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GENERATIONS中務裕太とShiori Murayamaが語る、ダンスパフォーマンスとエンタテインメントの探求

Rolling Stone Japan / 2023年2月16日 18時30分

左から、GENERATIONS中務裕太、Shiori Murayama(Photo by Mitsuru Nishimura)

GENRATIONSが昨年10周年を迎え、3月8日に7thアルバム『X』をリリースする。2022年、彼らのステージの完成度が一段上がったと実感させたのが、東京ドームで幕を開けたツアー「GENERATIONS LIVE TOUR 2022 "WONDER SQUARE”」だった。

【撮り下ろし写真を見る】GENERATIONS中務裕太とShiori Murayama

パフォーマーの中務裕太が「お客さんとのキャッチボールができるようになった」「これまでのライブでは、僕らとサポートダンサーがそれぞれ独立した感じだったんですけど、今はよりみんなで一緒に作ってる感じがある」と語るように、ツアー中はまだ声出し禁止だったにもかかわらず、オーディエンスとステージで作り上げた特別な一体感は、GENERATIONSの力とエンタテインメントへのこだわりが生んだものと言えるだろう。

このツアーでサポートダンサーを務めたShiori Murayamaは、米ロサンゼルスでの活動経験のある日本人ダンサーだ。現地のエージェントと契約を交わし、2020年にはH.E.R.とミッシー・エリオットのスーパーボウルのコマーシャルでリードダンサーを務めたり、J. バルヴィン「ROSA」のミュージックビデオに出演したり、多方面で活躍。コロナ禍の影響で帰国中、GENERATIONSのツアーに参加した。

中務とMurayamaはEXPGの生徒だったという共通点があり、LDHのカルチャーに触れて育っている。今回Rolling Stone Japanでは、アーティストとサポートダンサーという立場から見たGENERATIONSのライブの裏側、エンタテインメントにおけるダンスパフォーマンスの可能性をテーマに、二人にインタビューを実施した。

—昨年の「GENERATIONS LIVE TOUR 2022 "WONDER SQUARE" THE FINAL ~Christmas Special~」を拝見しました。ライブ全体の見せ方やダンスパフォーマンスではどのような新しい試みがありましたか?

中務:ざっくり言うと、僕らのライブって本編でカッコいいところを見せて、アンコールでふざけるみたいな構成なんです。それがベースにありつつ、メンバーみんな海外アーティストのライブが好きなので、そういう演出やステージングにしたいという認識は今回共通してありました。あと、しーちゃん(Murayama)もそうですけど、僕のなかではサポートダンサーも主役の一人だと思ってるので、そのへんも意識してました



—ライブに関するアイデアは皆で出し合う感じですか?

中務:いつもメンバー全員で提案しあって、いいねってなったものを採用している感じですね。

—サポートダンサーが同じ演者として絡んでいくような演出も、メンバーの皆さんで?

中務:そういうのはすごく意識してます。その分みんなに求めることは多くなって大変だったとは思うんですけど、サポートも主役の一員として見せることを考えてステージングを作りましたね。

—Murayamaさんはどうですか?

Murayama:他のライブとは違って、曲間のストーリーをダンサーだけのパフォーマンスで繋いで見せたところもあったので、出番も多かったです。ストーリーがしっかりしているので、それに沿ってダンスを表現するのは難しいところもあったんですけど、やりがいはありました。

—街の雑踏を行き交う人々だったり、恋人だったり、いろんな役があったと思うんですけど、事前に役を割り振られるんですか?

Murayama:そうですね。Prologueでは、帽子を被って街の中をスタスタ歩くビジネスウーマンみたいな役を演じたり、他のダンサーは新聞を読んでいたり、スマホを持っていたり、演出の人から指示された役柄を表現していました。

—そういった演出やダンスパフォーマンスも含めて2時間ぐらいのセットを作るのに、完成までどれぐらいの時間がかかるんですか?

