新NISAはこれを買っておけば間違いない…投資のプロが「最も成功確率が高い」とオススメする金融商品
プレジデントオンライン / 2024年1月11日 15時15分
※本稿は、朝倉智也『私が50歳なら、こう増やす!』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。
■私が考える最も成功確率の高い運用方法
何度「リスクを抑えて運用すればよい」といわれても、ハイリスク・ハイリターンと聞くと、「やっぱりこわい」と思う方は多いと思います。
しかし私は、幅広く世界の株式に投資をすることは、私たちが取りうる、最も成功確率の高い運用方法だと思っています。
私自身、資産の大半を何らかの形で株式に投資していますが、その意味をよく知っているので、こわいと感じたことはありません。
こわくないということを腹に落とすには、「世界の株式に投資する意味」をしっかり理解しておくことが必要です。
図表1をご覧ください。棒グラフが世界の名目GDPの推移、折れ線グラフは世界の株価の動きを示すMSCI全世界株価指数の推移です。
株価の推移を見ると、たしかに大きく下落している局面があります。1999〜2000年にネットバブルが崩壊したタイミング、2008年のリーマン・ショックのタイミングでは株価が大きく落ち込んだことが見て取れますし、最近では2020年のコロナ・ショックによる急落もありました。
しかしこうした時期があっても、その後、株価は必ず回復しています。グラフからは、「長期では、世界のGDPも株価も、右肩上がりに伸びてきた」ということがわかるでしょう。
■世界経済が成長を続けるワケ
なぜ、世界経済は成長を続けることができたのでしょうか?
それは図表1の中に示したように、世界経済を牽引する企業がずっと現れ続けてきたからです。
ネットバブルがはじける前、アメリカではアマゾン・ドット・コムやイーベイ、ペイパル、グーグル(現アルファベット)、セールスフォース・ドットコムなどが次々に立ち上げられ、中国でもテンセントやアリババ、バイドゥなど、のちにメガテックと呼ばれる企業が誕生していました。
ネットバブル崩壊後には、テスラ、リンクトイン、フェイスブック(現メタ)、スポティファイなどが次々に登場しています。
リーマン・ショックの最中には、エアービーアンドビー、スラック、ウーバーなどが生まれ、その後もズーム・ビデオ・コミュニケーションズやラインの登場が続きました。
こうしてみると、世界では人々が次々にイノベーションを起こし、先進的な企業が生まれ続けてきたことがよくわかります。
では、今後はどうでしょうか?
■世界経済の成長の果実を自分のものに
私は、これからも先進的な企業が生まれて世界経済は成長していくに違いないと思っています。
AI、ブロックチェーン、IoT(Internet of Things/モノのインターネット)、メタバース、EV(電気自動車)、量子コンピューターなど、いままさに進化の真っ最中で、これから社会を大きく変えていくことがすでに見えている技術は枚挙(まいきょ)にいとまがありませんし、その先にも期待の新技術が続々と生まれるだろうと想像します。
そして、そのような進化の中から、世界経済を牽引する次の企業が現れるでしょう。
もちろん、一時的な景気後退などで株価が下落する局面もあるはずですが、長期的に見れば、株価は今後も右肩上がりで伸びていくのではないかと思います。
世界の株式に分散して投資することは、このような世界経済の成長の果実を、自分のものにすることを意味します。
みなさんも、長期的な世界経済の成長を信じられるなら、その果実を得ようと手を伸ばしてみたほうがよいのではないでしょうか。
■積み立て後に株価が下がっていたらどうすればいいか
ちなみに、私が「10年以上の長期運用を」と話すと、「運用して10年目にちょうど景気後退になって株価が大きく下がっていたら、どうすればいいのか」と質問を受けることがあります。
もちろん「10年以上の長期運用」は、「10年経ったら運用を止めて売却する」ということではなく、11年、12年、13年、さらに20年、30年と運用してもよいわけです。
ですから、10年経ったところで、もし株価が低迷していたら、そのまま積み立てを続けることをおすすめします。
過去の景気後退の際も、株価は数年以内には戻っています。
せっかくなので、安く買える間に「量(口数)」を増やそうと考えて積み立てを続けていけば、少し株価が戻ったところで利益が出る可能性がぐっと高まります。
もちろん、運用10年目のタイミングで、まとまったお金が必要になることが確定しているのであれば、そのタイミングに向けて「すぐに使える現預金」を準備しておくことは必要です。
相場が急落したときに備えて、当座、必要なお金は、長期運用する分とは分けて管理しておくことがとても重要です。
■「為替ヘッジあり」か「為替ヘッジなし」か
先にご説明したように、50代の方が資産管理のベースとして利用するのには、インデックスファンドが向いています。
私がこれから資産運用を始めるとするなら、新NISAで積み立てるファンドとして選ぶのは、1本で幅広く世界に分散投資できる「全世界株式インデックスファンド」です。
同じ指数に連動するファンド同士なら運用成績に差はありませんから、信託報酬が最も低いものを機械的に選びます。
なお、世界の株や債券に投資するファンドには「為替ヘッジなし」と「為替ヘッジあり」のタイプがあります。「為替ヘッジ」とは、為替レートの変動の影響を抑えることです。
