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国際NGOセーブ・ザ・チルドレン 東北沿岸部における、経済的に困難な状況下の子育て世帯への調査結果を発表

PR TIMES / 2017年11月1日 13時1分

保護者の約7割が、行政の就学援助制度に改善が必要と回答~震災から6年が経過しても残る家計への負の影響~



子ども支援専門の国際NGOである公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(理事長:井田純一郎/専務理事・事務局長:千賀邦夫、本部:東京都千代田区)は、子どもの貧困問題解決への取り組みの一環として2017年春に実施した「給付型緊急子どもサポート ~新入学応援キャンペーン2017~」の受給世帯へのアンケート調査結果を発表しました。

今回の「新入学応援キャンペーン」は、経済的困窮に関する一定の条件を満たす岩手県山田町、宮城県石巻市の新小学生・新中学生・新高校生435名(400世帯)に、新入学に伴い家庭の大きな負担となる制服・運動着の購入費用の一部を支給したものです。本調査は、東日本大震災で被害を受けた東北沿岸部にて、経済的に困難な状況下にある子どもや子育て世帯の状況、また子どもや保護者が必要とする支援の内容を把握することを目的に実施し、結果、大きく5点が明らかになりました。(有効回答数:396件)
[画像: https://prtimes.jp/i/5097/138/resize/d5097-138-156786-0.jpg ]



本調査に回答した経済的に困難な状況下の子育て世帯のうち、44.2%が、震災前と過去1年を比較すと家計の状況が悪化していた。東日本大震災から6年経過してもなお、震災が家計へ負の影響が及ぼしていると考えられる。また、震災前から赤字で生活し、現在も赤字の生活から抜け出せていない世帯が17.4%存在した。
本調査に回答した世帯はひとり親家庭が85.1%、ふたり親家庭が14.4%であったが、その回答からひとり親家庭だけでなくふたり親家庭も、経済的に困難な状況に置かれていることが確認できた。
家庭の経済的困窮が子どもの生活へ及ぼす影響は多岐にわたり、子どもの成長に必要不可欠な医療へのアクセス、学校生活や学校外の活動への参加、進学機会にも負の影響があることが確認された。
本調査に回答した世帯の74.3%が、就学援助制度(小中学生の子どもがいる経済的に困難な状況下の家庭や震災で被災した家庭に対し、市町村が学用品費や学校給食費などを援助する制度)を利用していた。「利用している」と回答した世帯のうち、66.0%が、「就学援助制度を利用するにあたって改善してほしい点」があると回答した。また、「利用していない」「分からない」と回答した世帯のうち、39.1%が就学援助制度の利用が必要と考えられるにもかかわらず、「就学援助制度を知らなかった」という理由を選択した。
保護者は、保護者に対する支援として、経済的支援を、子どもに対する支援として、子どもの学習や居場所、多様な活動への参加の機会を保障する支援を必要としていることが分かった。



これらの結果を受けセーブ・ザ・チルドレンは、すべての子どもの権利を保障するために、教育費をはじめとした子どもに関する公的支出を増やしていくことを中長期的に求めるほか、喫緊に対応すべき課題として、関係省庁や地方自治体が速やかに以下の対策を講じるよう提言しています。



提言1: 就学援助制度において、新入学児童生徒学用品費の予算単価引き上げおよび入学前支給が、全国すべての市町村で徹底されるべきである。
提言2: 公的支援を必要とする子育て世帯が就学援助制度を利用できるよう、制度の周知や申請方法の改善など、よりきめ細かな対策を講じるべきである。
提言3: 高校生に対しても、新入学に伴う費用の軽減や入学前支給が実施されるべきである。
提言4: 経済的に困難な状況下にあるひとり親家庭のみならず、ふたり親家庭の子どもたちへの経済的支援も講ずるべきである。



