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「なぜアホは戦わずに相手にしないのが正解か」…アホがアホである根本原因とは

プレジデントオンライン / 2023年8月7日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kuppa_rock

あなたのまわりにもきっといる「ムカつくアホ」な人。なぜアホはあなたに絡んでくるのか、スマートに対処する方法はあるのか。ベストセラー『頭に来てもアホとは戦うな!賢者の反撃編』の著者が語る、アホに惑わされない生存戦略を紹介。「プレジデント」(2023年7月14日号)の特集「頭がいい話し方、バカの話し方」より、記事の一部をお届けします――。

■アホは暇人、相手にするな

会議でなぜか特定の人の発言だけにいちゃもんをつけたり、同僚のはずなのに明らかに敵意を見せて協力的な態度を取らなかったり、明らかに全会一致の意見のはずが、提案者が気に食わないといってその意見を潰そうとしたり……。このようなタイプの人間に心当たりがあるという人はきっと多いはずです。

このように、正当な理由もなく人の足を引っ張ってくる人物を私は「アホ」と定義しています。

あなたのまわりにもアホがいると思います。「足を引っ張ってくる」とみなすくらいですから、その人をあまり良く思ってはいないでしょう。にもかかわらずアホが気になってしまうのは、仕事を邪魔されたり人間関係をかき回してくるなどの理由で、あなたの将来に影響してくるからです。

アホは大きく分けて、他人にやたら関心があり干渉してくる「干渉・嫉妬型アホ」と、忍耐力がないためキレやすく周囲の人間に当たり散らす「イライラ型アホ」の2つに分類できます。「干渉・嫉妬型アホ」は、とにかくあなたに干渉して足を引っ張ってくるのが特徴です。

このタイプのアホが発生する原因は「暇」だからだと私は分析しています。もし「給料を上げたい」「資格を取りたい」といった目標を持っていたり、もっと成長したいと思っている場合、無駄に他人に絡んだり、干渉したりする暇はないはずです。

私は現在シンガポールで暮らしていますが、出会う人々は目の前の仕事に集中し、次のチャンスを掴もうと精一杯生きている人ばかりです。そんな環境に身をおいていると、他人のことが気にならないようになりました。同じマンションに暮らしていて一緒に食事をする仲の友達ですら、どんな仕事をしているのか気になったことがありません(笑)。

現在、私の周辺には成功者や成功しそうな人に嫉妬して、足を引っ張ろうとするアホはいません。自分の人生を精一杯生きているからこそ、自分も成功するためにその人の成功を称え、仲間となり、力を借りて、一緒に成功するほうが自分の人生のプラスになると理解しているからです。

今後、日本ではインフレが進み物価が上昇していくと、生活に余裕がなくなり、必然的に他人に構う余裕もなくなると予想します。今後は干渉・嫉妬型アホは減少していくはずです。

しかし、もうひとつの「イライラ型アホ」は増えるかもしれません。干渉・嫉妬型アホが少ないシンガポールでも、イライラ型アホを見かけることはあります。テクノロジーの発展によって従来のやり方が通用しなくなったことや、時代が変わるとともに常識が変化し、何が正解かを見失った人たちが余裕を失い、うまくいかない原因を他人のせいにするようになっているのです。

格差社会では余裕のない人が増加します。時代に乗り遅れた「昭和脳」の一部のおじさんたちや、受験や就職に失敗した若者などがイライラ型アホになると推測しています。

■アホとは戦わずやり過ごせ

ですが、アホが増えたからといってアホの行動や言動に心を痛めたり、「やっつけてやろう」と戦うことは、おすすめできません。アホと戦うと、時間やエネルギーのような、あなたの人生にとって貴重な資源を浪費するからです。そこまでしてアホに構う価値はありません。

ですが、「戦うべきではない」からといって、下手な反応をすると火に油を注いでしまう可能性があります。そのため、いくつかの対処法を身に付けましょう。

まずは「負けたフリ」です。アホとの付き合い方は相手に勝ったと思わせて、それ以上の攻撃を避けることが大切です。そのためには相手の攻撃に反撃せず、「その通りです」とうわべだけ相手の言葉に同意して受け流すようにしましょう。

また、人生における「目標」を立てるのもいい対処法だといえます。前述の通り、目標に向かって努力している人たちは他人のことを気にしませんし、目標を達成するために周囲の人をいい意味で利用し、自分の成長に役立てようとします。このいいサイクルに入っていけば、あなたがアホを相手にしようとは思わなくなるはずです。

簡単すぎず、かといって難しすぎない目標を設定するとモチベーションが維持されるので、現在の自分が120%のパワーを出して達成できるくらいの目標を定めるといいでしょう。

■イライラは筋肉痛だと思え!

