「経済安全保障重要技術育成プログラム」で高効率・高品質レーザー加工技術の開発に着手
PR TIMES / 2024年4月5日 11時45分
―PBGFを適用したレーザーの開発と半導体レーザーの調査研究を実施―
NEDOは経済安全保障を強化・推進する観点から支援対象とすべき先端的な重要技術の研究開発を進める「経済安全保障重要技術育成プログラム(通称“K Program”)」(以下、本プログラム)」の一環で実施する研究開発として、「高効率・高品質レーザー加工技術の開発」(以下、本事業)に着手します。
本事業では、特定の波長のレーザー光のみを透過/損失させることが可能なフォトニック・バンド・ギャップ・ファイバー(PBGF)の加工用レーザーへの適用に向けた技術開発を行い、新たな用途も開発することで、高出力かつ自由度の高いファイバーレーザー加工システムの実現につなげます。
また、小型・軽量が特徴である半導体レーザーの高輝度・高出力化技術について、将来の本格的な研究開発の実施を視野に、国内外先端技術の調査研究、需要調査を行うとともに、レーザー加工分野以外への展開に向けた技術開発の方向性を検討します。
1.経済安全保障重要技術育成プログラムについて
世界的に、科学技術・イノベーションが国家間の覇権争いの中核となっている中、日本が技術的優位性を高め、不可欠性を確保するためには、研究基盤を強化することはもちろんのこと、市場経済のメカニズムのみに委ねるのではなく、国が強力に重要技術の研究開発を進め、育成していく必要があります。
そこで、経済安全保障を強化・推進するため、内閣府や経済産業省、その他の関係府省が連携し、先端的な重要技術の研究開発から技術実証までを迅速かつ柔軟に推進するため、本プログラム※1が創設されました。
本プログラムでは、NEDOに造成された基金※2により、国が定める研究開発ビジョンや研究開発構想※3に基づき、科学技術の多義性を踏まえ、民生利用のみならず公的利用につながる研究開発とその成果の活用を推進します。
2.事業の概要
本プログラムの支援対象のうち、「領域横断・サイバー空間」領域の要素技術の一つに「高効率・高品質なレーザー加工技術」が挙げられています。
将来のものづくり現場では、デジタル制御と親和性の高いレーザー加工の重要性が一層増すと同時に、ものづくり機器のクラウド連携や知能化が進むと考えられ、これらを融合したレーザー加工システムは日本のものづくりにおける最重要ツールの一つとして期待されています。レーザー加工システムの性能に直結するレーザー技術の向上・革新は、既存の製造工程を効率化するのみならず、これまでに不可能であった加工も可能とすることが期待され、日本の機械製造業を始めとする産業の優位性を確保していく上で極めて重要です。また、先端レーザー技術は、加工分野にとどまらず、医療分野、通信分野、自動運転などに向けたセンシング分野などに幅広く応用できる重要な研究開発項目です。
このような背景の下、NEDOは「高効率・高品質レーザー加工技術の開発」を公募し、2テーマを採択しました。本事業では、高出力ファイバーレーザーの開発、高品質・高出力な半導体レーザーの高輝度・高出力化技術の確立に向けた調査研究を実施します。
3.実施内容・採択テーマ
【領域横断・サイバー空間(1)】
非線形光学現象で発生する特定の波長のレーザー光のみを高出力領域で選択的に除去、低減できるPBGFの開発を行い、並行して高出力シングルモードファイバーレーザー(SM-FL)※4の新たな用途を開発します。この新たなPBGFの開発、適用により、従来にない高出力なSM-FLおよび自由度の高いファイバーレーザー加工システムの実現につなげます。
事業名:経済安全保障重要技術育成プログラム/高効率・高品質レーザー加工技術の開発
/高出力ファイバーレーザー
予算:44億円
期間:2024年4月~2028年12月(予定)
実施予定先:川崎重工業株式会社
実施概要:別紙1のとおり
【領域横断・サイバー空間(2)】
デジタル化による自動的かつ効率的なものづくりを実現するためには、小型・軽量が特徴である半導体レーザーで、既存の大型レーザーと同等の輝度・出力を実現できる技術が必要です。このため、将来の本格的な研究開発の実施を視野に、国内外先端技術の調査研究、需要調査とともに、レーザー加工分野以外への展開に向けた技術開発の方向性を検討し、レーザー加工にとどまらない他分野への展開も含め、レーザー発振器のサイズ・重量も含めた目標スペックを明確にします。
事業名:経済安全保障重要技術育成プログラム/高効率・高品質レーザー加工技術の開発
/高品質・高出力な半導体レーザー
予算:2億円
期間:2024年4月~2025年3月(予定)
実施予定先:国立大学法人京都大学
実施概要:別紙2のとおり
【注釈】
※1 本プログラム
事業名:経済安全保障重要技術育成プログラム
事業期間:2022年度~2031年度
事業概要:経済安全保障重要技術育成プログラム https://www.nedo.go.jp/activities/k-program.html
※2 NEDOに造成された基金
本基金は、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律(令和4年法律第43号)第63条第1項における「特定重要技術の研究開発の促進およびその成果の適切な活用を目的とするもの」として指定基金に指定されています。
※3 国が定める研究開発ビジョンや研究開発構想
「研究開発ビジョン」とは、経済安全保障推進会議および統合イノベーション戦略推進会議で取りまとめられる、支援対象とする重要技術や重要技術となり得る要素技術などを示したものです。「研究開発構想」とは、研究開発ビジョンをもとに内閣府および経済産業省が具体的な研究開発の構想を示すために策定するものです。最新の資料は、内閣府ホームページ(経済安全保障重要技術育成プログラム https://www8.cao.go.jp/cstp/anzen_anshin/kprogram.html)を参照ください。
※4 シングルモードファイバーレーザー(SM-FL)
ビーム形状が円形でパワーがその中心に集中している出力モードのファイバーレーザーです。
※新聞、TVなどで弊機構の名称をご紹介いただく際は、“NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)”または“NEDO”のご使用をお願いいたします。
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