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【開催レポート】国連大学SDG大学連携プラットフォーム設立記念シンポジウム[8月28日(金)]

PR TIMES / 2020年9月15日 12時15分

SDGsに取り組む日本の大学が国連大学と連携し、企業・自治体・国際機関・海外の大学等と協創するためのプラットフォームを設立

国際連合大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)は8月28日(金)14時~17時オンラインにてSDG大学連携プラットフォーム設立を記念したシンポジウムを開催。挨拶・基調講演に続き、産官学それぞれを代表するパネリストによるディスカッションが行われた。その様子をレポートする。



[画像1: https://prtimes.jp/i/65486/1/resize/d65486-1-228292-0.png ]

◆シンポジウムの概要
主催:国際連合大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)
後援:文部科学省
協力:東洋経済新報社 株式会社WAVE
※新型コロナウィルス感染症の拡大防止のため、オンライン配信で実施

SDGsを軸に国内の大学が国連大学と連携し、世界のステークホルダーと協創することで、国際社会におけるプレゼンスを高める「国連大学SDG大学連携プラットフォーム」の設立記念シンポジウムが、オンラインで開かれた。日本に本部がある唯一の国連機関である国連大学が創設するこのプラットフォームは、大学は“より良い社会”作りのためのドライバーであり、大学のSDGsの取り組み強化、国際社会で活躍できる人材育成及び国内外への発信を狙いとするものであり、SDGsに積極的に取り組む全国の大学が様々なステークホルダーとの連携の“場”としての活用されることを期待する。プラットフォームを通じて、人々の行動変容の促進を図ることで、国際社会が目指すべきインクルーシブかつサステイナブルな社会の実現に貢献していく。

◆当日の様子
2020年8月28日(金)、オンラインで配信された本シンポジウムには、全国から大学学長、理事を含む約530名が参加。パネルディスカッションでは、SDGs推進に積極的な大学・企業・自治体を代表するパネリストらが、大学がSDGsに取り組む意義や産官学の連携の重要性、より良い社会づくりに向けた大学のあり方といったテーマのもと語り合った。
[画像2: https://prtimes.jp/i/65486/1/resize/d65486-1-607122-2.png ]

冒頭挨拶
デイビット・マローン氏(国連大学学長)/氷見谷 直紀氏(文部科学省大臣官房国際課長)
挨拶で国連大学学長のマローン氏は「SDGsは日本でも大きな広がりを見せているが、その実情には議論の余地がある。日本の若者によるSDGsについての対話こそが日本の未来にとって重要だ。このプラットフォームの創設がさまざまな大学を結び付け、議論の出発点となることを願う」と語った。続いて文部科学省大臣官房国際課長 氷見谷直紀氏も登壇し、「個々の取り組みを進化させ、大学同士が連携して世界に発信することが社会を変えるためには重要。世界とも産業界ともつながりの深い国連大学が主催するこのプラットフォームは時流を捉えている。各大学にも積極的に参加いただき、大いに発展することを期待する」と述べた。

■基調講演 「SDG大学連携プラットフォームの意義」
山口しのぶ氏(UNU-IAS所長、SDG大学連携プラットフォーム・チェア)
山口氏は冒頭で、「さまざまなステークホルダーがSDGsに取り組む中、最先端の研究・次世代育成・地域創生の要である大学の役割は大きく期待されている」と述べた。国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)において、日本の大学のSDGsの取組み及びステークホルダーとのパートナーシップを強化し国内外に発信するために、SDGsに積極的に取り組む意欲のある日本の大学の取組みをさらに促進し、“より良い社会”作りへ貢献するためにステークホルダーが連携する場としてプラットフォームを設置する意向を発表した。日本の学生のSDGsへの意識は上昇している一方、国際プレゼンスは低水準であることを受け、大学に関わる人々(研究者、学生、職員)が変われば社会へ大きなインパクトを与えることが可能と訴え、1.個々の大学のユニークさを磨き上げ2.社会への発信力を向上させ3.社会(ステークホルダー)との連携を強めることの重要性を唱えた。このプラットフォームは国連大学と日本の大学がSDGsで連携し、その取組みを国内外へ戦略的に発信していくことで、日本及び世界の持続可能な発展に貢献することが目的であるとして、意欲ある大学の参加を呼び掛けた。

