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「ミスコンに選ばれました」は逆効果…アナウンサー予備校代表が語る「書類は通るのに、面接で落ちる人」の特徴

プレジデントオンライン / 2023年10月8日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kazuma seki

転職を成功させるためにはどんなことに注意すべきか。元アナウンサーでアナウンススクール代表の松下公子さんは「どれだけ第一印象が良くても、話す内容がまとまっていなければ最終的な印象は悪くなってしまう。自分の強みになる経歴を話すときもそのことを強調しすぎず、共感してもらえるストーリーを組み立てて話すことが重要だ」という――。

※本稿は、松下公子『転職は話し方が9割』(standards)の一部を再編集したものです。

■転職で憧れの企業に入ることもできる

そもそも転職面接は、新卒の面接とどう違うのでしょうか?

まずは、就職と転職の違いからお伝えしていきましょう。就職の定義は「高校・専門学校・大学などを卒業した学生が初めて職業に就く」ということです。学生ですから、もちろん、志望している会社の仕事を基本的にはまだ経験していないことが前提です。そのため、採用担当者が就活生を見るポイントは「今はできていなくても、将来できるようになりそうかどうか?」というところ。いわゆる人柄や熱意などから、「将来の可能性」を見ているのです。

では、転職については、何を見られているのでしょうか? 転職、中途採用の場合は、「今、できるかどうか?」がポイントです。即戦力になるかどうか、ということが見られています。「できるかどうか?」と言われると、プレッシャーを感じる方もいるかもしれません。でも、安心してください。「できる」というのは、“優秀である”という意味の「できる」ではありません。“採用側が望んでいる仕事を経験してきている”くらいの意味であると捉えてください。

短期間でもやったことがあるなら、それは「経験」です。私自身、「やってきました」という経験だけで、転職を通じてキャリアアップをしていきました。

まず、佐渡島にあるケーブルテレビから、アナウンサーとしてのキャリアをスタートさせた私は、転職を繰り返した結果、最終的に新卒では入社できなかった準キー局であるメ~テレに就職することができました。そう、経験とスキルを積み重ねていけば、新卒時には手が届かなかった憧れの企業に入ることもできるのです。

■新卒と転職の大きな違いは「面接の回数」

さらに、新卒と転職の違いとして注目すべき点は「面接の回数」です。新卒の就職面接は4〜5回にわたり、回数が非常に多いです。それと比較して、転職面接は2回程度と、少ないのです。中には1回の面接で内定を出す企業もあります。ですから、転職は面接に力を注ぐことが、内定への近道だと私は思います。

さらに、一番大事なのは1次面接。多くの転職志望者は1次面接が突破したら次の最終面接ではどんな自分でいこうかな、どんな違った自分を見せたらいいのかな、といろいろ考えます。ですが、無理に変えなくていいのです。1次面接が突破したら、次の最終面接では同じ気持ちで、同じ話をすればいいだけ。「1次面接と同じ自分」で臨んでください。

というのも、1次面接では「うちの会社に合っていそうだな。いいな」と思われたから通過したのです。ですから、次の最終面接で採用側が何を見るかというと、1次面接で思ったことの確認をしたいのです。

本当にあなたが来てくれるのか? あなたと会社が本当に合うかどうか? だから、1次面接が突破したら、何も変えなくていい、というのが私の考えです。転職は面接、それも1次面接がカギなのです。私からすれば転職は1次面接に力を注げば、すぐに内定できるのです。簡単なのです。たった1回の面接で自分の今を大逆転できるとしたら、本稿を読んで実践してみたくなりませんか?

■「上手く話す」ことを意識しすぎてはいけない

「1次面接が大事……ということは、よっぽど上手に話さないと内定はとれなさそうだな……」と、プレッシャーに感じる方も多いかもしれません。大丈夫です。逆に、上手に話そうとすると、転職面接は突破できません。

転職志望者に模擬面接をすると、多くの方がたどたどしいしゃべり方をしたり、早口になったり、パターンは人それぞれですが違和感のある話し方になります。さっきまでの雑談で見せてくれた笑顔や雰囲気のいい話し方が、一気に消えてなくなってしまうのですね。そうなると、私はいつもこう質問します。

「いま、何か変なこと考えましたよね? 何を意識して話しましたか?」

転職志望者の答えはこうです。

「わかりやすく伝えなきゃと考えていました」
「明るく高い声を出さないといけないと思っていました」
「きれいに話さないといけないなと意識していました」

結局どれも、上手く話さないといけないという意識が働いているということなのです。

「〜しなきゃ」「〜しないと」といった、“上手く話さないといけない”というプレッシャーをかける意識は、私たちの良さを消してしまいます。ではどうしたら、この違和感のある話し方を変えることができるのか?

