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老眼が始まったが、メガネはかけたくない…そんなホリエモンがカリスマ眼科医に聞いた「眼内レンズ」の最新事情

プレジデントオンライン / 2024年4月21日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/peshkov

メガネをかけずに視力を維持する方法はあるのか。実業家の堀江貴文さんの著書『金を使うならカラダに使え。 老化のリスクを圧倒的に下げる知識・習慣・考え方』(幻冬舎)より、一部を紹介する――。

■ホリエモンが感じた目の違和感

僕は39歳の時にレーシック手術(レーザーを角膜に照射する視力矯正手術)をしたので視力はいいのだが、さすがに最近、暗いところだと細かい字が見えにくくなってきたように感じる。同年代の友達から「老眼鏡をかけてみろ」と言われて試してみたら、確かにはっきり見えた。

でも僕は、メガネをかけずに快適に見える視力を維持し続けたいと思っていて、白内障手術などで著名な眼科医の北澤世志博医師に最新の治療法を取材したことがある。

【話を伺った研究者】
北澤 世志博(きたざわ・よしひろ)
1964年生まれ。「アイクリニック東京サピアタワー」院長。博士(医学)。日本眼科学会認定専門医。福井大学医学部卒業。東京医科歯科大学、川口医療センターなどを経て2023年より現職。ICL、白内障手術で著名で、学術論文も多数。日本眼科手術学会の理事も務め、ICLエキスパートインストラクターなどの資格を有する。

老眼は一般的に40代後半から始まるが個人差が大きく、たとえば視力2.0くらいの眼のいい人は42~43歳で老眼鏡が必要になったり、視力1.0くらいでやや近視の人は50歳過ぎまで老眼鏡なしでも大丈夫だったりするそうだ。いずれにしろ、誰にでも自然に起こる眼の機能低下とされている。

老眼の原因は、眼のピント調節がスムーズにできなくなってくること。ピントは、レンズである水晶体を、その上下にある毛様体が引っ張ったり緩めたりして、厚みを変えて調節するのだが、加齢とともに水晶体が硬くなったり毛様体が弱くなったりすることで近くが見えにくくなる。

■老眼に効果的な1日5~10分のトレーニング

毛様体は筋肉みたいなもので、ピント調節をする時に頻繁に動かしているから、ある意味、筋トレになっているように思えて、なぜ弱るのかが疑問だった。

北澤医師に尋ねると「確かに毛様体は筋肉ですが、筋トレはできません。人間が起きている間は休みなく、ずっと伸び縮みしていて“いつも使っている”状態です。なので、身体の筋トレのように、普段使っている以上の動きを毛様体にさせることはほぼ不可能です」と答えつつも、「ただ、遠くと近くを交互に見ることは、トレーニング的な効果が得られるでしょう。30cm程度先の手元と、ずっと遠くを交互に見るのを、毎日5~10分続けると、老眼を遅らせることはできるかもしれません」と教えてくれた。

北澤医師は日々、このトレーニングを続けられなくて老眼になった患者を多く診ているから、“毛様体の筋トレ効果”は難しいと話していたけれど、継続すれば老眼防止の可能性はありそうだ。

また、眼の角膜の後ろにある水晶体は、もともとは透明で光をよく通すが、加齢に伴い中身のタンパク質が変性し白く濁っていくことで白内障にも進行する。白内障になると、物が二重に見えたり、視界にもやがかかったようになるので治療が必要となる。一般的に、白内障の手術は70歳前後で行う場合が多いが、近視の強い人は60代、なかには50代で手術が必要になる人もいるそうだ。老眼になると、その何年後かには白内障のリスクが高まる。

■最新技術で老眼鏡なき人生を手に入れる

老眼対策は「まずは老眼鏡をかける」のがベーシックな選択だし、いろいろな老眼鏡を揃える楽しみもあるが、僕はメガネをかけたり外したりするのは煩わしいと思っている。北澤医師によれば、それを解決する最新の治療法があるという。