そして、私がアホに対して最も強力な武器となると思っているのが「忍耐力」です。アホはあなたが怒ったり悲しんだりする姿を見るために絡んできます。そのため、忍耐力をもってアホの挑発に乗らないように努め、まったくこたえていない姿をアホに見せるのがベスト。アホはあなたをいたぶりがいのない人間だと判断し、あなたから離れていきます。

忍耐力は「我慢をすること」で身に付きます。筋トレと同じように、やればやるほど大きく育っていくものです。無駄にあなたに絡んできたり、当たり散らしてくるアホに苛立つこともあるでしょうが、それは筋肉痛のようなもの。あなたは我慢するたびに忍耐力が成長しているのですから、「成長する機会を与えてくれてありがとう」とアホに感謝しましょう。

逆に忍耐力がないと、アホに対して余計な発言や行動をとってしまいます。あなたが怒ったり悲しんだりする姿はアホにとって大好物ですから、アホはますますあなたに絡んでくることになり、貴重な時間やエネルギーを無駄に使ってしまうばかりか、自分自身もアホになってしまうおそれがあります。私が忍耐力を重視している理由は、自分自身が忍耐力を失ってアホになってしまった経験を持っているからです。

私は30代の頃に政界入りをしましたが、政治で世の中を変えるためには時間をかけ、多くのハードルを乗り越える必要があることを理解できていませんでした。私は目に見える結果が出ない焦りから「このままじゃ何も変わりませんよ」と、努力している先輩議員の方を評論家のように批判してしまったのです。これは結果が出ないイライラを他人のせいにする「イライラ型アホ」そのものです。この行動のおかげで私のまわりから人は離れていき、自分が目標としていた政策の実現は遠くなってしまいました。支援してくれていた人たちの気持ちも裏切ることになってしまい、とても後悔しました。

それでも私がいまこうして復活できたのは、感情を爆発させたのが30代という、再スタートが許される年齢だったからです。まだやり直しがきく年齢であれば、私のように一度体で忍耐力を失うことの恐ろしさを覚えてもいいかもしれません。ですが高齢になってから感情を爆発させてしまった場合、取り返しがつかなくなるリスクのほうが大きいでしょう。ある程度年齢を重ねた方こそ、冷静になって忍耐力を養ってください。

また、現在はスマートフォンやSNSの普及によって炎上した際のリスクが最高に高まっている時代です。自分では「ちょっとキレた」程度だと思っていても、その代償が考えられないほど大きくなることも十分にありえます。炎上のリスクが高まっている現代だからこそ、忍耐力をつける重要性も上がっているといえるでしょう。

■避けられないアホとは笑顔で接する

「アホとは向き合わずにやり過ごせ」とはいっても、社会に出れば職場の上司・部下や取引先など、避けて通れないアホと対峙しなければならないこともあります。これまでお伝えした通り、アホとは戦わず受け流すことが基本的な解決方法ですが、それができないケースでは覚悟を決めてアホと向き合いましょう。

アホと向き合う際に大切なのが「リスペクト」「親切」「楽しむ」の3要素です。

基本的に、アホに対してあなたは良い印象を持っていないでしょう。しかしながら、その悪印象はバイアスがかかり、実際以上のものであることがとても多いのです。「イヤなやつだと思っていたけど、ちゃんと話してみると、思っていたほどではなかった」ということは、ままあります。これはあなたに悪印象を持っているアホにとってもいえることで、腰を据えて対話する機会を設けることでお互いのバイアスが解消し、理不尽な要求やアホな絡みが減る可能性があります。

また、対話の際には自分の持っている先入観を捨て、リスペクトを持って接しましょう。悪い面を見るのではなく、その人の良い面を探して褒めるようにしてください。人は敬意を持たれると、敬意を持たれる人間にふさわしい態度をとろうとします。そうなれば「アホ」から「人」へ進化してくれることもあります。

イライラ型のアホに対しては「親切」を心がけましょう。私は飛行機に乗った際、着陸後に一刻も早く降りようとイライラしている人の荷物を下ろすのを手伝うようにしています。すると多くの場合、それまで急いでいたはずの人が、足を止めてまで私に感謝してくれるのです(笑)。このように、イライラしているときに親切にされることは予想以上に大きな効果をもたらします。アホだと思っていた人が、いきなり自分の味方になってくれるかもしれません。

そして最後に、自分の人生を「楽しむ」ことです。こうしたリスペクトや親切は、自分が人生を楽しんでいる幸せな状態でしか行えません。そのため、「常に幸せであること」がうまく生きるコツだといえます。仮に幸せでなくても、幸せであるように振る舞うことで、良い結果を引き寄せるでしょう。

私は「人生の最期に何を思うのか」ということを常に念頭において行動しています。人生最期の瞬間に「良い人生だった」と思うには、平等に与えられた時間を有効活用するしかありません。そのためにアホとの無駄な戦いを避けて、無駄な時間とエネルギーを使わないように心がけています。

現在、アホとの戦いで時間とエネルギーを使ってしまっている人も、戦わないことでできる時間とエネルギーで人生の目的を見出し、その目的に向かって邁進してほしいと思います。

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田村 耕太郎(たむら・こうたろう)
元参議院議員
1963年、鳥取県生まれ。早稲田大学商学部卒。慶應義塾大学大学院でMBA取得。イエール大学大学院で経済学修士など。著書に『君は世界を迎え撃つ準備ができているか?』(中経出版)。

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(元参議院議員 田村 耕太郎 構成=網田和志 イラストレーション=前田はんきち)

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