中務:基本は2カ月前ぐらいから、セットリストを考えて組み立てていきます。公演を重ねていくごとにクオリティも上がっていくので、ツアーの後半はだいぶ仕上がった状態になりますね。ただ、ライブはその日限りのものなので、間違えてもその日出たものがすべてだとみんな思っていて。同じタイトルのライブでも一つひとつの公演が全部違って見えるようには意識してます。

—その2カ月間は、週に何日かリハーサルをして。

中務:そうです。初日の前日が一番大変ですね。

Murayama:詰めてましたね。

中務:ゲネプロで一気に変わることもあるんです。HIROさんにも見ていただいて、ここはやっぱこうした方がいいんじゃないって意見もあったり、それを反映させたり、曲を減らしたり増やしたりすることもあるので、やっぱり前日が一番大変ですね。

—ゲネプロの時はバンドの方もいるんですか?

中務:います。ゲネプロの時に変更があったら、バンドの方も徹夜でやってくれる。みんな死ぬ気で、魂削ってライブをつくってますね。ゲネプロが終わったら打ち合わせや反省会があって、そのあとホテルに戻って映像をチェックしたりするので、寝るのが朝方になることもあります。初日は満身創痍です(笑)。身体が慣れてくるのは3〜4公演目くらいからですね。でもそれはそれで、その日にしか見られない僕らの姿なので、すごくいいものがあると思ってます。

—Murayamaさんは今回、最初からツアーに参加していたんですか?

Murayama:はい、東京ドームから参加してました。

—ダンサーの方も、そういう緊張はありますか?

Murayama:ありますね。初日は東京ドームで360度のステージで、会場のセットの形とかも少し違ったので、自分が台下でどこにいるのか迷子になったり(笑)。それで焦ることもありました。裕太さんの言う通り、アリーナ公演の次くらいから落ち着きが出てきたかなって感じです。セットリストも身体で覚えてくる頃なので、落ち着いてできました。

—今回、演出で一番力を入れたのはどの辺りですか?

中務:メンバーがいない幕間は、気合いを入れて作ってもらいました。僕らも演出の方にいろいろ注文して。ステージにメンバーがいないと、お客さんには休憩だと思われがちなんですけど、GENERATIONSのライブは僕らがいない場面も大事なライブの一部なんです。ライブは生き物なので、しっかりダンサーのみんなに表現してもらえるようにたくさん注文しました。

Murayama:演出を途切らせないようにする重要な役目ですし、そうすることで次の演出に向けて、お客さんにストーリーをより理解してもらえる。力を入れて頑張りましたね。

—「ヒラヒラ」ではストンプを披露するパートもありますが、仕上げるまで大変でしたか?

中務:ボーカルしかイヤモニをつけてなくて、僕らもサポートのみんなもつけていなかったので、目には見えない、ステージに立ってる僕らにしか感じない空気で合わせてる感じがありました。ずれる時もありますし、けっこう大変でしたね。阿吽の呼吸というか、お互いを信じ合ってやっていました。

Murayama:ビートも音も全くなくなって、いきなり自分たちで放つ音だけになったので。なおかつ女性ダンサーだけ反対側にいたので、注意して後ろの音を聴いて、タイミングを合わせてやりました。

—サポートダンサーもライブの主役の一員であるという考え方は、いわゆるLDHイズムの影響もあるんですか?

中務:そうですね。HIROさんがいつもダンス界に恩返しするっておっしゃっていて。僕もストリートダンス出身ですし、バックダンサーの経験もあって、時には歯がゆい思いをしたことがあるから、サポートダンサーっていう立ち位置でも、ちゃんと前に出てファンもついてくれたらいいなと思ってる。ダンスはLDHの軸でもあるので、そのダンスを僕たちなりに盛り上げる方法を日々考えてやってます。

—ドームやアリーナといった規模の大きい会場でのコンサートを重ねてきて、どうしたらサポートダンサーも輝いて見えるかってことは、自然と分かってきたんじゃんないですか。

中務:GENERATIONSでは10年間活動してきましたし、デビュー前もEXILEさんや三代目J SOUL BROTHERSさんの後ろで踊らせていただいたりして、経験値を少しずつ積んできたと思うので、今まで見えなかったものが見えてきてると思います。ステージが一つ上にグッと上がったような感覚はありますね。

—その感覚って、言葉にするとどんな感じですか?

