米国人タリバン兵、出所後にテロ組織支援者と密会「今なお過激思想を抱いている」米FBI
Rolling Stone Japan / 2023年2月10日 6時45分
「米国人タリバン兵」としてアフガニスタンのタリバンに参加し2001年に身柄を拘束、米国の裁判でタリバンを支援した罪で有罪判決を受け禁錮20年の刑に服し、2019年に監視付き釈放が認められたジョン・ウォーカー・リンド。出所する際、監視下での釈放の一環として数々の条件に同意し、正式に自由の身となる2022年5月22日まで過激主義者として知られる人物とは関わりを持たないよう命じられていた。しかし、最近の裁判資料によると、2021年に行われた3つの集会で有罪判決を受けたイスラム国(ISIS)の支援者と会っていたようだ。いずれの集会もFBIが密かに監視していた。
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リンドは2021年の夏から秋にかけて、有罪判決を受けたISIS支持者のアリ・アミンと会っていたとみられる。リンド同様、アミンも釈放の条件として、過激派として知られる人物との接触を禁じられていた。だがリンドとは違い、保護観察官は規則違反を理由にアミンの再勾留に動いた。
連邦保護観察官は1月上旬に提出された裁判資料の中で、アミンが「2021年8月に1回、その後10月に2回、それぞれ1時間ほど滞在してジョン・ウォーカー・リンドと言葉を交わしていたところを、連邦捜査局(FBI)が撮影した」ことを明らかにした。監察官いわく、リンドは「今もなお過激主義者として知られ、FBIの考えでは過激思想を抱いているとみられる」
FBIはなぜ集会を監視していたのか、リンドの保護観察官にも会合のことを知らせたのかについては分かっていない。だがFBIがアミンの保護観察官に集会のことを伝えたのは、1年後の2022年10月だった。リンドの監視期間が終了してから、すでに5カ月が経過していた。
ローリングストーン誌はリンドの弁護士に質問を送ったが、すぐに返答は得られなかった。
全米で数十年にわたり展開された「対テロ戦争」で初の拘留者となったリンドは、10代の頃にイスラム教に改宗してアフガニスタンに渡った。その後同時多発テロ事件ではタリバン兵に加わって、アフガニスタンの北部同盟を相手に戦った。2021年11月、北部同盟の兵士はカライジャンギ要塞に設置した簡易刑務所に、大勢のタリバン兵とリンドを拘留した。ここでリンドはCIA職員のジョン・マイク・スパン氏から尋問を受けたが、刑務所内の暴動に乗じて逃亡。この暴動でスパン氏は命を落とした。アメリカ政府関係者に再び捕らえられたリンドはアメリカに送還され、タリバンを支持した罪と犯行目的で爆発物を所持していた罪で有罪となった。
2017年にフォーレンポリシー誌が入手した国家テロ対策センターの資料には、リンドが歳を重ねて丸くなるどころか、「世界規模のジハード運動を擁護し続け、暴力的で過激な文面を書いたり翻訳していた」他、「TVニュースのプロデューサーにも、釈放されたあかつきには引き続き暴力的で過激なイスラム思想を広めていく、と語っていた」とある。リンドはISISへの支持も表明していた。
アリ・アミンは保護観察違反で再拘留された。2月中旬には、監視付き釈放の撤回を判断する審理が予定されている。
アミンは2015年にFBIに逮捕された後、AmreekiWithnessというTwitterアカウントを運営するなどしてISISに物資支援を画策していたとして起訴された。彼はTwitterアカウントにISISのプロパガンダを投稿し、イラクやシリアで同志と合流する方法や、ビットコインでISISに寄付する方法などをアドバイスしていた。
だが彼が犯したもっとも重大な罪は、2015年初旬にバージニア州在住のレイザ・ニクネジャドをISIS要員として引き抜き、シリアのグループと合流させる計画に加担していたことだ。アミンはニクネジャドをダレス空港まで車で送り、ニクネジャドはトルコに飛んだ後、国境を越えてシリアに入国した。さらにアミンは、ニクネジャドを海外の匿名支援者に紹介し、その支援者がISISが制圧するシリア領域に移動するまでの手筈を整えた。
裁判所資料によると、ニクネジャドは「2016年1月、シリアとトルコの国境付近で殺された可能性が高い」そうだ。
アミンは収監中、刑務所職員からも問題視されていた。刑務所内で「イスラム教徒コミュニティとの間に衝突を起こした」として他の囚人から引き離された他、始末書には暴行および「禁制品の所持」が記録されている。2020年、政府はアミンの監視付き釈放の条件について、保護観察官の許可がない限りコンピューターの使用を制限する、という修正を要請。連邦判事はこれを認めた。また、「既存の暴力的な過激主義者」との接触も禁じられた。
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