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現役学生 VS 日本を代表する建築家の熱いバトル!木造住宅設計コンテスト「木の家設計グランプリ2017」が開催され優秀10作品が選出。

PR TIMES / 2017年11月4日 11時1分

日本の伝統文化を絶やさないためにーー地方の工務店が立ち上がり、学生の設計力を競う全国コンテストが開催された。

建築を学ぶ現役学生だけが参加できる「木の家設計グランプリ2017」が9月23日(土) 京都造形芸術大学にて開催された。日本で唯一、木造住宅に特化したコンテストだ。4回目となる今年は過去最高のエントリーとなり、20才以下の精鋭も入賞を果たした。審査したのは日本の建築界をリードする6名の建築家。目の前で繰り広げられる学生とのトークバトルが会場を沸かせた。




『今をときめく一流建築家が審査員となり、参加者の目の前で審査する異例のコンテスト。過去、ステージで倒れた学生もいるほど熱い戦い。今年も熱いバトルが繰り広げられた』。


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9月23日 京都造形芸術大学ギャルリオーブにて「木の家設計グランプリ2017」が開始された。2014年に第1回目が行われてから毎年開催され今年で4回目。参加は個人、グループどちらでも参加できる。第1回目の参加は38組だったが、年々参加人数は増え、今年は過去最高のエントリー数341組、141組が参加した。当日は早朝から学生が列をつくり準備を進めた。観覧者を含めると全体で400名近くにのぼり、当日は冷房を一番下げても汗が出るほど会場は熱気に包まれた。


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課題テーマはその年の審査委員長が決定する。今年のテーマは「働く家を考える」。2017年度の審査委員長は、小さな家づくりに定評があり、出版する設計本はベストセラー、最近は中国・台湾でも書籍が出版された伊礼智(いれい さとし)氏が務めた。
「人口減の日本では家づくりのあり方が大きく変わりつつあります。多様な家族像、空き家率の増加、リフォームやリノベーションの増加の傍ら、新築用の宅地開発が止まらず、使い捨てにされる住宅も増えています。共働きが当たり前になりつつある社会で、この先社会を担っていく学生に未来の在り方を考えて欲しいと思いました」。と伊礼氏。


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審査員は他にも、竹原義二氏(無有建築工房 / 代表作 大川の家)、松岡拓公雄氏(アーキテクトシップ/代表作 モエレ沼公園)、横内敏人氏(横内敏人建築設計事務所/代表作 五十鈴川の家)、堀部安嗣氏(堀部安嗣建築設計事務所/代表作 南の家)、造園家 荻野寿也(荻野寿也景観設計/代表作 下田の家)と錚々たる顔ぶれ。学生に木造住宅の魅力を知ってもらい、日本の住環境をより良くしたいという思いで集まった6名だ。学生も憧れの建築家に作品を見てもらえるとあって力が入る。それだけに、審査側も学生だからといって容赦しない。学生のプレゼンテーションに対してヒートアップする場面もあり、ステージでは毎年厳しくも愛のある檄が飛ぶ。


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『目の前で受賞作品が決まる臨場感あふれるコンテスト』


参加は建築を学ぶ現役の学生なら誰でも参加できる。建築を学んで間もない1、2年生を対象にした「アンダー20賞」(年齢が20歳以下)も設けられ、新入生と大学院の学生が交じりあって競い合う。
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一次審査では学生が自分の作品の前に立ち審査員を待つ。1時間以上かけて審査員は会場をくまなく回り質疑応答が行われる。学生にとってはまたとない機会だ。そこから上位10選が選ばれ、最終プレゼンテーションを一般公開で行う。
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そこでの審査員と学生とのやりとりが毎年見ものだ。プレゼンテーション中、極度の緊張と疲労で倒れてしまう学生も過去いたほど白熱する。学生が審査員に強気で自分の作品への想いをぶつける場面もあり会場を沸かせた。
通常のコンテストでは、審査は別室でされることが殆どだが、このコンペは目の前で行われる。自分の作品へ票が入ったり抜かれたり、学生は終始緊張した顔を見せる。どういう経緯で自分の作品が選ばれ、落選したのかがリアルタイムで分かる。受賞が決まった瞬間、会場からは惜しみない拍手が送られた。


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最優秀賞に選ばれたのは、広島工業大学の3回生中村 凌さん、林 健吾さん、 都田 あゆみさん3人のグループ。「まさか自分たちが選ばれるとは思っていなかった。 3人で協力したことが認められて本当に嬉しい」。と笑顔を見せた。


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『現在の日本では、木造住宅を教育する大学・建築学校が殆どないという現実』

