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理屈やトーク力はまったく関係ない…「1万円の講演会に200人」を集めた女性が実践した"シンプルな誘い文句"

プレジデントオンライン / 2024年2月28日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Wavebreakmedia

人の心を動かすにはどんな話し方をするべきか。経営コンサルタントの今井孝さんは「理屈や上手い話し方よりも真剣なことが伝わることが重要だ。私が知っている経営者は、起業家に投資するかどうかを決める際はほとんど話を聞かないが、最後にたったひとつの質問をする」という――。(第2回)

※本稿は、今井孝『誰でもできるのに9割の人が気付いていない、話し方・つながり方』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。

■人の心を動かすのは「話し方のうまさ」ではない

本稿では共感される話し方、そしてつながり方について解説します。

例えば、緊張してうまく話せないというシーンについて考えていきましょう。取引額の多いお客様の前だと頭が真っ白になる。気合いを入れたプレゼン資料なのにまったく反応がない。ここぞという時の自己紹介ほどグダグダになる。このように緊張してうまく話せない理由は、実は「うまく話そう」という気持ちが強すぎるからです。

しかし、本当にうまく話すことが重要なのでしょうか? 人はうまく話すから評価するのでしょうか? 話し方や話す内容によって判断されるのでしょうか?

意外かもしれませんが、人が心を動かされるのは「話し方のうまさ」でも「話す内容」でもありません。それは、話している人がどんな姿勢でいるかです。どんな思いを持って、その話をしているのか? どれだけ真剣に臨んでいるのか? 声や表情、態度や身振り手振りなどに表れる、あなたの気持ちを相手は見ているのです。

以前、「すごい人に会ったので、自分の地元でその人のセミナーを主催したいと思っている」という相談を受けました。「あの人の話はすごい! 地元の人にとって、きっと役に立つと思う!」と熱意を持って語ってくれました。

しかし、彼女が動き始めてみると、周囲の反応は、「この辺りでセミナーにお金を払う人なんていないよ」「3000円ぐらいでないと誰も来ないよ」という冷めたものだったといいます。それでも彼女は挫けずに、その講演の参加費を「1万円」という強気の設定にしました。なぜならそれだけの価値があると感じていたからです。

しかし、いざ集客を始めると、まったく人が集まりません。チラシを渡して誘っても、誰も申し込んでくれないのです。いろいろと質問が来るだけで、それに答えても、また違う質問が来る、その繰り返しだったそうです。

■理屈よりも熱意が重要

彼女は困ってしまい、私のところへ、「この質問にどう答えれば良いですか?」という相談の電話をかけてきました。私はそれを聞いて、たった1つだけ、こう答えました。

「それぞれの質問に答えても、きっと来てくれないと思います。そうじゃなくて、『とにかく来てください! 絶対に良いので!』って答えてみてください」

つまり、彼女の熱意をストレートに伝えるということです。彼女はその通り行動しました。すると、どうなったと思いますか? なんと、セミナー当日に200人も集まったのです!

彼女の本気の思いが伝わったのです。質問を繰り返していた人は、実は彼女の本気度を見ていたのです。人がお金を払って行動するというのは、実は理屈ではないのです。

私は、エンゼル投資家の方々や、ファンドで出資先を決める担当の方とお話をすることがあります。彼らは、起業して間もない会社に出資します。その会社やビジネスは、まだ歴史がないため当然実績がほとんどありません。そういう時に彼らは何で出資を判断するのか?

というと、やはり経営者の本気度だそうです。

もちろん事業の内容も大事です。ただそれ以上に、人を見て出資を決めるのだそうです。極端な場合だと、事業内容に興味がない人もいます。

■起業家に投げかけた「たったひとつの質問」

例えば、かなり以前の話ですが、ある方が、有名な経営者に事業企画のプレゼンをしました。

相手に説明をするビジネスマンのイメージ
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo

しかし、いざプレゼンが始まると、なんとその社長が寝始めたというのです。彼は戸惑いながらも、最後までプレゼンをやり遂げました。その社長が起きたのは、プレゼンが終わったあとでした。そして、ただ1つだけ質問をしました。

「うまくいく自信はあるのか」

彼は、「自信あります」と言い切りました。すると社長はうなずいて、「じゃあそれでやってくれ」とあっさりと承認したのです。もし、その方が、どれだけいいプレゼンをしたとしても、最後の質問におどおどと答えていたら、社長はその事業は却下していたでしょう。

経営者としての長い経験の中で、その人の自信と覚悟を見るのが最も的確に判断できる方法だと考えていたのでしょう。思いや本気度については、自分がお客の立場から考えるとわかると思います。例えば、営業の担当者が新人でミスはあるけれど一生懸命やってくれるか、あるいはベテランだけれど素っ気ないか、仕事のクオリティに大きな差がない時はどちらを選ぶでしょうか? 多くの人は前者を選びます。

