クラスメートと仲良くする必要はない…人間関係に悩む子に教えたい「友達は運、友情は面積」という方程式
プレジデントオンライン / 2023年10月9日 10時15分
※本稿は、山本康正『きみたちは宇宙でなにをする? 2050年に活躍するために知っておきたい38の話』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。
■「学校でなければ絶対にできないこと」は意外とない
今、日本では不登校の子どもが年々増え続けている。
理由は人それぞれに違っていても、「学校に行きたくない」「行けない」という子は今の時代においては決して珍しくないだろう。どの学校を選ぶかも頭を悩ませる分岐点になるが、僕は学校って「行きたくなければ無理に行かなくてもいい」場所だとも思っている。
いったん立ち止まって考えてほしい。きみは、なぜ毎日学校に行っているのだろう?
勉強のため? それならば、今は家でも勉強できる環境は整っているよね。その気になれば自分で勉強計画を立てて、参考書を解いたり、動画をみて学んだりすることだってできる時代だ。家に飽きたら図書館の自習スペースをハシゴしてもいいよね。最近はフリースクール(学校の代わりに過ごす場所)も各地に増えているから、通える場所にあるのなら一度見学してみてもいい。
じゃあ、友人と会うため? 集団生活の基本や他者とのコミュニケーションを学ぶことも、たしかに同い年が集まる学校だからこそできることだ。だが、学校だけが社交性やコミュニケーション能力をみがく場とは限らない。オンライン上でのやり取りを通じても、自分の意見を主張したり、他人の意見に耳を傾けたりする機会はあるはずだよね。
とはいえ、見ず知らずの人とリアルで会うのは、未成年にはリスクが高いから避けてほしい。
こんな「学校に行く理由」を細かく分解していくと「学校でなければ絶対にできないこと」は意外とないことに気づけるはずだ。
学校に行くことがストレスで、心や体がしんどくなるくらいであれば、無理に行かなくてもいい。その代わり、勉強や社会性、社交性のようなものは、ほかの場所で学んでいけばいい。学校以外にも、学びの方法はたくさんあるのだから。
■「自分はバカでだめなんだ」にいいことはひとつもない
きみは、自分に自信があるかな?
「自信がある」と堂々といえるのであれば、素晴らしいことだ。けれども、「全然ない」と答える人のほうが、日本ではどうやら圧倒的に多数派らしい。
10代は、人生で一番自分に自信がなくなる時期だといってもいい。他人の優れた部分をみてコンプレックスを感じたり、自分の短所ばかりが目についたりと、とにかく悩みが増えるのもこの時期だ。とくに日本の10代は、自己肯定感(自分を認める力)が他国の10代に比べて低いという調査結果も出ている。
僕もかつては「自分に自信がない10代」のひとりだった。けれどもあるとき、ふと「いや、自信をもたない理由はないな」と思えた瞬間が訪れたんだ。
理由は単純だ。「自分はバカでだめなんだ」と思い込むことで、いいことはひとつもないと唐突に理解したからだ。「自分はバカだ」という思い込みを強化することは、自分で自分の可能性を塞いでしまうことと同じだ。結果がだめだったときの言い訳を用意している、といってもいい。
■自信は自分で育てるもの
まわりの目が気になるかもしれないけれど、そのまわりの人たちはきみが明日どうなっても、だれも責任はとってくれない。単に自分たちが心地よくなるために生きている人が多いんだ。
それならば、根拠なんかなくても「自分ならできる、大丈夫」とポジティブに信じて行動してみたほうが、必ず道は開けていく。たとえ失敗しても、行動したことで学びもあるし、行動しなかった後悔を思えばまったく恥ずかしくはない。大人になるまでのあいだに、一度も失敗したことがない人間はこの世に存在しないのだから。
もしいるとしたら、それは自分の能力を超えた挑戦をしていないということだ。
誰もほめてくれないのであれば、自分で自分をほめてあげればいい。よその誰かと自分を比べて落ち込むのではなく、過去の自分と今の自分を比べてみよう。「前はこれができなかったけど、ここまでわかるようになった」と必ずどこかに進歩のあとがみつかるはずだ。
自信は天から降ってくるものじゃない。自分で育てるものであり、自分を信じる力こそが自信へと変わっていくのだから。ゲームのキャラクターのように、気に入らないからと変更することはできない。
ならばやることはひとつだよね。さあ、「今日から自分に自信をもつ」と決めてしまおう。このほうがこの先の人生はずっと生きやすくなるはずだ。
■たまたま集められて教室にいるだけ
ほとんどの10代は、学校という空間で1日の大半を過ごしている。けれども同じ教室にいるクラスメートは、自分で選んだ相手ではないよね? たまたま同じ年、同じエリアに生まれたメンバーが集められただけ。よくよく考えてみたら、これって結構不自然な気がしないかな?
そこで友達ができるかできないかは、正直なところ運も大きい。もちろん、友達ができて楽しい時間を過ごせるのならば幸運だ。けれども、気の合う仲間をみつけられないことだって場合によってはあるだろう。
■友達は運、友情は面積
「きっと自分がコミュ障だからだめなんだ」といった理由をみつけて自分を責めてしまっている人は、「まあ、たまたま集められて教室にいるだけのメンバーだしね」と考えてみたらどうだろう?
もちろん、内気だったり、話下手だったりという性格も、多少は関係しているかもしれない。でも、友達ができない理由をすべて自分のせいにする必要はまったくない。
このコミュニティにはたまたまいないんだ、じゃあどこに行けば会えるだろう? 学校ではなく、塾や習いごとの場でみつかるかもしれない。もしかしたら日本ではないかもしれない。そんな風に考えて探しに行くほうがよっぽど気持ちの面でもいいはずだ。
僕は友情って「面積」だと思っている。友情という面積を求める式にするならば、こんな感じだ。
浅い関係性だけの友人がたくさんいても、そこまでの価値はない。でも深くつきあえる友人が数人いれば、友情という面積の総量は増える。きみなら、どっちがいい?
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ベンチャー企業投資家
東京大学で修士号取得後、三菱東京UFJ銀行米州本部にて勤務。ハーバード大学大学院で理学修士号を取得し、グーグルに入社。新技術を活用したビジネスモデル変革等のDXを支援。日米のリーダー間にネットワークを構築するプログラム「US-Japan Leadership program」フェロー。京都大学大学院特任准教授も務める。著書に『次のテクノロジーで世界はどう変わるのか』(講談社)、『ビジネス新・教養講座 テクノロジーの教科書』(日経文庫)、『2025年を制覇する破壊的企業』(SBクリエイティブ)、『世界を変える5つのテクノロジー SDGs ESGの最前線』(祥伝社)など。
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(ベンチャー企業投資家 山本 康正)
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