固定価格買取制度の導入後はじめて風力発電・地熱発電の伸び率が太陽光発電を上回る
PR TIMES / 2021年4月15日 19時45分
「永続地帯2020年度版報告書」の公表
千葉大学大学院社会科学研究院の倉阪秀史教授と認定NPO法人環境エネルギー政策研究所は、日本国内の市町村別の再生可能エネルギーの供給実態などを把握する「永続地帯」研究を進めています。このたび15年目となる2020年度の報告書を公表しました( https://sustainable-zone.com/)。
2020年度報告書概要
[画像1: https://prtimes.jp/i/15177/485/resize/d15177-485-773645-6.png ]
「永続地帯」研究の最新結果では、2020年3月末時点で稼働している再生可能エネルギー設備を把握し、その設備が年間にわたって稼働した場合のエネルギー供給量を推計しました(一部は実績値を採用)。
※「永続地帯(sustainable zone)」とは、その区域で得られる再生可能エネルギーと食料によって、その区域におけるエネルギー需要と食料需要のすべてを賄うことができる区域のこと
※「エネルギー永続地帯」とは、再生可能エネルギーで自給できる市町村のことで、域内の民生用+農林水産業用エネルギー需要を域内で生み出された再生可能エネルギーで供給できる市町村のこと
※「電力永続地帯」とは、域内の民生用+農林水産業用電力需要を上回る量の再生可能エネルギー電力を生み出している市町村のこと
※「永続地帯市町村」とは、域内の民生用+農林水産業用エネルギー需要を上回る量の再生可能エネルギーを生み出している市町村であって、カロリーベースの食料自給率が100%を超えている市町村のこと
※「永続地帯2020年度版報告書」は下記サイトに掲載中
https://sustainable-zone.com/
今回の試算結果
今回の試算の結果、以下の事実が明らかになりました。
(1)2019年度は風力発電と地熱発電の伸び率が、太陽光発電の伸び率を上回る。
2012年7月に施行された再生可能エネルギー特別措置法に基づく固定価格買取制度により、これまで運転開始までの期間が短い太陽光発電が主に増加してきましたが、ようやく風力発電や地熱発電の大型案件が運転開始するようになりました。2019年度は、太陽光発電の対前年度伸び率(6%増)を、風力発電(12%増)と地熱発電(13%増)の伸び率が上回りました。一方、固定価格買取制度の対象となっていない再生可能エネルギー熱供給は全体で4%減少しました。太陽熱利用、バイオマス熱利用ともに5%減となっています。再エネ熱供給を促進する政策が求められます(表1)。
[画像2: https://prtimes.jp/i/15177/485/resize/d15177-485-837186-5.png ]
(2) 都道府県別エネルギー自給率ランキングで秋田県が1位となる。
地域的な再生可能エネルギー供給が域内の民生用+農林水産業用エネルギー需要の10%を超える都道府県が、2019年度には41道県になりました(2012年度はわずか8県でした)。まだ、10%に達していない都道府県は、埼玉県(7.7%)、沖縄県(7.1%)、京都府(6.9%)、神奈川県(5.5%)、大阪府(4.9%)、東京都(2.1%)の6都府県です。地域的エネルギー自給率ランクの1位が秋田県となりましたが、新たな大型地熱発電や風力発電の運転開始が影響しています。ランキング上位3県は、地域的エネルギー自給率が40%を超えました。自給率30%を超える県は前年度から3県増え、10県となり、20%を超える県は5県増加し、26県となっています。
地域的エネルギー自給率ランキング
1位 秋田県 45.1%
2位 大分県 43.3%
3位 鹿児島県 41.5%
4位 群馬県 37.6%
5位 宮崎県 37.0%
6位 三重県 34.0%
7位 福島県 32.8%
8位 熊本県 31.0%
9位 栃木県 30.4%
10位 茨城県 30.3%
(3)100%エネルギー永続地帯市町村は138に増加、電力永続地帯は226に増加
域内の民生用+農林水産業用エネルギー需要を上回る再生可能エネルギーを生み出している市町村(エネルギー永続地帯)は、2011年度に50だったところ、2019年度には138に増加しています。また、域内の民生用+農林水産業用電力需要を上回る量の再生可能エネルギー電力を生み出している市町村(電力永続地帯)も、2011年度に84でしたが、2019年度には226に増加しました。
[画像3: https://prtimes.jp/i/15177/485/resize/d15177-485-147935-7.png ]
(4)2011年度から2019年度にかけて、国内の再生可能エネルギー供給量は約3.4倍に。
再生可能エネルギー電力供給が増加した結果、2011年度に比べて、2019年度は、再生可能エネルギー供給は3.4倍となっています。この結果、国全体での地域的エネルギー需要(民生用+農林水産業用エネルギー需要)に占める再生可能エネルギー供給量の比率(地域的エネルギー自給率)は3.8%(2011年度)から、13.5%(2017年度)、14.9%(2018年度)、15.6%(2019年度)と増加しています(表1)。
(5)永続地帯市町村数は、10増加して80に。
2019年度に、食料自給率(カロリーベース)が100%を超えている市町村は、571ありました。エネルギー永続地帯138市町村のうち、食料自給率も100%を超えた市町村(永続地帯市町村)は10増加し、80になりました。これらの市町村は、まさに「永続地帯」であると言えます。永続地帯市町村数は、2016年度に44,2017年度に58、2018年度に70と増加しています。
[画像4: https://prtimes.jp/i/15177/485/resize/d15177-485-594185-2.png ]
報告書本体・都道府県分析表の掲載先
こちら( https://is.gd/Z0gJyd )よりダウンロードいただくか、
下記のwebサイトにアクセスしてください。
・永続地帯 Web サイト https://sustainable-zone.com/
・環境エネルギー政策研究所 Web サイト https://www.isep.or.jp/
本件に関するお問合わせ
contact*sustainable-zone.com (*は@に変えてください)
千葉大学大学院社会科学研究院教授 倉阪秀史
認定NPO法人環境エネルギー政策研究所 松原弘直
過去の永続地帯報告書に関するリリース
2015年度版報告書の公表リリース
太陽光発電の発電量が固定価格買取制度導入後5.5倍に。しかし、太陽熱利用は前年度比減少。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000072.000015177.html
2016年度版報告書の公表リリース
4年間で国内の再生可能エネルギー供給は倍増。順調な電力供給の一方で、熱供給は2年連続減少。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000173.000015177.html
2017年度版報告書の公表リリース
エネルギー永続地帯の市町村が1年で11増えて82に増加。この5年間で国内の再生可能エネルギー供給は約2.6倍に。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000267.000015177.html
2018年度版報告書の公表リリース
エネルギー永続地帯の市町村が100に到達。この6年間で国内の再生可能エネルギー供給は約3倍に。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000339.000015177.html
2019年度版報告書の公表リリース
再生可能エネルギーで電力を自給できる「電力永続地帯」の市町村が全国で1割超え
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000409.000015177.html
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