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メガネをやめてワックスをつけたら契約がとれた…"日本一の営業マン"が身をもって痛感した「営業は第一印象が9割」

プレジデントオンライン / 2024年5月13日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Natnan Srisuwan

営業で結果を出すにはどうすればいいか。営業支援を行う営業ハック代表の笹田裕嗣氏は「基本的なことだが忘れられがちなのが身だしなみの大切さだ。第一印象が悪ければ、何を話してもしっかり聞いてもらえない」という――。

※本稿は、笹田裕嗣『営業がしんどい 売れなくて悩む営業が今日からできること』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。

■営業で成果を出すためにいちばん大事なものは何か

研修やセミナーでよくお伝えしている言葉があります。「営業は習慣が9割」です。

「◯◯は□□が9割」という表現は、その分野やテーマにおいて、最も重要なものは何か、結果に大部分のインパクト・影響を与えるものは何かということですが、営業においてそれは「習慣」です。

反論はあると思います。営業で大事なこと、成果を出すために一番大事なものは何か? と尋ねれば、

・営業はヒアリングが最重要
・営業は最後売り込むんだから、クロージングのスキルが不可欠

など、色々な意見が出てくることでしょう。もちろんそれらも大事なことには変わりありません。

しかし、一時的に売上を伸ばすことは意外と簡単にできますが、営業としてより重要なのはその成果を継続できるか否かです。この成果の安定性・継続性を高めるためには、「売れる習慣」を身につけていることが最も肝心なのです。

■メガネをやめてワックスをつけたら受注が決まった

人との関係性は習慣で決まります。「人は見た目が9割」といわれますが、これは第一印象を決める要素は、視覚情報(目から入ってくる情報)である見た目と、聴覚情報(話し方や声などの耳から入ってくる情報)で9割が構成されるという、メラビアンの法則に基づくものです。話の内容よりも見た目や声や話し方の雰囲気で印象が決まってしまうということを意味しています。

また、人間は思い込みの生き物なので、第一印象で「この人いいな」と思えば、その人の話す内容は良いものだと思って聞きがちです。逆もまた然りです。

だからこそ、営業をされている方であれば、第一印象は誰しもが大事にしていると思います。上司や先輩から「第一印象は大事にしろ」「身だしなみを整えろ」と言われた経験がある方も多いと思います。

私が千葉の田舎っ子だった新卒1年目のとき、最初に上司に言われたことは「メガネをやめろ。ワックスつけろ」でした。実際にメガネを外して営業を始めたら、その日に受注をいただけたのは衝撃でした。本当に見た目って大事なんだと痛感した私の経験です。

そして習慣の話からなぜ第一印象の話をしたのか。それは、第一印象の9割を占める見た目や声の印象は、まさに習慣の賜物だからです。清潔感は普段から自分の身だしなみに気を配り、自分が周りからどう見えているかをちゃんと認識していれば、相手から好印象を持ってもらうことができます。

ほとんどの営業パーソンは、良い習慣を身につける意識がなく、一時的なトークや質問の仕方など、「何を話すか」ばかりに意識がいってしまっているのです。

しかし、お伝えした通り、何を話すかの前に、誰が話すか、見た目や声の印象が9割なのです。見た目や声の印象、話し方で失敗している人は、どんなに良い内容を準備していたとしても、そもそも営業の土俵に上がれていないことがあるのです。

身振りを交えて説明をする人
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo

■良い習慣を一度身につければ一生の支えになる

営業は良質な習慣を持っていれば、成果を変えることができます。良い習慣は、身につけるまでには時間がかかります。けれど一度身につけてしまえば、それはあなたにとって当たり前の行動や考え方となり、長きにわたり自分を救ってくれる武器になります。

今日の成果は過去の積み重ねの産物です。今日めちゃくちゃ頑張ったから受注や売上が爆増するなんてことは、営業では奇跡に近いです。

例えば、弊社のような営業代行やコンサルティングで、一度のご契約で数百万円を法人に決裁していただくとなると、たとえ相手が社長であったとしても、「初めまして。こんにちは。契約します」とはなりません。

■今日のアポは昨日までの努力の積み重ねの上にある

初回の商談を行ない、相手が他社との比較や社内状況の把握、関係各部署との調整などを行なって、そこからまたいくつか質問や課題が生まれ、それらを解消し、乗り越えて初めて成約につながっていきます。商材にもよりますが、初回の商談から契約締結まで長ければ数カ月~1年かけるものもあります。

さらに、商談の機会をいただくアポイント獲得活動だって、今日のアポは過去の自分の頑張りやテレアポチームやインサイドセールス部隊の努力の上に生まれていることを忘れてはいけません。アポも受注もこれまでの積み重ねから生まれた結果です。

単価の高い受注も、会社がプロダクト・サービスを作り、会社としての信頼値を高め、そしてあなた自身がお客様との関係をここまで高めてきたからこそ、高いお金を払ってでも御社に、あなたにお願いしたいと言われた結果なのです。

■「質か量か」「気合いかロジックか」二択は“どちらも大事”

営業の話をするときによく話題に上がる、「質と量はどちらが大事なのか」。結論は、「どちらが」という議論ではなく、「どちらも」大事です。というよりも、この手の二択論争のほとんどが「どちらも大事」なので、こういった点で悩むのはもったいないです。ほかには、