■「見た目」と「話し方」が印象の9割だが…

私はいつもこう、アドバイスします。

「では、その『~しなきゃ』という意識をやめてもらえますか?」

すると、どうでしょう。さきほどの違和感のあるしゃべりが大変化。自然な口調になってその人らしさが感じられる話し方になるのです。“上手く話さないといけない”という意識を手放すことが結果、上手く話す秘訣(ひけつ)になるのです。

とはいえ、面接官が見ているのは話し方だけではありません。話の内容です。アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが提唱した「メラビアンの法則」によると、人が他者から受け取る情報の割合は、以下のように分類されるそうです。

・視覚情報55%(見た目・表情・しぐさ・視線など)
・聴覚情報38%(声のトーン・速さ・大きさ・口調など)
・言語情報7%(話の内容など)

言語情報(話の内容)が7%と、いちばん低いことから、話す内容はあまり大事ではないと思ってしまう方もいるかもしれません。でも、これは違うのです。

■第一印象が良くても落とされる人の特徴

ちょっとイメージしてみてください。面接に現れたのは誰が見てもカッコいい彼。笑顔からこぼれる白い歯が何とも爽やかです。「本日はよろしくお願い致します」と挨拶する声も明るくハキハキしていて、かなりの好印象。なのですが、「うちの会社で何をやりたいのでしょうか?」との質問に「とりあえず、入れたらなんでもいいです」と答えたとしたらどうでしょう。

「入れたら何でもいいって……。『こういうことがやりたい』といった仕事への思いとか目標などないのかな。見かけ倒しだな」と思ってしまいませんか?

この「メラビアンの法則」はよく、「見た目などの視覚情報がまず大事、次に声などの聴覚情報が大事」ということだと思われがちなのですが、大きな誤解です。3つの情報をすべて総動員することが大切であるということ。そしてさらに、相手を惹きつけるためには、3つの情報を伝える「順番」がポイントなのです。

例えば、あなたがある会社の面接を受けるとしましょう。あなたは会社の入り口で受付を済ませます。「こちらです」と会社のスタッフの方の案内で、待機室まで進み、自分の面接の番が来るまで待つとします。その間、あなたは見られているのです。まだ面接が始まる前から、「うちの会社を受ける人ってどんな人なんだろう」と見られているのです。面接本番でもそうです。まずは“パッと見”の印象を見られるのです。

面接
写真=iStock.com/fizkes
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/fizkes

■「スゴイ自分」を伝えることのデメリット

人は相手の印象を7秒で決めると言われています。たった数秒で「誠実そうだな」「気が弱そうだな」など、面接担当から「こういう人なのではないか」とイメージを持たれるのですね。これが、相手があなたの印象を決める第1ステップの視覚情報です。そして、次にくるのが第2ステップの聴覚情報です。

「はじめまして。松下公子と申します。本日はよろしくお願い致します!」

ハキハキと元気に明るいトーンで話せたら、見た目の印象からさらに好感度はアップします。「とても印象がいいこの方は、さらにどんな人なのか知りたい。話を聴きたい」と、第3ステップの言語情報へ興味関心は移っていきます。あなたの話が聴きたい、と思ってもらうためには、「視覚情報→聴覚情報→言語情報」という順番で3ステップを踏んで、面接担当の心をつかんでいく。そして、最終的にはあなたが面接で何を話すのか? その話す内容が大事になるのです。

「話の内容が大事となると、とにかく『スゴイ自分』であることを伝えないといけない」そう思ってしまう方も多いかもしれません。でも転職では「オーバースペック」という理由で不採用になる人もたくさんいます。要は優秀すぎて、「こんな簡単な仕事を与えたら退屈してしまうのではないか」「会社や上司の指示を聞かないのではないか」と判断されるケースです。

