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たった3つのことを心がけるだけで話下手が劇的改善…「一流のプレゼン」を最短で身に付けるコツ

プレジデントオンライン / 2024年1月22日 7時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo

プレゼンに苦手意識のある人は何を心がければいいか。元ドリームインキュベータ代表で経営コンサルタントの古谷昇さんは「プレゼンの要素は、構成やスライドの書き方などの『パッケージ』と喋りがうまいかどうかの『話法』の2つである。しかし、プレゼンが下手な人に話法の部分的な細かいテクニックを教えても混乱を招くだけで上達しない。教えるのは『声を大きく』『スライドを見ない』『テンポを変える』の3つのコツだけでいい」という――。

※本稿は、古谷昇『コンサル0年目の教科書 誰も教えてくれない最速で一流になる方法』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

■経営コンサルに必要な「知恵」を会得するための方法

わが身を振り返ってみると、コツを会得することでノウハウを身につけるというのは、経営コンサルタントに向いている方法でもあったようだ。

というのは、私はこれまでずっと経営コンサルタントをやってきて、他の業界を経験していない。にもかかわらず、20年以上の長きにわたって、常に異なる業種、異なる会社、異なるテーマを扱ってきた。

特定の知識や手法に頼っていたら、このようなことはとてもできなかったはずだ。

じゃあ、私は何を頼りにやってきたのか。

これは自分の専門分野だから自信を持っていえる。

私はこれまで、経営コンサルタントとして生きていくには、煎じ詰めれば「知恵を出せるかどうか」の一点にかかっていると思い定めて、あれこれ自分なりに工夫を凝らしてきたつもりだ。いまでは、これができさえすれば、どんな業界のどんな会社に行っても怖くないと思っている。

そして、その知恵を出すための基本原理は何かといえば、やはり物事の本質をつかむことで、そこからコツを引き出し、しかもそのコツをしっかりと会得することなのだ。

ここにおいて、「コツで学ぶ」ことと「知恵の出し方」(あるいは、経営コンサルタントに向いた学び方)とが、非常にうまく交差することになる。

■ノウハウは少なく覚えて広く活用せよ

たとえば、身につけたノウハウに汎用性があることなどについては、とくに顕著である。また同時に、これは実に重要なポイントでもある。

汎用性があるということは、普遍性を持っていることにも通じる。1つのノウハウが、いろんな業界のいろんなケースで活かせるなら、こんなに都合のよいことはない。

とくに、あらゆる業種を扱うコンサルタントが身につけるノウハウには、汎用性が求められる。汎用性があるノウハウなら、少なく覚えて広く応用できる。逆に、これでなくては経営コンサルタントとして通用しないといってもいい。

よく私たちの業界でも、若い人たちから「大企業での業務の経験がないから、組織がよくわからない。ついては、よい仕事をするためにも、短期でいいですから、どこかに出向させてくれませんか」などと申し出があったりすることがある。

熱心な姿勢はいいが、これでは困るのだ。

なぜなら、新しいタイプや業界の仕事を担当するたびに出向したり、万全を期すためだといっていつまでも1つの特定な作業にばかり拘泥していたら、単なる一担当者になってしまうからである。

すべてやらなければわからないとか、すべてわからなければ答えが出せないというのでは、仕事にならない。いつか必ず、どこかでキリをつけて店仕舞いをしていく必要があるのも、仕事というものなのだ。

