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日産の「NissanConnect」とパナソニックの「音声プッシュ通知」が連携…音声通知で新たな価値を創造

レスポンス / 2024年4月25日 16時5分

日産自動車とパナソニックは4月19日、日産自動車の「NissanConnect(ニッサンコネクト)」と、パナソニックが提供する「音声プッシュ通知」を連携させて、家庭内の家電を通じてクルマの移動情報や状態を音声で通知する新サービスを同日16時より開始した。


◆音声プッシュ通知で、暮らしの中の“うっかり”を低減


このサービスではクルマの充電情報やいたずらなどを知らせたり、家族がクルマで一定エリアまで近づいたことを通知。さらには出発時間に応じて車内のエアコンを稼働させることを促す「乗る前エアコン」通知などを行う。これにより、日々の暮らしの中で起こりがちな“うっかり”を減らすとともに、家族の帰宅時間がわかることでより快適で計画的な暮らし体験が提供できる。


同様のサービスとしてはスマートフォンを使う例があるが、それと大きく違うのは家庭にある様々な家電を介して、音声でプッシュ通知することにある。自宅にいるとスマートフォンは携帯していないことが多く、通知があっても気付かないままになることも少なくない。パナソニックによると、音声プッシュ通知により、洗濯の干し忘れが20%改善されたという。家電から音声で通知されれば、家族みんながそれを共有できるようになるというわけだ。


背景にあるのはコネクテッド化される乗用車の増加だ。その普及率は2022年の58.0%から2035年には85.4%まで上昇するとの予測があるほどで、インターネットを介して外部とつながるコネクテッドカーは今後日常化していくのは確実とみられている。


特に近年は家庭内のエアコンや洗濯機、電子レンジなどの家電製品においてもIoT化が進み、様々なものがインターネットを介して家電とつながることで、たとえば遠隔操作や音声による操作、さらには防犯メリットをもたらすなど、この活用により新たな価値が見出されていくことが期待されているのだ。


◆音声プッシュ通知で提供されるサービス


今回の連携によって用意されたサービスは以下の5つになる。


お出かけ前の通知:NissanConnectアプリ上で、目的地や出発時間、到着時間を入力しておくと、出発時間が近づいていることをパナソニックのIoT家電から通知する。


乗る前エアコン推奨通知:パナソニックのIoT家電から、「もうすぐ出発の時間です。セレナの“乗る前エアコン”をONにする場合は、スマホのアプリから行なってください」と通知。これにより乗車前に車内を快適な状態にしておくことができる。


ゾーンアラート通知:NissanConnectアプリ上でアラートするエリアを設定しておくと、クルマがそこにたどり着いた際に、連携しているIoT家電から音声で「アリアが設定エリアに入りました」と自動通知する。自宅に帰ってくる様子が事前に分かるようになる。


充電関連通知:自宅に設置された充電器とクルマを充電ケーブルでつなぐと、充電の開始や終了したことをIoT家電が音声で「◯◯の充電を開始(終了)しました」と通知する。


クルマの防犯通知:駐車中に車両に何らかの振動が与えられた場合はカーアラームが作動し、それを音声でIoT家電が通知、さらに車両の電源が入った場合はそれをIoT家電を介して音声で通知するほか、車両位置はスマホのアプリ上で確認できる。


◆NissanConnectと音声プッシュ通知の連携がもたらすもの


パナソニックオートモーティブシステムズ 新規事業推進室室長の加藤博司氏は、立ち上げた組織の目的として「パナソニックグループが持つ様々な暮らし領域の顧客接点アセットと、カーメーカーが持つ様々な移動領域の顧客設定を掛け合わせることで、よりお客様を深く理解し、1人1人に寄り添った新しい移動体験サービスを出し発展させていくことにある」と説明。その上で「日産とくらしアプライアンス社とのサービスを連携させることにより、今年度はいくつか新しいサービス立ち上げていく。日産自動車とは既に第2弾、第3の連携サービスの検討も始まっている」と将来への連携発展にも言及した。