新しいのはICL(Implantable Contact Lens)、つまり眼内に挿入する眼内コンタクトレンズの遠近両用版。レーシックで近視矯正をした後でもできる治療法で、近視、乱視、遠視、そして老眼まで矯正でき、さらに“遠近両用”よりも進化した、遠方から近方までなだらかに焦点が合う多焦点レンズも広がり始めているそうだ。

「1m先の“遠方”と、本やスマホを見る30cm先の“近方”の2焦点(遠近両用)だと、パソコン使用時の60~70cm先が見えづらいんです。そこで遠方だけでなく、中間から近方までピントの合う多焦点のICLが出てきました。それを入れればスマホやパソコン、仕事を含む日常生活の範囲では裸眼で過ごせて、老眼鏡への依存度はかなり減らせると思います」(北澤医師)

仕事で疲れたビジネスマン
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo

■水晶体を取れば、白内障になる心配もなくなる

多焦点ICLが治療の最先端だが、暗い場所ではレンズの機能が落ちてしまうため、明るい環境で見る必要があるという。40代後半~50代の近視の人と、老眼の人が多焦点ICLを入れ始めているそうだが、僕も興味を持った。その手術を受けるなら、何歳くらいのタイミングがいいのだろう。北澤医師によると「50~60歳くらい。“老眼鏡がないと近くが見えない”というタイミングが良いでしょう」という回答だったが、もう1つ気になったのは、その時に水晶体はどうするかということ。取るのか、温存するのか。

北澤医師は、基本的に水晶体が透明ならば温存し、濁っていて白内障になっていたら取って、白内障用の遠近両用眼内レンズを入れるなど、年齢と水晶体の状態に合わせて判断するという。水晶体を温存する理由は「白内障になっていないのなら、取りたくないと希望する人が多いため」。僕なら、いずれ白内障になるんだから、水晶体は取っちゃえばいいのにと思うのだが。そう伝えたら、なんと、それもアリなのだそうだ。

「50代で、白内障は軽度だけど水晶体を取ってしまおうとなれば、白内障と老眼を同時に、1回の手術で治すことは可能です。水晶体を取れば将来、白内障になる心配もなくなりますから」(北澤医師)

■「僕も5年後くらいに治療しようと思った」

この治療の際に入れる白内障用の多焦点眼内レンズは30年以上前からあって、今では30種類以上が研究開発されているという。多くは遠・中・近の3焦点で、最先端のレンズはほとんどの距離にピントが合う5焦点のもの。遠方から手前まで見え方がなだらかで、理想に近いそうだ。

「昔と違って、高齢でもアクティブに活動する方が多くなってきて、メガネなしで遠くも近くも見たいというシニアが増えています。5焦点レンズの白内障手術は、当クリニックでは主流で、術後の患者さんは裸眼でも見えづらい位置がほとんどなく快適で、世界が変わったとおっしゃいます」(北澤医師)

白内障でぼやけた視界がすっきり明るくなるのだから、見える世界は確実に変わるだろう。僕も5年後くらいに治療しようと思ったので、手術はどのように行われるのかを聞いた。

■手術は10分程度で終了、翌々日からデスクワークも可能

「老眼の治療で使うICLは、レンズを虹彩と水晶体の間に入れるだけなので、麻酔の目薬の使用を含めて基本的に10分程度で終わります。術後に眼の充血や炎症がありますが、1週間ほどですっきり見えるようになります。手術翌日は仕事を休んでもらい、2日目からはデスクワークは可能。術後の感染防止のため、スポーツや日常生活の制限などは担当医師に確認して指示を守ることが大事です。

白内障の場合は、水晶体をレーザーできれいに分割して取り出し、そこに多焦点の眼内レンズを入れます。ICLと違い片眼ずつの手術になり、当日は眼帯を装着。翌日にもう片方の眼の手術をします。所要時間はレーザーを使っても5~10分程度。やはり充血や炎症はあり、2~3日は違和感が残る場合もありますし、人によっては腫れぼったく感じることもあります」(北澤医師)

