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キラーフレーズは「社長が……」石橋を叩いて壊す氷河期世代が大車輪になる禁断の“噓も方便”マネジメント

プレジデントオンライン / 2024年5月13日 16時15分

■氷河期世代(40歳~54歳付近)【原則】不安を取り除いてあげる

「好きにやって」が絶対NGのワケ

氷河期世代(1970〜84年生まれ)は、極度の「心配性」です。果敢にチャレンジして「成功を摑みたい」という野心より、「失敗したくない」という安全志向が先に立ちます。

氷河期世代が社会人になったのは、92年以降です。その直前まではバブル景気の最高潮で、日本経済は沸きに沸いていました。就職戦線は超・売り手市場で、企業は新卒者を確保するため内定を出した学生に他社と連絡を取らせない囲い込みまでしていました。

ところが、バブルがはじけると状況は一変します。企業は計画していたプロジェクトを次々に中止し、不良資産の売却に奔走します。新卒採用を見送り、内定を取り消す企業もありました。

なんとか滑り込めた新卒社員が見た光景も、地獄でした。当時50〜60代だった団塊世代のベテラン社員が肩たたきにあい、地方に飛ばされたり、リストラされたりしていきました。年功序列と終身雇用は幻想だった。ミスをすれば失格の烙印を押され、人より目立てば足を引っ張られる――。

その結果、過剰に空気を読み、必要以上には踏み込まないディフェンシブな仕事ぶりになってしまったのです。

「具体的に指示してください」
「ここまでは問題ないでしょうか」
「○○しろとおっしゃいましたよね」

進捗具合や責任の所在を細かく報告・確認してくるのも、この世代の特徴です。「とりあえず好きにやってみてよ」などはバブル世代の能力を引き出すには最適な任せ方ですが、氷河期世代には逆に不安材料にしかなりません。この世代には「安心・安全」を確保してあげることが、最重要です。

たとえば、成果物を提出してきたとき、よほどひどいものでない限りはまず「いいね!」と反応してみましょう。

メールやSNSで受け取った場合には、

「確認しました。大枠はOKです」
「よくまとまっていると思います」

など、まずはポジティブな反応を返してください。特に問題がないからといって返答をしないでいると「何か問題があったんだろうか」「期限内に提出したはずなのに」などと勝手に不安を膨らませていきます。

修正を指示する場合にも「ここはわかりやすい」「ここは具体的でいい」などとプラスのポイントを多めにあげたうえで「ここを修正してもらえたら、もっと良くなる」と、前向きな指摘となるように組み立てるといいでしょう。

■心配性を大胆にするキラーフレーズとは

注意を要するのはプロジェクトリーダーなど責任をともなう役割や、前例のない仕事を任せるときです。組織としてもアグレッシブに攻めてほしいところですが、チャレンジよりも「失敗したらどうしよう」という懸念が先に立ってしまい、どうしても思い切った仕事ができません。

「ミスをしても、あなたが責任を取らされることにはならないから」
「むしろ失敗しやすいポイントを明らかにしてくれることが貢献だ」

などと「安心・安全」を強調しすぎるくらい言って背中を押してあげないと、踏み出してくれません。「競合に後れを取らないように」などと、失敗してはいけないというプレッシャーを与えたり、「君に命運はかかっている」と責任を感じさせたりするのは避けましょう。鼓舞しているつもりでも、氷河期世代は萎縮します。

キラーフレーズは「社長が言っていた」です。「じつはこの案件、社長が『ダメもとでやってみろ』と言っているんです。株主の目もありますから、社長も公然と失敗していいとは言えません。ですが、このあいだ社用車に同乗したときに言われたんです」。

嘘も方便です。実際に社長が言っていなかったとしても、いいのです。そうでもして背中を押さないといつまでも一歩を踏み出しません。心配性の部下が直接社長に「本当に失敗してもいいとおっしゃったんですか?」と確認しに行くことはありません。

どれだけ「大胆にやってくれ」と焚きつけても、この世代が暴走して好き勝手にやることはないでしょう。慎重さは骨身に沁みているので用意周到に準備し、進捗状況は逐一報告してきます。「おまえにまかせたのだから」と突き放すのではなく、こまめに「それでいいんだ」と伝えてあげてください。すると、氷河期世代は安心して丁寧な仕事ぶりを見せてくれるでしょう。

【図表】氷河期世代は「安心感」で動かす!

※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年5月17日号)の一部を再編集したものです。

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池本 克之(いけもと・かつゆき)
組織学習経営コンサルタント
株式会社パジャ・ポス代表取締役、NPO法人Are You Happy? Japan 代表理事。1965年神戸市生まれ。日本大学卒業後、金融会社を経て、ソニー生命保険に入社。わずか2年で「全国トップ20」の成績をあげる。その後、マーケティング会社、通販会社の経営を経て、ドクターシーラボ、ネットプライスなどの社長を務める。年商3億円の企業をわずか4年で120億円にするなど、さまざまな企業の上場、成長に貢献し「成長請負人」と呼ばれる。現在は数社の社外取締役を務めつつ、コンサルタントとして一部上場企業からベンチャー企業まで200社以上を指導。

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(組織学習経営コンサルタント 池本 克之 構成=渡辺一朗 撮影=宇佐美雅浩 イラストレーション=竹松勇二)

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