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Dizzy Sunfistが語る、「夢は死なへん」精神が生んだ渾身のメロディック・パンク

Rolling Stone Japan / 2021年11月2日 19時0分

Dizzy Sunfist

メロディック・パンク・バンドDizzy Sunfist(ディジーサンフィスト)の3rdアルバム『DIZZY LAND –To Infinity & Beyond-』が素晴らしい。本文中でも話しているが、メロディック・パンクはその性質的にサウンドの幅を生み出しづらいジャンルである。メロディック・パンクの金字塔でもあるHi-STANDARD『Growing Up』が誕生して25年以上を経た今、他ジャンルの方法論を拝借することなく真っ向からメロディック・パンクと向き合うことでパンクリスナーに鮮烈な印象を与える作品づくりは非常に難しい。しかし、彼女たちはそれを実現した。

収録されているのは12曲。どこを見ても穴がない。作品の流れまで含めて完璧で、「これぞ日本のメロディック・パンクだ!」と快哉を叫びたくなる内容に仕上がった。メロディはもちろん、胸がすくようなストレートなメッセージもいい。ジャパニーズ・メロディック・パンクの歴史を背負ったディジーが、「本当にこれでいいのか」ととことん悩みながら、渾身の力を振り絞って産み落とした一枚だ。ギターヴォーカルであり、ソングライティングを担うあやぺたに今作の制作の裏側を聞いた。コロナ禍に加え、ベースいやまの卒業という困難に見舞われた彼女たちだが、そんな状況にもめげずに突き進むコツは、意外な意識の持ち方だった――。

―めちゃめちゃいいアルバムができましたね!

ほんまですか? めっちゃうれしいっすわぁ!

―ディジーの最高傑作であることはもちろん、パンクシーン全体で見ても文句なしの傑作ですよ。ここまでのメロディック・パンクのアルバムってなかなか出てこないと思います。手応えはいかがですか?

出来上がって聴くまでは不安なところはあったんですけど、マスタリングが終わって全部通して聴いて「いいのできたな……」って。そのあと、インタビューでいろんな人が話を聞いてくれるなかで、「ああ、よかった!」って思いました(笑)。

―周りの感想を聞いてようやくいいアルバムができたと実感できた。

そうですね、やっと。

―つくってる最中から「これはいけるぞ」とはならなかったんですね。

つくってる最中は作曲とかでけっこう悩んでたんで。ボツになる曲も多かったし、「これでほんまにええんかな……?」って試行錯誤しまくって。一度、どの曲をアルバムに入れたらいいのかわからなくなったりけっこう苦しいときもあって、ようやく12曲が揃ったって感じです。

―ボツにした曲はけっこうあったんですか?

今回はけっこうあります。

―何がそんなに悩ませたんですか?

自分のなかのボーダーラインが今までに比べて上がったのかもしれないです。「この曲じゃみんなの心を揺さぶれない」と思った曲がいっぱいあったというか。「この状態だとまだまだ足りひん」とか。そこでアレンジを重ねていったことで完成されていきましたね。

―「これじゃあ納得してもらえない」っていうのはこれまでも同じだったと思うんですよ。今回は何が違ったんですか?

3枚目ともなると今まで使ってきたネタが全く使えなくなるじゃないですか。同じような曲調、同じようなサビ、同じようなコード進行、同じような展開……同じ人間が作ってるのでそういうのが出まくるじゃないですか。そことの戦いがつらかったですね。「ここでサビが来て、そのあとにソロが続くのって一緒やん」とか。

―確かに、メロディック・パンクって音楽的に幅を生みづらいし、もはやアイデアが出尽くしてますよね。そこでどのバンドも試行錯誤して新しいアイデアを盛り込んでみたりして違いを生み出していると思うんですけど、このアルバムってドストレートにメロディックパンクですよね。

めっちゃうれしいっすわ、それ。8ビートの曲が増えたりしたので、メロディック・パンク要素が減ってるんじゃないかって思ってたんですよね。よかったー!

「So Beautful」





「いろんな音楽を聴いても最終的に戻ってくるのはここなんです」

―ハイスタが『Growing Up』をリリースして25年以上が経った今、こんなに潔いメロコアが聴けるのはうれしいですよ。

「8ビートが増えてなんかポップになった」って言われたこともあったし、パンクらしさが減ったのかなっていう不安はあったんですけど、そう言ってもらえてすごくうれしいです。