【図表1】目の垂直断面図
出所=『金を使うならカラダに使え。 老化のリスクを圧倒的に下げる知識・習慣・考え方』

北澤医師が研修医だった30年前だと、白内障手術にかかる時間は30分くらいで、また、当時の眼内レンズは術後に乱視が現れるのも当然だったそうだ。

現在、国内の白内障手術は年間約100万件で、約9割が保険診療。5焦点レンズだと自費で高額にもなるが、レンズは個々に合わせて製作される。眼の老化にまつわる技術の進化はヤバい。一生メガネを使わずに過ごすことだって可能なのだ。

■「手術が失敗して失明」は迷信

ただ、眼の手術となると、「失敗して失明したら……」と不安になる人は、世代に関係なく多いのではないか。実際にリスクはあるのか、北澤医師に確認した。

「たとえばICLは世界で20年以上行われている治療法で、症例は積算200万症例以上。そのなかで、失明したという報告は国内外で1例もありません。白内障の治療はICLより少し前、50~60年前から行われていて、手術の手技は確立されています。治療対象となる世代にとってはすでに身近な治療法になっているので、手術の前に失明の心配や不安を語る方はほとんどいませんね」(北澤医師)

また、眼内に入れたレンズはいつまでもつのか、交換は必要なのかも気になるところ。手術後、ICLは20~30年は問題なく使えることがわかっている。40~50年の長期安定性は確立されているが、近視が進んだ場合はレンズの入れ替えが可能だ。白内障手術で使う眼内レンズは、半永久的に挿入したままでいいのだという。

老眼や白内障の度合いは運転免許の更新にも関わるし、受診が遅すぎると眼圧が上がって、白内障から(視野の欠損が現れる)緑内障に進行する人もいるというから、見えにくさを感じた時点で眼科医に相談するのが良いだろう。僕が北澤医師に尋ねたように、何年後の手術が最適か、新しい治療法も聞けてプランが立てられる。

■認知機能を保つには「視覚」が大事

僕が思うに、老化とは、いろいろな認知機能が低下してくること。耳が遠くなるとか眼が見えにくくなるとか、さまざまな知覚の機能が低下することで脳に対する情報のインプットの解像度が落ち、刺激が減少して脳が老化していく。だから老化防止のためには、視覚で膨大な情報を得ている眼はすごく大事。それなのに高齢者の方のなかには「見える」と言い張る人とか、すりガラス越しにものを見ているような状態になるまで白内障が進んでいるのに手術をしない人も多いように感じる。これはもう、我々の世代だけではなくて、親の世代の問題でもある。

堀江貴文『金を使うならカラダに使え。 老化のリスクを圧倒的に下げる知識・習慣・考え方』(幻冬舎)
堀江貴文『金を使うならカラダに使え。 老化のリスクを圧倒的に下げる知識・習慣・考え方』(幻冬舎)

北澤医師も「視覚から得られる刺激や情報は認知症と大きな関係がある」と言う。

「80~90代の認知症で白内障だった方が、杖をついてやっと歩いている状態だったのに、白内障の手術をしたらよく見えるようになって、急に杖なしで歩き始めたという話もあります」(北澤医師)

老眼や白内障は誰にでも起こる老化現象だけれど、「すっきり見える」まで治療することができる時代になった。保険適用にもなるし、さらなる快適さを目指して自費の治療を選択するのもいいだろう。眼科医への相談や受診を先延ばしにせず、裸眼で視野を維持するための方法があることを、ぜひ知ってもらいたい。

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堀江 貴文(ほりえ・たかふみ)
実業家
1972年、福岡県生まれ。ロケットエンジンの開発や、スマホアプリのプロデュース、また予防医療普及協会理事として予防医療を啓蒙するなど、幅広い分野で活動中。また、会員制サロン「堀江貴文イノベーション大学校(HIU)」では、1500名近い会員とともに多彩なプロジェクトを展開。『ゼロ』『本音で生きる』『多動力』『東京改造計画』『将来の夢なんか、いま叶えろ。』など著書多数。

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(実業家 堀江 貴文)

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