中務:今までだったら「いいんじゃない?」で終わってた曖昧なところが、今は「ここはやっぱりダンサーがいない方がいいな」とか、逆に「ここはもっと足した方がいいな」とか、より細かく見えるようになってきました。今までは面でしか見えてなかったんですけど、立体的に見えるようになってきました。ピンポイントで、この場所のこの演出が効く、って考えられるようになってきたので、イメージしたものを具現化する力は、メンバー各々上がってきてるんじゃないかなと思います。

—Murayamaさんは、そういうメンバーからの言葉やアドバイスで気づきがあったりしましたか?

中務:でもサポートダンサーには「楽しんで」ぐらいしか言わないよね(笑)。

Murayama:そうなんですよ(笑)。

中務:直接はね。演出の人には、もっとダンサーにこうしてほしいですってお願いはします。だから僕らっていうよりは、演出の人の言葉の方が大きいと思います。

Murayama:そうですね。演出の人からもうちょっとこういう感じでやってほしいってアドバイスをいただいて、それを忠実にこなしていく方が多いですね。

—Murayamaさんは今回ツアーに参加してみて、どんな成長があったと思いますか?

Murayama:ダンサーとしてステージに立つときは、パフォーマンスして踊るだけのことが多いんですけど、今回は出演者の一員として、お客さんとのコミュニケーションを意識しました。お客さんをどう巻き込んだら楽しませられるかを考えつつ、アリーナでより一層お客さんとの距離が近くなったので、お客さんからもエナジーをもらって自分たちもパフォーマンスができたかなって思います。それはこれまで経験してこなかったことだったので、勉強になりました。

—中務さんは今回のツアーの手応えは?

中務:お客さんの空気をより感じられるようになりました。今までは自分たちがパワーを出すだけのことが多かったんですけど、今はお客さんとのキャッチボールができるようになりました。お客さんが盛り上がっていたらメンバーはもっとパワフルになりますし、バラードで魅せるところはしっかり魅せられるようになりました。ピンポイントでパワーの使い方がわかってきたというか、ここはしっかり見せるところだっていう共通認識が、7人全員がコミュニケーションをとらなくても、ライブのなかで揃うようになってきました。あとはサポートダンサーのみんなとの距離感も良くなってきたと思います。これまでのライブでは、僕らとサポートがそれぞれ独立した感じだったんですけど、今はよりみんなで一緒に作ってる感じがあるので、そこはメンバーもこの10年で成長してきた部分なのかなって。

—じゃあ達成感も大きかったんじゃないですか。

中務:そうですね。今までに感じたことのない達成感は感じました。3月から12月の年末までやっていて、スパンが長かったこともあるんですけど、チーム一丸となって駆け抜けた感をすごく感じました。

—最終日が終わった後は、ぐっとくるものがありましたか?

Murayama:そうですね。寂しかったです(笑)。ライブが始まると一瞬で終わっちゃうんで、楽しい時間が終わってしまった……みたいな感じでした。


Shiori Murayama(Photo by Mitsuru Nishimura)
6歳の時にダンスを始め、2007年から2013年までEXILEライブツアーやテレビなど多数出演。2016年単身渡米し、2017年に一回目の挑戦でMonsters of Hiphopのキャストに選ばれショーに出演。2019年 Puma x Balmainライブイベント、2020年 H.E.Rとミッシー・エリオットのPepsi Super bowl CM、J. バルヴィン「ROSA」MV など多数。日本に帰国後はBoAやGENERATIONSのライブに参加する他、さまざまな場面で活躍中。



EXPGで学んだこと

—お二人は、EXPG(EXPG STUDIO)出身ですよね。ダンスのルーツには、EXPGで学んできたこともあるのかなと思うんですけど。他のダンススクールにはない、EXPGならではの個性ってどういうところだと思いますか?