国土交通省「住宅着工統計」によると、2014年の新設住宅着工892,261戸の内、54.9%が木造住宅。集合住宅の多くが鉄骨や鉄筋コンクリートで建てられているのを考えると、戸建て住宅に絞れば木造率はぐっと高くなる。また2008年の総務省調査によると、その時点で存在する住宅(住宅ストック)では、戸建ての93%が木造。木造住宅の着工数は比較的安定しており、古くより住宅は木造で建てられていたことを考えると、日本文化と木は密接な関係があり、日本人がいかに木の家を好み、住まれてきたかがうかがえる。

しかし現在、建築を学べる日本の大学や専門学校でも、木造住宅について専門的に教えている学校は殆どないようだ。現に審査員たちも、殆ど独学で木造住宅を学んだという。そういった背景から、自ら教壇に立ち木造住宅を教える審査員も多い。「大学では見たこともないような設計が高く評価される傾向にあるように思います。でも住宅設計は公共・商業施設とは全く異なる質を持っています。社会に出ると住宅に携わる機会は意外と多くありますが、教育を受けていないために行き詰ったり挫折した人を目にしてきました」と審査員の横内氏。
「今日も学生から、“木って腐るんですか?”という質問が出たが、それは“アジの開きは海で泳ぐんですか?”と同じレベルの話。日本の建築教育は先進国の中でも低いと感じている。ドイツの大学では学生が色んな研究を重ね数値的なバックアップもとっていた。日本も実態と身体を伴った建築の勉強をしてほしい」と堀部氏も警笛を鳴らす。
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参考資料
国土交通省:「木造住宅の現状」
林野庁:平成26年度 森林・林業白書 参考付表 > 54.新設住宅着工戸数及び床面積


『日本の林業衰退、森林荒廃問題を知るきっかけに』

日本では高度成長期以降、安い外国産の木材輸入が主流となったことで国産材の需要が減少。安価な輸入材に押され国産の材木の値段は下がり、採算がとれず放置されている森は増え続けている。林業の担い手は減り、さらに森が荒れるという悪循環が生まれているのだ。
森林は生物多様性保全や地球環境保全など様々な機能があり、森林を守ることは地球温暖化防止にも貢献できる。木造を考えることで、日本の森林の状況について知るきっかけになることも当大会では期待されている。


『主催は滋賀県の工務店。大手ハウスメーカーの大工だった社長が一念発起』


この大会を主催するのは、滋賀県に店をかまえる「株式会社 木の家専門店 谷口工務店」。近江牛で有名な竜王町という人口12,000人ほどの小さな町で、地域密着の家づくりをしている。代表を務める谷口弘和(たにぐち ひろかず)氏は、過去、大手ハウスメーカーの大工だった経歴を持つ。地方の一工務店が、全国的なコンテストを企画から運営まですべて自社で主催する。そのきっかけは何だったのか。


 「当社は地方の工務店でありながら、”良い家づくりは人づくり”という信念のもと、新卒採用を10年以上続けてきました。大学で建築を学んだ学生を、設計士や大工に育てています。それで分かったことは、建築を学んだ殆どの学生は、量産型のハウスメーカーや大手ゼネコンへの就職を希望し、志が高く有能な人材ほどその傾向が強いことでした。初めて参加した合同就職フェアでは、大手のブースには学生が行列をつくり、隣の私たちのブースには誰も来ない・・そんな現実でした。さらに学生が木造住宅について殆ど学んでいないことも分かりました。
 本来住宅は、技術と知恵を駆使し、その地の風土気候に応じた住まいをお客様のために造るもの。それを支えることができるのは、その地域で仕事をする工務店が優れていると考えています。日本の木造住宅を絶やさず未来へ引き継ぐためには、それができる人材を発掘して私たちが育成しなければならない。その思いからこの大会を始めました。若い人材が地域で活躍できる社会をつくり、私たち作り手も人材を受け入れる環境を整えることで日本の建築業界を良くしていきたいんです」。と熱く語る。


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『全国から工務店が協賛し、遠方の学生には交通費も支給。そこまでして伝えたいこととは』


主催の谷口弘和氏の想いは、全国の工務店を動かしつつある。「優秀な設計スタッフが働きやすい環境があることを伝えたい」「ローカルな環境にこそ物づくりの原点がある。工務店で自分の可能性を試してほしい」。といった思いを持つ工務店や建築企業が、全国から協賛を申し出て、今年は24社が集まった。協賛金は大会運営だけでなく、遠方で参加をためらう学生の交通費として充てられている。交通費を出すコンテストは全国でも異例。それは地方の工務店が人材獲得に苦労していることもさながら、建築に対するゆるぎない思いからだと言う。

「食のトレンドが工場で大量に作る加工食品から、作り手の顔が見える有機栽培や無農薬の食品に移りつつあるように、住まいも工場でつくる量産住宅から工務店がつくる住宅へ移りつつあることを感じています。今後、住宅業界を担ってくれる人材育成が、私たち工務店にとって重要な責任だと感じ協賛しています」と話すのは、福岡県のエコワークス株式会社の代表取締役 小山貴史氏。