■Times Higher Education Impact Rankings 2020 紹介
北島 隆次氏(SDG大学連携プラットフォーム事務局長)
Times Higher Education(THE)が実施するSDGsへの取り組みを評価した“Impact Rankings”について、北島氏が解説した。2020年は85の国・地域から768大学がエントリー。その上位はオセアニア・欧州の大学が多く、大学ランキングとして有名な”World University Rankings”の上位とは大きく顔ぶれが異なる。日本の大学は世界最多の72大学がエントリーし、うち63大学がランクインしており、「今後も大学のエントリー数は増えるだろう。日本の大学では高い評価が期待できる取組みも多く、さらなるランクインやランクアップの余地は十分ある」と北島氏は語る。今後プラットフォームでは、より詳細なスコア分析やTHEとの意見交換、ランキング上位大学との意見交換なども実施する予定だという。「国際社会で大学の取り組みをPRする機会となれば」と思いを語った。

■パネルディスカッション(1)大学がSDGsに取り組む意義
五神 真 氏(東京大学総長)「東京大学のSDGs推進とグローバル・コモンズ・センターの創設」
五神氏は、気候変動や新型コロナの感染拡大を例に挙げ、人間の活動が地球規模の影響を与える時代となった今こそ、個人・企業・国の行動変容を促し世界へ広げていかねばならないと警鐘を鳴らす。そのカギとなるのが、デジタル革新(DX)がもたらすリアルデータの活用だ。SDGsの中心コンセプトであるインクルーシブでサステイナブルな社会に向け舵を切るためには、リアル(フィジカル空間)とデジタル(サイバー空間)が高度に融合した世界にならねばならない。サイバー空間上のコモンズを守るにはデータを公共財として流通活用する国際ルールが必要だとして、東京大学は今年8月1日、グローバル・コモンズ・センターを設立。サイバー、フィジカル両空間を一体と捉えたコモンズとして、その開発・利用・管理に係る研究と評価指標の開発を進める。「より良い社会を創るとき、大学は変化に遅れないようにするのではなく、世界をサステイナブルに変えてくためにその駆動力を拡大していくことが必要だ」と五神氏は語る。その資金として、東京大学ではコーポレートファイナンス型の大学債(40年債)の発行に取り組む。ソーシャルボンドとしての評価も受け、研究活動の競争力や経済の仕組みを修正する駆動力を高めていく。

杉村 美紀 氏(上智大学副学長)「上智大学のミッションとSDGs」
上智大学は「他者のために、他者とともに」という精神のもと、建学以来、国際的視点を持った人材育成や教育研究活動を進めており、様々なステークホルダーと連携・協力したSDGsに関わる多彩な取り組みを行っている。年2回の国連Weeksの実施や、国連グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンへの加盟と企業との連携、ダイバーシティ推進室や国際協力人材育成センターの設置、国連責任投資原則(PRI)への署名とESG投資等により上智学院全体で積極的な活動を展開しているほか、国連大学UNU-IASとのジョイントディプロマや持続可能な開発のための教育(ESD)活動、地球環境研究所やバンコクに設立した事業会社による実践型教育研修事業「持続可能な未来社会の共創」など、国内外で教育研究活動を実施している。2017年度からは人間の安全保障研究所を発足。副学長の杉村氏は「人間の安全保障はSDGsと直結している概念。国際機関等とも連携し、国際的ネットワークを展開しながら学融合型の取り組みを進めている」と語る。2020年秋からは、既存の国際教養学部や理工学部英語コースに加え、スーパーグローバル大学創成支援事業の一環として、英語によりサステイナビリティを学び課題解決に取り組む力を養うプログラムSophia Program for Sustainable Futures(SPSF)を新設。6学科が連携した学際的なプログラムとして、持続可能な未来とその担い手を育成する。多彩な活動や連携の紹介を通じ、建学の理念「叡智が世界をつなぐ」に基づく大学の役割と社会的貢献の方向性を示唆した。

