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「親がお金持ちだから」ではない…現役東大生に聞いてわかった「同じ参考書を2冊買う」頭のいい人の真意

プレジデントオンライン / 2025年1月24日 18時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/metamorworks

頭のいい子は、どのような勉強をしているのか。東大カルぺ・ディエム著、西岡壱誠監修『東大生が教科別にわかりやすく教える 受験勉強法大全』(幻冬舎)から、参考書の賢い選び方について、一部を再編集して紹介する――。(第2回)

■「とりあえず1冊買えばいい」はNG

みなさんはお子さんに、どんな参考書を買っていますか?

お子さんが成長するにつれて、学校の勉強もどんどん難しくなっていきます。「レベルが高くてついていけない」「もう少し上の成績を取りたい」となった時に、便利なアイテムが「参考書」です。

今や参考書の種類は膨大であり、それぞれの学力や理解レベルに応じた参考書が存在しています。まだまだ学力に乏しい学生でも「楽しく勉強できるような参考書」もあれば、自信が付いて勉強が楽しくなってきた生徒向けに、「さらに実力が身に付く問題ばかり揃った参考書」もあります。

でも、参考書選びを間違えてしまうと、子供の勉強にとって逆効果になってしまうことがあります。もし、参考書選びの方法を間違えてしまうと、成績が上がるどころかむしろ下がってしまうかもしれないのです。

例えば、「とりあえず1科目では、要点のまとまった参考書を1冊買えばいいだろう」と考えている場合は危険です。後ほど詳しく説明しますが、「要点がまとまっているものを選べば成績が上がる」というのは幻想です。

また、「1つの分野で1冊買っておけば大丈夫だろう」というのも、大きな勘違いです。むしろその選び方によっては、成績を下げてしまうかもしれません。今回は、参考書を選ぶときに重要な3つのポイントをご紹介したいと思います。

■綺麗な参考書は“勉強した気”になりやすい

1 同じ参考書を「2冊」買う

まず、参考書を選ぶ時の重要な視点として、「要点のまとまった参考書だけを選んではいけない」というものがあります。今の参考書は見栄えなどが非常に良く、フルカラーで、飽きさせない工夫が随所にあり、それでいて要点がしっかりとまとまっているようなものも存在します。

接したことのある親御さんの中には、「こんなに要点がしっかりまとまっているなら、成績も上がるだろう」と、そういった参考書を選んでいる場合も多かったです。

しかし、実は「要点のまとまった参考書」には、1つ落とし穴があります。それは、「簡単に勉強した気になってしまう」というものです。要点が綺麗にまとまっている参考書は、読んでいて非常に「勉強した気」になりやすいので、情報が整理されている分、頭に入って来やすいのではと思うかもしれません。

しかし逆に言えば、自分で考える必要がないため、結果的に頭に残りにくのです。頭に入りやすい情報は、言い換えると、頭から抜けてもしまいやすいのです。

反対に、要点を自分でまとめなければならないような参考書だと、整理するのに手間取ってしまったり、時間をかけて勉強しないとなかなか前に進まなかったりするわけですが、その分、忘れにくくなります。

■“自分で考えないと”成績は上がらない

「要点がまとまっている参考書」だからといって、必ずしも「学習効果の高い参考書」だとは言えないのです。

どんな参考書であっても、自分で考える時間を設けないと、成績は上がりません。僕の周りの東大生に、受験生だった当時の参考書を見せてもらうと、たくさん書き込みを入れていたケースが多かったです。彼らは、最初の段階では綺麗に整理されている参考書を選ばず、あえて自分で情報を書き足していける参考書を選んでいます。それを自分なりに改造して「オリジナル参考書」に仕上げ、頭の中を整理していくわけです。

これなら、「勉強した気になる」ということも防げます。例えば単語帳であれば、その単語帳には載っていない類義語を書き足したり、授業の中でその単語が出て来た時に使われた英文を書き足したりするのです。そうやって、自分なりの参考書を作り上げています。

勉強する女子高校生
写真=iStock.com/miya227
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/miya227

意外かもしれませんが、東大生は「全く同じ参考書を2冊買う」というパターンも多いのです。片方は書き込みをどんどん加えていき、もう片方は綺麗なままで「読む専用の参考書」として使い続けます。

書き込みを加えすぎてしまうと元の状態がわからなくなってしまい、ごちゃごちゃして見にくくなってしまうこともあるからです。また、汚くなるのが嫌でなかなか大胆な書き込みができないという人もいるので、もう一冊綺麗なままの参考書を残しておくことで遠慮なく書き込めるというメリットがあります。ぜひ参考にしてみてください。

■「インプット用」と「アウトプット用」が必要

2 同じ分野の参考書も、必ず「2冊(種類)」買う

次に重要なのは、「1つの分野の参考書を1冊だけ選んではならない」というものです。

例えば、中学社会の参考書を選ぶとしましょう。この時に、多くのご家庭では、「この本がいいかな」と思った参考書を1冊だけ買ってあげるケースが多いと思います。しかし「1冊だけ」だと、成績を上げることにはつながりにくいです。

一口に参考書と言ってもいろんな種類がありますが、大きく分けて2種類あると思っています。それは「インプットが多い参考書」と「アウトプットが多い参考書」です。前者は読んで情報を入れることがメインで、後者は問題を解くことや、その情報を使ったり書き出したりすることなどに重きをおいているものを指します。

もう少し具体的に言うと、情報がたくさん書いてあり、ビジュアルが綺麗に整理されているような参考書は「インプットが多い参考書」です。逆に、たくさんの問題が載っていて、問題を解いていくことでレベルアップを図るような参考書は「アウトプットが多い参考書」です。

