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人的資本が企業価値に与える金額を算出する、数理モデルの開発へ。IGSが一橋大学小野教授、大手9社と「人的資本理論の実証化研究会」発足

PR TIMES / 2022年11月1日 17時40分

人的資本をエンゲージメントと捉える風潮に警鐘

Institution for a Global Society 株式会社(本社・東京都渋谷区、代表取締役社長・福原 正大、以下 IGS)は、人的資本理論等を専門とする一橋大学大学院 小野浩教授と、同 特任教授 兼 IGS代表 福原正大を共同座長として、産学協働の「人的資本理論の実証化研究会」を大手企業9社と発足し、10月より活動を開始しました。



[画像1: https://prtimes.jp/i/54457/38/resize/d54457-38-5823364051c1da46993e-0.jpg ]

研究会の目的は「人的資本が企業価値に与える金額を実証する、数理モデルの研究開発」です。この数理モデルによって、企業は「どのような人事施策に投資すれば、企業価値(金額)が向上するのか(人的資本の投資対効果の計算)」を明らかにすることができます。

また、本研究会では人的資本をエンゲージメントと捉える昨今の風潮に、危機感を抱いております。「人的資本」の概念を提唱したノーベル経済学者のゲーリー・ベッカー教授の理論の元、本研究会では人的資本を「能力」と捉えます。また、一橋大学小野教授のご研究により明らかにされた、「人的資本を企業価値に効果的に繋ぐ条件」として、エンゲージメントを含む「ハピネスやWell-being」を置きます。これにより、企業が能力育成やエンゲージメントなど、どの要素に対して投資すれば良いか、数理モデルでシミュレーションできます。

参画企業は、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社、株式会社ニコン、株式会社日経ビーピーコンサルティング、日本郵便株式会社、三井住友トラスト・ホールディングス株式会社、株式会社三菱UFJ銀行などの大手企業9社です。

■研究会発足主旨
〇背景
人的資本への投資対効果がわかりづらいため、日本では人的資本投資が海外と比べて著しく行われてきませんでした。
これまで人的資本がもたらす企業価値の算出が難しかった理由として、主に以下3点が挙げられます。

日本企業のHRテック※1の導入・活用が遅れている。そのため、知識やスキルを使いこなす力(キー・コンピテンシー※2)を定量化できず、知識やスキルを持つ人材の価値を定量的に示すことができなかった。
変化の激しい時代に、知識やスキルの減衰は加速している。世界経済フォーラムは「世界のビジネスパーソンが2025年に必要なスキル」の第2位に「自ら新しく学び続ける力」を挙げた。このような力もキー・コンピテンシーに含まれ、人的資本価値の算出に定量的に組み込む必要があった。
複数企業の人材データや財務データを研究に活用できず、金額算出に至る研究が進みづらかった。また、企業が単体で行うには負荷が高い。

※1 HRテック:「Human Resources」と「テクノロジー」をかけ合わせた造語。ビッグデータやクラウド、AI(人工知能)などのテクノロジーを用いて、人事が抱える課題を解決に導くサービスや技術のこと
※2 キー・コンピテンシー:社会で活躍する上で重要な行動特性(思考パターンや行動パターン)。知識やスキルを使いこなすベースの能力にあたる。

〇研究体制の特徴
本研究会は、一橋大学大学院 経営管理研究科 小野浩教授と、同 特任教授 兼 IGS代表 福原正大が、共同座長を務めます。小野教授は、「人的資本」の概念を提唱したノーベル経済学者のゲーリー・ベッカー教授に師事し、人的資本理論等を専門としています。福原は、人的資源管理におけるデータ活用を専門とし、経済産業省の委員などを歴任しています。さらに代表を務めるIGSは、AIを活用した360度評価でキー・コンピテンシーを公正に定量化するテクノロジーサービス「GROW360(グロー・サンロクマル)」を提供しています。
参画企業は、キー・コンピテンシー等の人材データを含む財務・非財務データを提供することで、各企業のニーズに対応した算出モデルを得ることができます。キー・コンピテンシーの人材データを蓄積できる他、人的資本の投資対効果がわかることから、戦略的な情報開示につなげることができます。
このように、ゲーリー・ベッカーの人的資本理論などをベースに、HRテックを活用して企業の実データを扱う産学連携での研究体制により、上記の課題を解決し、研究開発を進めます。

