1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 音楽

輪廻が描く現実的でリアルな歌、「自分肯定」をコンセプトにしたEPを語る

Rolling Stone Japan / 2022年8月24日 12時0分

輪廻

都内のライブハウスを中心に活動し、音楽コンテスト「Next Age Music Award 2021」でグランプリ受賞、さらに「ワン!チャン!!オーディション2022」でもグランプリを受賞し、幕張メッセで開催された「ビクターロック祭り2022」のステージに立つなど、今注目を集める、全員が2002年生まれで20歳の3ピース・ガールズバンド「輪廻」。

8月24日にリリースされる初の全国流通盤のミニ・アルバム『自分にずっと恋して生きたい』は、「自己肯定」をテーマに、3人が創り出す自由で躍動感あるライブの魅力と、世代や性別を超えて届くリアリティのあふれる描写の詰まった快作だ。そんな彼女たちに、バンド結成の経緯から、今回の楽曲たちが作られた背景を中心に話を訊いた。

関連記事:Chilli Beans.が語る、1st EPで奏でた3人の魂と孤独



―今回初の全国流通盤ミニアルバムをリリースするということで、まず、このバンドの結成の経緯を教えてください。

りぃこ:みんなそれぞれ高校は違っていて、それぞれの高校の軽音楽部に入っていたんですけど、みんなそこでは物足りなく思っていて、外で活動したいと、バンドメンバー募集サイトに登録していたんです。そこでわたしが2人に声をかけたんです。

双葉:それが、わたしが高2の時です。

―りぃこさんはどんなふうに誘ったんですか?

りぃこ:2人に出会う前に、1回他の人と会って、スタジオに入ったことがあったんですけど、私とはあまり合わなかったんです。その後2人に出会うんですけど、すごく上手で、センスも合って。わたしは何がなんでもバンドを始めたいと思って、ふたりのプロフィールに書いてあった好きなバンドを、その時は実は全然聴いたことなかったんですけど「好き」って言って、そしたら釣れました(笑)。

―ちなみにその時どんなアーティストが好きって書いてあったんですか?

双葉:わたしはKANA-BOONとONE OK ROCK、Hump Back、そのあたりですね。うちは音楽一家というか、父がギターをやってたんですよ。それで「ギターを弾け」って言われて、最初は「嫌だ」と言ってたんですけど、なぜか弾くようになって(笑)。元々あまりバンドものは聴いてなかったんですけど、ギターを始めてからバンドを聴くようになりました。あと中学生の時は吹奏楽部で聴いていたような音楽。それと、K-POPも聴いていました。そういう要素も作る曲には入っていますね。

リノ:わたしはMy Hair Is Badとか、Hump Backとか。あとライブの演出も含めてSEKAI NO OWARIが好きで。自分もステージに立ってライブしたいなと思って軽音部に入ったんですけど、ベースが足りないってことでベースを始めました。それとヤバイTシャツ屋さんとか。ライブが楽しいバンドが好きです。

りぃこ:母がTHE BLUE HEARTSとサンボマスターが大好きだったので、わたしもその影響でそのバンドが好きになりました。あとはSTANCE PUNKS、ガガガSPとか。うちも音楽一家みたいな感じで、わたしがお腹にいる時からレコードかけてたそうなんですけど、クラシックだと静かで、ファンクとかかかるとお腹の中でぐるぐる動き出してたそうです(笑)。幼い時も父の流したレコードで踊ったりしてたみたいなんですけど、父が「シーラ・Eになれ」とか言って打楽器をやらせたがって。たまたま近くに素敵な先生がいらっしゃって、小2くらいからやってます。



―「輪廻」というバンド名の由来を教えてください。

りぃこ:はじめて2人に会った時に、「どうしても逃したくない」と思って、スタジオが終わって直行でご飯を食べに行って、「バンド名何にする?」って話し合ったんですけど、その日には決まらなくて。そしたらわたしの母が「輪廻って響き、可愛くない?」って言って。2回目にふたりに会った時に提案したら「いいじゃん」ってなって。意味は、カッコよく言えば「生まれ変わってもこの3人で音楽やりたいね」という感じなんですけど、後付けです(笑)。

―では今回のミニアルバムについて伺います。このアルバムを作るにあたってのコンセプトはどんなものだったんでしょう?