中務:EXPGはストリートダンスだけじゃなくて、心の中まで全部見られる感じがあるんです。己との闘いというか、自分磨きもできるような場所なので、そこは他のダンススクールとは違う部分かな、と思います。

Murayama:他のダンススタジオでは味わえない経験ができたり、身体づくりの面でのトレーニングがあったり。私がいた時は、クラス編成を分ける学内オーディションがあって、レベル分けがされていたんです。それに向けてトレーニングするし、オーディションの機会があるからこそ緊張感を味わえる。あとはサポートでEXILEさんとかステージの後ろに出させていただいたり、たくさんの経験をさせていただきました。

—すぐにライブの現場に立てる経験は大きいですよね。

中務:そうです。キッズダンサーでも立てるので。そこはEXPGの武器だなと思います。ライブで活躍できるキッズがこれだけいるスタジオは他にないと思うので、子どもたちの将来への力の入れ方が、EXPGは凄いなと思います。

—中務さんの個人ライブ「中務裕太のマルチダンス~多次元裕太をお見せします2023~」のトークでも話してましたけど、EXPGに入る前はかなり尖ってたそうですね。

中務:だいぶトゲが取れていきましたね。最初は尖りまくってたので、しょっちゅう怒られてましたし、他の生徒がいる前で怒られたこともありました。それまでそういうことで怒られた経験があまりなくて、自由にダンスだけさせてきてもらってたので、EXPGに入ってからちゃんと大人に怒られて、心の面でもすごく鍛えられました。

—いきなり大人に言われて、反抗したりはしなかったんですね。

中務:正直、最初は面倒くさいみたいな感じが出ていたかもしれないけど、あの時にああやって言ってくれたのって愛情だなって今はめっちゃ感じます。あの時の自分、しばいてやりたいですね(笑)。

—(笑)Murayamaさんもそういうものは感じますか?

Murayama:そうですね。礼儀は絶対大事にしなさいって言われていて、子どもながらにそういうものを学んでました。

—EXPG時代に印象に残ってることは何かありますか?

中務:僕が初めてサポートダンサーで出させてもらったのが、2008年にEXILEさんが初めて「EXILE PERFECT LIVE」っていうドームツアーをやった時だったんです。楽屋で待ってたら直己(小林)さんが来て、みんなとコミュニケーションをとってくださって。その時の僕からしたら、TVに出てる人がダンサーの楽屋に来て話してくれるってことが衝撃でした。メンバーの皆さんとの関わりは一切ないと思ってたので。直己さんだけじゃなくて他のメンバーの皆さんも来てくださって、積極的に僕らにいろんなお話をしてくださったんです。こんな環境本当にあるんだなって、僕もそうやって思われるような存在になりたいって、その時に強く感じました。

Murayama:一番印象が強いのは、自分が最初にサポートダンサーで出た2007年のEXILEさんの「EXILE EVOLUTION」です。まだそんなに大きいステージに立ったことがない小学校4年生くらいの時だったんですけど、キッズダンサーとしてガムシャラに踊って。そこで、お客さんの目の前で踊ることってすごく楽しいんだなって思いました。

—その時の光景は、今でも覚えてるんですか?

Murayama:覚えてます。お客さんの歓声が聞こえて、一体感を感じました。自分が出たのは「WON'T BE LONG」って曲だったんですけど、大きいミラーボールが下りてくる演出があって、それをお客さんのところに持っていくんです。お客さんが楽しんでる様子も見れたので、演出も含め、ライブってこういう感じなんだ、凄い!って思いましたね。こんなステージでEXILEさんと一緒に踊れてるんだ自分、って思いながら楽しんで踊ってました。

—さっき中務さんが、EXILEのメンバーの人たちが楽屋に来てくれたって話をしてくれましたが、今は逆の立場じゃないですか。次の世代にバトンを渡せる立場になったからこそ、意識するようになったこともあるんですか?

中務:今でも不思議です。僕たちがステージに立って、ダンサーのキッズによろしくお願いしますって言われてるのが。昔は僕たちがよろしくお願いしますって言ってた立場だから、今でも言われるのはまだ慣れないです。でも将来を担うこの子たちが、いつか自分たちのステージに立つ日が来るのかって思うと、頑張らないといけないと思います。この子たちのために夢が叶う場所をたくさん作っていきたいですし、EXPGでも積極的にいろいろやらせていただいていて、新しい取り組みも今準備しているところです。

