15年間続いていた「毎晩11時のビールの習慣」がこれでやめられた…35歳女性の人生を変えた"意外な飲み物"
プレジデントオンライン / 2025年1月10日 16時15分
※本稿は、ミレイユ・ジュリアーノ著、羽田詩津子訳『フランス人はなぜ好きなものを食べて太らないのか』(日経ビジネス人文庫)の一部を再編集したものです。
■ずっと体重と格闘してきた35歳のカミール
35歳のカミールはずっと体重と奮闘してきた。肥満というわけではないが、彼女の身長(155センチ)だと、12、3キロは明らかに余分だった。自分でも、ぽっちゃりして見えると感じていた。ときどき、さまざまなダイエットを試みた。結局、彼女自身の分析によれば、問題はたんに遺伝子のせいということになった。肥満傾向が家系に遺伝しているのだ。とりわけ彼女の母親はずっと太っていた。したがってカミールは心の底で、体重を減らそうという努力はうまくいきっこないと信じていたのだ。
クリコ社がある会社を買収したときに、カミールは入社した。彼女にはすばらしいビジネスの技術と経験があったからだ。だが企業社会は非情で不公平だった。とりわけ贅沢品を扱うビジネスでは、イメージが重要だ。あらゆる企業において、外見は男性よりも女性にとって重きをなす。カミールの仕事には、定期的に国じゅうを回り、クライアントと食事をすることも含まれていた。
わたしたちの会社に加わって丸1年して、最初のニューヨークの冬を越しても彼女の体重が調整されなかったことが明らかになった。寒い季節用の厚手の服は余分な肉を隠してくれたが、いったん春になれば、パニックに陥るだろうとわたしは予想した。頻繁な出張と接待の時期がやってくるからだ。
■敵は「夜11時過ぎに飲むビール」
わたしたちはとてもいい関係を築いていたので、ある日、彼女に調子はどうかとたずねると、悩みを打ち明けてくれた。わたしは自分自身の思春期における体重の災厄と、それを簡単な生活の変化だけで元に戻すことができた話をした。カミールは3週間のあいだに食べたものを記録することを承知した。
最初の1週間の記録をひと目見れば、簡単に大きな「敵」を発見することができた。まず、ビール。カミールは家にいても町に出ていても、毎晩「喉が渇く」らしかった。
そこで、しばしば11時過ぎにビールを飲んでいた。夜遅くビールを飲むことは、わたしには奇妙に感じられた。とりわけレストランで食事といっしょにワインを飲んだあとなのだ。カミールは飲酒問題を抱えているのか? いや、彼女のアルコール摂取量はそれほど多くないし、そうした問題の兆候は他にはまったく見当たらなかった。
■「水を飲んでからベッドに入る」ではダメだった
どのぐらい前から夜にビールを飲む習慣が続いているのかたずねてみたところ、大学時代からだった。勉強の合間に自動販売機で塩辛いスナックを買い、それを夜遅く、ビールといっしょに食べていたのだ。ちょっと考えてから、カミールは別にそれが大好きというわけではないと認めた。ただの習慣、ただ「喉が渇く」からだけだった。よく考えずに大学時代の習慣を、15年間も続けていたことが明らかになったのだ!
明らかなことからまず試すべきなので、わたしはいった。「喉が渇いているなら、水を飲んでからベッドに入ったら?」もしも彼女がこの「敵」を認知して服従させるなら、数カ月のうちに2.5キロから5キロ減量できる。その効果を考えれば、これはたやすいことに思えた。
しかし、それほど簡単にはいかなかった。カミールはビールの泡や味に夢中になっているわけではなかったが、水よりももっと心が弾むものをほしがったのだ。意外にも、彼女の解決策はハーブティーだった。彼女がいちばん好きなのは、ヴェルヴェーヌとミントで、どちらも穏やかな鎮静効果がありリラックスさせてくれる代用品だった。彼女はさらに新しい種類も試したがり、ハーブティーのかなりの目利きになった。
■比較的退治しやすい「敵」
昼間、もっと水を飲むこと――夜の喉の渇きを減らすのに重要だった――を実行するには、さらに時間がかかった。そこで、冷水クーラーの前を通るたびに、小さな紙コップに1杯だけ飲むことを習慣にしたらと提案した。効果が表れはじめると、カミールはもっと足繁く冷水クーラーに通うようになった。
もうひとつの問題はビジネスから生じた。飛行機の食べ物(食べ物といえるかどうか疑問だが)を町でのディナーに加えて食べていたのだ。客室乗務員が彼女の前に置くものは何でも――かび臭いナッツ、謎の肉、甘ったるいデザート――食べたのだ。
たとえ着陸まもなくビジネス・ディナーやランチの予定が組まれていてもだ。これは比較的退治しやすい「敵」だった。搭乗前に小さなサンドウィッチを食べ、前の夜に淹れた冷やしたハーブティーの水筒を携帯するように助言した。機内でそれをちょっとずつ飲み、自分のCD(有線放送の音楽ではなく)を聞いていれば、満ち足りた時間を過ごすことができる。おかげで、彼女は生まれて初めて、飛行機で昼寝をすることができた。
■週末のディナーに「大盛りのパスタ」
カミールの三番目の「敵」は少々複雑だった。週に二度、とりわけ週末に、ディナーに大盛りのパスタを食べていたのだ。作るのにいちばん簡単に思えるし、自宅で料理をする安らぎを感じられる、と彼女は言った。
それは料理というものを知らない人間の意見だった。日曜の夜の憂鬱を晴らすには、まちがいなく他の方法がある。この問題には思い切ったアプローチ方法を必要とした――当分、自宅でパスタを食べないこと。ただし、そうなると、同じように満足できて簡単な料理を見つける必要があった。
春だったので、ニューヨークの青空市場は天からの贈り物だった。わたしはカミールにビーツ、フェンネル、ブロッコリー、人参を、刻んだハーブとレモン汁で調理する簡単でおいしい料理を教えた。季節の新鮮な野菜の味わいに、彼女は夢中になった。
農場でとれたてのトマトが手に入ったら、少量の塩とオリーヴオイルとみじん切りのパセリかバジルをかければ、それだけでひと皿の料理になるだろう。
■フルーツと野菜の量を増やすことが簡単だと発見した
自分なりのペースで自分自身の嗜好にあわせて選択していくうちに、カミールはフルーツと野菜の量を増やすことが驚くほど簡単なことを発見した。料理初心者の彼女はこれまで作ってみようともしなかったのだが、簡単な魚のレシピに従い、たいていのレストランの基準に照らしても豪華な料理を自宅で楽しむようになった。さらに毎日20分歩くようになった(早起きはできなかったので、仕事のあとオフィスから)。これまでは一度乗り換えていたが、地下鉄で乗り換え駅まで行き、そこから自宅まで歩くようにした。
3カ月後、カミールは5キロ体重が減った。小柄な体型だと、それは劇的な効果として表れた。そして、彼女はその変化が気に入ったので、再び体重が増える危険は当分なさそうだった。それどころか、さらに楽に体重を減らすための新しい方法を熱心に試すようになった。新しい服、これまで目にしたことのなかった自信、それに以前よりも幸せそうな表情にわたしは気づいた。他の人々もそれに気づいていた。
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フランスで生まれ、大学卒業後に渡米。国連の通訳やフランス政府の広報担当として働いた後、LVMH傘下のヴーヴ・クリコ社のアメリカ現地法人クリコ社の開設に携わり、社長兼CEOをつとめる。現在は食とライフスタイルの評論家として活躍中。
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(クリコ社 前社長兼CEO ミレイユ・ジュリアーノ)
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