少しぐらいミスがあっても、一生懸命やってくれる人に好感を持つからです。

■芸能人でも緊張するのは当たり前

「プレゼンは緊張するから嫌だ」
「自己紹介の時顔が引きつる」
「営業でいつも緊張して疲れる」
「上司ともっとうまく話したいのに緊張してしまう」

という人は多いです。緊張しないようになりたいという方に、真実をお伝えします。実は、どんな人でも緊張しています。大きな舞台に立つ俳優さんも、テレビに出ている芸人さんも、悠々とプレゼンしている経営者も、みんな緊張しています。大舞台で活躍している人は緊張とは無縁のように見えますが、実はそうではないのです。

プレゼンする人のイメージ
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

舞台裏の密着ドキュメンタリーなどを見るとわかりますが、芸人さんもアイドルも、ステージの幕が上がるまで、ものすごく緊張しています。舞台袖で「ああ、緊張する」と言っている姿がそこにはあります。どんなに人前で楽しそうにしゃべれる人でも、やっぱり緊張するものなのです。そして、もう1つ重要なことがあります。それは、緊張はバレていないということです。

俳優さん、芸人さん、経営者が緊張しているとは、こちらからはまったくわからないと思います。ですので、緊張していてもまったく問題ありません。

■緊張しても真剣であれば問題ない

私のセミナーは100人ほどの参加者でやることが多いのですが、時々、その中から前に出て話してもらうことがあります。

ほとんどの人が普通に話をします。そして、話し終わってから自分の席に戻って、「ああ、緊張した」と言っています。中には返してもらったマイクが、汗でびっしょりのこともあります。つまり、本人がどんなに緊張していたとしても、案外それは本人にしかわからないものなのです。

緊張してもバレていないので、あまり気にする必要はありません。もちろん、よっぽど緊張していると、周りからも硬く見えることもあります。動きも話す言葉も、見るからにガチガチになってしまうこともあるでしょう。しかし、それだけであなたの評価が下がるものでしょうか。

以前、出版コンテストを見学しに行きました。出版社の編集者たちに向けて企画をプレゼンするというものです。その中で、ごく普通のサラリーマンの方がプレゼンをしていたのですが、ものすごく緊張していました。舞い上がって質問の受け答えもギクシャクしていました。しかし、何社もの出版社が彼の企画に手を挙げました。それは、「人間関係が不得意で苦しんだ過去の自分を助けるような本を書きたい」という真剣さが響いたからだと感じました。

■「半分伝わればいい」と考えればいい

彼のプレゼンや質疑応答から、緊張していることは伝わってきましたが、それ以上に彼の熱意が伝わってきたのです。人は、一生懸命にチャレンジしている人を応援したいものです。慣れない場所で緊張している姿を見たら、さらに応援したくなります。逆に言うと、緊張している姿というのは、案外武器になるのです。

ですので、緊張を無理に押さえつける必要はありません。大舞台であがってしまう自分も受け入れる気持ちで臨みましょう。一生懸命さが伝われば良いのです。あまりにも緊張するという時は、原因があります。それは、「うまくやろう」という気持ちが強すぎるということです。

「良いプレゼンをしてみんなから拍手喝采を浴びるぞ」と自分からハードルを上げてしまって、逆に本番で力が入りすぎるのです。この状況を回避するにはどうすればいいでしょう。実は、すごく簡単な方法があります。それは、「半分伝わればいいや」と、力を抜くことです。

■本番で伝えられるのは6~7割程度

今井孝『誰でもできるのに9割の人が気付いていない、話し方・つながり方』(幻冬舎)
今井孝『誰でもできるのに9割の人が気付いていない、話し方・つながり方』(幻冬舎)

実際、どれだけ事前の準備で頑張ったとしても、本番で相手に伝わるのは自分が思っている6~7割程度にすぎません。下手したら半分ということもあります。本番はうまく話せなくなるものなのです。元々そういうものだと割り切って、肩の力を抜いて本番に臨めばいいのです。

私は趣味でクラリネットを習っていて、年に数回だけ人前で発表する機会があります。演奏のあとに、いつも言うのがこの言葉です。「練習はもっとうまいのに……」まあ、そんなものなんですよね(笑)。

このように本番で7割しか出せないのであれば、練習でプレゼンのクオリティをとことん上げなければいけません。もうこれ以上はない、というくらいまで練習できたら、あとは本番の自分に委ねましょう。練習はとことんする。本番は結果を手放す。これが人に伝える時の基本です。

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今井 孝(いまい・たかし)
経営コンサルタント
キャリッジウェイ・コンサルティング代表。1973年大阪生まれ。大阪大学大学院修了。大手IT企業に約8年在籍し、新規事業を成功させる。独立1年後に始めたセミナーには、10年連続で毎回300人以上が参加。著書に、『起業1年目の教科書』(かんき出版)、『必ず成功する起業の心得』(アルファポリス)、『らくらく売る人のアタマの中 営業・集客の心のブレーキの外し方』(ぱる出版)、『誰でもできるのに9割の人が気づいていない、お金の生み出し方』、『誰でもできるのに9割の人が気付いていない、話し方・つながり方』(ともに幻冬舎)などがある。

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(経営コンサルタント 今井 孝)

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