—サポートダンサーも主役の1人なんだって考え方は、HIROさんからの影響がやっぱり大きいのかなと思うんですけど。

中務:THE RAMPAGEから下の世代はHIROさんが勇退してから活躍するようになったので、GENERATIONSがHIROさんと一緒にステージに立った最後の世代なんです。その時はしょっちゅう夜ご飯とかに呼んでいただいていろんなお話をしましたし、数えきれないぐらいの言葉をいただきました。よく言われたのは、俺たちはゲストじゃなくてホストになるべきだってこと。こっちが一生懸命盛り上げるからお客さんも盛り上がってくれるのであって、我々がゲストとしてふんぞり返ってたらお客さんは盛り上がらない。ホストの気持ちで盛り上げることは常に意識した方がいいよって、教えていただいて。ライブ以外でも、会食で先方の方がいらっしゃった時に、盛り上げ方を教えていただいたり。そういう姿勢を、常日頃からHIROさんの背中を見て教わってきました。HIROさんみたいな立場の方が直接教えてくださるような環境って多分、他の事務所にはあまりないと思うんです。それ以外でもメンバーがスタッフさんに絡んでいくこともありますし、誰とでも距離が近いのはLDHの武器かなって感じます。


ダンサーとしてのキャリア

—Murayamaさんが踊りたいと思ったきっかけは、やっぱりEXILEの影響ですか?

Murayama:はい。ダンスを始めたきっかけが、EXILEさんが紅白歌合戦初出場の時に「Choo Choo TRAIN」でキッズダンサーを連れて踊ってたのを見たことだったんです。それをマネして踊っていたら、私がダンスをやりたがってることに親が気づいて、スポーツクラブのキッズダンスクラブに連れていってくれました。その後、EXPGに入ったんです。

—ダンスの世界に入ってみて、どうでしたか?

Murayama:誰もが経験できるわけじゃないことをこんなに若い時から経験できるなんて、本当に凄い環境にいるなって思いましたし、憧れの人たちがいるなかでダンス面でもメンタル面でもトレーニングができたのは、すごくいい経験でした。

—中務さんがダンスを始めようと思ったきっかけは何だったんですか?

中務:もともと母親がブラックミュージックが大好きで洋楽をたくさん聴かされていて、6〜7歳の時にアッシャーのミュージックビデオを見せられたんです。その時に俺も踊りたいっていきなり言い出したらしくて、母親が地元のダンススクールを探してくれたのがきっかけでしたね。そこから15〜16歳ぐらいの時に、当時通っていたダンススクールの発表会にたまたまEXPGのスカウトの方が来ていて、その方にお声がけいただいてEXPGに入りました。

—EXILEも聴いてたんですか?

中務:偶然、母親がEXILEのCDだけは持ってたんですよ。日本人アーティストのCDで唯一母親が持っていたのが、EXILEと久保田利伸さんで。当時はEXILEの「Carry On」のミュージックビデオとかを見てました。最初はEXPGに入ることにあんまり興味はなかったんですけど、いろいろ話を聞いたり体験レッスンに行ったりするなかで、メンバーさんがスタジオに遊びに来てレッスンしたりしているのを見て、俺もこんなアーティストなりたいなってちょっとずつ思いはじめていきました。

ーその頃からアーティストになりたくてダンスをしていたんですか?

中務:いや、当時は本当にただ踊りたくて踊ってた感じでした。学校が終わったらダンスレッスンに行って、レッスンが終わったら駅前で練習して、の繰り返しで、特に目標はなくて。でも僕はあんまり覚えてないですけど、母親にはダンスでお金稼いでご飯食べていきたい、みたいなことは当時から言ってたらしいです。でもほんと漠然とした感じですね。ただダンスで稼ぐってことしか頭になかったんで、アーティストになることは全く考えてなかったです。

—当時、ダンスでお金を稼いで生活していた先輩もいたんですか?