双葉:アルバム的には「自分肯定」というコンセプトですね。

―歌詞には、自分を肯定していく中で生じる、周囲の目を気にすることや同調圧力みたいなものへの葛藤なども感じました。

双葉:現実的で、リアルな歌を書きたくて。「私は大丈夫!」とか、その反対に「私なんて……」みたいな、どっちかに全振りしているんじゃなくて、いろんな捉え方がある感じです。どっちにも行かない、行けない、揺らぎみたいなものがあるのがリアルかなと。言葉も難しい言葉よりは、話したまんまの話口調が多いかもしれないです。



―僕もそういうところにすごくリアリテイを感じました。それではまず1曲目の、インパクトの強い「バンドマンきらいかも」。MVも登場するバンドマンの見た目とか含めて絶妙でとても面白かったです。

双葉:これはこの世の全てのバンドマンに伝えたいわけではなくて、ほんとにごく一部なんですけど「なんだこいつ」と思うバンドマンもいて、そういうバンドマンに向けて書いた曲です。3人でそういうバンドマンの話をしていて、ポンポン出たものを歌詞にして(笑)。それをリノちゃんがまとめて持ってきてくれて、それをもとに曲を作ったんです。

リノ:ガールズバンドである自分達でないと、こういうことは言えないかなっていうのもあって。

りぃこ:あと、音楽を聴きに来ている人はいいんですけど、最近バンドマンをアイドル化しすぎて見ていて、せっかくすごく良い音楽をやってくれているのに罵声を浴びせちゃうような人もいて。そういう人に向けての曲でもあります。



―そして2曲目の「あいらぶみー」につながります。

双葉:「あいらぶみー」はちょっと聴くと女の子の曲に聞こえるかもしれないんですが、2番は男の子に向けて書いてあるんです。「着飾って着飾って」という歌詞も女の子に限らず男の子も一緒で。「今日も可愛いを求めている」という言葉の「可愛い」も「キュート」の可愛いじゃなくて、「人から良く見られたい」「良い子に見られたい」みたいな方の意味で。女の子男の子というだけでなく、どの世代もやはりみんな自分が一番可愛いし、自分を一番愛していいんだよっていうことを伝えたくて書いた曲です。

りぃこ:「バンドマンきらいかも」もそうなんですけど、「自分が一番可愛い、自分に恋して生きたい」っていうのは、皮肉もあるけど、一方で、「自分もそうなんだ」っていう思いも込めてあります。

双葉:繋がってないようで繋がっているので、「バンドマンきらいかも」から「あいらぶみー」の流れで、この2曲を続けて聴いてほしいですね。



―確かに、1曲目から2曲目への流れが、テーマとしては繋がりつつもパッとポップな変化があって、続けて聴くととても良いですね。そして3曲目の「actor」は一転して雰囲気が変わって、ベースが歪んでて、でもギターはクリーンで、その対照的なサウンドが混ざり合う感じも印象的でした。

双葉:曲作りの途中から、なんかベースが突然歪み出したんですけど、「それいいね!」ってなって。

―この曲の作詞作曲は双葉さんですが、歌詞の「見えないテンポに僕らは走らされてる」というフレーズには、どきっとさせられました。

りぃこ:「それな!」って感じ。

双葉:これは作った時病んでたんです(笑)。

ーそして「シティーライト」。言葉の響きも綺麗ですし、何しろ浮かぶ情景や心情が切ないですね。

双葉:輪廻がバンド結成して最初の頃にできた曲ですね。



りぃこ:最初の頃全然違うアレンジの曲で、なぜかあんまりやらなくなって「あんなに良い曲なのにやらないのはもったいない」って言って、アレンジし直して復活して最強ソングになりました。リノちゃんが最初持ってきた時、本当に「すごい!うわっ!」って思いました。

双葉:「きゅーっ!」となるよね。

―そして「クラスメート」。

りぃこ:「シティーライト」の続きで聴くこの曲のベースの入りがすごく好きです。

双葉:実はこれは元々すっごいバラードな曲だったんですよ。

りぃこ:最初リノちゃんが弾き語りで短いやつを送ってきてくれて、3人でスタジオに入って合わせる予定だったんです。そしてその日のライブでやろうって言ってたんですけど、リノちゃんが来なくて電話したら「今起きた」って言われて(笑)。それでわたしと双葉で適当にやってて、そしたら双葉が勝手にアレンジを変えちゃったんですよ(笑)。ライブの時もぶっつけ本番で3人でやっちゃって、今考えたら事前に合わせないでよくそんなことできたねって感じで、めちゃくちゃなんですけど(笑)、リノちゃんもなぜか合わせてきてくれて。

