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娘が隠れてキャバクラバイト。やめさせるべきか

プレジデントオンライン / 2013年6月7日 9時45分

■血相変えて問い詰めたらダメ

娘がキャバクラで働いていると知ったとき、親父としてはそれを言うかどうか迷うね。口に出した途端、家出されちゃったりする可能性もあるよ。

なかには血相を変えて問い詰める親父もいるかもしれないけれど、まあうまくいかないだろう。そもそも、そういう親と子は関係がよくないことが多い。そうじゃなくても、年頃の娘は親父とは口もききたくないと思っているものだ。

だいいち、キャバクラって、そんなに悪いバイト先じゃない。高校生はまずいだろうけど、18歳以上だったら法律上では問題ないし。別に、性的なサービスを提供するわけでもないし。普通の飲食店と中身はあんまり変わらない。もっと接客に力を入れて、そのぶん高い給料をもらえる。それを選ぶのは、1つの見識だよ。

ただ、学生のときに、こういうバイトであまりにも稼いでしまうと、将来まともな職業に就いたとき、給料が安くて働くのが馬鹿馬鹿しくなっちゃうかもしれない。就職するよりいいって言って、バイトから抜けられなくなっちゃったりね。そのへんはやっぱり考えたほうがいいだろうね。親父でも、母親でも、よくわかってる人がちゃんと話したほうがいい。

そんな心配を除けば、深夜のコンビニでバイトするほうがよっぽど危険だ。強盗なんかが入るし。一歩間違えれば、刺されたりしかねない。キャバクラだと、その場で暴力を振るわれる心配はないでしょう。

僕なんか、子供が深夜のコンビニでバイトすると言い出したら、差額は出してやるから昼間にしろ、と言うな。差額って、時給200円くらいのものだし。

考えてみれば、キャバクラというバイトは、いい社会勉強になるよ。そういうところで商売すると、大人の男が何を考えているのか、よくわかる。オニイサンやオジサンの本音が透けて見えるから。いくら格好いいこと話していても、ケチな奴だとか。隙あらばエッチをしようとだけ考えてる奴とか。キャバクラ嬢に評判のいいお客は、どこに行ってもそういうキャラだから、会社でも評判がいいものだし、出世もする。逆に、ただ威張っているようなお客は、周りは一応ちやほやするけど、みんな内心では嫌っているとか。人を見る目が鍛えられる。

人気のあるキャバクラ嬢とそうでないキャバクラ嬢との差もはっきりしてくる。一晩に5人も6人も指名が入るような子と、1週間いてもほとんど指名がないような子。収入も、天と地ほど違うわけだ。

大袈裟に言えば、早くも成果主義を身をもって体験することになる。これから渡っていかなきゃならない競争社会の洗礼を受けるわけだから、すごい勉強になる。働く子も、働かない子も同じ時給をもらえるようなバイトとは、仕事に向き合う姿勢が違ってくる。

お客を取り合う、誕生日に花束のプレゼントの数を競う、そういった真剣勝負と見栄の世界を、若いうちに経験することはいいことだよ。

キャバクラで接客すれば、自分がこの仕事に向いているか、向いていないのか、すぐにわかる。言ってみれば、社会勉強であると同時に、自分の職業の適性を判断する場にもなる。人気が出る子というのは、容姿だけの問題じゃない。なんとなく愛嬌があって、みんなに可愛がられる子っているんだな。

逆に、接客業に不向きな子もいる。こうした子は、将来営業の仕事なんかに就かないほうがいい。無理にやっても、ノイローゼになるのがオチだ。それよりも、人とあまり接しなくていい経理や法務の仕事を、コツコツとやればいい。

企業も、コンプライアンスがより強く求められるようになっているから、今後はこうした仕事は重要になってくる。

「キャバクラでバイトしていた」と言うと、就職活動では不利なのかな。僕が採用担当なら、キャバクラでいい成績を挙げている子を積極的に採る。そして、営業に回す。きっと、辣腕の営業ウーマンになるに違いないから。

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理学博士 
池田清彦

1947年生まれ。早稲田大学国際教養学部教授。テレビ番組「ホンマでっか!? TV」の歯に衣着せぬ発言で大人気。

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(生物学者 池田 清彦 構成=樺島弘文 撮影=澁谷高晴)

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