中務:大阪にいた時の先輩は、ダンスのショーケースとかバトルの優勝賞金でご飯を食べていた人はいました。でもダンスの稼ぎだけで家建てて、みたいなレベルの人はなかなかいなくて。僕はそういうところに行きたいって当時思ってたらしくて、おかんに家を買うとか言ってたらしいです。

—そういう夢を叶えたいって意味でも、ダンスのカルチャーがバックグラウンドにあるグループがメジャーで活躍しているのは、いいモデルケースになりますね。

中務:そうですね。当時そういうダンスグループって、EXILEさんかDA PUMPさんくらいしかいなかったんで。アンダーグラウンドの音楽をメジャーシーンで表現したのは、その2グループが先駆者だなと思います。なのでHIROさんはあらためて凄いなと思います。


Photo by Mitsuru Nishimura

—Murayamaさんも、ダンスを始めた頃から将来ダンサーとして活躍したいと思ってたんですか?

Murayama:そうですね。小さい頃からダンスをしてきて、ダンスをやめるとか考えたこともないですし、本当にダンスが好きだったので、一生踊ってたいと思ってました(笑)。あとは小さい頃から多くのダンサーを見てきたので、将来世界でも活躍できるダンサーになりたいって強い思いはずっとありますね。

—こういう人になりたいと思う人はいたんですか?

Murayama:ちょうどEXPGを辞めた後、LAから帰ってきてたダンサーに会って、自分も世界を見てみたいって思ったことはありました。でも、その人になりたいっていうよりは、負けず嫌いなので、その人を超えるようなダンサーになりたいって思いました。

—アーティストっていうよりはダンサーとして、自分のダンスをもっと世界中の人に見てもらいたい、というモチベーションだった。

Murayama:はい。そうでしたね。

—中務さんは逆に、ダンサーとしてではなくアーティストとしてデビューしたわけですけど、ダンスをどうやってメインストリームに広げていくかって意識はありましたか?

中務:ダンスの良さをたくさんの人に届けることを考えた時に、アンダーグラウンドじゃなくメジャーで表現した方がいろんな人に広まるなって、17歳ぐらいの時に思い始めて。だとしたら、今EXPGで頑張ってアーティストになるのがいいなって思ったので、高校生ぐらいからアーティストになりたいって思い始めましたね。もちろんダンスやるのも好きなんですけど、見てもらう人にダンスって楽しい!とか私もダンスやりたい!って思ってもらいたかったので、それならアンダーグラウンドだけじゃなくて、TVとかメジャーなところで表現するのがいいんじゃないかって思ってました。

ーなるほど。中務さんが、HIROさん以外で、踊りも含めてこのエンターテイナーはカッコいいなって思う人は誰ですか?

中務:マイケル・ジャクソンに叶う人はいないと思ってるので。だいぶ前に亡くなってしまっているのに、今の子どもでも知ってる。それって相当なことだと思うので、マイケル・ジャクソンには勝てないなって今でも思います。一生憧れですね。以前、マイケル・ジャクソンにダンスを教えてた人にレッスンを受けに行ってたことがあって、そういう人からもマイケルのいろんな話を聞くことができて。(マイケルは)教えたらすぐできちゃうし、すぐ自分のスタイルに変えるから凄いって言ってました。マイケルを超える人は出てこないよぐらいに言ってたので、本当に天才だったんだなって感じます。マイケル・ジャクソンのライブに行けなかったのは一生の後悔ですね。母親と行こうと思ってた公演が中止になってしまって、その後に亡くなってしまった。生で見たかったです。

—Murayamaさんは海外で活動していても、マイケルの影響力は別格に感じますか?

Murayama:そうですね。”レジェンド”って肩書きのように残ってますし、世界中で名のあるアーティストもリスペクトを常に持っていて、マイケルのトリビュートで踊ったり、そういうセクションがあったりする。影響力のある人なんだなって思いますし、自分もマイケルのダンスは見てきたので、大きな影響を受けていると思います。

—素朴な疑問なんですけど、マイケル・ジャクソンのダンスの凄さって、ダンサー目線ではどういうところなんですか?