―ビートがどうこうというのはそこまで大きなことではないと思いますけどね。

やっぱり、根っこにあるのはメロディック・パンクだし、もはや自分にはそれしかできないのでよかったです。

―メロディックパンクと正面から向き合って出来上がった作品だと思いました。

それはプロデューサーとしてmasasucks先輩が入ってくれたことも大きくて。いろいろ迷ったときに「こっちのほうがパンクやろ!」って言ってくれたり。

―ぼんやりとした質問になりますけど、なんでこういう作品に着地できたんだと思いますか。

うーん、やっぱり、純粋なメロディック・パンク・キッズだからじゃないですかね(笑)。自分が聴いてテンションが上がる音楽ってそういうものだし、いろんな音楽を聴いても最終的に戻ってくるのはここなんですよ。

―むしろ、これまでの作品のほうが凝ったことをやっていたように感じます。

ああ、なんかそれはわかる気がします。そうかも。初心に戻った感はあるかも。

―今回は「メロディックパンクを好きな自分を裏切りたくない」みたいな。

ほんまにそう、ほんまにそうっすね。いい言葉です。

―コロナ禍だし、長年連れ添ってきたベースのいやまさんは卒業してしまうし、本当に大変な状況だったわけじゃないですか。そこでよくこんな作品が出てきたなっていう。

大変すぎて逆に気楽になれました。思い詰めても何も始まらないと思ったんで、とりあえず気楽にいこう、みたいな(笑)。

―落ちて落ちて落ちまくった結果、開き直れた。

ほんまにそう。考えすぎてもその時間が無駄やし、とりあえず進むことだけ考えよう、やりたいことだけやろうって。

―歌詞もストレートですよね。こういうまっすぐな歌詞って誰が歌っても伝わるものではないと思うんですよ。ディジーはコロナ禍でもツアーを回ったり、作品を出し続けたり、ずっともがいてきたからこそ、一生懸命めげずにやってきたからこそ言葉に説得力が宿っているように聞こえます。

めげずにやってきたつもりだし、何が起こってもポジティブであり続けたし、何が起こってもチャンスに変えられるようにしてきたつもりではあります。


GARLICBOYSをゲストに迎えた理由

―今回、これだけの作品が生まれたからこそお聞きしたいんですけど、いいメロディを生み出す上でディジーがこだわっていることってなんですか?

一回録ってみて全体的な流れを聴いて、あかんかったらすぐにボツにします。歌える、耳に残るっていうのは大事にしていますね。

―曲は1コーラスをまるっとつくるんですか? それともパートごとにわけてつくるんですか?

とりあえず、もがきながらいったんまるっとつくります。そうしていくなかでサビが変わることもあって、それでも気に入らないところがあればつくり直したり、コードを変えたり。メロディは一番大事ですもんね。

―メロディだけではなく、コード感とかで輝くパターンもあるわけですよね。

めちゃくちゃあります。うちは基本的にパワーコードで曲をつくるんですけど、ドラムのmoAiが7thとか9thみたいにシャレたコードを入れてくれることでその瞬間にしか生まれないメロディがパッとできるっていうマジックが起こることはあります。

―あやぺたさんもこれまでにいろんなメロディックパンクを聴いてきているでしょうから、「これは聴いたことある」というチェックポイントがいっぱいあるわけですよね。

あります。「めっちゃあのバンドっぽいメロディやな」とかめちゃくちゃあります。でも逆に、ほかのバンドの人が歌ってる声をイメージしてつくったりすることもあって。女でメロディック・パンクを歌ってる人は少ないから、何をやってもオリジナル感が出るところはラッキーだと思います(笑)。

―確かにそれはありますね。そのほかにこの作品に影響を与えてるものは何かありますか?

今回はツアーに出て対バンを観るということができなかったので、高校生の頃から聴いて育ってきたバンドを聴き直したりしました。初心に戻るというか、「こういう感じのがテンション上がるよなあ」とか。

―本来ならば、アルバムをリリースした後はツアーで全国を回って、多くのバンドと対バンして、そこで受けた影響を新曲に落とし込んでいたのに、今回はコロナ禍の影響でそれができなかったから、代わりにメロディック・パンクの歴史を辿ったと。

2005年ぐらい、高校生の頃に聴きまくってたメロディック・パンクを今回また聴きまくりましたね。ダスト(dustbox)、ノーザン(Northern19)、グッフォー(GOOD4NOTHING)とか。リアルタイムに聴いてライブを観れてたのってそのへんのバンドなので。

―メロコアオールスターじゃないですか。今作から日本のメロコアの集大成的な匂いがするのはそのせいなんですね。そんな中、「N.i.n.j.a feat PETA&LARRY(GARLICBOYS)」でGARLICBOYSのPETAさんとLARRYさんをゲストヴォーカルとして迎えたのはなぜですか?