双葉:そこからいろいろ微調整して今に至ります(笑)。

―そういうことが起きるのもバンドの面白さでもあり良さでもありますし、その自由さが輪廻というバンドの魅力のひとつでもあるんだなと思いました。そして「走れ!リンネ」。

りぃこ:最初は双葉がひとりで歌ってたんですけど、それだと「走れ!リンネ」なのに「バンドとしての輪廻」感がないってことで3人で歌い始めたんです。

―この曲の短さが良いですね。

双葉:短くて疾走感ある感じで、最後にばっとやる感じを意識しました。



―3人それぞれの、人としての存在感がはっきりして、最後にこれで締まるとバンド感がより伝わってきます。そして最初から終わりまでアルバムとしての流れがとても良いと感じました。最近はアルバム単位で聴くという文化が廃れ始めているからこそ、この作品はアルバムの流れもあわせて聴いてほしいとも思いました。

りぃこ:わたしは1曲終わった時に次のイントロが頭の中で流れてくるくらいアルバムで聴く派なので、そういうふうに聴いてくれたら嬉しいです。

―あと、ライブも見せていただいたんですが、このアルバムにはそこで感じたバンドの「ライブ感」も感じました。なので、このアルバムを聴いた方にはぜひライブも見てほしいなとも思ったんですが、「ライブ感」ということはレコーディングでも意識されてたんですか?

りぃこ:レコーディングする前に話し合って、「いつもライブでやってるままでいいです」ってことでやったんです。それで、バンドのライブ感は出ているのかなと思います。

―りぃこさん、ライブ中めっちゃ笑顔ですよね。

りぃこ:2人がこっち向いてくれてる時にお客さんが見えるのは私の顔しかないですし。でもなんでだろ? ライブやり始めた最初の頃から笑ってたな(笑)。

双葉:わたしはライブをやっててめちゃくちゃ楽しいんです。ライブハウスの空気って実はちょっと苦手なところもあるんですけど、ステージに上がったら無双。悪い意味にもなっちゃうかもしれないけど、お客さんもいるけど「ステージは3人の世界だ」って思っています。あんまり考えてやりたくないし、その時思ったことを喋りたいし、その時の気分で、その時の瞬間で決めてやりたくて。変顔したくなって、りぃこに向かって変顔したりもしちゃいます(笑)。変顔したくなったら変顔するし、ジャンプしたくなったらジャンプするし、踊りたくなったら踊るし、ステージの上は何をしてもいい、自由、という感じです。ライブをやるっていうことが楽しいから、それが延々と続いてほしいなと思います。

リノ:わたしは、ライブではできるだけお客さんと目を合わせるようにしています。

りぃこ:3人ともライブの時にしかできないコミュニケーションがあるから、わたしは、本番でお客さんがいて、三位一体みたいになった時にしか見れないふたりとお客さんが見れて楽しいと思うし、毎回違う、日々更新しているふたりを見たいんです。「今日はこう来たか」みたいな。特にリノちゃんは普段こんなにおとなしいんですけど、普段とライブのギャップがすごいから、なんか興奮しちゃう(笑)。


<リリース情報>



輪廻
1stミニアルバム『自分にずっと恋して生きたい』

発売日:2022年8月24日(水)
品番::EGGS-075
価格:1500円(税込)
レーベル:Eggs
発売元:タワーレコード株式会社
=収録曲=
1. バンドマンきらいかも
2. あいらぶみー
3. actor
4. シティーライト
5. クラスメート
6. 走れ!リンネ
CD情報:タワーレコ―ド各店舗・タワーオンライン / 輪廻ライブ会場、通販ほかで販売

<ライブ情報>

リリース記念インストアイベントツアー「タワーにずっと恋して生きたい」

アコースティック編成によるミニライブ&トーク、サイン会を予定
2022年8月25日(木)タワーレコード池袋店
19時半~
2022年8月28日(日)タワーレコード横浜ビブレ店
19時半~ 
2022年8月31日(水)タワーレコード難波店
19時半~ 
2022年9月3日(土)タワーレコード ららぽーと立川立飛店 ららぽーと立川立飛2Fイベント広場
13時~
2022年9月19日(月・祝)タワーレコード 渋谷店5F イベントスペース
16時半~
参加方法について、詳しくは各店舗のイベントページをご確認ください。

公式Twitter https://twitter.com/rinne_rfr

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください