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投資の神様ウォーレン・バフェットが「相続財産の9割をこれで運用して」と妻に指示した"超有望な投資先"

プレジデントオンライン / 2023年8月30日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

新NISAのスタートが近づき、インデックス投資への注目が集まっている。経済コラムニストの大江英樹さんは「インデックス投資は優れた投資手法だが、インデックス投資なら何でもいいというわけではない。世界最高の投資家といわれるウォーレン・バフェットは相続財産の9割をあるインデックス投資で運用するよう妻に指示した」という――。

■インデックス投資を誤解していないか

最近では投資の手法としてインデックス投資が有効だという認識が広がりつつあります。私もインデックス投資は優れた投資手法だと思うのでこれは良い傾向だと思っています。ところが色々な記事やブログなどを読むと、どうもインデックス投資について、微妙な誤解が生じているようにも思えます。

具体的に言うと、パッシブ運用とインデックス運用を混同しているのではないか? ということです。この2つは似ているのですが内容は異なります。これを間違えてしまうと投資でうまくいかないことが往々にして起こり得るので、この違いはぜひ知っておいていただきたいと思います。

■パッシブ型とインデックス型はどう違うのか

投資信託でインデックス型といわれているものの反対にあるのがアクティブ型だと解説されています。でもこれは必ずしも正確ではありません。アクティブ型の対極にあるのはインデックス型ではなくパッシブ型なのです。

そもそもパッシブ型とインデックス型はどう違うのでしょう。パッシブという言葉は「受動的」と訳されます。つまりマーケット全体、もっと言えば全世界の市場の動きに連動するように運用するのがパッシブなのです。これに対してインデックスというのは「指数」という意味です。指数とは例えば日本では日経平均やTOPIX、アメリカで言えばS&P500やNYダウ平均のことです。正確に言えばインデックス型というのはこのような各種の指数に連動することを目標とした投資信託のことです。

■インデックス型より運用成績が劣るアクティブ型のほうが多い

一方、アクティブという言葉は一般的には「能動的」と訳されますが、投資信託におけるアクティブ型の意味は、インデックスのように指数に連動することを目指すのではなく、指数を上回ることを目指す、という方針で運用されることを表します。「でも指数を上回るのならアクティブのほうがいいじゃない?」と思われるでしょうが、これはあくまでも“上回ることを目指す”に過ぎません。現実にはインデックス型よりも運用成績が劣っているアクティブ型のほうが多いのです。

この理由は一般的にはアクティブ型のほうが、手数料が高いからだといわれています。もちろんそれだけが理由ではありませんが、アクティブ型の本数が多くなればなるほど、それは必然的に市場の指数であるインデックスに限りなく近付いていくわけですから、インデックス型とアクティブ型の運用成績の平均を見れば手数料が高い分だけトータルではインデックスのほうが好成績になるというのはうなずけます。

もちろん、中にはインデックス型投信をはるかに上回る運用成績を出すアクティブ型投信があることは事実ですが、それはあくまでもこれまでの実績に過ぎず、今後も続くかどうかはわかりません。つまり優れたアクティブ型投信かどうかということは事前にはわからないのです。だから普通の人が投資をするのならインデックス型が良いといわれているのです。

■ウォーレン・バフェットが妻に出した指示

ここにちょっと面白いエピソードがあります。ウォーレン・バフェット氏と言えば、世界最高の投資家といわれていますが、その彼が会長兼CEOを務めている投資会社バークシャー・ハサウェイは彼が経営権を握った1965年から2015年までの50年間で株価は約2万倍になっています。その間、アメリカの代表的な株価指数であるS&P500は140倍ですからバフェット氏のアクティブ運用の圧勝です。

その彼が2013年にバークシャー・ハサウェイの「株主への手紙」の中で、このように述べているのです。「プロではない投資家の目的はパフォーマンスの良い銘柄を選ぶことではないし、それを実際に行うことは本人もそのアドバイザーにも難しいだろう。むしろ大切なことは幅広く横断的に投資することだ。S&P500に連動する低コストのインデックスファンドに投資することによりこの目的は達成できるだろう」。さらに続けて彼は自分の妻に対して相続財産の運用として、運用の90%はS&P500インデックスを、そして残りの10%は米国短期国債を買うように指示したと述べています。

これは言い換えれば、「自分のような優れた運用者は世の中にはそうたくさんいない。下手なアクティブ運用に委ねるよりもインデックスで運用したほうがよほどましだ」と言いたかったのでしょう。

バークシャー・ハサウェイのCEOウォーレン・バフェット氏
写真=AFP/時事通信フォト
2019年5月4日、ネブラスカ州オマハで開催された年次株主総会に到着したバークシャー・ハサウェイのCEOウォーレン・バフェット氏 - 写真=AFP/時事通信フォト

■インデックス型であれば何でもいいわけではない

ではインデックスであれば何でもいいのか? というとそれは違うと思います。最初にお話ししたインデックスとパッシブの違いを思い起こしてください。インデックスは指数であるのに対してパッシブは世界の市場全体の動きです。

例えば日経平均というのは1つの指数ですが、東証に上場する約2000以上の銘柄のうち、225銘柄の平均でしかありません。つまり市場全体の流れを示すものではあったとしても東証全体の市場の動きに連動しているわけではないのです。NYダウ工業株30種平均に至ってはわずか30銘柄の平均株価です。したがって、日経平均やNYダウに連動するのはインデックス投資ではあったとしても必ずしも市場全体に連動するパッシブ運用であるとは言い切れないわけです。

極端なことを言えば、日経平均というのは225銘柄に投資するという“アクティブ投資”と言えるかもしれません。すなわち、パッシブ型投信のように世界市場全体に投資してほったらかしておくのとは異なり、インデックス型投信の場合、やはりどの指数を選ぶかが問題なのです。

各種証券取引所が書き込まれたサインポスト
写真=iStock.com/IPGGutenbergUKLtd
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/IPGGutenbergUKLtd

しばしばいわれることですが日経平均は、銘柄数が少ないため値嵩株の影響を強く受ける傾向があります。例えばファーストリテイリングやソフトバンクグループといった銘柄の寄与度が大きいため、必ずしも日本の株式市場全体を表しているわけではありません。

■S&P500はその時代に合った銘柄構成になる

一方、米国を例に取ると、前述したバフェットが推奨するS&P500はかなり幅広く分散されていますし、銘柄の入れ替えも比較的多く行われているため、その時代に合った銘柄構成となり、より米国全体の実態を表しているといって良いでしょう。米国市場ということで考えれば、インデックス型といっても限りなくパッシブに近いと考えて良いだろうと思います。S&P500を上回る運用成績を上げるのは容易なことではないかもしれません。たしかにバフェット氏のような優れた投資家でない限りはインデックス投資をしていたほうが無難と言えるでしょう。

したがって、本当の意味でのパッシブ運用は、世界中の市場のそれぞれの時価総額の割合に応じて投資する、あるいはGDPのような経済規模に合わせて投資をするということであり、それが最も合理的な方法ではないでしょうか。現在であれば、そういう国際分散投資でパッシブ運用のできる投資信託は少ない金額でも購入は容易です。

アクティブとパッシブ、前述したように理屈で考えれば全てのアクティブ投資家の平均であるパッシブは、コスト分だけ有利であるということはいえますが、どちらが絶対に正しい方法であるということはありません。人それぞれの考えに応じて投資をすれば良いわけです。ただし、特定の指数(インデックス)のみに偏るのは避けた方が良いだろうと思います。

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大江 英樹(おおえ・ひでき)
経済コラムニスト
大手証券会社に定年まで勤務した後、2012年に独立し、オフィス・リベルタスを設立し、代表に。資産運用やライフプランニング、行動経済学などに関する講演・研修・執筆活動などを行っている。近著に『定年前、しなくていい5つのこと』(光文社新書)など。

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(経済コラムニスト 大江 英樹)

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