為替レート変動の影響を抑えるには、先物取引やオプション取引などの手法を使うため、「為替ヘッジコスト」がかかります。「為替ヘッジあり」は、このコストの分だけリターンが低下するわけです。
私が選ぶのは、「為替ヘッジなし」のほうです。
もちろん「為替ヘッジなし」を選べば、為替相場が円高に振れた場合に、円ベースでの資産価値にマイナスの影響があります。
しかし、先にご説明したように、私は円安による資産価値の下落に備えるという観点では、通貨の分散をはかることが重要だと考えており、わざわざコストをかけて通貨分散の効果を打ち消してしまう「為替ヘッジあり」には魅力を感じません。
また積み立て投資であれば為替相場の変動についても時間分散が効きますから、新NISAで株式ファンドを積み立てながら、少しずつ外貨ベースの資産を増やしていくというのは、悪い選択ではないと思います。
■新NISAで積み立てるファンドを選ぶなら
世界の企業に分散して投資するインデックスファンドとして私が選ぶとしたら、「SBI・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま〈全世界株式〉)」(SBIアセットマネジメント)か「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」(三菱UFJアセットマネジメント)です(図表2)。
どちらのファンドも、全世界の株式に投資するインデックスファンドの中で、ベンチマークは異なりますが、信託報酬が最安水準で、非常に低コストで運用することができます。
これら2本のファンドについて、詳しく中身を見ていきましょう。
■「雪だるま」の構成銘柄数は9400
図表3をご覧ください。
「雪だるま」は、全世界の株式市場の動きを示す「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス」という指数に連動します。
コストを抑えながら、先進国企業、新興国企業、そして日本企業にも幅広くまとめて投資できる1本です。
国・地域別で大きな割合を占めているのはアメリカで、59.2%。その次が日本で6.5%、アメリカと日本を除く先進国が23.5%、新興国は9.9%となっています。
実際の運用は、大型株から超小型株まで幅広い米国株で運用する「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF」、米国を除く先進国の株で運用する「SPDRポートフォリオ先進国株式(除く米国)ETF」、新興国の株で運用する「SPDRポートフォリオ新興国株式ETF」という3本のETF(上場投資信託)を組み合わせており、構成銘柄数は9400を超えています。
ETFとは投資信託の一種で、日経平均株価やTOPIXなど、特定の指数に連動するように運用されています。金融商品取引所に上場されているため、金融商品取引所の取引時間内であれば、任意のタイミングで売買ができます。
この「雪だるま」は、アップルやマイクロソフトといった有名企業だけでなく、一般には名前が知られていない小型株まで幅広く組み入れられているのが特徴です。これは、今後の成長が期待できるという点で魅力的ではないかと思います。
■パフォーマンスに大きな差はない
もう一つの候補である「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」は、「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)」というインデックスに連動するファンドで、日本を含む先進国と新興国の株式に投資します。
組入銘柄上位国・地域は「雪だるま」と似通っていますが、構成銘柄は約2800強なので、「雪だるま」に比べると少ないといえます。
これまでのところ、実際のパフォーマンスは「雪だるま」と「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」であまり大きな差はありません。
「とにかくコストの低いほうがいい」「より分散が効いているほうがいい」「小型株が含まれているほうが成長に期待できそう」といった好みによって、いずれか1本を選べばよいでしょう。
初心者で、まずはシンプルに始めたいという方や、できるだけ手間をかけずに済ませたいという方であれば、この2本の「世界中の株式に投資する超低コストインデックスファンド」のいずれか1本を選んで積み立てていけばOKです。
大手ネット証券であれば、どちらのファンドも取り扱っています。
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SBIグローバルアセットマネジメント社長
1966年生まれ。1989年慶應義塾大学文学部卒。銀行、証券会社にて資産運用助言業務に従事した後、1995年米国イリノイ大学経営学修士号(MBA)取得。同年、ソフトバンク株式会社入社。財務部にて資金調達・資金運用全般、子会社の設立および上場準備を担当。1998年モーニングスター(現 SBIグローバルアセットマネジメント)設立に参画し、以来、常に中立的・客観的な投資情報の提供を行い、個人投資家の的確な資産形成に努める。SBIホールディングスの取締役副社長を兼務し、SBIグループ全体の資産運用事業を管理・運営する。
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(SBIグローバルアセットマネジメント社長 朝倉 智也)
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