優秀すぎて何が悪い、と言いたくなる気持ちもわかりますが、即戦力になる人に来てほしいという思いと裏腹に、扱いづらい人でも困ります。正直に言うと、「自分の部下にしたいかどうか」が採用担当者の本音なのです。

■「ミスコンに選ばれました」は逆効果

たとえば、私が転職サポートをしてきたなかでこんなケースがありました。

その女性は、大学では「ミス○○」に輝き、学生時代からテレビ局でリポーターを務めていたほど将来有望でした。見た目もかわいらしく接していても愛嬌(あいきょう)があり、最初は「この人はすぐにでも内定をもらえる!」と思っていました。

美しいティアラ
写真=iStock.com/leykladay
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/leykladay

ただ、実際に面接に進んでみるとまったく内定がもらえなかったのです。書類選考は通るもののなぜか面接試験で落とされていました。そこで、彼女に面接時にどんな話をしているのか聞いてみたところ、「ミスコンに選ばれました」ということを強調しすぎていることが分かりました。

たしかに大学でミスコンに選ばれることはすごいことです。アナウンサー志望者にとってミスコンは「女子アナの登竜門」と認識されていることもあり、面接時にアピールしたくなる気持ちもわかります。ですが、さきほどお伝えしたように、そのことが採用担当者からしたら「オーバースペックではないか」「こんな簡単な仕事を与えたら退屈してしまうのではないか」「会社や上司の指示を聞かないのではないか」と判断されてしまうこともあるのです。

どれだけ第一印象が良くても、どれだけ経歴がすばらしくても、あなたの価値が採用担当者に伝わらなければ内定を勝ち取ることはできません。

■面接では「経験」と「共感」を見られている

図表1をご覧ください。採用担当者が転職志望者に求める2つの価値をまとめたものです。1つ目は「機能的価値」。その人のスペックから感じる価値です。

【図表1】「ぜひ採用したい」と思う転職志望者に求める2つの価値
「ぜひ採用したい」と思う転職志望者に求める2つの価値(出所=『転職は話し方が9割』)
・募集職の経験者であるか?
・技術やスキルはあるか?
・即戦力としてすぐに活躍してくれるか?

が、求められます。でも、これまでの経験とスキルからあなたのスペックを伝えるだけでは面接官の心は動きません。では何が必要なのか? それは「共感」です。

松下公子『転職は話し方が9割』(standards)
松下公子『転職は話し方が9割』(standards)

それが2つ目の「情緒的価値」。心の感情面に訴えかける価値です。例えば、“嬉しい”“ワクワク感”などのプラスの感情です。

古代ギリシャの哲学者アリストテレスも、人を動かすには共感が大事だと説いています。具体的にはエトス(信頼)、パトス(共感)、ロゴス(論理)の3要素が、人を動かすときに必要だということです。

いくら信頼があっても、論理的に正しいことを伝えても、人を動かすことはできません。共感を含めたこの3要素がすべてそろっていることで、人を動かすことができる、転職においては採用担当者に内定を出させることができるのです。転職における共感とは、「ぜひ一緒に働きたい!」と思ってもらえるプラスの感情が湧くかどうか? ということです。

・会社の所属やチームが目指す目標に対して一緒に頑張れる人なのか?
・入社したら自分は何がしたいのか? 何を叶えたいのか?
・この会社で働くことで、自分はどうなりたいのか?

といった“あり方”に共感できる人なのかどうかを、転職面接では見られているのです。

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松下 公子(まつした・きみこ)
元アナウンサー、アナウンススクール代表
STORYアナウンススクール代表/STORY代表。1973年茨城県鹿嶋市生まれ。25歳フリーターでアナウンサーに内定。テレビラジオ4局のステップアップを果たす。その後、共感で選ばれるプレゼン手法「共感ストーリー」としてメソッド化。STORYアナウンススクールでは、志望動機、自己PRの作成を指導。面接における伝え方の指導も行い、NHKキャスターや地方民放局アナウンサーの内定に導いている。現在は、一般企業の転職など、選ばれる人になるサポートや講演活動を行っている。著書に『「たった1人」に選ばれる話し方』、『転職は話し方が9割』(ともにstandards)がある。

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(元アナウンサー、アナウンススクール代表 松下 公子)

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