「毎月100円でもいいから、新NISAは始めたほうがいい」社会人1年生に知ってほしい"お金の貯め方・増やし方"
プレジデントオンライン / 2024年4月25日 16時15分
■生活費や貯金とのバランスを考える必要がある
今年1月からスタートした新NISA。就職をして毎月決まった額の収入が入ってくる新生活のタイミングで始めてみようと考えている新社会人の方も多いのではないでしょうか。
学生の時と違いまとまったお金が入ってくる一方で、投資をするにあたり、生活費や貯金とのバランスも考えなくてはなりません。
そんな新社会人から新NISAをうまく活用していくにはどうしたらいいのかお話ししていきます。
新社会人になりたては、まだまだ入ってくるお金も少ないのが現実。一人暮らしをしていたら、手取りで生活費がカツカツという人もいるかもしれません。
限りあるお金の中で生活費のやりくりをしていくのと同時に、何かあったときのためにお金を貯めたり、増やしたりしていくことも大事です。
■まずは「手取り3カ月分」を目標に貯金を始める
貯金の金額で言えば、まずは手取りの3カ月分をしっかりと貯金することを目標にお金を貯めていきましょう。そしてそのお金は“お金の防災袋”として、非常時以外絶対に手を付けないお金としてとっておき、それに上乗せする形で少しずつ貯金を増やしていくのがおすすめ。
貯金の方法としては、まず貯金用口座は絶対に作りましょう。収入が入ってきたときに毎月の貯金額を先に引いて貯金用口座に移す「先取貯蓄」をメインにしていくのが一番効率的です。また、できればそれに加えて、次のお給料日の前のタイミングで残っているお金を貯金に回す「後取貯蓄」もミックスできると、さらに効率的にお金を貯めていくことができます。
ついお金を使ってしまってあまり貯金が進まない……という人は、まずは先取貯蓄の習慣をきっちりつけることから。貯金にまわす金額分は、「絶対に手を付けないお金」という認識を強く持っておくことも大事です。
次に新NISAを始めるタイミングですが、少額からでいいのでできるだけはやく始めましょう。今投資を始めるハードルはとても下がっており、投資信託であれば100円からでも購入することができます。また、新NISAでの投資は短期で利益を出すこともできますが、日中忙しく働いている社会人であれば、基本的には放置でコツコツ投資していく長期投資が向いています。このあとご説明していくつみたて投資枠での投資を、できるだけ早く始めることがとても重要です。
■「100円単位」から積み立てを始められる証券会社もある
新NISAには株や投資信託、REITなどを好きなタイミング(積み立ても可能)で年間240万円まで好きな金額で購入することができる「成長投資枠」と、金融庁の条件を満たした長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託を年間120万円まで毎月一定金額積み立てで購入していく「つみたて投資枠」の2種類があります。
新社会人で、投資初心者であればまず始めるべきは、つみたて投資枠での積立投資。証券会社によっては100円単位の積み立て金額から始められますし、長期の積立・分散投資に適した商品に限られている安心感もあります。
社会人になりたてのうちは、貯金と投資のバランスが大切。積み立て金額は自由に増やしたり減らしたりできるので、はじめのうちは少ない金額からスタートして、徐々に増やしていけばいいのです。大きな金額を投資しないと意味がないと思っている人もいるかもしれませんが、決してそういうわけではありません。少額からでもまずは始めることが何よりも大切です。
また、社会人1年目にはお給料から引かれない住民税が、社会人2年目からは引かれるようになります。つまり、2年目から手取りが減るということ。手取りが減って1年目と同じ積み立て額を続けるのが少し厳しくなっていたら、積み立て額を減らすなどして調整しましょう。
■余裕が出てきたら毎月の積み立て金額を増やす
つみたて投資枠も、非課税枠の上限で言えば年間120万円。つまり、月10万円ずつ積み立てていくこともできるのです。最初は少額の積み立て金額から始めてみて、貯金が貯まってきたり、お給料がアップしてちょっとお金に余裕が出てきたら、毎月の積み立て金額を増やしてみるといいでしょう。
また、つみたて投資枠で購入することができるのは投資信託ですが、成長投資枠では株式などほかの投資商品も購入することができ、買い方も積み立てだけではなく、好きなタイミングで買うスポット買いをすることもできるようになります。つみたて投資枠とは違い自由な分、いつ買ったり売ったりすればいいのか、どのくらいの金額を購入すればいいのかなど悩むポイントも増えるかもしれませんが、つみたて投資枠で投資信託を購入しているので、次は株式も買ってみようかな……と思う方も多いはず。
■株式投資の初心者には「単元未満株」が向いている
そんな方におすすめなのが、株式投資の単元未満株です。株式を購入する際、基本は100株単位から購入しなければいけないので、株価×100株で何十万、何百万単位と金額が大きくなり、なかなか手が出せない株も多いのですが、単元未満株を取り扱っている証券会社であれば、1株、つまり株価の値段で株を購入することができます。数千円単位で有名企業の株を買うこともできるのです。
株式投資は積み立て投資よりも分析の知識が必要で、マイナスになるリスクも大きい分、少額から始めてみるといいでしょう。
■新社会人のうちはiDeCoより新NISAを優先したほうがいい
新NISAと同じタイミングで名前があがりがちなiDeCoですが、新NISAとは全く用途が別物。新NISAは金融庁が作った投資の制度ですが、iDeCoは厚労省の作った年金の制度です。
まず大きな違いとして、売却すればいつでも換金ができる新NISAとは違い、iDeCoは60歳まで原則引き出すことができません。100%老後のための資産形成となり、すぐには使えない固定的なお金を作っていくことになります。
また、注意しなければならないのが、最低拠出金額と口座手数料。最低拠出金額は月5000円で、掛金拠出を止めることはできるものの、口座の管理手数料は払い続けなければならないので、結局出費があるのです。
掛金が所得控除という形で税金面でのメリットとなりますし、早いうちから強制的に老後の資金をどうしても増やしていきたい! というのであればもちろん始めてもOKなのですが、老後の資産形成自体は貯金や新NISAでの資産形成でもしていくことができます。若いうちはいつお金が必要になるかわかりませんし、新社会人のうちはすぐに換金ができる新NISAを優先した方がいいでしょう。
新社会人になり、毎月一定の金額が入ってくるようになることで、今後の人生のためにいかにそのお金と向き合っていくか? ということが大事になっていきます。
まずは貯金や新NISAで流動的な資産運用をベースとして続けていくことを目標に、貯金がない人はまずは貯金をしつつ、新NISAは少額でいいのでなるべく早くつみたて投資枠を活用し、積み立ての設定だけはしておきましょう!
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金融教育活動家
1990年生まれ。経営学修士(MBA)、ファイナンシャルプランナー(AFP)などを取得し、「やさしいお金の専門家/金融教育活動家」として活動。「誰よりも等身大の目線でわかりやすく」をモットーにお金の知識を啓蒙、金融教育の普及に取り組んでいる。日本金融教育推進協会代表理事。著書に『ミレニアル世代のお金のリアル』(フォレスト出版)。
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(金融教育活動家 横川 楓)
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