中務:やってることは、そんなに難しくないんですよ。ムーンウォークも半年ぐらいあれば全然できるようになりますし、ポーズも普通にできるんですけど、自分がやってもなんかカッコよくならない。でも、なぜかマイケル・ジャクソンがやるとめちゃくちゃカッコいい。そこがマイケルの唯一無二の凄さですね。ダンスっていうよりは”マイケル・ジャクソン”っていうジャンルで、ダンスを超越したスタイルを作り上げた人だなって感じます。だってポーズだけでカッコいいとか意味がわからないですよ。当時、僕は小学生で、グローブとかもマネして作って鏡の前でポーズしてましたけど、なんかダサくて(笑)。なんでこんなカッコいいんやろ?っていうのは当時から勉強してましたけど、どれだけ頑張っても、あの領域にはいけないなって今でもすごく感じます。





表現者としてのこれから

—話は戻りますが、これまで10年かけてアンダーグラウンドのものをメジャーで表現してきた場がGENERATIONSだと思うんですけど、その一方でダンスへの探究心も忘れていない。それが年に一度開催している「中務裕太のマルチダンス」だと思います。先日のライブでも、TikTok向けのダンスや社交ダンスなど、あらゆるスタイルの踊りを披露してましたよね。

中務:ストリートダンスだけでもいろいろなジャンルがありますし、それ以外でも社交ダンスとか、去年はサルサをやらせていただいたり、他にもサンバとかインドのダンスとか、いろんなスタイルのダンスがあるなかですべてに共通しているのって、見ている人が楽しくなることだと思うんです。それはどのダンスを習っても感じることで、楽しさを伝えられることがダンスの一番の良さだと思うんです。マルチダンスのライブは、ダンスを今も好きでいられている自分を再認識できて、もっともっと好きになりたいって思える場所なので、これからも大事にしていきたいですね。



—ダンスって音楽もそれぞれ違うから、いろんな音楽を知れるって意味でも刺激的ですよね。

中務:そうですね。音楽とダンスって絶対に切り離せないものなので。社交ダンスやサルサもそうなんですけど、自分が知らなかった世界を知れるので、それを活かしてメジャーで表現することは今の自分の楽しみでもあります。

—男女問わず、ダンサーになりたいと思う人は昔に比べて増えてきてるんですかね?

Murayama:Dリーグもそうですし、ダンサーが活躍している場面を目にする機会が多いですし、そういうものを通してダンスをやりたいと思う人も増えている気はします。性別関係なく、無限にスタイルがあるなかで好きなダンスを始めて、さらにそこから自分がやりたいものが見つかっていくと思うので。

—一方でプロの世界では競争が激しそうなイメージもあります。

Murayama:そうですね。女性だから男性だからっていうものはなく、コレオグラファーが求めたことをできるダンサーが活躍していくと思うので。女の子だからパワーがないとか、そういうのは全く関係ないですし、対応力とかメンタル面の気合いも含め、対応できるダンサーが活躍していくんだなって思います。もちろん、たまにはタイプキャストみたいな感じで、女性だけとか男性だけが求められることもあるんですけど、今はジェンダーレスな時代でいろんなダンサーが活躍しているので、競争はさらに激しくなってると思います。

—昨年、チャーリーXCXの来日ライブを観た時も正にジェンダーレスなダンサーたちがサポートしてました。

中務:ダンスって肌の色も関係ないですし、あらゆる垣根を超えてくれるツールの一つなんじゃないかなって感じますね。

—Murayamaさんは今年、またアメリカに行くんですか?

Murayama:今準備してる最中です。日本に帰ってきて3年近くが経つんですけど、向こうの友達には1年くらいで帰るねとか言っていたのが、コロナがあって予定通りには行かなくなってしまって。でも時間が経って日本の環境にも慣れてきて、今すごくいい状態でダンスの仕事ができていて恵まれた世界にいて。ただ、それに甘んじていたらダメだなと思って。世界で活躍するダンサーになりたいって夢があるから、今動かなかったらこの先も動けなくなってしまうと思ったので、去年の10月くらいから準備し始めました。今年中に戻りたいなと思っています。

—向こうにいる人とはやりとりしているんですか?