・ヒアリングなのか、プレゼンなのか
・気合いなのか、ロジックなのか
・仕組みなのか、人なのか
・関係構築力なのか、企画力なのか
・対面なのか、オンラインなのか
・営業なのか、マーケティングなのか

なども議論になりがちです。

これらはすべて、どちらが大事かではなく、バランスをしっかりととることが大事なのです。どちらかに依存している状態は、うまくいかなかったときの選択肢や対策が限られてしまい危険です。できる営業ほど、うまくいかなくなったときの準備を常にしています。

■年度末に向けて研修サービスを売るならどうするか

営業が売るために基本的に考えることは「いつ」「誰に」「何を」「どうやって」売るかです。例を挙げます。

いつ:3月の年度末のタイミングで
誰に:決算期の従業員50名前後の製造業に
何を:研修サービスを
どうやって:訪問なしで

このタイミングなら、「予算消化で」「来期のため」というアプローチが1つの手法でしょう。かつこのタイプの商材であれば新規開拓よりも既存のお客様にアプローチをした方が、確率が良さそうという判断ができると思います。

■4月に求人媒体を売りたいならまずは何を見るか

しかし、既存の取引先が無限にいるわけではありません。まして「年度末」という期間限定のアプローチであれば、4月以降は次の打ち手を準備しておかなければいけません。

違う例で考えてみましょう。

いつ:4月~6月の今四半期
誰に:これまで受注実績のあるIT企業に
何を:求人媒体を
どうやって:手段問わず(訪問、オンライン、電話、メールなど)

IT企業といっても多数あります。企業の与信管理サービスを手掛けるリスクモンスター社の調査によれば、ソフトウェア業、情報処理・提供サービス業を合わせた企業数は9万社を超えるそうです。これだけの会社すべてに同時にアプローチすることはできません。やらなければいけないことは、より細かく分類、セグメントを分け、優先順位をつけることです。

まず、求人媒体を売りたいということであれば、当然「採用ニーズ」がある会社にアプローチをすべきです。採用ニーズの有無は、他社の求人媒体に掲載されていたり、ハローワークで募集が出ていたりすれば、採用する意向があることがわかります。会社のホームページを見たら、採用サイトやページが出ているかもしれません。

■「誰に」「何を」売るか戦略を定めて実行していく

ほかにも現在取引をしているお客様の声やニュース、地域や企業の属性などから傾向が出せるかもしれません。「都内の同規模の会社が採用強化を進めており、商談相手のお客様も注力する可能性がある」「地元の有力企業が自治体の大規模案件を受託し、現状とは違った業務が発生する可能性がある」など、予測を立て、セグメントを分けることで、営業効率を上げられる可能性があります。

営業は常に、PDCAを大なり小なり高速で回転させることが重要です。ここでの「大」とは戦略や戦術部分、「小」とは実践・実行部分です。

営業における戦略とは、目標を達成・実現するための方針や指針です。「誰に」「何を」売っていくのか、新規メインなのか、既存のお客様からアップセルやクロスセル、継続発注をいただくことに注力するのかなどを決めることが戦略です。営業戦術は具体的なお客様へのアプローチアクションを明確に定めていきます。

営業戦略は大局的に中長期的な動き方を定め、それをより局地的に絞ってアクションを定めるものが戦術になります。

■いちプレイヤーであってもマネジメントスキルは必須

戦略・戦術の話が長くなりましたが、なぜこの話をしたのか。それは、自身の動きの優先順位を定める・見誤らないようにするためです。

笹田裕嗣『営業がしんどい 売れなくて悩む営業が今日からできること』(日本実業出版社)
笹田裕嗣『営業がしんどい 売れなくて悩む営業が今日からできること』(日本実業出版社)

マネジャーやプレイヤーという立場を問わず、すべての営業に必要なのは「マネジメントスキル」だと私は考えています。成果に近いアクションを明確にし優先順位を定め、実行するということです。これはマネジャーだけでなく、プレイヤーにおいても求められる動きであり、やるべきことです。

ドラッカーは、マネジメントを「組織を機能させること」と定義していますよね。営業組織における「機能している状態」とは、シンプルに言えば「成果が出ている」状態です。もう一歩踏み込んで言えば、「成果を出し続けている状態」を作り出せているのが理想です。営業における成果は、目標達成です。

マネジャーは部下という「ヒト」、ツールなどの「モノ」、予算である「カネ」という経営資源を管理・活用する立場なので、イメージがしやすいですよね。ただプレイヤーも同様に、「時間」「情報」というリソースを有しています。自分という経営資源を最大限活用し、成果を最大化し、目標を達成することが役割であり、自身に課せられた職務であり、責任です。だからこそ、マネジメントスキルは全員が持つべき必要なスキルなのです。

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笹田 裕嗣(ささだ・ひろし)
営業ハック代表取締役社長
20歳の頃から営業のキャリアをスタート。新卒で大手人材会社に入社し、入社半年で営業成績トップになる。メガベンチャーに転職した後、営業フリーランスとして独立。営業代行事業・コンサルティング事業も行う。2018年、営業ハックを創立。2022年には日本最大級の営業の大会第6回「S1グランプリ」にて最終決戦で満票を獲得し優勝者となる。

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(営業ハック代表取締役社長 笹田 裕嗣)

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