ガーリックは人生で一番ライブに行ったバンドなんですよ。ガーリックは大阪でめっちゃライブしてくれてたし、それを全部観に行くぐらいほんまに好きやったし、「あやぺた」の「ぺた」はPETAさんからいただいたし。でも、LARRYさんから「”あやらりー”にしろ」って言われたりして(笑)、そういうことを経て「いつかコラボできたらいいな」っていう野望はずっとあったんですけど、この曲ができたときに「これを歌ってもらおう! バッチリやと思う!」って。



―先に曲があってのオファーだったんですね。最初からガーリックを想定してるようなコミカルな歌詞だったのでガーリックありきでつくったのかと思ってました。

違うんですよ。しかも、これが初めて日本語詞なんですよね。


「どんな状況でも変わらないライブができるバンドにならないといけない」

―今回、英詞の乗り方がすごくいいですよね。どうやって歌詞は書いてるんですか?

だいたいの歌詞は英語で決めて、歌詞を英訳してくれるネイティブの方にそれを見てもらってます。

―言葉とメロディの絡みが見事だと思いました。

ああ、そこもけっこう大事にしてます。訳を見て気になる言葉とかフレーズがあったら「もうちょっとこう歌いたいんですけど」とか「ここは韻を踏みたいです」みたいに相談したり。

―ここは「あ」の音で終わりたいとか。

ああ、そうです、はい。

―それってメロディをつくったときから「あ」の音が頭で鳴ってるんですか?

そうですね。仮歌詞の時点で「ここは絶対こう歌いたい」っていうのは決まってます。それで相談しながら進めるって感じです。

―あと、難しい単語を使っていないですよね。

それもちゃんと伝えてます。「うち、難しい単語は無理なんで」って。難しい訳がきたときには「もっとわかりやすい言葉ないですか?」って言ってます(笑)。

―そこまでこだわってるからこそ英詞と日本語訳の雰囲気が近いんですね。そういう部分も含めて「So Beautiful」が好きです。

この曲は最初から<Beautiful>って歌いたいって決めてたんですよ。



―<Beautiful>という言葉を何度も繰り返すことに意味があると。

そうっすね。めっちゃ伝えたいところだったんで。

―僕、あやぺたさんの<夢は死なへん>って言葉がすごく好きで。あれって日本のパンク名言のひとつだと思うんですよ。

その言葉を言うようになったことでハイスタと対バンできたり、マジでいろいろ夢が叶ったんで、そういう言葉は口に出して言っていかなあかんなと思いましたね、何に関しても。

―あやぺたさんって本を読んだりするんですか?

歌詞を書くために頑張って読んでみたりしたんですけど……うち、文字を読むのが苦手で、漫画も読めないんですよ(笑)。読んでても内容を忘れちゃって先に進めないんですよね。だから、本は諦めました。名言集とかポエムは好きですけど。

―そういうのって歌詞の参考になったりするんですか?

これはいい言葉だなと思ったら、それに関連する言葉を自分なりに考えて歌詞にしたりします。

―あやぺたさんの歌詞は迷っていないというか、迷っていることも飾らずそのまま表現しますよね。それは性格的なものですか?

性格だと思います。カッコつけた歌詞は書けないし、このままの私しか出せないんですよ。でも英詞だと何を言ってもカッコよく聞こえるじゃないですか。だから、恥ずかしいこともストレートに伝えられるのが英詞の強みやなと思います。

―コロナ禍では従来のやり方を無理やりにでも変えなければならない状況になりました。望まない椅子席、出せない歓声、禁止されるモッシュやダイブ、そういったこれまでならありない状況を受け入れて活動を続けていくなかで気づいたことはありますか?

うーん、気づくというより、どんな状況でも変わらないライブができるバンドにならないといけないと思いました。モッシュとかみんなの声に助けられるんじゃなくて、それがなくても変わらない熱量を出せるライブがどれだけできるかはバンド力にかかってるんやろなって。

―なるほど。

なので、声を出せないとか、モッシュができないとか、そういうことをいちいち気にしないようにしました。目の前にお客さんがいるんだからとりあえずライブをするだけ、みたいな。「何も考えんとこう」と思ってます。そんなことを気にするより、声が出せなくても何があっても楽しめるライブをつくらなあかんと思ったんで。最初はほんまにめちゃくちゃキツかったですけど……修行っすね、修行(笑)。逆に、この状態でいいライブができるようになったらほかに怖いもんなんてないじゃないですか。今はモッシュ/ダイブが禁止されてるフェスも普通にあるし、そういう場所でもメロディック・パンクのよさを伝えられるライブができる状態に近づいてると思うんですよね。


「未来について心配してる時間がもったいない」

―お客さんが暴れる暴れないは関係なく、自分たちのパフォーマンスだけでもその場の空気が沸騰するようなライブをすればいいっていう。

ほんまにそれっす。

―その作業って大変ですよね。しかも、いやまさん卒業後の新メンバー探しをコロナ禍にやるっていうのもキツい。

そうっすよね。バンドをやりたいっていう人の絶対数が今は少なくなってそうだし。でも、そんな中でもメンバー募集に応募してくれた子がいるので、その子と一緒にツアーを回ろうと思ってます。

―これまで以上の練習が必要になりますね。

でも、これまで以上にスタジオに入ってるし、これまで以上のクオリティでライブができるんじゃないですかね。

―その根拠は?