<調査概要>
【目的】
子どもの貧困という社会問題の中で、東日本大震災で被害を受けた東北沿岸部において、子育て世帯への震災の影響や、経済的に困難な状況下にある子どもや子育て世帯の現状、および子どもや保護者が必要とする支援の内容を把握すること。また、子どもの貧困対策の充実に向け、本調査結果を社会啓発および国、地方自治体に対する政策提言につなげること。
【主な調査内容】
世帯の状況、就学援助制度の利用状況、震災前と過去1年の間の生活の変化、経済的困窮が及ぼす子どもの生活への影響、経済的に困難な状況下にある子どもや保護者に必要な支援について。
【調査の実施状況】
・調査地域 : 岩手県山田町、宮城県石巻市
・調査対象 : 新入学応援キャンペーン受給世帯(計400世帯)の保護者
※経済的困窮に関する一定の条件を満たすことを本キャンペーン受給要件とした。
・調査方法 : 受給世帯に対し、アンケートを郵送にて送付し、自記式にて任意回答の上、郵送にて返送。
・回収期間 : 2017年2月2日~2017年5月19日
・有効回答数 : 396件 (回答率99.0%)
・調査結果レポート(全文)はこちら:http://www.savechildren.or.jp/jpnem/jpn/pdf/tohoku_201711.pdf
※本調査は2016年に続いて2度目の実施。
2016年の調査結果はこちら:http://www.savechildren.or.jp/jpnem/jpn/pdf/tohoku_201612.pdf

【「給付型緊急子どもサポート ~新入学応援キャンペーン2017~」について】
【地域】岩手県山田町、宮城県石巻市 
【時期】 2017年1月~4月
【対象】本キャンペーン申請時および2017年4月以降に山田町もしくは石巻市内に在住し、2017年4月に山田町・石巻市内の公立小・中学校や高校に進学予定の子どものいる保護者で、次のいずれかにあてはまる世帯
1. 生活保護を受けている世帯
2. 生活保護が過去1年以内に停止または廃止された世帯
3. 保護者(ふたり親家庭の場合父母双方)の市町民税が非課税の世帯
4. 児童扶養手当の支給を受けている世帯
【内容】制服・運動着の購入費用の一部として、小学生上限1万円、中学生上限4万円、高校生上限5万円を支給
【受給者数】435人(400世帯)


<本調査結果を受けての今後の活動>
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、経済的に困難な状況下の家庭の子どもたちへの給付金の提供を行うと同時に、子どもの貧困対策の充実に向け、貧困下にある子どもや保護者の実態把握のための調査やシンポジウムの開催を通じた社会啓発、政策提言を引き続き実施します。
東北地域に対しては、来春、小中学校や高校へ入学する子どもたちを対象に、制服・運動着の購入費用の一部を給付する、「給付型緊急子どもサポート~新入学応援キャンペーン2018~」を継続して行います。また、昨年の調査結果を受けて実施している、ひとり親家庭の保護者に対するセミナーやひとり親家庭の子どもに対するレクリエーション活動の機会提供や、調査結果をもとに、就学援助制度の利用促進およびさらなる充実に向けて、周知や申請方法等の改善、就学援助の支給内容や金額の拡充等に関する社会啓発イベントや政策提言の実施も引き続き行っていく予定です。その他に、新規事業として就学援助制度が適用されない高校生を対象とした給付型奨学金の提供を予定しています。


<セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの日本の子どもの貧困問題解決へ取り組み>
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、2010年から日本の子どもの貧困問題解決への取り組みを開始し、現在、1)貧困下にある子どもや養育者への直接支援、2)子どもの貧困対策充実に向けた世論形成のための社会啓発、3)子どもの貧困問題に関する政策・施策のより良い整備に向けた政策提言という3つの軸をもとに、活動しています。「給付型緊急子どもサポート」は、直接支援の一環として、東日本大震災発生直後から2015年末まで約5年にわたり実施してきた緊急・復興支援事業の知見・経験、行政や地域とのネットワークを生かし、東北地方沿岸部で実施すると同時に、熊本地震復興支援の一環としても実施しています。2017年10月末までに、東北では435人、熊本では1,678人に給付金を通じて支援を届けました。

<セーブ・ザ・チルドレン概要>
セーブ・ザ・チルドレンは、生きる・育つ・守られる・参加する「子どもの権利」が実現された世界を目指して活動する国際NGOです。1919年にイギリスで設立され、現在、世界120ヶ国で子ども支援活動を実施しています。日本では1986年にセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが設立され、国内外で活動を展開しています。
http://www.savechildren.or.jp/

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