■研究成果のイメージ
〇数理モデル(計算式)の考え方


人的資本が企業価値に与える財務価値(金額)=1.人的資本(能力)の財務価値×2.人的資本を企業価値に効果的に繋ぐ条件(ハピネスなど)

本研究会は、1.人的資本の財務的価値の算出 2.人的資本が企業価値に与える金額の実証 の2本立てで進めます。いずれも、人的資本理論に基づきながら、企業の実データを扱うことで、実用可能な数理モデルを開発します。


1. 人的資本の財務的価値の算出
市場で求められるスキルの取得状況や、キー・コンピテンシーの業界内競争力など、複数の因子を入れた計算式を作り、人的資本の財務的価値を算出します。
これにより、「どんな施策に投資すれば、どの因子が動き、金額的なインパクトを人的資本価値にもたらすのか」が明らかになります。また、この因子について実証を行います。各企業は、実データを用いて経営シミュレーションを行うことができるため、人的資本経営の意思決定精度の向上が期待されます。
2. 人的資本が企業価値に与える金額の算出
近年の研究では、人的資本の財務的価値がそのまま企業価値に含まれるのではなく、人的資本を企業価値に効果的につなぐための条件が必要であると指摘されています。
例えば、条件がハピネスやWell-beingの場合、能力が高い人でも、心身の不調ややる気がわきづらい状況では、十分にパフォーマンスを出すことは難しいと想定できます。健幸経営に企業が投資する行動は、人的資本を活かす合理的な行動として考えられます。
このように、どのような条件が人的資本と企業価値を効果的に繋ぐのかを、企業のデータを用いた実証で明らかにします。そのうえで、人的資本価値算出の計算式と統合し、人的資本が企業価値に与える金額を算出する計算式を作ります。


〇数理モデルができると、どのようなメリットがあるのか
この数理モデルによって、企業は「どのような人事施策に投資すれば、企業価値(金額)が向上するのか(人的資本の投資対効果の計算)」を明らかにすることができます。

例1)若手社員の離職率が上がっているため、育成の投資をどんな若手にどの程度行えばよいのか、わからない
数理モデルによって、どのような能力を持つ若手に、どのような研修をいくら程度かけて行うと、どの程度人的資本の金額が増えるのか、算出することができます。一方で、リスキリングを行わなければ、何年後にどの程度人的資本が減るのかも算出することができます。このようなシミュレーションによって、人的資本投資の費用対効果を予測することができます。データに基づく経営判断ができるほか、投資家への説明もしやすくなります。
例2)女性管理職比率を上げたいが、どの程度予算をかければ効果があるのか、また会社全体の成長につながるのかが、わからない。そのため、予算を確保しづらく、なかなか大きな施策を打つことができない。
数理モデルによって、女性管理職比率が上がると、どのような要素に影響があり、それによってどの程度人的資本が増えるのかを算出することができます。また、シミュレーションには、どのような施策で女性管理職比率が伸びるのかも含まれます。これにより、女性管理職比率向上に関する会社全体のコンセンサスをとりやすくなり、さらに人的資本投資対効果も明確になります。


■座長 プロフィールおよびコメント
○一橋大学大学院 経営管理研究科 教授 小野 浩(人材のマネジメント、人的資本理論、幸福度、統計学)

[画像2: https://prtimes.jp/i/54457/38/resize/d54457-38-a40320dc8801686ff9ac-1.jpg ]

早稲田大学理工学部卒。野村総合研究所コンサルタントを経て、シカゴ大学大学院社会学研究科博士課程修了、Ph.D取得。Stockholm School of Economics准教授、Texas A&M University准教授を経て現職。現在、Texas A&M University大学院社会学研究科特任教授も務める。
主な著書に『Redistributing Happiness: How Social Policies Shape Life Satisfaction』(2016,Praeger出版,K.S. Leeと共著)。
American Sociological Review, Economics of Education Review, Oxford Economic Papers, Social Forces, Social Science Quarterly, 『日本労働研究雑誌』など寄稿多数