日産自動車コネクティドカー&サービス技術開発本部コネクティドカーオフボード開発&オペレーション部担当部長の神吉理衣(かんき りえ)氏は、「コネクテッドカーはこれからのクルマのプラットフォームであるとも言え、日産のビジネスを支える上で重要度はますます増してきている」とし、「今回のサービスは家電と連携させることで、ドライバーだけでなく、家族にも知らせることができ、体験ゾーンが広がることになる。これは家電のIoT化を推進しているパナソニックとの連携なしにはできなかったサービスだ。今後も新たな切り口でパナソニックとのサービスを充実させていきたい」と述べた。


パナソニック くらしアプライアンス社 DX・顧客価値革新本部長の今村佳世氏は、これまでの「パナソニックは、顧客エンゲージメントの周りにある“知る体験” “購入サポート” “新たな価値創造”というサイクルで、顧客とつながり続けることで満足度を高め、暮らしのベストパートナーとなれるよう様々なソリューションを展開してきた」と説明。そして今回、新たに「NissanConnectと連携することで、宅内だけでなく宅外との連携が可能になり、顧客の心のウェルビーングの実現に近づけると確信している」と語る。


パナソニック くらしアプライアンス社 DX・顧客価値革新本部デジタルプロセス開発センター CX・IoT技術総括の大穂雅博(おおほ まさひろ)氏は、「今回の音声プッシュ通知サービスを支えているのはパナソニックの“くらしのプラットフォーム”であり、これをクルマと相互連携することで宅内/宅外を問わずサポートすることが可能となった。日産自動車とパナソニックがそれぞれのプラットフォームで相互依存する関係を持ちながら新たな価値を提供していく。まさにエコシステムの取り組みと言えると思う」とした。


◆APIを介したインターフェースの開発で、今後は幅広い家電が対象に


説明会終了後、会場ではこの音声プッシュ通知のデモも行われた。最初はわかりやすいよう、日産『アリア』のドア取っ手を数回動かしたことによる振動させてアラームを発報する方法で実施。するとほとんどタイムラグなしで、カーアラームの作動をテレビ画面でポップアップ通知と共に音声でその状況を案内した。ちなみに、対応テレビの電源は待機状態になっていれば画面をOFFにしていても通知は届くようになっているという。


次は充電状況の音声プッシュ通知だ。ここでは充電を開始したのと、終了したことをポップアップ通知と音声による案内が行われた。その他の通知も同様のスタイルのままで、防犯上の通知であってもそのスタイルに違いはない。個人的には、防犯についての案内なら“警報”としてもっと緊急性が高いスタイルで案内されると良いのではないかと感じた。


このサービスに対応する家電は、2024年4月19日現在でテレビ(2021年以降の発売モデル)、ロボット掃除機(2020年以降の発売モデル)、LEDシーリングライト(2022年発売モデル)、ドアホン(2022年発売モデル)が対象。使う前には一定の設定が必要になるが、それは一度設定すればOKだ。


ただ、このサービスで課題になりそうなのが対象家電がパナソニック製に限られていることだ。大半の家庭は必ずしも指定された家電で統一されていることはないわけで、これについては提供する側も理解している様子。日産自動車コネクティドカー&サービス技術本部の岡 尚弥氏は「APIを介したインターフェースを準備中で、それによって他の家電との連携も視野に入れている」と説明した。


NissanConnectは2019年から安心を支えるサービスとして提供を開始し、音声プッシュ通知はそれ以降に発売された9車種で利用できる。日産によればNissanConnectは、現在、約17万人が利用しているという。一方のパナソニックの音声プッシュ通知は2021年10月からサービスを提供。IoT家電をクラウドでつなぎ、テレビやドアホン、シーリングライト、ロボット掃除機といった家電を介してサービスが受けられる。


なお、今回新たに提供されるようになった音声プッシュ通知サービスは無料で利用できるものであり、NissanConnectに新サービスが増えても追加料金は発生しない。

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