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『建築学生が、地方で活躍できる場をつくる』


地域工務店というと、中小零細企業のイメージが強く、教育体制にも不安を感じる学生がいるようだが、現実は想像以上に充実しているようだ。協賛した各社では毎年改善を行い、人材教育・投資を積極的にしていることが分かった。「従業員が何百人、何千人という企業だと、何か一つ体制を変えるとなると莫大な費用がかかり、確認の時間も要しますが、私たちのように小回りが利く工務店なら、変えると決めれば明日からできるのが強み。実際大手よりも最新の仕組みを取り入れている工務店も多いですよ」と谷口氏は語る。


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工務店は大手と比較し、1人で様々な役割を担い携わることが多い傾向にある。「建築に携わる人間は、総合的に建築を理解するべき。昔は大工の棟梁が営業から設計、現場監督まで全てを行っていました。営業でも設計を勉強し、現場監督も設計を、大工も設計が出来ることが最善と考えています」。と語るのは、協賛した工務店 兵庫県 株式会社山弘の代表取締役 三渡 眞介氏。生まれ故郷や地方で学んだことを生かす場所は我々の想像以上にあるようだ。


『大会終了後は、建築家や参加者同士が気軽に話せるパーティーを開催』

グランプリ終了後は、審査員や協賛会社、観覧者も交え立食パーティーが開かれた。
学生は参加無料。せっかく集まった場をより意味のあるものにしたいと昨年から開催され、今年も盛り上がりをみせた。普段簡単に出会うことのできない建築家と食事をしたり、接点のない工務店スタッフと話しながら建築の話で盛り上がる。
「就職先をどう選ぶのかを建築家の先生に相談できた。自分の学生時代の話を気さくにしてくれた」。「工務店のイメージが全く違うものになった。将来の選択肢として前向きに考えたい」。と学生たちも収穫があったようだ。
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『世界も認る、日本ならではの感性と精巧な技術を絶やさないために』

世界を代表する建築家 アルヴァー・アールト (1898-1976)やフランク・ロイド・ライト(1867ー1959)が日本建築に影響を受けたように、日本建築は古くより世界でも評価されてきた。
1300年前に建立されたと言われる世界最古の木造建築「法隆寺」をはじめ、古い建築物が日本には数多く存在する。台風や地震に合いながらも現存している理由は、日本の木造建築技術のすごさと言えるだろう。そしてそれは、職人により幾度となく修理が施され、永くもたされていることも忘れてはならない。

来年は2018年9月に開催予定。審査委員長は、造園家の荻野寿也氏が務める。建築のコンペに造園家が審査委員長を務めるのは異例中の異例。「私は日本の風景に緑を増やしたいという思いで仕事をしています。樹木や景色から建築を考えれば、日本の風景は必ず変わっていくはず。来年、学生の皆さんと一緒に私も勉強したいと思っています」。と荻野氏。
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建築に携わる学生や社会人だけでなく、一般人も建築を楽しく知り、観覧できる大会とあって来年も注目だ。今回受賞した面々が、日本を代表する建築家として活躍する日もそう遠くないのかもしれない。
誇るべき日本建築を守り引き継いでいくために、若い人材を発掘・育成する木の家設計グランプリを、今後も見守っていきたい。
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■受賞作品(敬称略)

最優秀賞 作品名「ずれが織りなす再起の住まい」  広島工業大学 



優秀賞 作品名 「家族と地域と環境を結び付ける住宅 ~大根やぐらと住宅の一体化の試み~」 
                         鹿児島工学院専門学校  土持未聖
準優秀賞 作品名「小屋裏と大屋根の家」 ー悉皆屋としての染織デザイナーの暮らし
                         京都工芸繊維大学院 三牧潤平 / 朝日 啓仁
アンダー20賞 作品名「六角形の家」  広島工業大学 長尾 亮平 / 塩谷 恭佳 / 藤森 天夢 / 丹下 雄斗
伊礼智賞 「作り 食べ 育つ 家」  京都造形芸術大学大学院 森下 清恵
竹原義二賞 「格子天窓が照らす木工房のある家」 三重大学大学院 杉浦建太 / 浅見崇稔
松岡拓公雄賞「小さな小屋が集まる大きな家」 日本大学大学院 横山 大貴 / 藤井将大 / 佐藤千香
横内敏人賞  新町通の京長屋~屏風を生業とする住まい~ 関西大学大学院 井筒 陽祐 / 和田 遼平
堀部安嗣賞 「変遷の家」 金沢工業大学 大学院 丹羽隆宏
荻野寿人賞 「風穴と鈴生りの家」 摂南大学大学院  森川 将雄


【社名】株式会社 木の家専門店 谷口工務店
【所在地】滋賀県蒲生郡竜王町山之上3409
【連絡先】0748-57-1990
【HP】https://taniguchi-koumuten.jp/
【MAIL】toiawase@taniguchi-koumuten.jp
 ※本件に関するお問合せ 担当:佐藤

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