■「英単語帳」を買うなら、「問題集」も買う

効率的な勉強には「インプット」と「アウトプット」の両方が重要です。もし問題を解いていて、「これ、理解があやふやだから解けていないな」という範囲にあたったら、まずは「読む勉強」に戻って学習しなおす必要があります。

成績をあげるには「読む勉強」も「解く勉強」も両方必要なので、参考書もそれに応じた2種類が必要なのです。

ちなみに僕の周りの東大生は、受験生だった当時、例えば英単語の勉強をするときには「英単語帳」のほかに、その単語を覚えられたかどうかチェックするための「問題集」もセットで買っているケースが多かったです。「英単語の勉強だから、英単語帳の本を買っておけば十分」とは考えず、アウトプットの重要性もちゃんと理解して行動した結果なのだと思います。

「覚える」ためのインプット用の参考書と、「覚えたものを使う、訓練する」アウトプット用の参考書は別のものとして認識し、それぞれ買うことをおすすめします。

ノートに記入して勉強する人の手
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

■「読み比べ」で理解度を高める

3 インプットのための参考書も、「2冊」買う

さて、インプットのための参考書に関して補足すると、インプット用の参考書は2種類以上使うと良いとお伝えしています。1冊だけの説明を学ぶだけでは、情報がうまく理解できていない可能性があるからです。

同じ内容について語っていたとしても、説明の仕方は参考書によって多種多様で、微妙に書いていることが違ってきます。例えば、中学社会の参考書で「豊臣秀吉の刀狩」について解説しているページがあったとします。例えば参考書が2冊あれば、以下のように書かれている場合があります。(いずれも筆者作成)

参考書1 刀狩は、武士以外の身分の僧侶や農民から刀をはじめとする武器を没収した政策であり、一揆を抑制し農民を土地に縛り付けるために行われたとされている。

参考書2 武士が農民を支配する社会を作るための政策として、豊臣秀吉は農民から刀や槍を取り上げる「刀狩」を行った。

どうでしょうか? 同じようなことが書いてありますが、実は2つの文を読み比べると見えてくることがあります。

例えば、「刀狩の目的」について、参考書1では「一揆の抑制と土地への縛り付け」と書いてあります。対して参考書2では、「武士が農民を支配する社会を作るため」と書いてあります。

実はこれは一緒のことを指しているのですが、二つの解説を繋げて考えると「目的」がよりわかりやすくなります。「刀を没収することで、農民の一揆の抑制と土地への縛り付けを行って、武士が農民を支配する社会を作ること」が目的だったのだとわかります。

■成績をあげるには、ケチらないほうがいい

このように、2種類の説明を追うことは、説明をより具体的でわかりやすくしてくれる効果があります。ある事象をしっかり理解をするためには、1つの説明を聞いているだけではダメで、さまざまな角度からの説明を見比べないと本質は掴めないのです。

東大カルぺ・ディエム著、西岡壱誠監修『東大生が教科別にわかりやすく教える 受験勉強法大全』(幻冬舎)
東大カルぺ・ディエム著、西岡壱誠監修『東大生が教科別にわかりやすく教える 受験勉強法大全』(幻冬舎)

「なんとなくわかる」くらいでは、1から説明することってできないですよね。多様な視点で捉えておかないと、いざ試験の本番で問われても、記述問題として聞かれたときに回答できない、という状況につながりかねないわけです。

ただ、もちろん3冊も4冊も見比べていたら時間がかかってしまいますから、せめて2冊分、つまり2種類の説明を比べるくらいが現実的だと思います。参考書を買いそろえようとすると、出費は嵩んでしまうかもしれませんが、中途半端に買い与えて結果が出ないよりかはよっぽどいいのではないかとも思います。

ちなみに僕の周りの東大生もやはり、インプット用の参考書を2種類以上買っている場合が多かったです。メインで使う参考書と、サブで使う参考書の2種類を用意して勉強することで、理解度を上げているのです。

まとめると、買うべき参考書は

・同じものを2冊(書き込み用と見る専用)
・同じ分野でも2種類(インプット用とアウトプット用)
そして
・インプット用にも2種類 です。

金額はかなりの値段になるかもしれませんが、受験生の皆さんも親御さんたちも、ここはよりいい勉強をするための必要経費だとケチらず、ぜひ実践してみてください。

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東大カルペ・ディエム 東大生集団
2020年6月、西岡壱誠が代表として株式会社カルペ・ディエムを設立。西岡を中心に、貧困家庭で週3日バイトしながら合格した東大生や地方公立高校で東大模試1位になった東大生など、多くの「逆転合格」をした現役東大生が集い、日々教育業界の革新のために活動している。漫画『ドラゴン桜2』(講談社)の編集、TBSドラマ日曜劇場『ドラゴン桜』の監修などを務めるほか、東大生300人以上を調査し、多くの画期的な勉強法を創出した。そのほか「リアルドラゴン桜プロジェクト」と題した教育プログラムを中心に、全国20校以上でワークショップや講演会を実施。年間1000人以上の学生に勉強法を教えている。

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西岡 壱誠(にしおか・いっせい)
現役東大生 カルペ・ディエム代表
1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すものの、2年連続で不合格に。二浪中に開発した独自の勉強術を駆使して東大合格を果たす。2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立。全国の高校で高校生に思考法・勉強法を教え、教師に指導法のコンサルティングを行っている。日曜劇場「ドラゴン桜」の監修や漫画「ドラゴン桜2」の編集も担当。著書はシリーズ45万部となる『東大読書』『東大作文』『東大思考』『東大算数』(いずれも東洋経済新報社)ほか多数。

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(東大生集団 東大カルペ・ディエム、現役東大生 カルペ・ディエム代表 西岡 壱誠)

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