松尾 太加志 氏(北九州市立大学学長)「北九州市立大学におけるSDGsの推進」
北九州市立大学は、創立70周年を機に「地域と歩む・環境を育む・世界(地球)とつながる」の3つの将来ビジョンを策定。3つのビジョンはSDGsと親和性の高い考え方であり、これらを踏まえたカリキュラムを構築し、特に目標4(質の高い教育をみんなに)の実現に取り組む。国際環境工学部では環境志向エンジニア教育を実施。初年次からPBL型授業を通して課題解決・発信のスキルを磨き、また、インターンシップを通して社会課題を実感できる機会も提供している。地域活動におけるSDGsの取り組みとして地域共生教育センターを設置し、まちづくりや福祉の視点から地域社会との協働研究も盛んに実施している。研究においても自治体や地域企業と協働しSDGsに貢献している。2018年にはKITAQキャンパスSDGsを発足、2019年には国連アカデミック・インパクトに加盟、2020年にはSDGs推進部署を設置するなど、自治体や地域企業、近隣大学との連携を図りながら、個々の研究も生かしSDGsに取り組んでいる。学長の松尾氏は「大学という高等教育機関として、目標4への貢献は必務である。地域活動や研究を通して、公立大学としての特性や強みを生かし、SDGsへの取り組み・連携を行っていきたい」と語る。公立大学ならではの地域性を生かし、大学と地域の連携のあり方についての例を示した。

氷見谷 直紀氏(文部科学省大臣官房国際課長)「SDGsと我が国の大学への期待」
各大学のお話を受け、氷見谷氏は国としてのSDGs推進の方針と大学への期待について触れた。日本が取り組むべき日本型SDGsモデル(ビジネスとイノベーション・地方創生とまちづくり・次世代女性のエンパワーメントの3本柱)においては、新しい学習指導要領に基づきSDGsの基礎を育んだ学生たちの更なる育成を行うなど大学が果たす役割が非常に大きく、また官民の連携に加えて国際性もより重要な観点となっているという。高等教育は世界課題の解決に貢献するという使命があり、2040年に向けたグランドデザイン答申では、予測不可能な時代を生き抜く人材育成や大学間および地域・産業界との連携への期待が示されている。「SDGsの達成には、個々の課題を切り離して対処するのではなく、統合的なアプローチが求められる。各大学の取り組みは大学全体の戦略として位置づけ、学生や産業界、地域社会といった学内外のリソースとともに統合的に課題に取り組んでいくことが必要。またこれらの活動を国際的に発信していくことで、日本の大学のプレゼンス向上および国際的なムーブメントを生み出すことにつながる。そのためにこのプラットフォームを活用しながら、各大学の強みを生かしたシナジー効果を期待する」と述べた。

■パネルディスカッション(2)企業・自治体から見た連携の重要性
伊藤 綾 氏(株式会社リクルートホールディングス サステナビリティ推進グループ パートナー)「リクルートホールディングスのサステナビリティとSDGs」
伊藤氏は「当社が創業以来大事にしてきた使命とSDGsをどう結び付けるのかを検討した際に、最も重要なゴールは目標10(人や国の不平等をなくそう)であった。アジェンダ2030の前文における“いっそう大きな自由における普遍的な平和の強化を追求する”という文言にも注目し、当社にとって大きな自由とはどうあるべきかの議論を重ねてきた」と話した。同社はSDGsドミノという考え方で、一つのゴールへ向けた行動が他のゴールの解決につながるという意識を持ち、その連鎖に一丸となって取り組む。産学連携への期待も非常に高い一方、ゴールへの道のりは依然長いとして、統合的なアプローチの必要性を説いた。「産学連携において最も重要なことは共通のゴールへの強いコミットメント。“産”と“学”が互いの得意分野を理解し合い、どう発揮するかを話し合っていくことが求められる」とし、課題解決への強い熱意をもって、企業としても産学連携によるSDGs推進を進めていきたいと語った。