こうした若い人たちの要望は、頭で考えれば正当だし、ほめるべきものだが、残念ながらビジネスには現実というものがあって、事はそんなに単純にはいかない。

つまり彼はまだ、いまだ「ビジネスの現実」を知らず、の段階なのである。

頭がよくて優秀な人で、それなりのキャリアがある人のなかにも、このような基本にはいつまでたっても無頓着なタイプが、意外といたりする。

そういうタイプの人はやはり、物理的にも精神的にも仕事の効率がガクンと落ちて、前に進めなくなってしまう。

■即効性のあるプレゼンはしっかりと身につける

ともあれ、私たち経営コンサルタントが身につけているノウハウは、あらゆる業界に応用できる可能性が高い。このことだけは納得いただけたと思う。

ということで、即効性があって、しかも楽しい「仕事の覚え方」講座を進めることにする。

その一は、プレゼンテーションのやり方。これは実は、自分の売り込み方でもあって、業界を問わずすべてのビジネスマンの必須科目になっている。

これが上手にできないと、はなはだ困る。というより、はなはだ損だ。

たとえ、あなたがほんとうは非常に仕事ができて、ちょっと他にはいないアイデアマンだったりしても、それをうまく伝えられなければ、周りの人たちは評価のしようがない。それどころか、プレゼンの場を与えられたときにオロオロして口ごもっているようでは、たちまち「こいつ、ダメだ」の評価を下されてしまうことになる。

そんなハメにならないように、プレゼンのやり方だけはしっかりと身につけておいたほうがいい。

いきなり結論からいく。

プレゼンの要素は「パッケージ」と「話法」の2つである(図表1)。

プレゼン上達法
出典=『コンサル0年目の教科書 誰も教えてくれない最速で一流になる方法』

これをさらに分解していくと、パッケージはつまり内容であり、内容の良し悪しは「構成」と「スライドの書き方」で決まってくる。伝えたい内容をどんなストーリー構成に仕立てればいいか、どんなスライド(具体的には図や表やグラフなど)を用意すれば聞く人たちに理解されやすいか、である。

■テクニックに頼りすぎたらプレゼンは上達しない

もう1つの話法のほうは、要は喋りがうまいか下手かということだ。

同じく、この話法をさらに分解していくと、「スライドの説明方法」「話のつなぎ方」「聞いている人とのインタラクションの仕方」、その他いろいろとなって、こちらはパッケージに比べてグンと要素が多くなってくる。

さらに、その要素それぞれにいちいち細かなテクニックがある。

スライドの説明方法を例にとると、その場でアンダーラインを入れてみるといい(「線を引く」)とか、たとえば「今日は、いいたいことが三つあります」(「先に項目数をいう」)といって話しはじめるといい、といった具合である。

したがって、プレゼンがうまくなるためには、図表1に示した要素やテクニックをキチンと一つひとつ習得していけばいい。気の利いた冗談の一つも交えてウケを狙う。

ときには聞き手に何か質問してみるのも変化がついていい。大聴衆が相手のプレゼンだったら、お客さんたちに「こういう方いらっしゃいますか」と投げかけて、手を上げさせるのも1つのテクニックだ――。

と、私は、そんなことをいいたいのではない。

逆である。

プレゼンが下手な人にいきなり「ここでこんな冗談を入れるといいよ」「手を上げさせると客が参加意識を持つからいいんだ」などと、部分的な細かいテクニックを一つひとつ教えたってダメなのだ。アドバイスそのものとしては正しいが、プレゼン全体はちっとも上達しない。

だいいち、覚えなくてはならないことが多すぎて、肝心のヤル気が萎えてしまう。

では、どうすればいいのか。

跳び箱を跳べない子に「助走」「踏み切り」「手をつく位置」などとステップを分解して、いちいちテクニックを教えるのは利口なやり方ではない。

正解は、肝心なコツだけを教える、だったはずである。

■プレゼンの極意は「声を大きく」

プレゼン上達法も同じで、最初からたくさんのことを教えすぎたら、かえって混乱してしまうだけだ。

教えるのは、次の3つだけでいい。

①声を大きく
②スライドを見ない
③テンポを変える

これは私の経験上から導いたごく私的なコツだ。もちろん本邦初公開。

両腕で体重を支える感覚を教えると9割方の子どもが跳び箱を跳べるようになるのと同様、この3つを教えると9割まではいかなくとも、ほぼ8割方の新入社員はアッという間にプレゼンがうまくなってしまうのである。

