ヤマモモ由来酵母の上皮バリア増強効果について
PR TIMES / 2013年2月19日 15時36分
日本薬学会 第133回年会 (横浜) 2013年3月27-30日にて発表
長瀬産業株式会社(本社 東京都中央区、代表取締役社長:長瀬 洋)は、この度、日本薬学会第133回年会(横浜 2013年3月27-30日)http://nenkai.pharm.or.jp/133/web/index.htmlにおいて「上皮バリア強化作用をもつ酵母の探索」について学術発表を行います。
「上皮バリア強化作用をもつ酵母の探索」
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【研究背景】
人は外界から紫外線や温度変化、病原菌など、化学的または物理的に、多様なストレスにさらされていますが、皮膚や消化管などの上皮組織が「上皮バリア」を形成することによりこれらのストレスから生体を守っています。また上皮バリアは水分など必要な成分の蒸散・漏出も防ぐ役割も担っており、上皮バリアの異常は乾燥肌や荒れ肌、感染症などと深く関連することが分かっています。長瀬産業株式会社では上皮バリアの増強を目的とした研究を進める中で、化粧品素材としても使用されている酵母に着目しました。
酵母は古くより食品の発酵に使用されてきた微生物であり、日本酒やワイン、ビール、パン、味噌など様々な食品の製造に欠かせないものです。また酵母から得られるエキスにはビタミンやアミノ酸といった栄養素が豊富に含まれており、酵母エキスは食品や化粧品の原料として幅広く配合されています。同じ酵母菌種(学名:Saccharomyces cerevisiae)であっても菌株が異なれば、例えば日本酒では風味の違うお酒が出来上がることが知られています。しかし、酵母のもつ生理作用についての菌株間の差はあまりよく分かっていません。
そこで今回、独自に酵母の取得を試み、上皮バリア増強効果について標準酵母菌株と活性を比較検討しました。
【学会発表内容】
はじめに、数種の花や果実から500株以上の酵母を分離し、その中でヤマモモ果実より分離した2株(DNY004MR株、DNY005MR株)は同定試験の結果、S. cerevisiaeであると判定されました。
次に、ヤマモモ由来の酵母2株およびS. cerevisiaeの標準株を4株(JCM2223, JCM1499, JCM1818, JCM2214)、さらに市販のパン用ドライイーストから分離した酵母1株を用いて上皮バリアに対する作用を評価しました。ヒト皮膚表皮角化細胞(NHEK)に各酵母の乾燥死菌体を添加したところ、上皮バリア強度の指標値(経上皮電気抵抗値;TEER)はDNY005MR株の添加により最も高く増加しました。
また、同様の試験を小腸モデル細胞(Caco-2)で行った場合も、DNY005MR株が最も強いTEER増加作用をもつことを確認しました。これらの結果から、皮膚の表皮でも小腸上皮でも、今回試験した酵母の中でDNY005MR株が最も強く上皮バリアを増強する可能性が見出されました。
<ヤマモモ果実から分離した酵母の遺伝子発現への影響>
さらに、酵母DNY005MR株を表皮角化細胞へ作用させた時の遺伝子発現の変動を探った結果、DNY005MR株はクローディン-4の発現を増加させることが分かりました。クローディン-4とは細胞と細胞を強固に連結させるための接着剤の役割を果たす「細胞接着因子」であり、この細胞どうしの連結こそが上皮バリアの正体と言えます。したがって、DNY005MR株はクローディン-4の発現を増加させることで細胞どうしの連結を強化し、上皮バリアの増強作用を発揮する可能性が示されました。
【まとめ】
ヤマモモより分離したS. cerevisiae DNY005MR株は表皮角化細胞および小腸モデル細胞において7株の酵母株の中で最も強く上皮バリアを増強させることが見出されました。またこの作用には細胞接着因子のクローディン-4の発現促進が関与することが示唆されました。
今回の検討により、DNY005MR株が有効な上皮バリア増強剤として化粧品および食品、両方への応用が期待できます。
< この件に関するお問い合わせ先 >
長瀬産業株式会社 ビューティケァ製品事業部 広報担当 若山
TEL:03-3665-3622 FAX:03-3665-3629 E‐mail:pr@nagase.co.jp
HPアドレス http://nbc.jp
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