「人的資本は、投資をすれば価値が高まり、投資を怠ると陳腐化します。グローバル化、IT化など社会環境が著しく変化する中、どのような人的資本に価値があるのか、陳腐化はどうしたら防げるのかなど、課題は山積みです。本研究会では、人的資本の基礎理論を学び、きちんと整理したうえで、実務にどう結び付けるのかを深く議論します。」


○一橋大学大学院 経営管理研究科 教授 兼 IGS株式会社 代表取締役社長 福原正大(人的資源管理におけるデータ活用)

[画像3: https://prtimes.jp/i/54457/38/resize/d54457-38-6876d39c4016879f1235-2.jpg ]

東京銀行(現:三菱UFJ銀行)、バークレイズ・グローバル・インベスターズでの日本法人取締役を経て、2010年に、「人を幸せにする評価と教育で、幸せをつくる人を、つくる」をヴィジョンにIGSを設立。主な著書に『AI×ビッグデータが「人事」を変える』(朝日新聞出版社)、『日本企業のポテンシャルを解き放つ――DX×3P経営』(英治出版)など。慶應義塾大学経済学部特任教授を兼任。INSEAD(欧州経営大学院)MBA、グランゼコールHEC(パリ)で国際金融の修士号を最優秀賞で取得。筑波大学で博士号取得。


「社会のデジタル化の加速に企業の採用・リスキリングなど人的資本投資が進まなかったことで、日本は世界の先進国の中で非常に厳しい立ち位置にいます。一方で、日本企業人材の基礎的な能力は高く、この能力を高めるリスキリングや、採用市場、そして評価や賃金体系などを適性化することで、今後再び日本が世界において重要な役割を担える可能性は十分にあります。本研究会において、まずは足元の人的資本の状況と、取りうべき施策の数理モデルを実証分析に基づき構築することで、効果的な戦略人事を行うことが可能となるでしょう。」


■研究会 概要

研究会名:人的資本理論の実証化研究会
研究テーマ:「人的資本と企業価値算出のモデリング ~ゲーリー・ベッカーの『人的資本』理論の実用化に向けて~」
座長(専門領域)

一橋大学大学院 教授 小野 浩(人材のマネジメント、人的資本理論、幸福度、統計学)
一橋大学大学院 特任教授 兼 IGS 代表 福原 正大 (人的資源管理におけるデータ活用)


参画企業(五十音順)

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社、株式会社ニコン、株式会社日経ビーピーコンサルティング、日本郵便株式会社、三井住友トラスト・ホールディングス株式会社、株式会社三菱UFJ銀行などの大手9社


主催・運営支援:Institution for a Global Society株式会社


■GROW360(グロー・サンロクマル)とは
社会で活躍している人材の思考・行動から導き出される共通の「行動特性(キー・コンピテンシー)」と、潜在的な性格「気質」を可視化する、AIを活用した360度評価ツールです。これまで約74万人※5の学生・社会人が受検しています。※5 2022年6月末時点
評価者の甘辛傾向や忖度等、上司や採用面接官等、評価者固有の「評価の偏り(バイアス)」をAIが分析・補正することによって、より正確な評価結果が得られます(特許技術)。更に、受検者が意図的に「受けがいい」と思われる選択肢を選べないように工夫されている設問が特徴です。
従来の人物評価テストでは見落としてしまっていた、ポテンシャルある人材を発掘できるツールとして、大手企業を中心に新卒採用や中途採用で活用されているほか、人材の配置、人材育成の場面での活用が増えています。

サービスサイト:https://www.grow-360.com/ja


■Institution for a Global Society(IGS)株式会社 会社概要
「分断なき持続可能な社会を実現するための手段を提供する」を企業パーパスに掲げるHRTech/EdTech企業。2021年12月29日に東証マザーズ市場(現・グロース市場)に上場。
所在地:〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南1-11-2 4F
設立:2010年5月
資本金:388百万円
事業内容:AIを活用した人材評価プラットフォームを企業や学校に提供

コーポレートサイト: https://www.i-globalsociety.com/


■本件の問い合わせ先
〇研究会へのお問い合わせ
「人的資本理論の実証化研究会」運営事務局
Institution for a Global Society株式会社 HR事業部
E-mail: sales@jp.grow-360.com

〇取材に関するお問い合わせ
別途、報道関係者向けの欄に記載しております

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