水稲栽培に「ビール酵母細胞壁」由来の農業資材(肥料原料)(※1)を活用、“稲作の天敵”ジャンボタニシ(※2)による稲の食害が低減
PR TIMES / 2021年7月7日 17時15分
~食品由来の安全・安心な肥料原料で、農業の課題解決に貢献~
アサヒバイオサイクル株式会社(本社 東京、社長 千林紀子)は、JAぎふ(所在 岐阜県岐阜市)と共同で、2020年に、水稲栽培に「ビール酵母細胞壁」由来の農業資材(肥料原料)を使用することで、ジャンボタニシによる食害を低減できるかを確認する評価試験を行いその効果を確認しました。
[画像1: https://prtimes.jp/i/58947/55/resize/d58947-55-68341d998a2fb0aca0b6-6.jpg ]
ジャンボタニシは、九州・四国・本州の太平洋側など温暖な地域で多く生息しており、水稲など水田作物を食害することで知られている外来種の貝の一種です。水稲の場合、田植え後2~3週間の生育初期の柔らかい苗が被害にあいやすく、苗がほとんどなくなってしまう事例も多く報告されています。
さらに温暖化の影響で生息範囲が広がっている傾向にあり、農業における深刻な問題の1つとなっています。
アサヒグループの独自技術であり、ビール製造工程で発生する副産物「ビール酵母細胞壁」由来の農業資材(肥料原料)は、植物の免疫力を高め根の成長を促進することから、根張りが向上し、発生した細かな根から食物の成長に必要な土壌中の鉄分を多く吸収することができます。一方、ジャンボタニシは鉄に対する耐性が弱く、体内に鉄が取り込まれると内蔵機能が弱まることが知られていることから、鉄分を多く含んだ状態の稲に関しては食害が低減されるという仮説のもと、2020年、JAぎふの協力によりジャンボタニシ対策の試験を行いました。
2020年6月、岐阜県瑞穂市の約5haの水田に、田植えに合わせて「ビール酵母細胞壁」由来の農業資材(肥料原料)を使用したところ、隣接する肥料原料を使用しなかった水田の約2割の稲がジャンボタニシの食害被害があったのに対し、使用した水田では食害された稲はほとんど見られませんでした。
評価試験2年目となる2021年は、試験面積をJAぎふ管内巣南営農組合の合計12haに拡大して取り組み、効果の確認を行っています。
【JAぎふ菅内農事組合法人 巣南農営組合 代表理事組合長 小川勝範氏コメント】
[画像2: https://prtimes.jp/i/58947/55/resize/d58947-55-440bdacf470bc3bc9a6e-4.png ]
・2020年に、JAぎふ、アサヒバイオサイクル、メーカーの協力で、近年食害がみられるジャンボタニシ対策の試験を行ったところ、その効果を実感することができた。
・効果が実感できたため、2021年は各農業関係機関の協力下で、試験面積を2.4倍に拡大して、その効果を確認している。
・生育初期の苗が被害にあいやすいため、田植え前の苗床への肥料原料の散布もおこなっている。
・ビール醸造から派生した肥料原料でこのような効果がみられることは不思議であるが、食品由来のため、安全・安心だと感じている。
※1:ビール酵母細胞壁を活用した農業資材(肥料原料)は、植物に与えると、植物本来の免疫力を高め、また、土壌を還元することにより有用菌優勢の微生物叢に変化させるという2つの機能を持っています。食品由来で安全・安心であること、植物の免疫力を引き上げることによる病気への耐性の強化、収穫量の増加、土壌の改善などにより農作物の品質が向上するとともに、収穫量あたりの温室効果ガスの排出量が削減され持続可能な農業に貢献できることなどが期待されています。日本国内では、全国の農地、ゴルフ場、阪神甲子園球場をはじめとする野球場など天然芝のスポーツ施設や公園等で活用されています。
※2:正式名はスクミリンゴガイ。南米原産の巻貝で、1981年に日本に食用として輸入されました。1984年には植物防疫法に基づき有害動物に指定されて輸入が禁止になり、現在は環境省と農林水産省が作成する「生態系被害防止外来種リスト」で、対策の必要性が高い「重点対策外来種」に選定されています。
■アサヒバイオサイクルHP https://www.asahibiocycle.com/ja/
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