ミャンマー:MSF、サイトメガロウイルス網膜炎の経口薬を導入

PR TIMES / 2014年7月24日 16時8分



オーストラリア・メルボルンで開催中の第20回国際エイズ会議で、国境なき医師団(MSF)は、サイトメガロウイルス(CMV)網膜炎の経口薬による治療をミャンマーで開始したと発表した。CMV網膜炎は、HIV/エイズに伴う日和見感染症だが、なおざりにされがちな疾患で、放置した場合は失明の恐れもある。治療薬は、先進国では2001年から入手可能だが、ミャンマーではこれまで、週1回直接眼球に注射する治療法が唯一の選択肢だった。患者にとっては極めて不快な処置であるとともに、注射には入念な訓練を受けた医師が必要だった。

<長年の交渉が結実――さらなる普及には課題も>

MSFは、製薬会社ロシュ社との長年に渡る価格交渉を経て、ミャンマー南部ダウェイの患者に対し「バルガンシクロビル」の内服治療を開始にこぎつけた。これにより患者は同薬を最長6ヵ月間服薬するだけとなる。MSFは2015年までに、対象をミャンマー全土に拡大し、CMV網膜炎と診断されたMSFの患者全員にこの内服治療を提供する予定だ。MSFは世界各地でHIV/エイズ治療プログラムを展開しているが、この錠剤の使用が可能となったのは今回が初めてとなる。

MSFはこの進展を歓迎する一方で、バルガンシクロビルのさらなる薬価引き下げを求めている。特に他の製薬企業参入によりジェネリック医薬品の価格競争がもたらされることを期待している。

MSF必須医薬品キャンペーンの医療ディレクターであるジェニファー・コーン医師は「患者の苦痛が軽減され、医療従事者にとっても治療が簡単になったことは、一歩前進と言えるでしょう。ただ、治療の普及を進めるには、すべきことがまだ沢山あります。現在ロシュ社と交渉が成立している価格は、1瓶(60錠)当たり約280米ドルで、治療期間を27週間とすれば1人当たり最大1960米ドル必要となります。これはCMV網膜炎まん延国の多くの患者にとっては、負担できる範囲をはるかに上回る金額です」と訴えている。

<高い罹患率が残る途上国>

先進国で抗レトロウイルス薬(ARV)治療が普及するまでは、エイズ患者の約3分の1がCMV網膜炎を発症した。しかし現在では、欧米のHIV/エイズ患者にCMV網膜炎が確認されることは殆どない。また、裕福な国では、長年バルガンシクロビルが標準治療法となっており、注射による治療よりも効果的であることも実証済みだ。

一方、多くの発展途上国では、HIVスクリーニング検査の質やARV治療の開始時期の遅れなどが原因で、CMV網膜炎罹患率は高いままだ。ミャンマーのHIV/エイズ重症患者におけるCMV罹患率は、25%にもおよぶ。

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