決して私の大風呂敷じゃなくて、ホントにホントなのだ。

そんなウマイ話があるもんかと、にわかには信じられない人もいるだろうから、ちょっと説明を加えておこう。

①に従って声を大きくすると、実はこれだけでもう、プレゼンはかなりよくなる。なぜなら、大きく発声すると、声にハリが出るのだ。ハリのある声で喋ると、聞く人に意思がよく伝わるようになって、説得力が出てくる。

ただし、「がなり立てろ」というのではなくて、肝心なのは声のハリのほうだ。教えるときは、いきなり声のハリといってもわからないから、ごくシンプルに「声を大きく」というようにしている。

メガホンを使用してプロモーションする男性実業家
写真=iStock.com/airdone
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/airdone

②もそうで、逆にいうと「聞き手のほうを見ろ」ということである。これには2つの意味がある。

1つに、視線が聞き手のほうを向いていると、そうでないときに比べて格段の信頼感が出て、同じことをいってもグンと説得力が増す。

そしてもう1つ。聞き手のほうを向いていれば、ウケているかいないかみんなの反応がわかるから、場合によっては途中で軌道修正ができる。

これも教えるときにはシンプルに、スライドを見て話せば楽かもしれないが、あえて「スライドを見ないように」といい、それを守らせることで、あとは結果として自分で自然に悪いところ、足りないところに気づいて改善していってもらう。

また、よほど周囲のムードに鈍感な人でない限りは、この②を守っていれば、イヤでも自分のプレゼンの欠点に気がつくし、それによって自ずと改善されていくものなのだ。

ここまでで、だいたいみんなかなりのところまで上達してくれる。

■コツとは「複雑」ではなく「単純」なもの

最後に③のテンポ。これは3つのコツの中では、やや難しい。

単調に喋っていると、やっぱりどうしても聞き手が飽きてしまう。だから、「テンポを変える」ことで話にメリハリをつけろ、と教えるわけである。

もっとも、これにもやはり二重の意味がある。

まず、テンポを変えようと心がけると、自分がいちばんいいたいことはこれで、こっちはそれに対するつけたしの説明だといったことが、頭の中ではっきり整理されてくるのだ。

自分がいまから話す内容が頭の中ではっきり整理できていれば、強調したいところ、軽く流すほうがいいところがわかり、話し方に自ずとメリハリがつく。それに応じて、話すテンポも変わってくることになる、というわけだ。

この3つ目までできれば、もう誰もプレゼンなんか怖くない、のである。

古谷昇『コンサル0年目の教科書 誰も教えてくれない最速で一流になる方法』(PHP研究所)
古谷昇『コンサル0年目の教科書 誰も教えてくれない最速で一流になる方法』(PHP研究所)

以上、3つのコツは一見あまり意味もなさそうな、単純かつ現象論的なことだが、その裏には非常に本質論的な意味合いが隠されているのだ。

つまり、この3つを徹底させると、プレゼンの内容は事前に頭に叩き込んでおけとか、話しながら客の反応をよく見ろなどと、その他いろいろをいちいちうるさくいわないですむ。

「声を大きく」「スライドを見ない」「テンポを変える」の3つだけを教えておいて、あとは本人が数回のプレゼンを経験すれば、自然に身についてしまうのだ。

もともと、あまり複雑なやり方はコツとはいわない。この種の誰にでもできる単純なものを称してコツと呼ぶのである。

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古谷 昇(こたに・のぼる)
経営コンサルタント
1956年、東京都生まれ。1981年、東京大学大学院工学系研究科修士課程修了(計数工学修士)。1987年、スタンフォード大院経営工学修士(MS)。1981年、ボストンコンサルティンググループ(BCG)入社。1991年、同社ヴァイス・プレジデント就任。同社シニア・ヴァイス・プレジデントを経て、2000年、株式会社ドリームインキュベータ(DI)設立、代表取締役に就任。現在、参天製薬(株)、(株)ジンズホールディングス、サンバイオ(株)、(株)メドレーの社外取締役を務める。また、PEファンドのアドバイザーやベンチャー企業へ投資、経営アドバイスなども行っている。

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(経営コンサルタント 古谷 昇)

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