門川 大作 氏(京都市長)「京都市の産学連携によるSDGs推進」
門川氏は「京都市は政策のすべてをSDGsの視点から精査してきた。京都は高い地域力があり、精神文化が生きている都市。また38の大学・短期大学で15万人の学生が学ぶ学生のまちとして、課題に対し正面から取り組む学生を育ててきた。学生が地域社会に果たす役割に感謝し、また今後の展開に大いに期待する」と、地域と大学の連携を大切にしたいという思いを語った。京都市は文化芸術の都市であると同時に先端企業が多く存在し、産学連携が進んでいる。大学と連携した取り組みとしては、全国初の大学間連携組織である(公財)大学コンソーシアム京都と協働し,学まちコラボ事業などを充実させている。学部中心の活動から全学的な活動に深化させるため「学まち連携大学」促進事業などを発足し、大学の主体的な取り組みを支援している。京都大学の産学公SDGsプロジェクトや龍谷大学のユヌスソーシャルビジネスリサーチセンター等、京都の各大学でのSDGsへの盛んな取り組みにも触れ、大学・学生と地域をつなぎ、一丸となって社会的課題に取り組んでいきたいと意欲を示した。

沖 大幹(国連大学上級副学長、SDG企業戦略フォーラム座長)「The Goals and Beyondという考え方」
国連大学と企業約20社とのパートナーシップを結ぶSDG企業戦略フォーラムの座長を務める沖氏は、これまでの成果をもとに、今後のSDGsへの取り組み姿勢について言及した。SDG企業戦略フォーラムはESG投資対応とSDGs推進のシナジーを促進し、国際社会の中で積極的にルール作りに関われる企業を日本から輩出するべく企業間との対話を進めてきた。そこではまずアジェンダをきちんと理解することが重要であり、その上で貢献に直結したターゲットを作ることが必要だと感じたという。また、「The Goals and Beyond」という考えにも触れ、文化やスポーツ、エンターテインメント、芸術など17のゴールには含まれない重要な課題について設定していく必要があると述べた。「プラットフォームでは、どのような人材を輩出し、どういったプログラムやリソースが必要なのかを話し合う場として、SDGsを共通言語として対話できるものになってほしい。SDG企業戦略フォーラムがSDGsの社会実装化を目指して連携している京都市をはじめとした千年都市にも学びながら発展してほしい」と希求した。

■パネルディスカッション(3)より良い社会づくりのための大学のあり方
各意見を受け、東京大学総長 五神氏は「より良い社会づくりには、長期的な視点かつ多様なスケールの考え方が必要であり、他者を感じる感性が求められる」と述べた。国際的分断やDXが加速した現在、他者とは何かを考えながら時間スケールに捉われない取り組みが求められる。現状の産学連携は個々の研究レベルにとどまっているが、共通のビジョンを定め広い視野で共創するという考えをもって、連携していく必要があると説いた。

その後、各参加大学からの質問事項についてパネリストから丁寧な回答があり、最後に各パネリストがプラットフォームへの思いや考えを述べて、ディスカッションを終えた。

新型コロナの感染拡大により、国際社会が目指す方向は「インクルーシブでサステイナブルな社会の実現」であるということが多くの人々に共有された。今こそ、強い熱意と覚悟をもってSDGsという世界の課題解決に取り組まねばならないだろう。このプラットフォームによって日本の大学が強く結びつき、より良い社会の実現へ一歩踏み出す決意を新たにした。
(レポート制作:株式会社WAVE/WAVE・SDGs研究室)


◆国連大学SDG大学連携プラットフォーム 募集要項
1 募集対象:大学 ※教授、学生、職員等個人でのお申込みはできません。
2 募集大学数(初年度):25大学程度 ※参加大学の多様性を重視し、全国のさまざまな規模やタイプの大学による構成を目指します。
3 参加要件:1) プラットフォームの趣旨にご賛同いただけること
       2) SDGsの取組みに積極的であること
       3) 自大学での事例を収集、ご提供いただけること
       4) 理事クラス等大学での意思決定に関与できる方にご参加いただけること
4 お申込・お問い合わせ:SDGs-UP@unu.edu迄ご連絡をお願いいたします。

※全てのお申込みのご期待に沿えない可能性がございます。予めご了承いただきますようお願い申し上げます。

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