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なぜ東出昌大はモテるのか…後輩女優3人がスキャンダル俳優と山奥での共同生活を選んでしまう理由

プレジデントオンライン / 2024年1月22日 14時15分

記者の質問に答える俳優の東出昌大(=2020年3月17日、東京都港区) - 写真=時事通信フォト

俳優の東出昌大さん(35)が後輩女優3人と山奥で半自給自足の生活をしている様子を『めざまし8』(フジテレビ系)が放送し、話題となっている。作家の岩井志麻子さんは「東出さんは、『社会的なまともさ』と『危うさ』両方を持ち合わせている。このタイプは女を狂わせる」という――。

■本当にモテる人だけが持っているもの

これほどまでにモテるのは当然と断定され、なぜモテるのかと不思議がられる男性もいないのではないか。と、名前を出さなくても皆さんここで東出昌大さんだとわかる。

前者の断定には、長身のイケメンで人気俳優、かつて人気女優と結婚していた、という理由がある。誰もが納得できる理由ばかりである。

後者の不思議さは、不倫で離婚した後もスキャンダルを繰り返し、今は田舎の山小屋で半自給自足生活を送るほぼ無職、というこれまた誰もがうなずけるものばかりだ。

だが、御存じのように今現在この東出さんは若くてきれいな後輩女優の3人と同居して、たまにテレビなどに出れば、容貌はかなりワイルドに変貌しているものの、変わらぬ色男ぶりだ。同居の女優さんたちが口を揃えるように、本当に楽しそう。

この暮らしぶりもまた、「当然」と「不思議」を両立させているように見える。

モテもいろいろあるけれど、本当にモテる人は、「当然」と「不思議」が両立しているものだ。東出さんが、まさにそれ。

■ホストにハマる女性が考えていること

有名大学卒、社会的地位の高い職業、高収入、といった完全に「当然」の方ばかりを備え、それを求められる人もいれば、周りが心配してしまう経歴、状況の「不思議」な人をあえて選択する人たちもいる。

この場合、前者はモテというより堅実な結婚相手として求められている。後者こそが世間一般の幸せよりも恋情、色欲に重きを置く、いわばフェロモンモテ、原始的モテだ。

だからモテる人の「当然」の部分より、「不思議」の部分に惹かれる人の方が沼にハマりがちだ。わかりやすい例として、ホストと客というのがある。

前者は万人に、凡百の人にも理解でき、多くの人に色気抜きでも好意を持たれる。しかし後者は、「でもあの人の哀しみや孤独の影を見つけて、理解できるのは私だけ。ううん、あの人の美点や将来性を見抜いているのも、私だけ」となる。

いったん世間一般的な幸せの形を二の次としたら、「一緒に幸せになる」ではなく「ともに苦労する」ことくらい、相手以上に自分自身を推す快楽を得られるものはない。

だって人から与えられるお得感より、自身による達成感の方が濃厚じゃないか。

■だから歌舞伎町の闇が明けることはない

東出さんたちと一緒にしてはいけないが、ホストにハマる女子のキーワードの一つに「完走」がある。自称ホス狂いの女の子の、SNSを見てみなさい。たいてい、完走という言葉が散りばめられているから。

担当ホストへの売掛金を払うため、地方の風俗店などへ出稼ぎに行く。1カ月とか3カ月とか、金額によって期間は違うが、その間はただひたすらに客を取る。

出稼ぎを終えて金を握りしめ、担当ホストの店まで支払いに行くとき、彼女らは「完済」ではなく「完走」した自分を自分で誉めてやりたい、と全身をうるうるさせているのだ。

夜の東京の繁華街に立つ女性
写真=iStock.com/maruco
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/maruco

彼女らは指名ホストをナンバー入りさせた、推しを今月のトップにした、という彼らの実績になること以上に、そのために私は完走した、また次も完走を目指す、と完走できる自分自身を目標とし、自分自身に夢を見て恍惚(こうこつ)として興奮している。

売掛制度をなくさないで、私たちの頑張りどころをなくさないで、と願うのは実は客の女の子たちだったりするから、歌舞伎町の闇が明けることはないのだ。

いや、東出さんはホストではないから女たちを働かせ、女たちに金を払わせないが、女たちは東出さんとの生活を完走したくて山小屋にいるのだ。

彼女らは「不思議」の部分にベットしているのだから、世間一般的な幸せを配当してもらえなくても、負けた、損したとは思わない。

■国が「まともな人」と判断している

さて、今現在の東出さんは狩猟をしていることがよく知られている。狩猟には、猟銃がいる。実は私も2挺、所持しているのだが、この銃砲所持許可証は、なかなかに取得と更新が面倒、大変なのだ。

