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「4200%の男」ジム・ロジャーズのマネー哲学【2】

プレジデントオンライン / 2013年6月3日 9時15分

ジム・ロジャーズ氏

37歳という若さで早期リタイアし、投資をしながら世界を投資の腕はさることながら、どんな日常が彼を大金持ちにしたのか。バイクと車で2周した大富豪、ジム・ロジャーズ。その金銭感覚、仕事観、そして財布の中身まで一挙大公開。

■真の「お金持ち妻」にふさわしい女性とは

──現在の奥様とはお金に対する価値観がうまくマッチしているようですね。そもそも、「お金持ちの妻」としてふさわしい金銭感覚とは、どのようなものだと思いますか?

妻も私ほどではありませんが、やはり倹約家です。お金を持っている人の中には、自己顕示のためなのか、奥さんの浪費を認めている人が多いですが。

私の妻は、お金があるからといって、お金を行き当たりばったりで使うような女性ではありません。毎晩のように豪華なディナーを食べたり、必要以上の華美なファッションを好んだりはしない。そのような行為は人生における「落とし穴」につながることをよく知っています。

行き当たりばったりでお金を使うことは、財政破綻につながるだけでなく、人生で何が大切かということを忘れさせてしまいます。

今投資しようと思っているものが、本当に価値のあるものなのか。あるいはその効果が一過性のものにすぎないか。お金を使う前に、そういったことを賢明な頭で考えることこそが重要なのです。

私は「いくら稼いでいるのか」「いくら使ったのか」といった類のお金にまつわる四方山話は好きではありませんし、すべきではないと思っています。私の父や母が、そのような話題を口にしたことは1度もありません。こういったことは聞き手に感銘を与えるテーマではないと思います。子どものころ、私は、お金に対して「けばけばしく」ならないようにと教えられたのです。

もちろん、お金そのものが好きならば、同じような価値観を持つ相手と結婚すればいいと思います。ただ、私はそうではありませんが。

──日本人の男性は、専業主婦の妻に給料を全額渡し、家計を任せ、自分はお小遣いという形でいくばくかのお金を持たされている人が多いようです。こういった習慣についてはどう思われますか。

奥さんが自分よりお金のことに詳しく、家計管理についてうまくやれると思うなら、それがいいのではないでしょうか。うちの場合は、妻より私のほうがお金に詳しいので、私がすべて管理しています。家計管理は、お金に一番詳しい人がするのが、お金持ちへの近道だと思いますよ。

ただし、誰が管理するにせよ、もし投資でお金を増やしたいと思うのであれば、自分が「知っているモノや人」に投資するべきです。私はずっとそのようなスタンスで投資してきました。

お金持ちになりたければ、時間をかけ、可能な限りの情報を集めて、隅々まで調べることです。よくわからないことを、わからないままにしておいては、成功からは程遠いでしょうね。よくわからないものなんかに投資するべきではないと思いますし、もしそうやって調べたり考えたりするのが面倒だと思うのであれば、最初から投資なんかしないほうがいいでしょう。

──では、日々の情報源についてお聞かせください。本、新聞、テレビ、インターネットなど世界にはさまざまな情報が溢れていますが、普段、どういったところから投資に関する情報を取られるのですか?

「フィナンシャル・タイムズ」は毎日読んでいます。「ウォール・ストリート・ジャーナル」に目を通すこともあります。インターネットは、やはり「フィナンシャル・タイムズ」や「ブルームバーグ」を見ます。この2つのサイトは非常に便利です。朝起きて、エアロバイクをこぎながら新聞を読んだり、パソコンのサイトを見たりすることが多いですね。

テレビは持っていません。何でみんなテレビなんか見るのかわからない。私にとっては時間のムダです。代わりにいつもBBC(イギリスの公共放送局)ラジオを聞いています。

ただし、メディアの情報に注意することも忘れてはいけないと思います。可能な限りの資料を取り寄せ、メディアの報道に疑問があれば、それを調べるために世界中のどこへでも出かけて行きます。同じ話についても、複数の異なる見解を知ることで、本当の姿が見えてくることがありますから。

本は今、ほとんど読みません。もともと読書は好きなんですが、最近はもっぱら娘たちに読み聞かせるだけですね。「3匹の子豚」とか「シンデレラ」とか(笑)。娘たちがもっと大きくなったら、もう少し大人向けの本も一緒に読むことになるでしょうか。

──2011年、アップルの創業者であり、世界的な富豪でもあるスティーブ・ジョブズが50代という若さでこの世を去りました。健康面ではどんなことに気をつけていますか。

毎日、エアロバイクをこいで運動しています。食事を適切にとり、睡眠もしっかりとっています。きちんと寝たあとのほうが正しい決断を下すことができるのですよ。夜考えても思いつかなかった答えが、朝起きて、バイクをこいでいるときに出ていることがあります。

1年に1度、健康診断も受けていますが、これは30年間、ずっと続けていますね。

──若いうちに大金持ちになられましたが、40代や50代になっても、新たにお金持ちに近づける素養を身につけることは可能でしょうか?

もちろん遅くはありません。いつからだって成功はできるでしょう。ただ、そのためには「変わらなければならない」と思います。

お金持ちになるために最も大切な資質は情熱です。それがあれば、いくつであろうと必ず突破口は見つかります。まずは、あなた自身が情熱を傾けられる仕事を見つけてください。私は投資が好きだったので、この世界で成功を収めましたが、だからといって娘たちに同じ道に進んでほしいとは思いません。まずは自分が何が好きかを見極めることです。

もちろん、あまり成果が上がらない状態が続くこともあるでしょう。でも、情熱を失わずにやり続ければ、いつかは、多くの利益を得ることができると思います。若いころ、私より頭のいい人はたくさんいましたが、多くの人が努力せず、途中で物事を投げ出してしまった。だから彼らは成功しなかったのです。

利益というのは、何もお金だけではありません。自分が真に楽しめることに打ち込むのだから、たとえ金持ちになれなくても、幸せになれる。これは、結局、お金には代えられない喜びなのです。

──お金に「愛される人」と「愛されない人」の違いは結局どんなところだと思われますか。

それは正直よくわかりません。でも、成功している人は、お金のことをさほど気にせずに物事を始めたのではないでしょうか。情熱を持って取り組み始めて、結果的に、お金がついてきたのだと思います。

これは、私の仕事についての信念でもあります。誰でも求職するときに面接を受けますが、私ならそのとき「サラリーがいくらか」といったことをまったく気にしない。大切なのは、好きな仕事を見つけることであって、あなたにふさわしい仕事を手に入れたなら、自然にお金は入ってくると思います。

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ジム・ロジャーズ
1942年、米国アラバマ州生まれ。イェール大学卒、オッスフォード大学ベリオールカレッジ修了。ジョージ・ソロスとクォンタム・ファンドを設立、驚異的なリターンを上げる。37歳で引退、世界を旅する。現在、シンガポール在住。『中国の時代』『娘に贈る12の言葉』など著書も多数。

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(金澤 匠 撮影=アーウィン)

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