「会社のお金で酒を飲む」にはどうすればいいのか…「目安は5000円以内」とされている税法上の根拠とは
プレジデントオンライン / 2023年11月27日 13時15分
※本稿は、大村大次郎『ひとり社長の税金を逃れる方法』(かや書房)の一部を再編集したものです。
■お酒を飲んでも経費にできる
会社のお金で酒を飲む方法として、会議費を使うという手があります。
税法では、会議費という経費が認められています。
会議費とは、その名の通り会議に関係してかかった費用のことで、食事と若干の飲み物代も認められているのです。
欧米の会議では、食事と一緒にアルコールをとることもあります。
欧米の文化は何でも良しとする日本は、「会議で酒」という文化も認めているわけです。
■「1人あたりビール1、2本、ワイン数杯」程度
ひとり社長や家族経営の会社でも、この会議費を使うことができます。
ただし、あくまで会議のための支出であることが前提で、会社のお金で際限なくお酒を飲めるということではありません。
会議費で認められるアルコールは、目安として1人あたりビール1、2本、ワイン数杯程度とされています。
金額にして大体3000円くらいでしょう(明確な基準はありません)。
また会議費が経費として認められるには、「会議にふさわしい場所」であることも条件です。そのため、「会議を居酒屋で開催した」ではまずいのです。
ただし昨今では、会議室を有する居酒屋もあるようですので、そういうお店なら会議だったと主張することも可能かもしれません。
会議が行われた証拠も必要です。簡単な議事録や出席者名簿などは残しておくべきでしょう。
このように条件はありますが、会議費を使えば、飲み代を会社で出すことができます。
■「部署で飲みに行く費用」も賄える
会社では、重要な仕事が始まるときや、終わったときに、部署で飲みに行ったりすると思います。
そういった場合も「会議費」で処理できるでしょう。
お酒の量は限られていますが、ホテルのレストランなどで、軽く1杯、1次会の費用くらいは賄えるはずです。
外に出ず、社内で「会議」を開き、食事は出前などを取るのであれば、3000円でも十分に豪勢な会ができるでしょう。
■「ランチ会議」で節税できる
この「会議費」を使うと、飲み代以外の費用、例えば豪勢なランチを会社の経費にする、ということもできます。
昼食時に会議を行い、昼食代は会社から出せばいいのです。この場合、全額を会社の経費として計上できます。
会社の会議室で仕出しをとってもいいし、ホテルやレストランで会議を行ってもいいでしょう。
ただし、あくまで会議が前提ですので、毎日続くのは不自然です。週に1、2回くらいなら問題ないでしょう。
もちろん、毎日会議でランチを取る合理的な理由があれば、認められます。
欧米の経営者の中には、毎日、ランチをとりながら会議をする、という人もいます。そういう場合は、もちろん会議費として計上できます。
昼食だけでなく、朝食(もちろん夕食も)も可能です。
朝食をとりながら会合をするという議員さんもいますし、決して不自然なものではありません。
場所は定食屋などでなく、会議のできる場所、ホテルやレストラン、料亭などである必要があります。
■飲み会は「1人5000円」にすべき理由
「5000円の特例」というものもあります。
これは1人当たり5000円以下の飲食費については、交際費から除き、全額を損金算入できるというものです。
つまり、1人5000円以内の飲み代であれば、交際費の枠を使わず、会社の経費で落とせるのです。
1人5000円というのは、消費税抜きの金額です。だから、消費税込みの金額で言うと、5500円です。
1人5000円というと、けっこうな額です。普通の居酒屋なら、大体5000円以内に収まるはずです。
だから、普通の飲み会ならは、この制度で損金計上できるのです。
高級店での接待などは別として、庶民的な接待交際はこれでいくらでも経費計上できます。
また全員が5000円以内に収める必要はなく、平均単価が5000円以内に収まればOKです。
1人5000円以上かかりそうな場合は、あまり飲まない人を連れていって、平均単価を下げればいいでしょう。
■飲み代を経費計上するための条件
飲み代5000円を損金計上する場合、若干の条件があります。
まずは次の内容を記載した書類を保存しておかなければなりません。
②その飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称及びその関係
③その飲食に参加した者の数
④その費用の金額並びにその飲食店、料理店等の名称及びその所在地
⑤その他参考になるべき事項
■5000円を1円でも超えてはならない
書類を作るのはちょっと面倒ではありますが、飲み代を経費にできるのはお得ですから、これくらいの手間は我慢したほうがいいでしょう。
飲み会の多い会社では、ひな形や様式をつくっておくといいかもしれません。
この特例は社内の人間同士の飲み会には対象外です。社内の人間同士で飲む場合は、会議費を使うことになります。
また1人あたり5000円を1円でも超えると、全額が経費として認められなくなりますので、注意が必要です。
■「忘年会・新年会・花見」は福利厚生費
忘年会、新年会、花見などの費用を会社が出すという方法もあります。
会社なら、社員を集めて行う行事があってもおかしくありません。
そういう定例的な行事の費用は、会社が福利厚生費として負担し、経費計上できることになっています。
どんな行事も認められるというわけではありませんが、社会一般的に認められているような行事であれば、大丈夫です。
忘年会、新年会、花見くらいまでは、まず問題ないでしょう。暑気払いも大丈夫だと思われます。
交際費ではないので、中小企業の800万円の交際費枠は減りませんし、交際費枠のない大企業でも支出できます。
忘年会などの費用を福利厚生費で出すには条件があります。
・ほぼ全員の社員が参加していなければならないこと
・著しく高額な費用は認められないこと
「著しく高額」といっても、具体的な基準があるわけではありません。
昨今では安い居酒屋でも1人数千円しますし、ちょっといいところに行けば1万円を超えます。おおよそ数千円から1、2万円程度の費用であれば、福利厚生費として支出可能だと考えていいでしょう。
ただし、取引先や社外の人を招待する場合は、福利厚生費ではなく、接待交際費として計上しなければなりません。
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ビジネスライター
1960年生まれ。調査官として国税局に10年間勤務。退職後、出版社勤務などを経て執筆活動を始め、さまざまな媒体に寄稿。『脱税のススメ』『お金の流れでわかる世界の歴史』など著書多数。近著に『お金で読み解く世界のニュース』。
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(ビジネスライター 大村 大次郎)
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