実技試験、筆記試験、精神科医の診断書などなど手続きも書類もいろいろ手間がかかるが、なんといってもメインは警察署による身元調査であるよ。

薬物や酒の中毒者ではない、精神に疾患がない、反社会的勢力と関わっていない、人に危害を加えたり、自傷の恐れがない、といった至極当たり前の条件もある。本人が当てはまらなくても、これらに当てはまる同居人がいてもだめなのだ。

さらに借金がないか、人間関係のトラブルを抱えてないか、酒癖が悪くないか、家庭内に問題はないか、暴力的だとかカッとなりやすいとか噂されてないか、こういうのもみっちり調べられる。物が物だけに、ここまで厳格厳密でも、まったくかまわないのだが。

つまり東出さんは、人格的にも生活環境にも問題はなく、猟銃を所持していても大丈夫という公安委員会のお墨付きがあるわけだ。

絶対に所轄の警察署は東出さんの近しい人に、素行についてかなり突っ込んで聞き込んでいるはずだ。みなさん揃って、「問題ない人です」と答えているのだよ。

なんだかんだで、つまり彼は「まともな人」なのである。良識と常識、そして人望もなければ、「あんな奴に銃を持たせるな」という人がいるはずだ。

彼の「不思議」に惹かれる女は、その「当然」の部分をも見ているのだ。

■同居する3人の女優が欲していること

さて、その猟銃だが、弾を入れていなければ、発射できない。殺傷能力も破壊力もない。

ただの鉄と木の物体ともいえる。だが、弾を入れた瞬間にそれは凶器となり、武器となり、不穏な存在となる。発砲すれば、何かは壊れ、ときに命は消える。

ただの鉄と木でできた物であるときの静かさ、穏やかさ。弾を入れた瞬間に破壊力を秘め、発砲した瞬間に破壊と殺傷を引き起こす危険さ。東出さんは、女たちにとっては銃そのものだ。彼女らは、決してその銃口が自分には向けられないのも知っている。

散弾銃に弾をこめるハンター
写真=iStock.com/Scharfsinn86
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Scharfsinn86

あまり猟銃の弾など見たことがない人は、まず乾電池を想像してください。銃身に、+の方がこっちに向くよう入れる。引き金を引くと中の撃針が、+のところにある雷管を叩き、雷管は火薬に点火する。-の部分には、弾が込められている。

それ自体が危険物である火薬と弾の真ん中にあるのは、ワッズ、もしくはワッドと呼ばれるプラスチック製の仕切りだ。これが火薬の燃焼で押し出され、弾を飛ばす。

普通、撃った人は狩猟でもクレー射撃でも、弾の行方や獲物、クレーを見ている。私はいつも、ワッズに目を奪われる。まさに小さなただのプラスチック片で、それ自体には危険性も殺傷力もない。だがワッズなしでは、弾はちゃんと飛ばない。

発射後、役目を終えたワッズがふわっと落ちていく姿は、命の終焉(しゅうえん)と燃焼を擬えて見せる。虚しさと充足感、ワッズには熱い哀しみの詩情がある。

東出さんという銃の、弾の薬莢。そこに詰められているのは火薬と弾だけなので、東出さんの熱い炎を受け、強い弾を飛ばすワッズの役目をしたがる女たちがいるのは当然だ。

彼がちゃんと弾を飛ばすためのワッズとなる女を欲するのもまた、当然なのだ。

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岩井 志麻子(いわい・しまこ)
作家
1964年、岡山生まれ。少女小説家としてデビュー後、1999(平成11)年「ぼっけえ、きょうてえ」で日本ホラー小説大賞受賞。翌年、作品集『ぼっけえ、きょうてえ』で山本周五郎賞受賞。2002年『チャイ・コイ』で婦人公論文芸賞、『自由戀愛』で島清恋愛文学賞を受賞。近著に『でえれえ、やっちもねえ』(角川ホラー文庫)がある。

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(作家 岩井 志麻子)

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