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なぜジャニーズという名前を捨てないのか…東山紀之社長では性加害問題は絶対に解決しない明白な理由

プレジデントオンライン / 2023年9月8日 12時0分

性加害問題で記者会見するジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子氏(右)。左は新社長に就任した東山紀之氏=2023年9月7日午後、東京都千代田区 - 写真=時事通信フォト

■事務所の存続にとっては「最悪の選択」

あの東山紀之がジャニーズ事務所の新社長?

たしかに、会見前までにスポーツ紙や文春オンラインでは「ジュリーの後継は東山に決定」と報じられていたが、私は、ここまで追い詰められたジャニーズ事務所が、そんな最悪の選択をしないのではないかと思っていた。

“社内”から持ってくるとしても城島茂か井ノ原快彦ではないか。東山であってはならない理由は明白だ。

「ジャニーズ性加害問題当事者の会」メンバーの平本淳也が1996年4月に出した『ジャニーズのすべて 少年愛の館』(鹿砦社)を引用すれば十分だろう。

「東山はジャニーさんに長く愛されている恋人で、本当は一時も離れたくはない間柄である。相思相愛であり、行く行くはジャニーズ事務所を継ぐとも言われる東山に対し、ジャニーさんは社長の仕事を覚えさせるための試練を与えていると見られている。

ジャニーズ事務所の社長はホモである方が都合がよいし、重要な任務がある。ジャニーさんもメリーさんもそろそろ引退を考え、後継者のことも頭にあるはずだ」

9月7日の会見には藤島ジュリー景子氏が出席し、ジャニー喜多川の少年たちに対する性的虐待を正式に認め、自らは辞任し所属タレントの中で最年長の東山紀之を社長に据えた、被害者たちへの補償は自らがやっていくと語った。

■「性加害をしたのか」に「記憶にない」

ジュリー氏は東山を社長に据えた理由を、タレントの気持ちもわかりコミュニケーションがとれる人物だからだと答えた。

だが、東山は、ジャニー喜多川の少年虐待をその目で見ている“目撃者”でもあり、ジャニーズJr.の加害者でもあったかもしれないのだ。

会見で東山は、失った信頼を取り戻すために命を懸けると抱負を語った。

だが、最初のしんぶん赤旗の記者に始まり、質問の多くが、東山自身がジャニー喜多川に性加害を受けたことはないのか、自らが加害をしたことはないのかに集中した。

合宿所と呼ばれるところで、多くのジャニーズJr.たちがジャニー喜多川から性的虐待を受けていたが、そこでも東山は「特別扱い」だったと、多くの元Jr.たちが証言している。また、元Jr.の一人は東山から性的被害を受けたともいっている。

東山は何と答えるのか? 関心はそこに集まった。

案の定、やや頬を紅潮させながら「記憶にない」と繰り返した。「本当に記憶にないのか」と何度聞かれても、「自分の幼稚さであったりとか、(中略)記憶を辿ってもちょっと覚えていないことも本当に多くて。したかもしれないし、していないかもしれない」と禅問答のような答えしか返ってこなかった。

激昂することはなかったが、この質問には絶対答えない、全否定すると決意していたに違いない。

こういう人間が、ジャニー喜多川の性加害問題に携わるのは、今後大きな問題になってくるはずである。

■今後もジャニーズ事務所は変わらない

ジュリー氏は叔父のジャニー喜多川による少年たちへの性加害を、噂では聞いていたが、知らなかったとして、「(タレントが)並々ならぬ努力をして、ファンが認めて、応援してくれて、その地位につく。断言はできないが、(性加害があったから)センターに立った、デビューできたとかではなく、努力をしないで地位はつかめなかったと思う」(朝日新聞デジタル 9月7日16:28)と述べるにとどまった。

ジャニーズという名称を変更しないことに、質問者から、なぜ多くの少年を虐待した人間の名前を残すのか、ヒットラー株式会社というものはないではないかといわれたが、「一丸となって払拭していく」と答えるだけだった。

だが、ジュリー氏が初めて会見に出て謝罪したことや、辞任することを自らの口で話したことで、会見はジャニーズ側がリードする形になった。

記者たちの勉強不足、突っ込み不足もあり、ジャニーズ事務所側が無制限、質問にすべて答えるという態度もあったのだろう、この会見はジャニーズ側にプラスに働いたと思う。

だが、会見を聞いている限り、ジャニーズ事務所そのものは何もまったく変わらない。そう思わざるを得ない。

■幹部タレントに東山新社長のサポートを頼んでいた

週刊文春(9月14日号)は、8月下旬にジュリー社長が東山、木村拓哉たちと「院政謀議」をしていたと報じている。

「この食事会に出席したのは、新社長の東山に加え、元V6の井ノ原快彦(47)、TOKIOの国分太一(49)、計四人の幹部タレント。なかでも意外だったのは木村が呼ばれたこと。普段、木村は、その三人とほとんど接点を持っていません」(ジャニーズ事務所関係者)

ジュリー氏の知人がこの会合をこう解説する。

「井ノ原はジャニーズJr.の発掘と育成を行う子会社、ジャニーズアイランドの社長。国分はジュリーさんが最初に手掛けたグループのTOKIOのメンバーです。ジュリーさんは以前から井ノ原にジュニアの相談役、国分にデビュー組の相談役という役回りをさせようという考えでした」

ジュリー氏は、SMAPが解散しても唯一事務所に残ってくれたキムタクのことを真から感謝しているというから、いち早く新体制になるということを伝えたかったのではないかといわれているようだ。