これまで以上の自信があるからです。まだツアーが始まる前ですけど、「これはいいぞ」って思えてます。「こんなにバンドって楽しかったっけ?」ってまた思えてるっていうか、バンド組みたての頃の気持ちが今すごくあります。音を合わせることの楽しさとか、新しい子とスタジオに入ってイチから音を作っていく感じにワクワクドキドキしてて、「こんな気持ちでスタジオに行くの久々やな」って感じです。

―そんな状態でツアーに持っていくアルバムがこれって最高ですよ。

ね、最高っすね。だからツアーが楽しみです。やっぱ、不安はあるっちゃあるっすけど、それ以上に楽しみが勝ってるんで。いつもは「新曲弾けるかな……?」って不安があるんですけど、こんなに楽しみなツアーは初めてかもしれない。

―あやぺたさんみたいに、どんな状況でもめげないようにするためにはどうしたらいいんですか?

嫌なことはもう考えない! 自分の中から除外する。だから今はいいことしか考えてないです。ベースが抜けてもいいベースが入ってくるってことしか考えてなかったし。

―諸々の問題と正面から向き合うんじゃなくて、もう考えない。

そう、考えない(笑)。未来について心配してる時間がもったいないって本当に思うし、それでダメならそのときはそのときやし、心配せんと行こうっていうマインドです。

「Our House」



<INFORMATION>


『DIZZYLAND -To Infinity & Beyond-』
Dizzy Sunfist
日本コロムビア
発売中

Dizzy Sunfist ”Welcome to DIZZYLAND” TOUR 2021-22

2021年
11/03(水祝)神奈川 横浜F.A.D  [GUEST:KUZIRA] →SOLD OUT
11/06(土)千葉 千葉LOOK  [GUEST: LOW IQ 01 & RHYTHM MAKERS] →SOLD OUT
11/12(金)岐阜 岐阜Ants  [GUEST: Northern19]
11/13(土)石川 金沢 EIGHT HALL  [GUEST: G-FREAK FACTORY]
11/19(金)栃木 HEAVENS ROCK宇都宮 VJ-2  [GUEST: SHADOWS] →SOLD OUT
11/20(土)山形 山形Session  [GUEST: SHADOWS] →SOLD OUT
11/27(土)鳥取 米子AZTiC laughs  [GUEST: GOOD4NOTHING]
11/28(日)島根 出雲APOLLO  [GUEST: GOOD4NOTHING]
12/04(土)滋賀 滋賀U★STONE
12/05(日)和歌山 和歌山CLUB GATE
12/09(木)福岡 小倉FUSE
12/11(土)香川 高松MONSTER
12/12(日)広島 広島ALMIGHTY
12/15(水)北海道 札幌BESSIE HALL
12/16(木)北海道 函館club COCOA
12/24(金)愛知 名古屋BOTTOM LINE

2022年
01/08(土)大阪 堺FANDANGO
01/09(日)三重 鈴鹿Answer
01/15(土)岩手 カウンターアクション宮古
01/16(日)宮城 石巻BLUE RESISTANCE
01/22(土)熊本 熊本B.9 V2
01/23(日)鹿児島 鹿児島SR HALL
01/29(土)高知 高知X-pt.
01/30(日)愛媛 松山WstudioRED
02/03(木)埼玉 HEAVENS ROCK 熊谷VJ-1
02/05(土)山梨 甲府KAZOO HALL
02/06(日)長野 長野JUNK BOX
02/12(土)長崎 長崎DRUM Be-7
02/13(日)大分 大分DRUM Be-0
02/19(土)群馬 高崎Club FLEEZ
02/20(日)静岡 浜松窓枠
02/23(水)京都 京都MUSE
02/24(木)兵庫 神戸太陽と虎
02/26(土)岡山 岡山IMAGE
02/27(日)山口 RISING HALL

Final Series
03/12(土) 仙台GIGS
03/19(土) 広島CLUB QUATTRO
03/26(土) 札幌PENNY LANE 24
04/03(日) 新潟LOTS
04/13(水) Zepp Haneda
04/21(木) Zepp Nagoya
04/23(土) Zepp Fukuoka
04/29(金・祝) Zepp Osaka Bayside

https://dizzy-sunfist.com/

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