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「ゼロエミッション車に向かう世界の中の日本」日本の自動車産業のZEV移行遅れ、雇用危機と経済衰退に関する調査レポート発表

PR TIMES / 2022年5月12日 9時40分

●2050年までに脱炭素が完了することを想定したネットゼロシナリオにおいて、ZEV移行への対策が取られない場合、2040年までに自動車輸出の50%、GDP比14%以上、80兆円近い利益が消失も
●ZEV移行に対し行動しない場合、約180万人の国内雇用への脅威に
●バッテリー電気自動車は、HEV、PHEVよりも排出ガスが少ない
●提言された政策が実行されれば、産業と雇用の成長につながる

国際的な非営利団体のクライメート・グループは、本日、報告書『ゼロエミッション車に向かう世界の中の日本』を発表し、日本の自動車メーカーが早急に戦略的方向転換を図らなければ、自動車輸出が50%減少し、GDP比14%の損失を被り、また数百万人の雇用が喪失される可能性があるとの分析を明らかにしました。

本報告書は、日本の電気自動車の開発に携わってきた専門家である和田憲一郎氏と井上眞人氏(注1)による調査報告書および信頼性の高いデータを基にまとめられたもので、日本が世界の自動車産業で起こっている電化革命を迅速に受け入れなければ、自動車産業の縮小と経済の衰退に直面することになると警告しています。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)がパリ協定の目標達成のために完全な電気自動車への切り替えが不可欠だとする通り、消費者需要の急速な変化と規制の介入により、世界では内燃機関車からZEV(注2)への切り替えが進行しています。
本報告書は以下よりダウンロードできます。
https://www.theclimategroup.org/our-work/resources/japan-and-global-transition-zero-emission-vehicles-may-2022

本報告書の主な内容は以下の通りです。

● 日本経済への影響
現在のようにハイブリッド車(HEV)へ重点を置き続ければ、日本の自動車市場は世界の潮流から取り残される危険性があります。HEVからの脱却を急がなければ、日本にとって重要な自動車産業は、競争上大きな不利益を被る可能性があります。

● 日本の産業界のリーダーシップへの脅威
日本は第3位の自動車生産国であり、かつ世界最大規模の市場を誇ります。また、日本は世界第2位の自動車輸出国で、2019年には乗用車の約13%を供給しています。日本メーカーが国内外で生産する自動車の82%は海外向けです。日本の自動車産業がZEVに移行せず海外輸出台数が50%減少した場合、172万人が雇用を喪失し、GDP比で14%の損失額を受け、80兆円にも及ぶ自動車産業の利益が破滅的に失われる可能性があります。

● ZEVに関する誤解への答え
本報告書では、急速に発展している技術であるが故に生まれた電気自動車にまつわるいくつかの誤解について、以下の内容をデータとともに解説しています。
・自動車が使う電気を化石燃料で発電したとしても、HEVと比較して、BEVを使った方が環境には良い。
・BEVはHEVよりも燃費が良く、技術の発展とともに、さらに向上する。
・日本がパリ協定の目標を達成するために必要な運輸部門の脱炭素化を可能にするのは、完全な電気自動車のみと考えられる。
・充電インフラの整備のため、製造、設置、監視などの分野で10万人以上の雇用が創出されると推定されており、雇用増大のチャンスでもある。

● 早急な政策の必要性
日本のメーカーも転換をし始めており、昨年12月、トヨタ自動車は2030年までに30種のBEVモデルをグローバルに提供すると発表しました。2022年1月には、ルノー・日産・三菱自動車アライアンスが263億ドル(3兆円)を投じて、2030年までに35種のZEVモデルを発売する計画であると発表しました。しかし、残念ながら、政府の政策は市場の動向に沿っているとは言い難い状態です。本報告書では、日本の自動車産業の差し迫った危機に対処するため、インフラ、エネルギー戦略、補助金などに関する12の政策を提言しています。

●本報告書作成にあたっての調査概要
調査期間:2021年8月~2022年4月
調査方法:下記2名の専門研究者による調査レポートを作成しました。
政府機関や公的機関より公表されているデータをもとに、専門研究者による考察と分析調査を行いました。
データの出典元等については、レポートの中に明記してあります。

(注1)執筆者のプロフィールは以下をご参照ください(敬称略)。

【和田憲一郎(わだ けんいちろう)】 :e-mobilitコンサルタント。三菱自動車入社後、2005年から新世代電気自動車「i-MiEV(アイ・ミーブ)」プロジェクトマネージャーなどを歴任。発売後は本社にてEV充電インフラを牽引。その後、株式会社日本電動化研究所を設立し、現在代表を務める。

【井上眞人(いのうえ まさと) 】:日産自動車で世界初の大規模量産電気自動車となる「日産LEAF」のデザイン・ディレクターとなり、日産電気自動車デザインおよびEV関連デザインを統括。現在はイタリア・トリノのISTITUTO D'ARTE APPLICATA E DESIGNトランスポーテーション学科教授を務める。

(注2)ZEVは一般的に二次電池式電気自動車(BEV)を指しますが、本報告書では燃料電池自動車(FCEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)を含みます。

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