【メルセデスベンツ Eクラスワゴン 新型試乗】今もワゴンに乗れる我々日本人はラッキーだ…諸星陽一
レスポンス / 2024年3月15日 20時0分
2024年1月に発表された新型の6代目メルセデスベンツ『Eクラス』。セダンはプラグインハイブリッドに試乗したが、ステーションワゴンはガソリンのマイルドハイブリッドに試乗。そのレポートをお届けする。
Eクラスのステーションワゴンは初代モデルから設定がある。Eクラスと呼ばれる前のW123にも“メルセデスベンツ製の”ワゴンが存在している。メルセデスベンツ製と書いたのは、それ以前のモデルにもコーチビルダーの手によるステーションワゴンがあったのだ。つまりセダンしかボディタイプがない時代にステーションワゴンを求める人が多くおり、そうした人々はコーチビルダーにワゴンボディをオーダーしていた。そのようなユーザーが多かったこともあり、メルセデスベンツ(当時の社名はダイムラー・ベンツ社)は、正規のボディタイプとしてEクラス(当初はミディアムクラスと呼ばれた)に、ステーションワゴンを設定した。ユーザーの要望に応えたわけである。
さて最新のEクラスステーションワゴンである。フルモデルチェンジ版のEクラスに用意されるボディはセダンとステーションワゴン。パワーユニットは、2リットルガソリン・マイルドハイブリッド、2リットル・ディーゼルマイルドハイブリッド、2リットル・プラグインハイブリッドの3種だが、ステーションワゴンにはマイルドハイブリッドは設定されず2タイプのパワーユニットとなる。
◆1.5Lから2.0Lになった「E200」
試乗車はガソリンエンジンのマイルドハイブリッド仕様。機能説明の前にパッケージングについて触れよう。ステーションワゴンの全長×全幅×全高は4960×1880×1470(mm)で先代よりも全長で5mm、全幅で30mm、全高で5mmサイズアップ。ホイールベースは2960mmで先代よりも20mm延長されている。
試乗車のグレード名は「E200ステーションワゴン・アバンギャルド」。先代モデルのE200は1.5リットル4気筒エンジンを使っていたが、新型は2リットルエンジンとなり、久しぶりにグレード名と排気量がシンクロしてわかりやすくなった。その2リットルエンジンのスペックは204馬力(150kW)/320Nm。1.5リットル時代は184馬力(135kW)/280Nmなので排気量アップに伴い、スペックも向上している。
1.5リットル、2リットル両タイプともにマイルドハイブリッドシステムを採用する。マイルドハイブリッドシステムについては、1.5リットル時代はBSGと呼ばれるベルトドライブ式のスタータージェネレーターが使われていたが、新型の2リットルではベルトレスダイレクト駆動のISGが採用された。BSGのスペックは10kW/38NmであったがISGは17kW/205Nmとトルクが圧倒的に引き上げられている。
◆ハンドリングはEクラスとは思えないヒラリ感
乗り出すと非常に軽快なフィーリングであることに驚かされる。先代のE200は十分にトルクがあって過不足ないフィーリングであったが、新型は「おおっ、軽快だなあ」と思わず声を上げてしまうよさ。ISGのアシストが上手に効いている印象で、エンジンのトルクを2段階くらい上積みしたようなしっかりとしたトルク感を感じられる。
組み合わされるミッションはメルセデス・ベンツではおなじみの9AT。多段化による各ギヤ間の変速比がクローズしているのはもちろんだが、ISGによるトルク調整も入るので変速ショックはないに等しくシームレスである。アクセルを踏めばグングン加速していくので、じつに気持がいい加速を楽しめる。
ハンドリングはいい意味でEクラスとは思えないヒラリ感があり、まるで『Cクラス』をドライブしているような軽快感がある。試乗車はパノラミックスライディングルーフなどのオプションが付き、“素”の1860kgに対して50kg重い1910kgの車重。さらに成人男性3人乗車という悪条件ながら、じつに軽快であった。
◆世界的に絶滅危惧種のステーションワゴン
さて、ボディサイズが大きくなったが荷室容量はどうだろう。先代モデルのメーカー公表値(VDA計測)では640~1820リットルであったものが、615~1830リットルとなった。つまり定員乗車時の容量は25リットルダウン、最大拡張時は10リットルアップということになる。
ラゲッジ寸法については詳しいデータを見つけられなかったが、全長が5mm延長されているにもかかわらず、リヤのオーバーハングは20mm短縮されている。ハンドリングやスタイリング、乗り心地などを重視すると、前後ともにオーバーハングは短縮傾向となるが、ステーションワゴンの最大の魅力である積載性を損なうのはあまり関心できない。
世界的にステーションワゴンは絶滅危惧種になりつつある。かつては、ステーションワゴンのパラダイスであったアメリカでもシェアは縮小。現在はEクラスのステーションワゴンも輸出されていないという。そうした世界情勢のなかでEクラスステーションワゴンに乗れるわれわれ日本人はラッキーな立場だ。しかし、このまま世界的なシェアが減っていけば、ふたたびEクラスはセダンのみになってしまうかもしれない。そうしたとき、現代のコーチビルダーは活躍してくれるかには、あまり期待できないだろう。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
ボンネットの“ベンツマーク”が帰ってきた!メルセデスベンツ『E300 エクスクルーシブ』登場[詳細画像]
レスポンス / 2024年4月11日 19時0分
-
C&Eクーペを統合した新世代の2ドアクーペ、メルセデスベンツ『CLE200クーペ』登場![詳細画像]
レスポンス / 2024年4月8日 18時0分
-
1000万円超え!? 新型「小さな高級車」公開! 400馬力超え“直4ターボ”も用意!? 内装も超オシャレな「GLA」発売
くるまのニュース / 2024年4月4日 21時10分
-
スバル『レイバック』と『レヴォーグ』はどこが違うのか?…3月の試乗記まとめ
レスポンス / 2024年4月2日 12時15分
-
メルセデス AMG GLC 43 クーペ、日本で発売開始…価格は1271万円
レスポンス / 2024年3月29日 17時15分
ランキング
-
1【カルディ】見つけたら即ゲットして! 超人気商品「ウイスキープリン」は食べて驚く本格派スイーツ
オールアバウト / 2024年4月26日 20時35分
-
2胃もたれには「健胃薬」? それとも「消化薬」? 薬剤師に聞いて分かった「市販の胃薬の選び方」
オトナンサー / 2024年4月26日 20時50分
-
3「スマホから変な音する」奇妙な現象、7時間後に予期せぬ真相発覚 ネットずっこけ「そんなことある?笑」
よろず~ニュース / 2024年4月26日 18時20分
-
4成分足りない「正露丸」、30年以上前から虚偽の試験結果で出荷…富山のキョクトウに業務停止命令
読売新聞 / 2024年4月26日 23時24分
-
5ねんきん定期便の見込額に注意!年金から天引きされる4つのお金を知っておこう
オールアバウト / 2024年4月25日 21時20分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください