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旭化成、ミリ波・マイクロ波帯の空洞共振器を用いた微小金属検査システムを開発

PR TIMES / 2024年3月12日 13時15分

~製造工程の重大な欠陥を防止する微小金属検査で新たなレベルの品質管理を実現~

旭化成株式会社(本社:東京都千代田区、社長:工藤 幸四郎、以下「当社」)は、このたび、ミリ波やマイクロ波帯の技術を用いて、食品、医薬、半導体、石化、電子材料等の製造ラインを流れる対象物(粉体、液体(水を除く)、繊維、フィルム等)に含まれる微小金属の検出が可能なシステム技術(以下、「本システム」)を開発したことをお知らせします。



本システムは、誘電率※1の変化に高い感度をもつ空洞共振器※2を用いており、一般に市販されている装置と比較して、フィルムであれば1/64の体積の微小金属粒子を、繊維であれば1/100の体積の繊維状微小金属を検出できます。図1は本システムで検知した繊維の断面を走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)で撮影したものであり、繊維断面中に金属が含まれていることを示しています。
[画像1: https://prtimes.jp/i/79452/116/resize/d79452-116-f6798415142317906787-0.png ]

微小金属の混入は工業製品の製造において重大な欠陥となり得ます。従来のフィルム向けの磁気やX線などの手法を用いたインライン検査機※3であれば、直径200μm程度の大きさの金属微粒子の検出が下限であり、この検出下限が現状の検査機の課題となっていました。今後は本システムを用いることで直径50μmを検出下限とする微小金属の検出が可能になります。また、繊維中の検査には従来、マイクロ波ドップラー法※4が用いられており、その検出下限は直径3μm、長さ5 mmでしたが、本システムを用いることで直径1μm、長さ300μmの繊維状微小金属の検出が可能になります。

本システムの性能まとめ
・フィルム向け検出下限:[従来]直径200μm ⇒ [本システム]直径50μm
・繊維向け検出下限:[従来]直径3μm,長さ5 mm ⇒ [本システム]直径1μm,長さ300μm

空洞共振法による検知は、対象物上の微小金属が空洞共振器内に侵入したときに、微小金属による共振器内の電場の変化を共振周波数※5の変化として捉える仕組みとなっており、金属の透磁率※6の強弱に影響されないことが特徴です。そのため、非磁性の微小金属に対しても高い検出感度を得ることが可能となります。

図2(a)は繊維を計測対象とした空洞共振器のシステム図を示しており、中央部に示す繊維計測用の空洞共振器内を通過した繊維中の金属をミリ波によって検知できるものです。また、繊維計測用システムは、液体や粉体状への応用も可能です。
図2(b)は、計測対象がフィルムのシステム図を示しており、フィルム計測用の空洞共振器内を通過したフィルム上の金属をマイクロ波により検知できるものです。

[画像2: https://prtimes.jp/i/79452/116/resize/d79452-116-d439429ea71e10ce916a-1.png ]



[画像3: https://prtimes.jp/i/79452/116/resize/d79452-116-7b12b537e09f891728e3-2.png ]

本システムについては、さらなる性能向上の後、2026年内の製品化を予定しております。
また、2024年3月12日(火)~14日(木)に開催される「2024年度精密工学会春季大会学術講演会(3月14日 C91, C92)」にて本開発に関する発表を予定しています。(「フィルム中の金属粒子を検出するマイクロ波帯空洞共振器」、「ミリ波空洞共振器を用いた金属粒子検知システムの開発」)。

※1 誘電率:各物質が持つ電気的なエネルギーを与えたときのふるまいを示す数値。
※2 空洞共振器:特定の寸法で設計された金属の壁で囲まれた空洞を内包した容器。
※3 インライン検査機:製造ラインを流れてくる製品を検査する装置。
※4 ドップラー法:音波や電磁波など波の発生源が移動または観測者が移動することで、波の発生源と観測者との間に相対的な速度が存在するときに、波の周波数が実際とは異なる値として観測される現象(ドップラー効果)を利用した検査方法 (ex. 近づいてくる救急車の音の変化)。
※5 共振周波数:外部から空洞共振器内部に加えた電磁波のうち振幅が大きくなる特定の周波数。
※6 透磁率:物質の磁化のしやすさを表す数値。磁化とは磁界内に物体を置いて磁気を帯びさせること。


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