇している。

一方で、日本は「現代の奴隷制度」と指摘される技能実習制度なるイカサマを駆使し、ゾンビ企業を生き残らせようと必死だ。ゾンビ企業、つまり従業員を低賃金でこき使わないと経営できないような企業のことである。

適切な人件費で経営できないような企業は潰れてしまったほうが社会のためだ。商品やサービスが適正価格となり、だれかの犠牲のもと安くする必要がなくなるからだ。果たしてこんな日本に行きたいと思う外国の若者がどれだけいるのだろうか。繰り返しになるが、日本でも移民を認めるべきだ。

でも日本人の大半は移民にアレルギーがある。特に自民党を支持する保守派の人たちの反対はすさまじい。支持率低下や選挙で大敗するリスクを負ってまで、政府が移民制度の導入に本腰を入れて取り組むとは考えづらい。

■外資を極限まで取り入れた北海道ニセコ町で起こったこと

ならほかに日本経済を再生する手立てはないのか。ある。外国資本の力を借りるのだ。

そのモデルケースが北海道のニセコ町だ。かつては陸の孤島であったニセコだが、外資を受け入れてから世界的なスノーリゾートに変化した。高級リゾートホテルが続々とオープンし、地価も高騰。普通のコンビニで、神戸牛やドンペリが販売されるほどの好景気に沸いている。

ニセコの発展は外国資本の存在なしには語れない。外国資本は大規模な投資でリゾートなどを整備し、しかも日本のデフレマインドに引っ張られず、国際水準で価格設定をした。

そしてニセコがここまで大きく変わることができたのは、あまりにも過疎が進んだことにある。昔から住んでいる人たちを中心に外資を呼び込むことに反対する声もあったが、過疎化が進んだことで既得権益層の力が弱まっていったのだ。

近い将来、この「ニセコ」が「日本」になる可能性はありえる。

■日本はポテンシャルの宝庫

ニセコが外国人から愛される理由は、豊富な降雪量とパウダースノーである。同様に、日本には外国人に人気の文化、食、自然、とコンテンツがふんだんにある。海外の人からすれば喉から手が出るほど欲しいポテンシャルが眠りまくっている。そのポテンシャルを外資なら存分に生かしてくれるだろう。

ニセコ町
写真=iStock.com/maccj
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/maccj

外資は日本企業のようにデフレマインドに毒されていない。外国資本がグローバル基準で賃金を上げたり、適正価格で商売したりすることで、他の日本資本の企業にも影響を与えてくれるはずだ。

いま日本の経済力は落ちている。でもこれは見方を変えれば、既得権益層などの抵抗勢力の力が弱まっていくことを意味する。日本全体がニセコのようになりえる条件はそろいつつあるのだ。

日本はポテンシャルの宝庫であり、世界中にファンがいる。ならばさらに、彼らを優遇する政策を行えば、一定以上の資産を持った外国人たちが大挙してやってくるだろう。例えば、経済特区をつくり、そこに住んでいる人たちは「株式の譲渡益課税をゼロ」とすれば、富裕層や投資家を誘致できる。

すでにシンガポールやドバイなどは株式譲渡益課税をゼロにしたことで、資産家がたくさん集まっている。シンガポールやドバイは小さな国であり、自然環境も豊かなわけではない。食文化もいまいち。それでも集まるのだ。

つまり日本は圧倒的に有利だ。株式譲渡益課税を0%でなくても5%程度にするだけで多くの投資家が移住してくる。そして日本にお金をたくさん落としてくれる。

ただし、こういった政策は国民受けが抜群に悪い。「金持ち優遇」などと野党やメディアが騒ぎ出す。そう考えると、やはり外資の力によって日本経済を盛り上げてもらうほうが現実的かもしれない。

■中国人が日本で「爆買い」を続ける理由

中国人観光客が日本でブランド物や家電製品、コスメを買い漁る光景があたりまえとなった。いわゆる「爆買い」というやつだ。この爆買いは、ブランド物にとどまらず、日本の不動産にも拡がっていくだろう。すでに起きている事象であるが、今後さらに拡がっていく。

なぜ中国人たちがこぞって日本の不動産を買うのか。それは「価値がある」と思っているからだ。

■日本の不動産はバーゲンセール状態

1つめの価値は地価である。シンプルに、値上がりすることを見越しているのだ。特に都心の不動産価格は上昇している。地方や郊外の不動産価格がどん底ちかくにまで下落していくなか、依然として都心の土地は上昇し続けている。中国やその他のアジアマネーも大量に流入しており、少なくとも都心の地価は下がる要素が見当たらない。

東京の空中写真
写真=iStock.com/maroke
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/maroke

そんな安定的な不動産が、円安によって割安で手に入れることができるのだ。中国人富裕層からしてみれば、日本の不動産はバーゲンセール状態である。だから日本の不動産をこれからも躊躇なくどんどん買い込んでいく。

そもそも中国人富裕層は、中国国内に資産を置いておくことにリスクを感じている。中国共産党による一党独裁体制では一寸先は闇だ。当局の意向による締め付けや規制強化はいくらでも起こりうる。例えば政府に批判的な態度を取ろうものなら、財産の接収、銀行口座の凍結、さらには逮捕といった処罰がざらに下される。

中国人富裕層はそうした理不尽な事態を警戒し、リスク分散のため海外に資産を移したがっている。そのリスク分散において、地理的に近く、バーゲンセール状態の日本の不動産は打ってつけなのだ。