Murayama:そうですね。ビザの関係で頼みごとをしたり。あとはSNSがあるんで、友達がどんなダンスをしてるかとか、今のアメリカの状況、ダンスコミュニティの様子もわかりますし、それを通じてマメに連絡をとったりはしてますね。

—中務さんは今年、GENERATIONS10周年でアルバムがリリースされたり、大きな意味を持つ1年になりそうですよね。

中務:去年ぐらいから準備し始めてまだ発表できてないものもあるので、早く発表してファンの皆さんに喜んでいただきたいなって思います。アリーナツアーをやらせていただいたり、5大ドームでツアーもやらせていただいたり、GENERATIONSって売れてるじゃん!みたいに言われることもあるんですけど、メンバーの感覚ではもっと売れたいと思ってるので、今年なかったらもうないだろうぐらいの気持ちで、みんな覚悟決めてやってます。重要な1年になるんじゃないかなと思います。



—個人としてはどうですか?

中務:10周年っていう大きい軸があるので、個人の活動もグループに繋げやすいですし、自分がやりたいことも、今年からいろいろ挑戦していくつもりなのですごく楽しみですね。


中務裕太(Photo by Mitsuru Nishimura)

<INFORMATION>


『Ⅹ』
GENERATIONS
rhythm zone
3月8日発売

【初回生産限定盤/CD+DVD, CD+Blu-ray(TYPE-A)】
RZCD-77693/B ¥7,150(税込) ¥6,500(税抜)
RZCD-77694/B ¥7,150(税込) ¥6,500(税抜)
※フォトブック(100ページ)封入、BOX仕様

【通常盤/CD+DVD, CD+Blu-ray(TYPE-B)】
・RZCD-77695/B ¥4,950(税込) ¥4,500(税抜)
・RZCD-77696/B ¥4,950(税込) ¥4,500(税抜)

【通常盤/CD ONLY】
・RZCD-77697 ¥3,630(税込) ¥3,300(税抜)

 ■収録内容 ※全形態共通
1. ワンダーラスト (新曲)
2. PARTY7 〜GENEjaNIGHT〜
3. Unchained World
4. 新しい世界
5. 愛傷
6. Brand New You (新曲)
7. Fiction (新曲)
8. My Turn feat. JP THE WAVY
9. to U
10. TIME SLIP LOVE
11. PICTURE PERFECT (新曲)
12. NOW or NEVER (新曲)
13. チカラノカギリ
14. Ⅹ 〜未来への手紙〜 (新曲)

■DVD/Blu-ray収録内容
・Unchained World (Music Video)
・to U (Lyric Video)
・チカラノカギリ 〜レースversion〜 (Music Video)
・チカラノカギリ 〜実況version〜 (Music Video)
・新しい世界 (Promotion Video)
・愛傷 (Music Video)
・My Turn feat. JP THE WAVY (Music Video)
・ワンダーラスト (Music Video)
・NOW or NEVER (Music Video)
・ワンダーラスト / NOW or NEVER」Making Movie
※Music VideoについてはTYPE-A(初回生産限定盤)・TYPE-B(通常盤)4形態共通となります。
※Making Movieについては、TYPE-A(初回生産限定盤)はフルバージョンで、TYPE-B(通常盤)はショートバージョンで収録となります。

<販売リンク>
https://generations.lnk.to/TEN_CD

<ワンダーラスト 音源/MV>
Music Video:https://youtu.be/fTOeLaVNtSE
音源配信:https://GENERATIONS.lnk.to/TEN_DLSTR

 <LIVE情報>
GENERATIONS 10th ANNIVERSARY YEAR GENERATIONS LIVE TOUR 2023 "THE BEST"
https://www.ldh-liveschedule.jp/sys/tour/19212/

今後のツアースケジュール
@長野 / 長野市オリンピック記念アリーナ エムウェーブ
3月25日(土) 開場15:00 / 開演16:30
3月26日(日) 開場14:30 / 開演16:00

@愛知 / 日本ガイシホール
4月15日(土) 開場15:00 / 開演16:00
4月16日(日) 開場14:00 / 開演15:00

@東京 / 有明アリーナ
4月22日(土) 開場14:30 / 開演16:00
4月23日(日) 開場13:30 / 開演15:00

@大阪 / 大阪城ホール
5月17日(水) 開場17:30 / 開演18:30
5月18日(木) 開場17:30 / 開演18:30

<チケット情報>
3月4日(土) 一般発売
https://e-ticketbook.com/gene23-best/2212-tb/

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