この会合は、ジュリー氏が4人に協力を求めた“決起集会”で、ジャニーズの長男である東山を社長にすることをみんなに認めさせ、人望のない東山を井ノ原と国分にサポートしてくれるよう頼んだという。

■ジュリー氏を“強気”にさせたメディアのふがいなさ

これでもわかるように、東山はジュリー氏の完全傀儡で、これまで同様、ジュリー氏が帝国を支配することに何ら変わりはない。

その証拠に、ジュリー氏は代表権を手放さないし、事務所の株を100%所有するオーナーである。

ジュリー氏を“強気”にさせたのは、特別チームがかなり厳しい提言を出したが、メディアの反応は鈍いというより、これまでの関係を変えないということがわかったからではないか。

朝日新聞デジタル(8月30日 17:00)で、ジャニーズ事務所とのつながりが強いといわれている2社のこの問題に対する答えを見てみよう。

NHK ジャニーズ事務所の「外部専門家による再発防止特別チーム」が調査報告書で、ジャニー喜多川氏による性加害について「マスメディアが正面から取りあげてこなかった」などと指摘していることを重く受け止めています。(中略)ジャニーズ事務所に対しては、被害者救済と再発防止に取り組むよう要望するとともに、その実施状況を確認しながら、人権尊重の観点から、適切に対応していきたいと考えています。

フジテレビ 調査報告書に記された再発防止策について、ジャニーズ事務所が今後どのように対応していくのか、その推移を注視していきたいと考えております。また、報告書に記されたマスメディアの過去の報道に関するご指摘を真摯(しんし)に受け止めております。
性加害が決して許されないことは当然です。当社としても、あらゆる人権侵害を防ぐべく対処していく所存です。

■「200回におよぶ性被害を受けた」と新たな告発

文春によれば、フジもTBSなども、ジャニーズ事務所所属のタレントの起用に変化はないと明言しているという。

新聞は、会見の模様は報じるが、それで終わりだろう。

ジャニーズが一番気になっているのは、CMスポンサーの反応ではないか。日本航空(JAL)は7日、所属タレントの広告起用を当面の間見送ると明らかにした。東京海上日動も、事務所との広告契約の解除を検討しているという。だが、社長が交代して見場のいい東山を据えたことで、これに続く企業は意外に少ないかもしれない。

スモークがたかれ、ライトがついているステージ
写真=iStock.com/Standart
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Standart

しかし、文春(8月31日号)で、元ジャニーズJr.の大島幸広(38)は、ジャニー喜多川から200回も性的被害を受けたと告白している。1998年、当時中学2年だった。ダンスのレッスンの後、「ユー、今日、家泊まっちゃいなよ」といわれた。

ついてきた母親を帰し、六本木のマンションへ。ジャニー喜多川から風呂に入っちゃいなといわれて、バスルームへ。すると、ジャニー喜多川が顔を出し、洗ってあげると、手がどんどん下がっていって、性器を洗い出したという。

その後、布団に入るとジャニー喜多川が来て、マッサージ。それから手が彼の性器に伸び、口で始まる。

そんなことを200回もされたら、人間が壊れてしまうのでは。今でもその時の性行為のことがフラッシュバックして、気分が悪くなるという。

■「タレントたちに罪はない」は、本当か

このようなことを60年以上も続けてきたといわれるジャニー喜多川による少年への性的虐待事件は、ギネスブックに載ってもおかしくない。

しかし、このままいけば、ジャニー喜多川のことは忘れ去られてしまうのではないか。

この会見は始まりにすぎない。ここから、彼の少年への性的虐待事件の全容を明らかにしなければいけない。

それにはメディアの責任も厳しく問われなければならないこというまでもない。

「頑張っているタレントたちには罪はない」

よく聞くジャニタレ擁護論だが、本当にそうだろうか。

そこには、彼らもある意味で「被害者」なのだからという意味合いを含んでいるように思う。

しかし、現在、タレントとして活躍している中には、仲間が、ジャニー喜多川から口腔性交や肛門性交をされているのを知りながら、口を閉ざし、結果として多くの被害者を出すことになってしまったことに“加担”した人間がいるのは間違いない。

週刊新潮(9月14日号)は、特別チームが調査報告書で触れなかった「重要な観点」が抜け落ちていると指摘している。

「ジャニー氏の少年愛こそが、ジャニーズ事務所の事業の根幹をなすものである。そこに疑義を呈することはジャニーズ事務所の事業を否定することと同義。故に上層部は誰も問題を指摘できなかったのではないか」

■異能なき今、帝国が崩壊するのは必定

先の平本氏は、

「そもそもジャニーズはジャニーさんの少年愛から始まっています。少年が好きじゃなかったら少年を見ることも集めることも、何もしなかったでしょう。ジャニーさんの少年好き、少年愛、審美眼があったからこそジャニーズのビジネスが成功したのは明らか。ジャニーさんが“この子いいなぁ”と思ってデビューさせ、メリーさんがビジネス面を請け負い、その結果、本当に巨額を稼ぐ事業になったのです」

特殊な才能が、自分の欲望を満たすだけではなく、ビジネスにしたことで、帝国と呼ばれるまでになったのだ。その異能がいなくなったのだから、帝国が傾くのは必定。

東山社長は、帝国が崩壊するのを見届ける役割を担うのではないか。そんな気がしている。

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元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任する。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『編集者の教室』(徳間書店)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)、近著に『野垂れ死に ある講談社・雑誌編集者の回想』(現代書館)などがある。

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(ジャーナリスト 元木 昌彦)

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