■中国人は中国の土地の所有権を得られない

中国人が感じている2つめの価値。それは「自慢したい欲」だ。

日本と違って、中国では土地の所有権がない。中国全土の土地は国家、あるいは農民が集団で所有しているのだ。マンションなど建物の所有権はあるが、土地には使用権しか認められていない。

そんな中国人からすれば「北海道の土地を持っているのは俺だ」「沖縄の離島を所有しているのは私」ということは一種のステータスになる。ようは、周囲に自慢することができる。

SNSの普及がこの自慢したい欲をさらに加速させる。日本人にも高級ブランドのバッグや財布を自慢したがる人はたくさんいる。それと一緒だ。似たような心理が中国人には土地というかたちで働くわけだ。

なぜ中国人たちがこぞって日本の土地を買うのか。

ここで指摘したその理由、背景は一時的なトレンドではない。中国の内政の問題とも深く結びついている。

経済大国・中国からの爆買いの手はしばらく伸び続けることになる。

■中国人の土地購入が「国防の危機」になることはない

日本の不動産を爆買いしているのは中国人だけではない。北海道のニセコなどはオーストラリア人のスキーヤーやスノーボーダーたちに大人気で、外国資本ががんがん投入されている。

多くの日本人はそうした西側諸国の資本による不動産取得には好意的だ。ところがこれが中国人の手によるものになると一転して身構える。「日本が危ない」「国防の危機だ」などと恐怖心をあらわにするのだ。

そのように騒ぐ人たちの常套句はこうだ。「中国には国防動員法がある。有事の際には日本の土地が中国に国有化される」「国防動員法によって有事の際には国内外の中国人は軍事動員される。中国人が買収した土地がその拠点になる」といった調子だ。

でもそんなわけはない。中国人や中国企業が日本の土地を取得してもできることなんてたかが知れている。

かりに国防動員法によって日本の土地が中国のものになったとしよう。だが、それは日本にある、日本の土地であることに変わりはない。統治権は日本にあるのであり、中国から離れた日本の土地を、中国政府が支配することはできない。

あるいは、中国人や中国企業による自衛隊基地周辺の土地取得を危惧する人もいる。「自衛隊基地の近くの土地を購入し、工作活動を行っている」というような主張だ。だが、そもそも基地の近くに土地を所有して得られるような情報は、衛星データなどを使えば手に入る。自衛隊の機密情報を得ようとするならば、サイバー攻撃を仕掛けたほうが手っ取り早い。

加えて本当にそのような工作活動が目的なら、借地でもできる。なんなら、借りなくとも隣接地に忍び込めばいいだけだ。

「中国人や中国企業による水源地の買収」を不安視する人もいる。でもそれのなにが問題なのだろうか。たしかに世界的に水不足が叫ばれているが、そう簡単に日本の水を中国に運べるわけではない。中国人もしたたかなので、世界的に水不足になること、そして水源地の価値が上がることを見越して、土地を購入しているだけだ。

今後水不足になって水源地が必要になれば中国人から買い戻せばいい。いざとなれば、日本の法改正を行い、外国人による水源地の利用を制限することだって可能だ。

そもそも「中国人だから水源地を杜撰にあつかう」「日本人なら安全」というわけでもない。水源地にゴミの不法投棄をする日本人の不届き者もいるではないか。

なかには「日本の水源地を取得し、中国人が毒をまこうとしているんだ」などとトンデモ論を抜かす人もいる。万が一、本当に毒をまこうとするならば、わざわざ土地を購入する必要なんてどこにもない。

■二束三文の土地を高値で買い取ってくれている

冷静に考えてほしい。中国人が日本の土地を購入するときには、購入代金だけでなく、さまざまな手数料や税金が発生する。単価が高いぶん、消費税だって大きい。購入したあとには固定資産税も発生する。

自衛隊基地周辺や水源地、離島などは、日本人も買わないような二束三文の土地も多い。そんな土地を中国人が買ってくれ、しかも税金まで支払ってくれるのだ。

「原野商法」という悪徳商法がある。これは原野や山林など価値のない土地を「将来的に高値で売れますよ」と勧誘する手法だ。

堀江貴文『2035 10年後のニッポン ホリエモンの未来予測大全』(徳間書店)
堀江貴文『2035 10年後のニッポン ホリエモンの未来予測大全』(徳間書店)

いまの中国人による土地の爆買いは、日本としては騙しているつもりはなくても、本来は二束三文で日本人すら手を出さない土地を、中国人がわざわざ高い金を払って買ってくれているとも言える。大いに買ってもらえばよいではないか。

今後、中国人をはじめとした外国人による日本の土地買収はさらに加速していく。

それを国家の危機だと不安を煽るのはナンセンス。不安を煽るのではなく、むしろ「この島は風水的にすばらしいパワースポットと呼ばれている」などといったストーリーづくりに精を出し、さらに高値で買ってもらう努力をしたほうがいい。

ただでさえ国内経済が縮小していくのだから、日本人は商売人としてもっとしたたかになるべきなのだ。

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堀江 貴文(ほりえ・たかふみ)
実業家
1972年、福岡県生まれ。ロケットエンジンの開発や、スマホアプリのプロデュース、また予防医療普及協会理事として予防医療を啓蒙するなど、幅広い分野で活動中。また、会員制サロン「堀江貴文イノベーション大学校(HIU)」では、1500名近い会員とともに多彩なプロジェクトを展開。『ゼロ』『本音で生きる』『多動力』『東京改造計画』『将来の夢なんか、いま叶えろ。』など著書多数。

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(実業家 堀江 貴文)

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