【論文掲載】エクストラバージンオリーブオイルのヒトのストレス反応に対する影響を脳血流動態計測で評価
PR TIMES / 2021年9月2日 17時45分
慶應義塾大学とJ-オイルミルズの共同論文 学術誌「Food Science & Nutrition」に論文掲載
このほど株式会社 J-オイルミルズ(東京都中央区、代表取締役社長:八馬 史尚、以下当社)は、慶應義塾大学 理工学部 システムデザイン工学科 満倉 靖恵(みつくら やすえ)教授のご協力のもと、NIRS脳計測装置(※1)を用いた脳血流動態計測によって、エクストラバージンオリーブオイルのヒトのストレス反応に対する影響を評価しました。試験では、エクストラバージンオリーブオイル摂取条件は、エクストラバージンオリーブオイル未摂取条件に比べ、1時間後のストレスレベルが低くなりました。条件については、2ページ目の<試験概要>をご参照ください。本研究に関する論文は学術誌「Food Science & Nutrition」に掲載されています。(Yasue Mitsukura, et al., Food Science & Nutrition. 2021 April; 9(4): 1851-1859.)
本研究では、ストレス反応に対するエクストラバージンオリーブオイルの影響を評価するために、エクストラバージンオリーブオイル未摂取条件とエクストラバージンオリーブオイル摂取条件に対して、脳血流動態計測・解析を行いました。ストレス反応の評価指標として、前頭部の酸素化ヘモグロビン濃度の積分値の変化を比較した結果、エクストラバージンオリーブオイル未摂取条件(条件1)は、1時間後に前頭部の酸素化ヘモグロビン濃度の積分値が増加する傾向が見られ、エクストラバージンオリーブオイル摂取条件(条件2-4)は、1時間後に減少する傾向が見られました(図1)。前頭部における酸素化ヘモグロビン濃度の積分値の減少はストレス反応の抑制を意味することが、先行研究(※2)で明らかになっており、本研究では、エクストラバージンオリーブオイルを摂取することで、ストレス反応を抑制する可能性が示唆されました。
▼図1
[画像1: https://prtimes.jp/i/38494/99/resize/d38494-99-8128f04b50a8b1318764-0.png ]
図1:前頭部の10分間の酸素化ヘモグロビン変化を、計測条件(条件1~4)、計測タイミングごとの平均値を算出したカラーマップ。酸素化ヘモグロビン濃度の積分値が増加した場合は黄色に変化し、減少した場合は青色に変化しました。
左から3番目の「摂取後1 時間経過時」において、エクストラバージンオリーブオイル未摂取条件(a)では酸素化ヘモグロビン濃度の積分値が増加する傾向が見られ、エクストラバージンオリーブオイル摂取条件(b)、(c)、(d)の場合は、酸素化ヘモグロビン濃度の積分値が減少する傾向が見られました。
●計測条件(※2):
上から順に、(a)条件1、(b)条件2、(c)条件3、(d)条件4
●計測タイミング:
左から順に、摂取前、摂取直後、摂取後1時間経過時、摂取後2 時間経過時
▼図2
[画像2: https://prtimes.jp/i/38494/99/resize/d38494-99-3d4bfb5761c08b29c4af-1.png ]
図1内の数字は前頭部の各計測場所を示しています。
(図2参照)。
<試験概要>
・対象:健康状態が良好な学生17名(男性14名、女性3 名)
・条件:エクストラバージンオリーブオイル未摂取条件(条件1)ではパンのみ、エクストラバージンオリーブオイル摂取条件(条件2、3および4)では各エクストラバージンオリーブオイル(オイルA、BおよびC)15gをパンに塗布し、経口摂取しました。なお、オイルA、B、Cは国内で市販されている3種類のエクストラバージンオリーブオイル、パンはいずれもバゲットを使用しました。
[表: https://prtimes.jp/data/corp/38494/table/99_1_1459cf2293355d1af1020a65caf930f0.jpg ]
・方法:デスクワーク時のストレスに類似させるため、タイピングテストを実施した後、NIRSにて脳血流変化に伴う酸素代謝変化を測定しました。なお、計測はいずれの条件においても試験開始10分前、10分後、60分後、120分後の計4回、10分間実施しました。
(※1):近赤外光分光法(Near-Infrared Spectroscopy : NIRS)
皮膚や頭蓋骨に高い透過性を有する近赤外光を用いて、頭蓋内のヘモグロビン濃度の変化を検出する方法です。生体で酸素を運んでいるのはヘモグロビンのため、脳への酸素の供給、代謝の状態が推測できます。
(※2):先行研究
・ストレスと総ヘモグロビン濃度増加の相関関係に関する引用文献:
Yoshikazu, I., et al., 2008 30th Annual International Conference of the IEEE Engineering in Medicine and Biology Society. 2008 : 4992–4995.
Matthias, S., et al., Human Brain Mapping. 2002 September; 17(1): 61-71.
・神経活動時の総ヘモグロビン濃度と酸素化ヘモグロビン濃度の関係性に関する引用文献:
Peter, F. , et al., Science. 1988 July; 241(4864): 462-464.
・心電計測を用いたストレス反応抑制に関する引用文献:
Atsuo, Y., & Kazuhiro, T., The Kyorin Medical Society. 2004; 35(4): 375-378.
・ストレスと前頭前野における活動の関連性に関する引用文献:
Richard, D., & William, I., Trends in Cognitive Sciences. 1999 January; 3(1): 11-21
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